Oracle Configuration Managerはクライアントの構成情報の収集と、この情報のOracleリポジトリへのアップロードに使用されます。クライアントの構成データが定期的にアップロードされると、カスタマ・サポートでこのデータを分析でき、顧客に対するよりよいサービスにつながります。たとえば、顧客がサービス・リクエストを登録する際、このサービス・リクエストに構成データを直接関連付けることができます。カスタマ・サポートでは、顧客に関連付けられているシステムのリストを表示し、適宜問題を解決します。
Oracle Configuration Managerを使用する利点は次のとおりです。
サポートの問題を解決する時間の短縮
問題を回避するための事前の対策の提供
ベスト・プラクティスおよびOracleナレッジ・ベースへのアクセスの改善
顧客のビジネス・ニーズの理解の向上および一貫したレスポンスとサービスの提供
この項では、このリリースでの新機能をリストします。
共有OracleホームでのOracle Configuration Managerの実行: Oracle Configuration Managerで共有Oracleホームがサポートされるようになりました。共有Oracleホームは、複数のホストまたは1つのホスト上の複数インスタンスで使用およびアクセスできるOracle製品のインストールです。共有Oracleホームの機能は、Oracle Configuration Managerの新規インストールに対してのみ使用可能です。既存のインストールでこの機能を利用するには、既存のバージョンのOracle Configuration Managerをアンインストールし、Oracle Configuration Managerを新たにインストールします。詳細は、1.4項「共有Oracleホームについて」を参照してください。
rootユーザーとしてのコマンドの実行: Oracleホームの所有者以外もOracle Configuration Managerのコマンドを実行できるようになりました。rootユーザーがemCCRコマンドのサブセットを実行できるようになりました。これらのコマンドは、接続モードでも非接続モードでも実行できます。詳細は、第5章「Oracle Configuration Managerクライアントの管理」を参照してください。
Oracle Configuration Managerは2つのモードでインストールできます。
接続モード: サーバーがインターネットに直接接続している場合またはプロキシ・サーバーを介して接続している場合はこのモードをお薦めします。このモードでは、自動的に構成データが収集され、Oracleサーバーにアップロードされます。Oracle Configuration Managerの更新は自動的に行われます。
非接続モード: サーバーがインターネットに接続していない場合、このモードが必須です。このモードでは、emCCR collectコマンドを使用して構成データを手動で収集します。このコマンドを実行すると、収集された構成データはOCM_CONFIG_HOME/state/upload/
ocmconfig
.jar
ファイルに格納されます。その後、このファイルをOracleサーバーにアップロードできます。
詳細は、5.3項「emCCR collect」を参照してください。このモードでサポートされるコマンドは、emCCR collect
、emCCR status
、emCCR enable_target
、emCCR
disable_target
、emCCR update_components
、configCCR
およびemCCR help
のみです。
configCCRコマンドを使用して、接続モードと非接続モードを切り替えることができます。詳細は、5.20項「configCCR」を参照してください。
共有Oracleホームは、共通の実行可能ファイルが1つのディレクトリに格納され、インスタンス固有の情報が別々に格納されているインストールです。共有Oracleホームには、次の2種類があります。
複数ホスト上の1つのインスタンス。このインストールでは、NFSなどの共有ファイル・システムを利用します。
1つのホスト上の複数インスタンス。
共有Oracleホームを使用することで、Oracle Configuration Managerの実行可能ファイルが占める領域を最小限にします。
重要: 既存のバージョンのOracle Configuration Managerからアップグレードする場合、この新機能は利用できません。この機能は、Oracle Configuration Managerリリース10.2.7の新規インストールでのみ使用可能です。この機能を使用するには、Oracle Configuration Managerの現在のインストールをアンインストールし、Oracle Configuration Managerリリース10.2.7を再インストールします。 |
構成が複数ホスト上の1つのインスタンスである場合、Oracle Configuration ManagerはOCM_INSTALL_ROOTディレクトリにインストールされます(図1-2を参照してください)。共通ファイルとディレクトリのセット(共有ホーム)およびインスタンス固有のディレクトリ(log、state、config)があります。
