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Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド
10g リリース2(10.2) for AIX Based Systems

B25017-03
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2 インストール前の作業

この章では、Oracle Universal Installerを起動する前に完了する必要がある、システムの構成作業について説明します。この章で説明する作業は、次のとおりです。

クラスタ検証ユーティリティの理解と使用方法

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)は、システムの検証を実行するツールです。このマニュアルでは、ご使用のシステムがOracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersをインストールするために適切に構成されているかを確認するのに役に立つCVUコマンドについて説明します。

この項の内容は次のとおりです。

クラスタ検証ユーティリティ・コマンドの入力


注意:

実行するruncluvfy.shのパス・コマンドを使用して、unzipユーティリティをインストールおよび構成する必要があります。 


データベースをインストールする前にCVUコマンドを入力するには、ディレクトリを変更して、次の構文を使用してCVUを起動します。

$ /mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/
$ ./runcluvfy.sh options

前述の構文例のmountpoint変数はインストール・メディアのマウント・ポイント・パスで、options変数はユーザーが選択するCVUコマンド・オプションです。次に例を示します。

$ /dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/
$ ./runcluvfy.sh comp nodereach -n node1,node2 -verbose

デフォルトでは、CVUコマンドを入力すると、テストのサマリーが出力されます。インストール前の手順では、CVUコマンドに-verbose引数を使用して詳細を出力することをお薦めします。-verbose引数を使用すると、個々の検証結果の詳細が出力されます。可能な場合は、各ノードの結果が表形式で表示されます。

CVUを使用したインストールの前提条件の完了確認

CVUを使用すると、インストールのためのシステム前提条件で、すでに完了しているものを確認できます。既存のOracleソフトウェアがインストールされているシステムにOracle 10g リリース2(10.2)をインストールする場合は、このオプションを使用します。このオプションを使用する場合は、次の点に注意してください。

次の構文を使用して、完了しているインストール前の手順と、実行する必要があるインストール前の手順を確認します。

/$ runcluvfy.sh stage -pre crsinst -n node_list 

前述の構文例のmountpoint変数はインストール・メディアのマウント・ポイント、node_list変数はクラスタ内のノード名(カンマで区切る)です。

たとえば、クラスタが、マウント・ポイント/dev/dvdrom/と、node1、node2およびnode3で構成されている場合は、次のコマンドを入力します。

$ cd /dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/
$ ./runcluvfy.sh stage -pre crsinst -n node1,node2,node3

CVUレポートを確認し、必要に応じて、インストール前の追加の手順を実行します。

クラスタ検証ユーティリティのヘルプの使用

cluvfyコマンドのヘルプは状況依存のヘルプで、入力したコマンドラインの引数に応じて正しい構文の使用方法を示します。

無効なCVUコマンドを入力すると、CVUによって、コマンドの正しい使用方法が表示されます。たとえば、runcluvfy.sh stage -pre dbinstと入力すると、dbinstステージ・オプションを使用して、データベースのインストール前検証を実行するための正しい構文が表示されます。状況依存ヘルプのコマンドは、次のとおりです。

Oracle 10g リリース1(10.1)でのクラスタ検証ユーティリティの使用

Oracle 10g リリース2(10.2)インストール・メディアのCVUを使用して、Oracle 10g リリース1(10.1)のインストールに必要なシステム要件を検証します。CVUを使用してリリース1(10.1)のインストールを検証するには、コマンド・フラグ-r 10gR1をCVUの標準のシステム検証コマンドに追加します。

たとえば、メディア・マウント・ポイントが/dev/dvdrom/、クラスタ・ノードがnode1、node2およびnode 3で構成されたシステムで、Cluster Ready Servicesのリリース1(10.1)のインストールに対する検証を実行するには、次のコマンドを実行します。

$ ./runcluvfy.sh stage -pre crsinst -n node1,node2,node3 -r 10gR1

詳細モードおよび「不明」出力

-verbose引数を使用してCVUを実行し、特定のノードに対するCVUコマンドの結果がUNKNOWNになる場合、その原因は、検証時に問題が検出されたかどうかをCVUで判断できないことにあります。結果が「不明」になる場合の、考えられる原因を次に示します。

rootによるシステムへのログイン

Oracleソフトウェアをインストールする前に、rootユーザーとして複数の作業を実行する必要があります。rootユーザーでログインするには、次の手順のいずれかを実行します。

必要なオペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成

システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合や、インストールする製品によっては、いくつかのオペレーティング・システム・グループと1つのオペレーティング・システム・ユーザー・アカウントを作成する必要があります。

Oracleデータベースをインストールするには、次のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーが必要です。

すべてのインストールに必要なオペレーティング・システム・グループおよびユーザーは、次のとおりです。

システムへのOracleソフトウェアのすべてのインストールには、単一のOracle Inventoryグループが必要です。システムへの2回目以降のOracleソフトウェアのインストールでは、Oracleソフトウェアを初めてインストールしたときと同じOracle Inventoryグループを使用する必要があります。ただし、個々の環境に対してそれぞれにOracleソフトウェア所有者ユーザー、OSDBAグループおよびOSOPERグループ(oracledbaおよびoper以外)を作成できます。環境ごとに異なるグループを使用すると、それぞれのグループのメンバーは、システムのすべてのデータベースではなく、関連するデータベースに対してのみDBA権限を持ちます。

参照:

OSDBAグループとOSOPERグループ、およびSYSDBA権限とSYSOPER権限の詳細は、『Oracle Database管理者リファレンスfor UNIX Systems』および『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 

次の項では、必要なオペレーティング・システム・ユーザーおよびグループを作成する方法について説明します。

Oracle Inventoryグループの作成

Oracle Universal Installer(OUI)を使用すると、Oracle Inventoryグループとして使用するグループの選択が簡単になります。既存のOracle Inventoryグループがある場合は、グループ名とパスを指定するように求められたときに、そのグループのものを指定します。

次の項では、Oracle Inventoryグループが存在する場合に、そのグループ名を確認する方法について説明します。また、必要に応じて、Oracle Inventoryグループを作成する方法についても説明します。

Oracle Inventoryの存在の確認

システムに初めてOracleソフトウェアをインストールする場合は、Oracle Universal InstallerによってoraInst.locファイルが作成されます。このファイルに、Oracle Inventoryグループのグループ名(通常、oinstall)およびOracle Inventoryディレクトリのパスが示されます。

既存のOracle Inventoryがある場合は、必ずすべてのOracleソフトウェア・インストールで同じOracle Inventoryインベントリを使用します。

既存のOracle Inventoryがない場合は、Oracle Inventoryグループを作成する必要があります。

システムにOracle Inventoryがあるかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

# more /etc/oraInst.loc

oraInst.locファイルが存在する場合、このコマンドの出力結果は、次のようになります。

inventory_loc=/u01/app/oracle/oraInventory
inst_group=oinstall

前述の出力例の意味は次のとおりです。

Oracle Inventoryが存在しない場合のOracle Inventoryグループの作成

oraInst.locファイルが存在しない場合は、次のコマンドを入力して、Oracle Inventoryグループを作成します。

# /bin/mkgroup oinstall

OSDBAグループの作成

次の場合は、OSDBAグループを作成する必要があります。

OSDBAグループが存在しない場合または新しいOSDBAグループが必要な場合は、次の手順で作成します。次の手順では、既存のグループですでに使用されていないかぎり、グループ名にはdbaを使用します。

# /bin/mkgroup dba

OSOPERグループの作成(任意)

OSOPERグループを作成する必要があるのは、制限付きのデータベース管理権限(SYSOPERオペレータ権限)を持つオペレーティング・システム・ユーザーのグループを指定する場合のみです。ほとんどの環境では、OSDBAグループを作成するのみで十分です。次の場合にOSOPERグループを使用するには、このグループを作成する必要があります。

新しいOSOPERグループが必要な場合は、次の手順で作成します。次の手順では、既存のグループですでに使用されていないかぎり、グループ名にはoperを使用します。

# /bin/mkgroup oper

HAGSUSERグループの作成(任意)

