診断ガイド
プロファイリングおよびパフォーマンス チューニングについて
Oracle JRockit JVM をチューニングして、最適なアプリケーション パフォーマンスを実現することは、おそらくこの製品を使用する際の最も重要な局面です。JVM のチューニングが不十分な場合、トランザクションが遅くなったり、長いレイテンシが発生したり、システムがフリーズしたりするおそれがあるほか、システムがクラッシュすることさえあります。『診断ガイド』のこのドキュメントでは、この jvm の実装において最大限の機能を引き出すために使用できる、さまざまなチューニングの手法やオプションについて取り上げます。
チューニングの方法 : 概要
理想的には、チューニングは Oracle JRockit JVM コマンドライン リファレンスに記載されている起動オプションのさまざまな組み合わせを使用し、システム起動の一環として行うべきものです。Oracle JRockit JDK では、実行時にアプリケーションをモニタするために必要なツールが用意されています。この節で推奨されているように適切にチューニングを行うと、JVM が円滑に実行され、タイミングよく結果が得られます。実行時のモニタで、処理中に問題が示された場合は、この節の推奨事項に従って、JVM をより適切にチューニングできます。
この節の内容
この節の内容は以下のとおりです。
JRockit JVM をチューニングすると分かりますが、ガベージ コレクションによる休止時間は短く、アプリケーションのスループットは高く、メモリの占有領域は少なくてすむ、といった要件をすべて満たすようにチューニングすることはできません。「チューニングにおけるトレードオフの概要」では、このようなトレードオフと、その背後にある理由について説明します。
各 Java アプリケーションには、固有の動作と要件があります。JRockit JVM は、このような動作と要件の多くに適応できますが、最適なパフォーマンスを得るには、少なくともいくつかの基本のパラメータをチューニングする必要があります。「Oracle Jrockit JVM のチューニングの初歩」では、JRockit JVM のチューニングの基本と、各種 JVM アプリケーションのチューニングに関するベスト プラクティスについて説明します。
メモリ管理システムが適切にチューニングされていれば、ガベージ コレクションによるオーバーヘッドは最小限に抑えられ、オブジェクトの割り当てが高速化します。「メモリ管理システムのチューニング」では、JRockit JVM 内のメモリ管理システムを調整するために使用できる重要なオプションについて説明します。
Java スレッド間のやり取りは、アプリケーションのパフォーマンスに影響します。「ロックのチューニング」では、ロックおよびロックの競合の処理方法をチューニングするための JRockit JVM オプションについて説明します。
ガベージ コレクションによって発生する休止時間を最小限に抑えてアプリケーションを円滑に実行したい場合は、休止時間が短くなるようにチューニングする必要があります。「レイテンシを低下させるチューニング」で説明するチューニングの手法を使用すると、休止時間は最小限に抑えられ、トランザクションが迅速に実行されます。
ガベージ コレクションにかかる合計の CPU 時間を最小限に抑えて、アプリケーション レイヤで消費する時間を増やしたい場合は、アプリケーションのパフォーマンス、つまりアプリケーションの「スループット」を向上させるためのチューニングが必要になります。「アプリケーションのスループットを向上させるチューニング」では、ガベージ コレクタのオーバーヘッドを最小限に抑えて、Java アプリケーションをできる限り速く動作させるチューニング方法を説明します。