インスタンス固有のデータを格納するディレクトリは、ホストごとにOCM_INSTALL_ROOT/ccr/hostに作成されます。
インストールおよび構成の後、Oracle Configuration ManagerでOCM_INSTALL_ROOTディレクトリおよびインストールされているホストに対する構成データを収集できます。
構成データの収集およびアップロード以外に、Oracle Configuration Managerのソフトウェア更新の有無もOracle Configuration Managerで確認されます。更新がある場合、Oracle Configuration Managerで更新がダウンロードされ、OCM_INSTALL_ROOTディレクトリにインストールされているOracle Configuration Managerソフトウェアが更新されます。
共有Oracleホームでは、マスター・ホストのネットワーク・ファイル・システムにソフトウェア・バイナリをインストールするのが一般的です。これらのファイルが読取り専用アクセスでロックされてエクスポートされ、ホスト間で共有されます。すべてのホストでソフトウェアにアクセスする際、このネットワーク・リソースが参照されます。
この種の共有Oracleホームは、Oracle Configuration Managerリリース10.2.7でサポートされます。ただし、バイナリ・ディレクトリが読取り専用であるため、Oracle Configuration Managerの自動更新機能を無効にする必要があります。以降の更新は手動で行う必要があります。すべての必須更新が適用されるまで、構成の収集は行われません。
バイナリ・ディレクトリの設定手順
マスターとするシステムで、次の手順を一度実行します。
ネットワーク・ファイル・システムを備えたホストの書込みアクセス可能なディレクトリにOracle Configuration Managerをインストールします。簡単に行うには、ソフトウェアのインストールを非接続モード(setupCCR -s -d
など)で行います。
すべてのホストに対して自動更新機能を無効にするには、次のプロパティをOCM_INSTALL_ROOT/ccr/config/collector.propertiesファイルに追加します。
ccr.autoupdate=false
OCM_INSTALL_ROOT/ccr/bin/configCCR –r
コマンドを使用してマスター・ホストの構成を削除します。
この場所を読取り専用でマウントします。
ホストの構成手順
Oracle Configuration Managerを使用して構成データを収集する各ホストで、次のようにします。
ホストでNFSファイル・システムをマウントします。
ホスト固有のOracle Configuration Managerファイルが格納されるディレクトリを特定します。
ORACLE_CONFIG_HOME変数を、この前のステップで特定したディレクトリに設定します。
OCM_INSTALL_ROOT/ccr/bin/configCCR -a
コマンドを実行します。
更新の適用手順
Oracle Configuration Managerの更新がある場合、手動で適用する必要があります。これは、次のように行います。
マスター・ホストからの書込みアクセスを有効にします。
OCM_INSTALL_ROOT/ccr/bin/emCCR getupdates
コマンドを実行します。
読取り専用アクセス用にファイル・システムを再マウントします。
共有Oracleホームを1つのホスト上に置き、共通ファイル用のディレクトリとインスタンス固有のデータ用の個別のディレクトリで構成できます。ORACLE_CONFIG_HOME変数は、インスタンス固有のデータの場所に設定されます。この環境では、Oracle Configuration Managerは、共通ファイルが置かれるメイン・ディレクトリ(OCM_INSTALL_ROOTディレクトリ)にインストールされます。
Oracle Configuration Managerを使用するよう構成されるインスタンスごとに、ccrディレクトリがORACLE_CONFIG_HOMEに作成され、Oracle Configuration Managerインスタンス固有の情報が格納されます。インスタンスごとに、構成データ、ログ・データおよび収集されたデータのセットがあります。図1-3を参照してください。
インストールおよび構成の後、Oracle Configuration Managerで共有Oracleホームに対する構成データを収集できます。
構成データの収集およびアップロード以外に、Oracle Configuration Managerのソフトウェア更新の有無もOracle Configuration Managerで確認されます。更新がある場合、Oracle Configuration Managerで更新がダウンロードされ、顧客のシステムにインストールされているOracle Configuration Managerソフトウェアが更新されます。