システムでHigh Availability Cluster Multiprocessing(HACMP)クラスタウェアを使用している場合は、hagsuserグループを作成するか、またはその存在を確認します。oracleユーザーおよびrootユーザーがこのグループのメンバーであることを確認します。

新しいHAGSUSERグループが必要な場合は、次の手順で作成します。

# /bin/mkgroup hagsuser

Oracleソフトウェア所有者ユーザーの作成

次の場合は、Oracleソフトウェア所有者ユーザーを作成する必要があります。

Oracleソフトウェア所有者ユーザーの存在の確認

oracleというOracleソフトウェア所有者ユーザーが存在するかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

# id oracle

oracleユーザーが存在する場合、このコマンドの出力結果は、次のようになります。

uid=440(oracle) gid=200(oinstall) groups=201(dba),202(oper)

ユーザーが存在する場合は、既存ユーザーを使用するか、別のoracleユーザーを作成するかを決定します。既存ユーザーを使用する場合は、ユーザーのプライマリ・グループがOracle Inventoryグループであり、そのグループが適切なOSDBAおよびOSOPERグループのメンバーであることを確認します。詳細は、次のいずれかの項を参照してください。


注意:

既存ユーザーを使用および変更する前に、必要に応じてシステム管理者に連絡してください。 


Oracleソフトウェア所有者ユーザーの作成

Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在しない、または新しいOracleソフトウェア所有者ユーザーが必要な場合は、次の手順で作成します。次の手順では、既存のユーザーですでに使用されていないかぎり、ユーザー名にはoracleを使用します。

  1. 次のコマンドを入力します。

    # smit security
    
    
  2. 適切なメニュー項目を選択し、次の情報を指定してoracleユーザーを作成します。

  3. [F10]を押して終了します。

  4. oracleユーザーのパスワードを設定します。

    # passwd oracle
    
    

既存のOracleソフトウェア所有者ユーザーの変更

oracleユーザーは存在するが、プライマリ・グループがoinstallではない場合、またはユーザーが適切なOSDBAまたはOSOPERグループのメンバーではない場合は、次の手順を実行して、oracleユーザーを変更し、グループに追加します。

  1. 次のコマンドを入力します。

    # smit security
    
    
  2. 適切なメニュー項目を選択して、oracleユーザーを変更します。

  3. 「Primary GROUP」フィールドに、Oracle Inventoryグループを指定します。たとえば、oinstallです。

  4. 「Group SET」フィールドに、必須のセカンダリ・グループを指定します。たとえば、dbaoperです。

  5. [F10]を押して終了します。

  6. 他のすべてのクラスタ・ノードでこの手順を繰り返します。

nobodyユーザーが存在するかどうかの確認

ソフトウェアをインストールする前に、次の手順に従って、nobodyユーザーがシステムに存在することを確認します。

  1. 次のコマンドを入力して、nobodyユーザーが存在するかどうかを確認します。

    # id nobody
    
    

    このコマンドの出力結果にnobodyユーザーの情報が表示された場合、このユーザーを作成する必要はありません。

  2. nobodyユーザーが存在しない場合は、次のコマンドを入力して作成します。

    # smit security
    
    

    適切なオプションを指定して、権限を付与されていないnobodyユーザーを作成し、[F10]を押して終了します。

    # /usr/sbin/useradd nobody
    
    
  3. 他のすべてのクラスタ・ノードでこの手順を繰り返します。

他のクラスタ・ノードでの同一ユーザーおよびグループの作成


注意:

次の手順は、ローカル・ユーザーおよびグループを使用している場合にのみ実行する必要があります。NISなどのディレクトリ・サービスで定義されたユーザーおよびグループを使用している場合、各クラスタ・ノードのユーザーおよびグループはすでに同一です。 


Oracleソフトウェア所有者ユーザー、Oracle Inventory、OSDBAグループおよびOSOPERグループは、すべてのクラスタ・ノードに存在し、また同一である必要があります。同一のユーザーおよびグループを作成するには、ユーザーおよびグループを作成したノードで割り当てられたユーザーIDおよびグループIDを確認してから、他のクラスタ・ノードで同じ名前とIDを持つユーザーおよびグループを作成する必要があります。

ユーザーIDおよびグループIDの確認

Oracleソフトウェア所有者ユーザーのユーザーID(UID)と、Oracle Inventoryグループ、OSDBAグループおよびOSOPERグループのグループID(GID)を確認するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力します。

    # id oracle
    
    

    このコマンドの出力結果は、次のようになります。

    uid=440(oracle) gid=200(oinstall) groups=201(dba),202(oper)
    
    
  2. 表示された情報から、oracleユーザーのユーザーID(UID)および所属するグループのグループID(GID)を特定します。

他のクラスタ・ノードでのユーザーおよびグループの作成

他のクラスタ・ノードでユーザーおよびグループを作成するには、各ノードで次の手順を繰り返します。

  1. 次のクラスタ・ノードへrootでログインします。

  2. 次のコマンドを入力します。

    # smit security
    
    
  3. 適切なメニュー項目を選択して、oinstalldbaグループ、および必要に応じてoperグループを作成または変更します。

    「Group NAME」および「Group ID」フィールドに、以前に指定したグループ名およびGIDを指定します。


    注意:

    このノードの特定のグループに同じグループIDが使用できない場合、すべてのノードで使用できるグループIDを特定して、そのIDをすべてのノードのグループに指定します。 


  4. 適切なメニュー項目を選択し、次の情報を指定してoracleユーザーを作成または変更します。

  5. [F10]を押して終了します。

  6. oracleユーザーのパスワードを設定します。

    # passwd oracle
    

すべてのクラスタ・ノードでのSSHの構成

Oracle Real Application Clustersをインストールして使用する前に、すべてのクラスタ・ノードでoracleユーザー用のセキュア・シェル(SSH)を構成する必要があります。Oracle Universal Installerは、インストール中にsshおよびscpコマンドを使用して、他のクラスタ・ノードに対してリモート・コマンドを実行し、そのクラスタ・ノードにファイルをコピーします。これらのコマンドを使用する際にパスワードを求めるプロンプトが表示されないように、SSHを構成する必要があります。


注意:

この項では、OpenSSHバージョン3の構成方法について説明します。SSHが使用できない場合、Oracle Universal Installerは、かわりにrshおよびrcpの使用を試みます。

次のコマンドを入力して、SSHが実行されているかどうかを確認します。

$ ps -ef | grep sshd

SSHが実行されている場合、このコマンドの結果はプロセスID番号になります。SSHの詳細を参照するには、次のコマンドを入力してください。

$ man ssh

また、Oracle Netコンフィギュレーション・アシスタント(NetCA)およびデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)では、scpおよびsshがパス/usr/local/binに配置されている必要があることに注意してください。scpおよびsshがこの場所にない場合は、scpおよびsshが検出される場所へのシンボリック・リンクを/usr/local/binに作成します。 


クラスタ・メンバー・ノードでのSSHの構成

SSHを構成するには、最初に各クラスタ・ノードにRSA鍵およびDSA鍵を作成してから、それらの鍵をすべてのクラスタ・ノード・メンバーから各ノードの認証鍵ファイルにコピーする必要があります。この作業の手順は、次のとおりです。

各ノードでのRSA鍵およびDSA鍵の作成:

各ノードに対し、次の手順を実行します。

  1. oracleユーザーでログインします。

  2. 必要に応じて、oracleユーザーのホーム・ディレクトリに.sshディレクトリを作成して適切な権限を設定します。

    $ mkdir ~/.ssh
    $ chmod 700 ~/.ssh
    $ chmod 700 
    
    
  3. 次のコマンドを入力してバージョン2のSSHプロトコル用のRSA鍵を生成します。

    $ /usr/bin/ssh-keygen -t rsa
    
    

    プロンプトで、次の手順を実行します。

    • 鍵ファイルには、デフォルトの位置を使用します。

    • oracleユーザーのパスワードとは異なるパス・フレーズを入力して確認します。

    このコマンドによって、公開鍵が~/.ssh/id_rsa.pubファイルに、秘密鍵が~/.ssh/id_rsaファイルに書き込まれます。秘密鍵は、他のユーザーには配布しないでください。

  4. 次のコマンドを入力してバージョン2のSSHプロトコル用のDSA鍵を生成します。

    $ /usr/bin/ssh-keygen -t dsa
    
    

    プロンプトで、次の手順を実行します。

    • 鍵ファイルには、デフォルトの位置を使用します。

    • oracleユーザーのパスワードとは異なるパス・フレーズを入力して確認します。

    このコマンドによって、公開鍵が~/.ssh/id_dsa.pubファイルに、秘密鍵が~/.ssh/id_dsaファイルに書き込まれます。秘密鍵は、他のユーザーには配布しないでください。

認証鍵ファイルへの鍵の追加

次の手順を実行します。

  1. ローカル・ノードで、認証鍵ファイル(~/.ssh/authorized_keys)が存在するかどうかを確認します。認証鍵ファイルがすでに存在する場合は、手順2に進みます。存在しない場合は、次のコマンドを入力します。

    $ touch ~/.ssh/authorized_keys
    $ cd ~/.ssh
    $ ls
    
    

    作成されたid_dsa.pub 鍵およびid_rsa.pub鍵が表示されます。

  2. SSHを使用して、~/.ssh/id_rsa.pubおよび~/.ssh/id_dsa.pubファイルの内容を~/.ssh/authorized_keysファイルにコピーし、Oracleユーザー・パスワードを指定するように求められたら指定します。次の構文例に示すこの手順では、node1およびnode2の2ノードのクラスタを使用し、Oracleユーザーのパスは/home/oracleです。

    [oracle@node1 .ssh]$ ssh node1 cat /home/oracle/.ssh/id_rsa.pub >> authorized_keys
    oracle@node1's password:
    [oracle@node1 .ssh]$ ssh node1 cat /home/oracle/.ssh/id_dsa.pub >> authorized_keys
    [oracle@node1 .ssh$ ssh node2 cat /home/oracle/.ssh/id_rsa.pub >> authorized_keys
    oracle@node2's password:
    [oracle@node1 .ssh$ ssh node2 cat /home/oracle/.ssh/id_dsa.pub >>authorized_keys
    oracle@node2's password:
    


    注意:

    クラスタ内の各ノードに対して、この手順を繰り返します。 


  3. SCP(セキュア・コピー)またはSFTP(セキュアFTP)を使用して、authorized_keysファイルをリモート・ノードのOracleユーザーの.sshディレクトリにコピーします。次の例では、node2と呼ばれるノードに対してSCPを使用します。Oracleユーザーのパスは/home/oracleです。

    [oracle@node1 .ssh]scp authorized_keys node2:/home/oracle/.ssh/
    
    
  4. 各クラスタ・ノード・メンバーに対して手順2および3を繰り返します。クラスタ・ノード・メンバーにする最後のノードのauthorized_keysファイルに各クラスタ・ノード・メンバーから鍵を追加した後、SCPを使用して、完成されたauthorized_keysファイルを各クラスタ・ノード・メンバーに再度コピーします。


    注意:

    各ノードのOracleユーザーの/.ssh/authorized_keysファイルには、すべてのクラスタ・ノードで生成した/.ssh/id_rsa.pubおよび/.ssh/id_dsa.pubファイルのすべての内容が含まれている必要があります。 


  5. すべてのクラスタ・ノードのOracleユーザーの/.ssh/authorized_keysファイルに対する権限を変更します。

    $ chmod 600 ~/.ssh/authorized_keys
    
    

    この時点では、sshを使用して、他のノードにログインまたは他のノードでコマンドを実行する場合、DSA鍵の作成時に指定したパス・フレーズの入力を求めるプロンプトが表示されます。

クラスタ・メンバー・ノードでのSSHユーザー等価関係の有効化

パス・フレーズを求めるプロンプトが表示されることなくsshおよびscpコマンドをOracle Universal Installerで使用できるようにするには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Universal Installerを実行するシステムにoracleユーザーとしてログインします。

  2. 次のコマンドを入力します。

    $ exec /usr/bin/ssh-agent $SHELL
    $ /usr/bin/ssh-add
    
    
  3. プロンプトで、生成した各鍵に対するパス・フレーズを入力します。

    SSHが適切に構成されていれば、パスワードまたはパス・フレーズを求めるプロンプトは表示されることなくsshscpコマンドを使用できます。

  4. リモート端末で作業を行っていて、そのローカル・ノードのみが表示されている場合(通常は、この状態になります)、次の構文を使用して、環境変数DISPLAYを設定します。

    Bourne、KornおよびBashシェル:

    $ export DISPLAY=hostname:0
    
    

    Cシェル:

    $ setenv DISPLAY 0
    
    

    たとえば、Bashシェルを使用していて、ホスト名がnode1の場合は、次のコマンドを入力します。

    $ export DISPLAY=node1:0
    
    
  5. SSH構成をテストするには、同じ端末セッションから次のコマンドを入力して、各クラスタ・ノードの構成をテストします。nodename1nodename2などは、クラスタ内のノード名です。

    $ ssh nodename1 date
    $ ssh nodename2 date
        .
        .
        .
    
    

    これらのコマンドによって、各ノードに設定された日付が表示されます。

    パスワードまたはパス・フレーズを求めるノードがある場合、そのノードの~/.ssh/authorized_keysファイルに適切な公開鍵が含まれているかを確認します。

    リモート・クライアントを使用してローカル・ノードに接続しているときに、xauthデータがなく、X11転送に偽の認証データを使用することを示す警告メッセージが表示された場合は、認証鍵ファイルは適切に構成されているが、ssh構成でX11転送が有効になっていることを示しています。これを解決するには、手順6に進みます。


    注意:

    特定のシステムからのノードの接続に初めてSSHを使用した場合、次のようなメッセージが表示されることがあります。

    The authenticity of host 'node1 (140.87.152.153)' can't be established.
    RSA key fingerprint is 7z:ez:e7:f6:f4:f2:4f:8f:9z:79:85:62:20:90:92:z9.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?

    プロンプトでyesを入力して、次に進みます。再度、このシステムからこのノードに接続したときには、このメッセージは表示されなくなります。

    日付以外のメッセージまたはテキストが表示された場合は、インストールが失敗する可能性があります。これらのコマンドを入力したときに日付のみが表示されるように、必要な変更を行います。

    ログイン・スクリプト内の出力を生成する部分または入力を求める部分は、シェルが対話型の場合にのみ実行されるように記述する必要があります。 


  6. X11転送によってインストールが失敗しないように、次の手順に従って、Oracleソフトウェア所有者ユーザー用にユーザー・レベルのSSHクライアント構成ファイルを作成します。

    1. テキスト・エディタを使用して、~oracle/.ssh/configファイルを編集または作成します。

    2. ForwardX11属性がnoに設定されていることを確認します。次に例を示します。

      Host *
            ForwardX11 no
      
      
  7. Oracle Universal Installerは、このセッションから実行する必要があることに注意してください。別の端末セッションからインストーラを起動するには、手順2および手順3を繰り返す必要があります。

Oracle Clusterwareのインストール中にsttyコマンドによって発生するエラーの防止

Oracle Clusterwareのインストール中、Oracle Universal Installerは、SSH(使用可能な場合)を使用してコマンドを実行したり、他のノードにファイルをコピーします。システム上の隠しファイル(.bashrcや.cshrcなど)にsttyコマンドが含まれていると、インストール中にエラーが発生します。

この問題を防止するには、すべてのSTDERR出力が停止されるようにこれらのファイルを変更する必要があります。次に例を示します。

シェル制限、システム構成パラメータおよびネットワーク・チューニング・パラメータの構成

AIX Systemsでは、カーネル・パラメータを構成する必要はありません。ただし、この項で説明するように、シェル制限、システム構成パラメータおよびネットワーク・チューニング・パラメータを設定することをお薦めします。この構成作業は、すべてのクラスタ・ノードで実行します。


注意:

この項には、パラメータおよびシェル制限の推奨値のみを示します。本番データベース・システムでは、これらの値を調整してシステムのパフォーマンスを最適化することをお薦めします。カーネル・パラメータの調整については、ご使用のオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。 


シェル制限の構成

次の表に示すシェル制限が、表に示されている値に設定されていることを確認します。表の後に、値を確認して設定する手順を示します。

シェル制限(smitで示される)  推奨値 

ソフト・ファイル・サイズ 

-1(制限なし) 

ソフトCPUタイム 

-1(制限なし)

注意: これは、デフォルト値です。 

ソフト・データ・セグメント 

-1(制限なし) 

ソフト・スタック・サイズ 

-1(制限なし) 

これらのシェル制限に指定されている現行の値を表示し、必要に応じて変更するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力します。

    # smit chuser
    
    
  2. 「User NAME」フィールドに、Oracleソフトウェア所有者のユーザー名を入力します。たとえば、oracleなどです。

  3. リストをスクロール・ダウンして、前述の表に示されているソフト制限用の値が-1であることを確認します。

    必要に応じて、既存の値を編集します。

  4. 変更が完了したら、[F10]を押して終了します。

システム構成パラメータの構成

各ユーザーに許可されているプロセスの最大数が2048以上であることを確認します。


注意:

本番システムの場合、この値は、システムで実行している各データベースのPROCESSESおよびPARALLEL_MAX_SERVERS初期化パラメータの合計に128を加算した値以上である必要があります。 


  1. 次のコマンドを入力します。

    # smit chgsys
    
    
  2. 「Maximum number of PROCESSES allowed for each user」に表示される値が2048以上であることを確認します。

    必要に応じて、既存の値を編集します。

  3. 変更が完了したら、[F10]を押して終了します。

ネットワーク・チューニング・パラメータの構成

次の表に示すネットワーク・チューニング・パラメータが、表に示されている値以上に設定されていることを確認します。表の後に、値を確認して設定する手順を示します。

ネットワーク・チューニング・パラメータ  推奨値 

ipqmaxlen 

512 

rfc1323 

sb_max 

2×655360 

tcp_recvspace 

65536 

tcp_sendspace 

65536 

udp_recvspace 

655360

注意: このパラメータの推奨値は、udp_sendspaceパラメータの値の10倍です。これは、sb_maxパラメータの値より小さい値である必要があります。 

udp_sendspace 

65536

注意: この値は、デフォルトのデータベース・インストールに適しています。本番データベースの場合、このパラメータの最小値は、データベースのDB_BLOCK_SIZE初期化パラメータの値をDB_MULTIBLOCK_READ_COUNT初期化パラメータの値で乗算したものに4 KBを加算した値です。

DB_BLOCK_SIZE×DB_MULTIBLOCK_READ_COUNT)+ 4 KB 

これらのパラメータに指定されている現行の値を表示し、必要に応じて変更するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、ネットワーク・チューニング・パラメータの現行の値を確認します。

    # /usr/sbin/no -a | more
    
    
  2. パラメータの値を変更する必要がある場合は、次のコマンドを入力し、システムが互換性モードで実行されているかどうかを確認ます。

    # /usr/sbin/lsattr -E -l sys0 -a pre520tune
    
    

    システムが互換性モードで実行されている場合、出力は次のようになり、pre520tune属性の値がenableであることが示されます。

    pre520tune enable Pre-520 tuning compatibility mode True
    
    
  3. システムが互換性モードで実行されている場合は、次の手順に従って、パラメータの値を変更します。

    1. 次のコマンドを入力して、各パラメータの値を変更します。

      # /usr/sbin/no -o parameter_name=value
      
      

      次に例を示します。

      # /usr/sbin/no -o udp_recvspace=655360
      
      
    2. 前述の手順で変更した各パラメータの/etc/rc.netファイルに、次のエントリを追加します。

      if [ -f /usr/sbin/no ] ; then
         /usr/sbin/no -o udp_sendspace=65536
         /usr/sbin/no -o udp_recvspace=655360
         /usr/sbin/no -o tcp_sendspace=65536
         /usr/sbin/no -o tcp_recvspace=65536
         /usr/sbin/no -o rfc1323=1
         /usr/sbin/no -o sb_max=2*655360
         /usr/sbin/no -o ipqmaxlen=512
      fi
      
      

      これらの行を/etc/rc.netファイルに追加すると、システムの再起動時に値が保持されます。

  4. システムが互換性モードで実行されていない場合は、次のコマンドを入力して、パラメータの値を変更します。

    これらのコマンドによって/etc/tunables/nextbootファイルが変更され、システムの再起動時に属性の値が保持されるようになります。

oracleユーザーの環境の構成

Oracle Universal Installerは、oracleアカウントから実行します。ただし、Oracle Universal Installerを起動する前に、oracleユーザーの環境を構成する必要があります。

環境を構成するには、次の設定を行う必要があります。

また、PATH変数には、/usr/X11R6/binの前に$ORACLE_HOME/binが含まれていることを確認する必要もあります。

oracleユーザーの環境を設定するには、次の手順を実行します。

  1. X端末(xterm)などの端末セッションを新規に開始します。

  2. 次のコマンドを入力して、このシステムでX Windowアプリケーションが表示可能であることを確認します。

    $ xhost + hostname
    
    

    hostnameは、ローカル・ホストの名前です。

  3. ソフトウェアをインストールするシステムにまだログインしていない場合は、oracleユーザーでそのシステムにログインします。

  4. oracleユーザーでログインしていない場合は、ユーザーをoracleに切り替えます。

    $ su - oracle
    
    
  5. 次のコマンドを入力して、oracleユーザーのデフォルトのシェルを確認します。

    $ echo $SHELL
    
    
  6. テキスト・エディタでoracleユーザーのシェル起動ファイルを開きます。

    • Bourneシェル(sh)、Bashシェル(bash)またはKornシェル(ksh):

      % vi .bash_profile
      
      
    • Cシェル(cshまたはtcsh

      % vi .login
      
      
  7. 次のように行を入力または編集して、デフォルトのファイル・モード作成マスクの値に022を指定します。

    umask 022
    
    
  8. 環境変数ORACLE_SIDORACLE_HOMEまたはORACLE_BASEがファイルに設定されている場合は、そのファイルから該当する行を削除します。

  9. ファイルを保存して、テキスト・エディタを終了します。

  10. シェル起動スクリプトを実行するには、次のいずれかのコマンドを入力します。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ . ./.profile
      
      
    • Cシェル:

      % source ./.login
      
      
  11. ローカル・システムにソフトウェアをインストールしていない場合は、次のコマンドを入力してXアプリケーションをローカル・システムに表示します。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ DISPLAY=local_host:0.0 ; export DISPLAY
      
      
    • Cシェル:

      % setenv DISPLAY local_host:0.0
      
      

    この例で、local_hostは、Oracle Universal Installerを表示するために使用するシステム(ご使用のワークステーションまたはPC)のホスト名またはIPアドレスです。

  12. /tmpディレクトリの空きディスク領域が400MB未満である場合は、空き領域が400MB以上のファイル・システムを選択し、環境変数TEMPおよびTMPDIRを設定してこのファイル・システムの一時ディレクトリを指定します。


    注意:

    RACのインストールでは、一時ファイル・ディレクトリ(通常、/tmp)の場所として、共有ファイル・システムは使用できません。共有ファイル・システムに/tmpを配置すると、インストールは失敗します。 


    1. df -kコマンドを使用して、十分な空き領域を持つ適切なファイル・システムを選択します。

    2. 必要に応じて、次のコマンドを入力し、選択したファイル・システムに一時ディレクトリを作成して、そのディレクトリに適切な権限を設定します。

      $ su - root
      # mkdir /mount_point/tmp
      # chmod 775 /mount_point/tmp
      # exit
      
      
    3. 次のコマンドを入力して、環境変数TEMPおよびTMPDIRを設定します。

      • Bourne、BashまたはKornシェル:

        $ TEMP=/mount_point/tmp
        $ TMPDIR=/mount_point/tmp
        $ export TEMP TMPDIR
        
        
      • Cシェル:

        % setenv TEMP /mount_point/tmp
        % setenv TMPDIR /mount_point/tmp
        
        

ハードウェア要件の確認

各システムは、次の最小ハードウェア要件を満たしている必要があります。

システムが各要件を満たしていることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、物理RAMのサイズを確認します。

    # /usr/sbin/lsattr -E -l sys0 -a realmem
    
    

    システムに搭載されている物理RAMのサイズが要件のサイズより少ない場合、次の手順に進む前にメモリーを増設する必要があります。

  2. 次のコマンドを入力して、構成されたスワップ領域のサイズを確認します。

    # /usr/sbin/lsps -a
    
    

    追加のスワップ領域を構成する(必要な場合)方法については、ご使用のオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。

  3. 次のコマンドを入力して、/tmpディレクトリで使用できるディスク領域の大きさを確認します。

    # df -k /tmp
    
    

    /tmpディレクトリで使用できるディスク領域が400MB未満の場合、次のいずれかの手順を完了します。

    • 必要なディスク領域を確保するために、/tmpディレクトリから不要なファイルを削除します。

    • oracleユーザーの環境設定(後述)の際に、環境変数TEMPおよびTMPDIRを設定します。

    • /tmpディレクトリを含むファイル・システムを拡張します。ファイル・システムの拡張については、必要に応じてシステム管理者に連絡してください。

  4. 次のコマンドを入力して、システムの空きディスク領域の大きさを確認します。

    # df -k
    
    

    次の表に、各インストール・タイプのソフトウェア・ファイルの概算のディスク領域要件を示します。

    インストール・タイプ  ソフトウェア・ファイルの要件(GB) 

    Enterprise Edition 

    4GB 

    Standard Edition 

    4GB 

    カスタム(最大) 

    4GB 

  5. 次のコマンドを入力して、システムのアーキテクチャでソフトウェアを実行できるかどうかを確認します。

    # /usr/bin/getconf HARDWARE_BITMODE
    
    


    注意:

    このコマンドでは64が出力されます。この値が出力されない場合、このシステムにはソフトウェアをインストールできません。 


ネットワーク要件の確認

Oracle Real Application Clusters環境に必要なネットワーク・ハードウェアおよびインターネット・プロトコル(IP)・アドレスがあるかを確認します。


注意:

RAC環境でサポートされるネットワーク・プロトコルおよびハードウェアの最新情報は、次のOracleMetaLink Webサイトの「Certify」ページを参照してください。

http://metalink.oracle.com
 

ネットワーク・ハードウェア要件

クラスタ内の各ノードは、次の要件を満たしている必要があります。

IPアドレス要件

インストールを開始する前に、各ノードで使用可能な次のIPアドレスを準備しておく必要があります。

たとえば、各ノードに1つのパブリック・インタフェースと1つのプライベート・インタフェースがある2ノードのクラスタの場合、ネットワーク・インタフェースとして、次の表に示す構成が考えられます。ここでは、ホスト・ファイルは/etc/hostsです。

ノード  インタフェース名  種類  IPアドレス  登録先 

rac1 

rac1 

パブリック 

143.46.43.100 

DNS(これが使用できない場合はホスト・ファイル) 

rac1 

rac1-vip 

仮想 

143.46.43.104 

DNS(これが使用できない場合はホスト・ファイル) 

rac1 

rac1-priv 

プライベート 

10.0.0.1 

ホスト・ファイル 

rac2 

rac2 

パブリック 

143.46.43.101 

DNS(これが使用できない場合はホスト・ファイル) 

rac2 

rac2-vip 

仮想 

143.46.43.105 

DNS(これが使用できない場合はホスト・ファイル) 

rac2 

rac2-priv 

プライベート 

10.0.0.2 

ホスト・ファイル 

VIPのフェイルオーバーを有効にするために、前述の表に示す構成では、同じサブネット(143.46.43)で両方のノードのパブリックおよびVIPアドレスを定義しています。ノードまたはインターコネクトに障害が発生すると、関連付けられているVIPが動作可能なインスタンスに割り当てられ、そのVIPを介して接続しているクライアントに、障害が迅速に通知されます。アプリケーションおよびクライアントが透過的アプリケーション・フェイルオーバー・オプションを使用して構成されている場合、そのクライアントは動作可能なインスタンスに再接続されます。

ノードの時刻要件

インストールを開始する前に、クラスタ内の各メンバー・ノードが、できるかぎり同じ日時に設定されていることを確認します。このためには、すべてのノードで同一Network Time Protocolサーバーを参照して、オペレーティング・システムのNetwork Time Protocol機能を使用することをお薦めします。

ネットワーク要件の設定

各ノードが要件を満たしていることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 必要に応じて、パブリックおよびプライベート・ネットワーク用のネットワーク・アダプタを設置し、パブリックまたはプライベートIPアドレスを使用してこれらを設定します。

  2. パブリック・ネットワーク・インタフェースのホスト名およびIPアドレスをDNSに登録します。

  3. 各ノードに対して、1つの仮想ホスト名および仮想IPアドレスをDNSに登録します。

  4. すべてのノードの/etc/hostsファイルに、すべてのノードの各プライベート・インタフェースについて、次のような行を追加します。ここには、プライベートIPアドレスおよび対応するプライベート・ホスト名を指定します。

    10.0.0.1     rac1-priv1
    
    
  5. すべてのネットワーク・アダプタについて、インタフェース名および対応するIPアドレスを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # /sbin/ifconfig
    
    

    出力結果から、パブリックまたはプライベート・ネットワーク・インタフェースとして指定する、すべてのネットワーク・アダプタのインタフェース名およびIPアドレスを確認します。


    注意:

    Oracle ClusterwareおよびRACをインストールする際に、この情報が必要になります。 


CVUを使用したネットワーク設定の検証

Oracleユーザーで次の構文を使用してコマンドを入力して、クラスタが構成されているすべてのノード間のノードの接続性を検証します。

/mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp nodecon -n node_list [-verbose]

前述の構文例のnode_list変数は、クラスタ内のノードのカンマ区切りリストです。このコマンドによって、各クラスタ・ノードで使用可能なすべてのネットワーク・インタフェースが検出され、検出されたネットワーク・インタフェースを介したすべてのノード間の接続性が検証されます。

-verboseオプションは、CVUによるシステム検証の進捗状況および検証結果の詳細を表示する場合に選択します。

たとえば、node1およびnode2で構成され、マウント・ポイントが/dev/dvdromの2ノードのクラスタでノードの接続性を検証して、CVUによる検証の進捗状況とサマリーを表示するには、次のコマンドを入力します。

/dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp nodecon -n node1,node2 -verbose


注意:

このコマンドを使用すると、VIPとしての使用に適しているノードで使用可能なすべてのインタフェースのリストと、すべてのノードに正常に接続されているプライベート・インターコネクトのリストを取得できます。 


ソフトウェア要件の確認

インストールする製品に応じて、次のソフトウェアがシステムにインストールされていることを確認してください。表の後に、これらの要件に対応しているかどうかを確認する手順を示します。


注意:

Oracle Universal Installerによって、ご使用のシステムが示された要件を満たしていることを確認する検証が実行されます。これらの検証で問題が検出されないように、Oracle Universal Installerを起動する前に要件を確認してください。 


項目  要件 

オペレーティング・システム 

次のオペレーティング・システム・バージョンおよびメンテナンス・レベルが必要です。

AIX 5Lバージョン5.2、メンテナンス・レベル04以上

AIX 5Lバージョン5.3、メンテナンス・レベル02以上 

オペレーティング・システムのファイル・セット 

次のオペレーティング・システムのファイル・セットが必要です。

bos.adt.base
bos.adt.lib
bos.adt.libm
bos.perf.libperfstat
bos.perf.perfstat
bos.perf.proctools
rsct.basic.rte
rsct.compat.clients.rte
xlC.aix50.rte 7.0.0.4
xlC.rte 7.0.0.1

前述の2つのxlCファイル・セットを入手する場合、IBM XL C/C++ Enterprise Edition V7.0コンパイラをインストールしていないOracle Database 10g リリース2のユーザーは、IBM XL C/C++ Enterprise Edition V7.0 for AIXランタイム環境コンポーネントをインストールする必要があります。すべてのランタイム環境ファイル・セットは、ライセンスを必要とせず、1つのパッケージとして次のWebサイトからダウンロードできます。

http://www-1.ibm.com/support/docview.wss?uid=swg24009788 

RAC 

High Availability Cluster Multi-Processing(HACMP)v5.2

注意: HACMPが必要となるのは、Oracle Clusterwareまたはデータベース・ファイル記憶域にRAW論理ボリュームを使用する場合のみです。ただし、これはすべてのインストールでサポートされます。

General Parallel File System(GPFS)v2.3.0.3以上

注意: GPFSが必要となるのは、Oracle Clusterwareまたはデータベース・ファイルにクラスタ・ファイル・システムを使用する場合のみです。 

ADA 

OC Systems PowerAda 5.3 

Oracle JDBC/OCIドライバ 

次の任意のIBM JDKバージョンがOracle JDBC/OCIドライバで使用できます。ただし、これらのドライバは、インストールには必要ありません。

  • JDK 1.4.2.1(64-bit)

  • JDK 1.4.2.2(32-bit)

  • JDK 1.3.1.16(32-bit)

注意: 今回のリリースでは、IBM JDK 1.4.2がインストールされます。 

Pro*FORTRAN 

IBM XL Fortran V9.1 for AIX 

PL/SQLのネイティブ・コンパイル、
Pro*C/C++、
Oracle Call Interface、
Oracle C++ Call Interface、
Oracle XML Developer's Kit (XDK)、
GNU Compiler Collection (GCC) 

  • May 2005 XL C/C++ Enterprise Edition V7.0 for AIX PTF(7.0.0.2):

    PTFは、次のリンクからダウンロードできます。

    http://www-1.ibm.com/support/docview.wss?uid=swg24009787

  • gcc 3.3.2

 

Pro*COBOL 

  • Micro Focus Cobol 4.0 SP1(64bit)

  • Micro Focus Cobol 4.0 SP1(32bit)

 

Oracle Messaging Gateway 

IBM WebSphere MQ V5.3、クライアントおよびサーバー:

mqm.Client.Bnd
mqm.Server.Bnd
 

JDK 

  • IBM JDK 1.4.2

 

システムがこれらの要件を満たしていることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、インストールされているAIXのバージョンを確認します。

    # oslevel -r
    
    

    オペレーティング・システムのバージョンがAIX 5.3未満の場合は、オペレーティング・システムをこのメンテナンス・レベル以上にアップグレードします。AIX 5Lバージョン5.3のメンテナンス・パッケージは、次のWebサイトから入手できます。

    http://www-912.ibm.com/eserver/support/fixes/

  2. 次のコマンドを入力して、必要なファイル・セットがインストールおよびコミットされているかどうかを確認します。

    # lslpp -l bos.adt.base bos.adt.lib bos.adt.libm bos.perf.perfstat \
     bos.perf.libperfstat bos.perf.proctools rsct.basic.rte
    
    

    ファイル・セットがインストールおよびコミットされていない場合は、インストールします。ファイル・セットのインストールについては、ご使用のオペレーティング・システムまたはソフトウェアのマニュアルを参照してください。

次のパッチがシステムにインストールされていることを確認します。表の後に、これらの要件を確認する手順を示します。


注意:

リストされているパッチのバージョンより新しいパッチがシステムにインストールされている場合があります。リストされているパッチがインストールされていない場合、リストされているパッチ・バージョンをインストールする前に、リストされているパッチを含む新しいパッチがインストールされているかどうかを確認します。 


インストール・タイプまたは製品  要件 

すべてのAIX 5L v5.2のインストール 

AIX 5L v5.2 ML 4用のAuthorized Problem Analysis Reports(APAR):

  • IY63133: ldata_balanceルーチンでCPUタイムの大半が使用される

  • IY63366: AIX520 ML-4において、dlsymが有効なシンボルに対してもNULLを戻す

  • IY64691: chvg -bが破損およびクラッシュを引き起こす可能性がある

  • IY64737: AIOがknotunlockでハングする可能性がある

  • IY65001: ストライプ化されたlvでmklvcopyがlvcbの更新に失敗する

  • IY64978: JFSで名前の変更とリンクの解除を同時に行った場合にデッドロックが発生する

 

すべてのAIX 5L v5.3のインストール 

AIX 5L v5.3 ML02用のAuthorized Problem Analysis Reports(APAR):

  • IY68989

 

PL/SQLのネイティブ・コンパイル、
Pro*C/C++、
Oracle Call Interface、
Oracle C++ Call Interface、
Oracle XML Developer's Kit (XDK)

AIX 5L v5.3およびv5.2 

May 2005 XL C/C++ Enterprise Edition V7.0 for AIX PTF(7.0.0.2):

  • IY65361: May 2005 XL C Enterprise Edition V7.0 for AIX PTF

  • IY65362: MAY 2005 XL C/C++ Enterprise Edition V7 for AIX

 

Oracle JDBC/OCIドライバ

AIX 5L v5.3およびv5.2 

注意: これらのAPARが必要となるのは、関連するJDKバージョンを使用する場合のみです。

JDK 1.4.2(64-bit)に必要なAPAR:

  • IY63533: JDK 1.4.2 64-bit SR1 caix64142-20040917

JDK 1.3.1.16(32-bit)に必要なAPAR:

  • IY58350: SDK 1.3.1 32-BIT SR7P : CA131IFX-20040721A

  • IY65305: JAVA142 32-BIT PTF : CA142IFX-20041203

 

Oracle Messaging Gateway 

WebSphere MQ用の修正サービス・ディスケット(CSD):

WebSphere MQ V5.3 FP 9用の場合はCSD03以上 

RAC

AIX 5L v5.3 

AIX 5L v5.3 ML 02でのHACMPバージョン5.2に必要なAPAR:

  • IY60759(efix): アプリケーションがHACMPクラスタ構成の読取りに失敗する

  • IY61034: HACMPによるDS4100ストレージ・サーバーのサポート

  • IY61770: HACMPによるDS4100ストレージ・サーバーのサポート

  • IY62191: HACMPによるDS4100ストレージ・サーバーのサポート

GPFS v2.3に必要なAPAR:

  • IY63969: GPFS v2.3 for AIXの必須サービス

  • IY69911: 破損したカーネルによってGPFSブロック境界をまたぐDirect I/Oが使用される

  • IY70276: ファイル・システムにまだ空きがあっても、GPFSが領域不足を戻す

  • IY70277: ファイル・システムが一杯でなくても、GPFSファイル・システムでのmkfileに対しenospcが表示される

  • IY74097(efix): メンバーの追加後にアーカイブ・ライブラリが破損する

 

RAC

AIX 5L v5.2 

AIX 5L v5.2 ML 04でのHACMPバージョン5.2に必要なAPAR:

  • IY60759(efix): アプリケーションがHACMPクラスタ構成の読取りに失敗する

GPFS v2.3に必要なAPAR:

  • IY63969: GPFS v2.3 for AIXの必須サービス

  • IY69911: 破損したカーネルによってGPFSブロック境界をまたぐDirect I/Oが使用される

  • IY70276: ファイル・システムにまだ空きがあっても、GPFSが領域不足を戻す

  • IY70277: ファイル・システムが一杯でなくても、GPFSファイル・システムでのmkfileに対しenospcが表示される

  • IY74097(efix): メンバーの追加後にアーカイブ・ライブラリが破損する

 

JDK 

AIX 5L v5.2

  • SDK 1.3.1.16(32-bit)用のIY58350パッチ

  • SDK 1.4.2.1(64-bit)用のIY63533パッチ

  • SDK 1.4.2.2(32-bit)用のIY65305パッチ

AIX 5L v5.3

  • SDK 1.3.1.16(32-bit)用のIY58350パッチ

  • SDK 1.4.2.1(64-bit)用のIY63533パッチ

  • SDK 1.4.2.2(32-bit)用のIY65305パッチ

 

システムがこれらの要件を満たしていることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、APARがインストールされているかどうかを確認します。

    # /usr/sbin/instfix -i -k "IY43980 IY44810 IY45462 IY45707 IY46214 IY46605 \ 
      IY48525 IY51801 IY56024"
    
    

    APARがインストールされていない場合は、次のWebサイトからダウンロードして、インストールします。

    http://www-03.ibm.com/servers/eserver/support/pseries/aixfixes.html
    
    
  2. 次のコマンドを入力して、PTFがインストールされているかどうかを確認します。

    # lslpp -l -B U489726 U485561 ...
    
    

    PTFがインストールされていない場合は、次のWebサイトからダウンロードして、インストールします。

    http://www-03.ibm.com/servers/eserver/support/pseries/aixfixes.html
    
    
  3. WebSphere MQ用のCSDが必要な場合は、ダウンロードおよびインストール情報について、次のWebサイトを参照してください。

    http://www-306.ibm.com/software/
    
    

rootpre.shスクリプトの実行


注意:

このシステムに、より新しいリリースのOracleデータベース・ソフトウェアをすでにインストールしている場合は、rootpre.shスクリプトを実行しないでください。 


rootpre.shスクリプトは、次の手順で実行します。

  1. ユーザーをrootに切り替えます。

    $ su - root
    
    
  2. インストールの場所に応じて、次の手順のいずれかを実行します。

    インストール・ファイルがディスクにある場合は、次のコマンドを入力します。directory_pathは、ディスク・マウント・ポイント・ディレクトリまたはDVDのデータベース・ディレクトリのパスです。

    # /directory_path/rootpre.sh
    
    

    インストール・ファイルがハード・ディスクにある場合は、ディレクトリをDisk1ディレクトリに変更し、次のコマンドを入力します。

    # ./rootpre.sh
    
    
  3. rootアカウントを終了します。

    # exit
    
    
  4. クラスタのすべてのノードで手順1〜3を繰り返します。


    注意:

    このシステムに、より新しいリリースのOracleデータベース・ソフトウェアをすでにインストールしている場合は、rootpre.shスクリプトを実行しないでください。 


CVUを使用したハードウェアおよびオペレーティング・システム設定の検証

oracleユーザーで次のコマンド構文を使用して、ハードウェアおよびオペレーティング・システム設定を確認するためのクラスタ検証ユーティリティ(CVU)のステージ検証を開始します。

/mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh stage -post hwos -n node_list [-verbose]

前述の構文例のnode_list変数は、クラスタ内のノードのカンマ区切りリストです。たとえば、node1およびnode2で構成され、マウント・ポイントが/dev/dvdrom/の2ノードのクラスタのハードウェアおよびオペレーティング・システムを、検証結果のみを出力するオプションを指定して検証するには、次のコマンドを入力します。

/dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh stage -post hwos -n node1,node2

-verboseオプションは、クラスタ検証ユーティリティによるシステム検証の進捗状況および検証結果の詳細を表示する場合に選択します。

CVUを使用したオペレーティング・システム要件の設定の検証

oracleユーザーで次のコマンド構文を使用し、インストール前の作業を行うためのオペレーティング・システム要件をシステムが満たしているかどうかを検証します。

/mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp sys -n node_list -p {crs|database} 
-osdba osdba_group -orainv orainv_group -verbose

前述の構文例の意味は次のとおりです。

-verboseオプションを選択すると、CVUによるシステム検証の進捗状況および検証結果の詳細を表示できます。

たとえば、node1およびnode2で構成され、OSDBAがdba、Oracle Inventoryグループがoinstall、メディア・マウント・ポイントが/dev/dvdrom/の2ノードのクラスタで、Oracle Clusterwareインストールに対してシステム検証を実行するには、次のコマンドを入力します。

/dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp sys -n node1,node2 -p crs -osdba crs 
-orainv oinstall

必要なソフトウェア・ディレクトリの選択

Oracleソフトウェアに対して、次のディレクトリを選択または作成する必要があります。

次の項では、これらのディレクトリの要件について説明します。

Oracleベース・ディレクトリ

Oracleベース・ディレクトリは、Oracleソフトウェア環境における最上位ディレクトリとして機能します。Optimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインに従って、Oracleベース・ディレクトリに次のようなパスを使用します。

/mount_point/app/oracle_sw_owner

この例の意味は、次のとおりです。

同じOracleベース・ディレクトリを複数の環境に使用したり、環境ごとに別のOracleベース・ディレクトリを作成することができます。複数のオペレーティング・システム・ユーザーが同じシステムにOracleソフトウェアをインストールする場合、各ユーザーは別々のOracleベース・ディレクトリを作成する必要があります。次の例のOracleベース・ディレクトリは、すべて同じシステムに作成できます。

/u01/app/oracle
/u01/app/orauser
/opt/oracle/app/oracle

次の項では、インストールに適切な既存のOracleベース・ディレクトリを選択する方法について説明します。また、必要に応じて、Oracleベース・ディレクトリを作成する方法についても説明します。

Oracleベース・ディレクトリを作成するか、既存のOracleベース・ディレクトリを使用するかにかかわらず、環境変数ORACLE_BASEに、Oracleベース・ディレクトリのフル・パスを指定する必要があります。


注意:

Oracleベース・ディレクトリは、ローカル・ファイル・システムまたはGPFSファイル・システムに配置できます。 


Oracle Inventoryディレクトリ

Oracle Inventoryディレクトリ(oraInventory)は、システムにインストールされているすべてのソフトウェアのインベントリを格納します。このディレクトリは、単一システムのすべてのOracleソフトウェア環境に必要で、共有されます。システムに初めてOracleソフトウェアをインストールする場合は、Oracle Universal Installerによって、このディレクトリのパスの指定を求めるプロンプトが表示されます。ローカル・ファイル・システムにソフトウェアをインストールしている場合、次のパスを選択することをお薦めします。

oracle_base/oraInventory

Oracleベース・ディレクトリがクラスタ・ファイル・システムまたはNASデバイス上の共有NFSファイル・システムに存在する場合は、ローカル・ファイル・システムにOracle Central Inventoryディレクトリ(各ノードに非公式にマウントされるため、各ノードには中央インベントリの別のコピーがあります)を指定する必要があります。

Oracle Central Inventoryに共有の位置を指定すると、各ノードは同じ中央インベントリに書き込もうとします。これは、サポートされていません。

Oracle Universal Installerによって、指定したディレクトリが作成され、そのディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限が設定されます。自分でこのディレクトリを作成する必要はありません。


注意:

Oracleベース・ディレクトリは、すべてのOracleソフトウェア環境の基礎となります。定期的にこのディレクトリをバックアップしてください。

システムからすべてのOracleソフトウェアを完全に削除した場合を除き、Oracleベース・ディレクトリは削除しないでください。 


Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリ

Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリは、Oracle Clusterwareのソフトウェアをインストールするディレクトリです。Oracle Clusterwareは個別のホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。Oracle Universal Installerを起動すると、このディレクトリのパスと識別名の指定を求めるプロンプトが表示されます。Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリには、次のようなパスを指定することをお薦めします。

/u01/app/oracle/product/crs


注意:

Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリのすべての親ディレクトリの権限を変更して、rootユーザーに対してのみ書込み権限を付与する必要があるため、Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリは、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリにはしないでください。 


Oracleホーム・ディレクトリ

Oracleホーム・ディレクトリは、特定のOracle製品のソフトウェアをインストールするディレクトリです。個々のOracle製品、または同じOracle製品でもリリースが異なる場合は、別々のOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。Oracle Universal Installerを起動すると、このディレクトリのパスと識別名の指定を求めるプロンプトが表示されます。ここで指定するディレクトリは、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリである必要があります。Oracleホーム・ディレクトリには、次のようなパスを指定することをお薦めします。

oracle_base/product/10.2.0/db_1

Oracle Universal Installerによって、Oracleベース・ディレクトリの下に、指定したディレクトリ・パスが作成されます。さらに、そのディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限が設定されます。自分でこのディレクトリを作成する必要はありません。

Oracleベース・ディレクトリの選択または作成

インストールを開始する前に、既存のOracleベース・ディレクトリを選択するか、または必要に応じてOracleベース・ディレクトリを作成します。この項の内容は次のとおりです。

既存のOracleベース・ディレクトリの選択

既存のOracleベース・ディレクトリが、OFAのガイドラインに準拠したパスを持たない場合があります。ただし、既存のOracle InventoryディレクトリやOracleホーム・ディレクトリを選択する場合に、通常、次の方法でOracleベース・ディレクトリを選択できます。

インストールに既存のOracleベース・ディレクトリを使用する前に、そのディレクトリが次の条件を満たしていることを確認します。

Oracleベース・ディレクトリがシステムに存在しない場合またはOracleベース・ディレクトリを作成する場合は、次の項を参照してください。

Oracleベース・ディレクトリの作成

Oracleベース・ディレクトリを作成する前に、適切なファイル・システムを選択する必要があります。Oracleベース・ディレクトリには、1.5GBの空きディスク領域が必要です。

適切なファイル・システムを選択するには、次の手順を実行します。

  1. df -kコマンドを使用して、マウントされた各ファイル・システムの空きディスク領域を確認します。

  2. 表示された情報から、適切な空き領域を持つファイル・システムを選択します。


    注意:

    Oracleベース・ディレクトリは、ローカル・ファイル・システムまたはGPFSファイル・システムに配置できます。 


    Oracleベース・ディレクトリのパスは、すべてのノードで同一である必要があります。

  3. 選択したファイル・システムに対するマウント・ポイント・ディレクトリの名前を書き留めます。

Oracleベース・ディレクトリを作成し、そのディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限を指定するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、選択したマウント・ポイント・ディレクトリに推奨サブディレクトリを作成し、そのサブディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限を設定します。

    # mkdir -p /mount_point/app/oracle_sw_owner
    # chown -R oracle:oinstall /mount_point/app/oracle_sw_owner
    # chmod -R 775 /mount_point/app/oracle_sw_owner
    
    

    たとえば、選択したマウント・ポイントが/u01で、Oracleソフトウェア所有者のユーザー名がoracleである場合、Oracleベース・ディレクトリの推奨パスは次のようになります。

    /u01/app/oracle
    
    
  2. 必要に応じて、前の手順で示したコマンドを繰り返し、他のクラスタ・ノードにも同じディレクトリを作成します。

  3. この章の後半でoracleユーザーの環境を構成する際に、この作業で作成したOracleベース・ディレクトリが指定されるように環境変数ORACLE_BASEを設定します。

Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリの作成

Oracle Universal Installer(OUI)によって、Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリが作成されます。インストールを開始する前に、Oracle Clusterwareディレクトリ用に十分なディスク領域がファイル・システムにあること、およびOracle Clusterwareディレクトリ領域の親ディレクトリがOracleユーザーによって書込み可能であることを確認します。

適切なファイル・システムを選択するには、次の手順を実行します。

  1. df -kコマンドを使用して、マウントされた各ファイル・システムの空きディスク領域を確認します。

  2. 表示された情報から、1.4MB以上の空きディスク領域を持つファイル・システムを選択します。

    Oracleベース・ディレクトリに同じファイル・システムを使用している場合は、以前に特定した空きディスク領域要件にこの1.4GBのディスク領域を追加する必要があります。


    注意:

    ファイル・システムは、ローカル・ファイル・システムまたはGPFSファイル・システムに配置できます。 


    Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリへのパスは、すべてのノードで同一である必要があります。

  3. 選択したファイル・システムに対するマウント・ポイント・ディレクトリの名前を書き留めます。

Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリを作成し、そのディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限を指定するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、選択したマウント・ポイント・ディレクトリに推奨サブディレクトリを作成し、そのサブディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限を設定します。

    # mkdir -p /mount_point/crs/oracle_sw_owner/product/10/app
    # chown -R root:oinstall /mount_point/crs
    # chmod -R 775 /mount_point/crs/oracle_sw_owner
    
    

    選択したマウント・ポイントが/u01である場合、Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリには、次のようなパスを指定することをお薦めします。

    /u01/crs/oracle/product/10/crs
    
    


    注意:

    インストール後、rootユーザーのみがOracle Clusterwareホーム・ディレクトリに書き込むことができるように権限を変更します。 


  2. 必要に応じて、前の手順で示したコマンドを繰り返し、他のクラスタ・ノードにも同じディレクトリを作成します。

  3. 次のコマンドを入力し、Oracle Clusterwareのインストール準備として、環境変数ORACLE_BASEおよびORACLE_HOMEを設定します。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ ORACLE_BASE=/u01/app/oracle
      $ ORACLE_HOME=/u01/crs/oracle/product/10/app
      $ export ORACLE_BASE
      $ export ORACLE_HOME
      
      
    • Cシェル:

      % setenv ORACLE_BASE /u01/app/oracle
      % setenv ORACLE_HOME /u01/crs/oracle/product/10/app
      
      
  4. 次のコマンドを入力して、環境変数TNS_ADMINが設定されていない状態にします。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ unset TNS_ADMIN
      
      
    • Cシェル:

      % unsetenv TNS_ADMIN
      
      
  5. 次のコマンドを入力して、環境が正しく設定されていることを確認します。

    $ umask
    $ env | more
    
    

    umaskコマンドによって22022または0022の値が表示され、この項で設定する環境変数の値が正しいことを確認します。

アップグレードまたはデータベースの共存のための既存のOracleプロセスの停止

表2-1に、Oracle Database 10g リリース2(10.2)をインストールするシステムに既存のOracleデータベースがある場合に実行する必要がある作業の概要を示します。この表を確認して、必要に応じて作業を実行します。

参照:

アップグレードを実行するための準備の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

表2-1    アップグレードまたはデータベースの共存のためのシステムの準備の概要 
インストール例  必要な作業 

Oracle Database 10g リリース1(10.1)から10g リリース2(10.2)へのアップグレード 

追加の作業はありません。「Oracle 10g リリース1(10.1)がインストールされているシステムへのOracle 10g リリース2(10.2)のインストール」を参照してください。 

Oracle Database 10g リリース1(10.1)と共存させるためのシステムへのOracle Database 10g リリース2(10.2)のインストール 

追加の作業はありません。「Oracle 10g リリース1(10.1)がインストールされているシステムへのOracle 10g リリース2(10.2)のインストール」を参照してください。 

Oracle9i リリース2(9.2)からOracle Database 10g リリース2(10.2)へのアップグレード 

グローバル・サービス・デーモンを停止し、ポート1521のデフォルトのリスナーが存在する場合はこれも停止します。「Oracle9i リリース2(9.2)がインストールされているシステムへのOracle 10g リリース2(10.2)のインストール」を参照してください。 

Oracle9i リリース2(9.2)と共存させるためのシステムへのOracle Database 10g リリース2(10.2)のインストール 

ポート1521のデフォルトのリスナーが存在する場合は停止し、グローバル・サービス・デーモンを停止します。「Oracle9i リリース2(9.2)がインストールされているシステムへのOracle 10g リリース2(10.2)のインストール」を参照してください。 

Oracle 10g リリース1(10.1)がインストールされているシステムへのOracle 10g リリース2(10.2)のインストール

システムにOracle Database Release 10g リリース1(10. 1)がインストールされている場合に、共存またはリリース1(10.1)をアップグレードするためにOracle Database 10g リリース2(10.2)をインストールすると、ほぼすべてのインストール・タイプで、TCP/IPポート1521およびIPCキー値EXTPROCを使用したデフォルトのOracle Net Listenerの構成および起動が行われます。次のいずれかが発生します。

第3章 に進みます。

Oracle9i リリース2(9.2)がインストールされているシステムへのOracle 10g リリース2(10.2)のインストール

この項では、準備のための手順について説明します。

作業の説明

Oracle9i リリース2(9.2)の既存のデータベースがインストールされているシステムにOracle Database 10g リリース2(10.2)をインストールし、Oracle Net ListenerプロセスがOracle 10g リリース2(10.2)のインストールで使用されるデフォルトと同じポート(ポート1521)またはキー値を使用している場合、Oracle Universal Installerは新しいリスナーを構成することのみが可能で、それを起動することはできません。新しいリスナー・プロセスがインストール時に起動されるようにするには、Oracle Universal Installerを起動する前に既存のリスナーを停止する必要があります。これを実行するには、「リスナーの停止」を参照してください。

グローバル・サービス・デーモン(GSD)を停止する必要があります。これは、停止しておかないと、10g リリース2(10.2)のインストール時に、Oracle9i リリース2(9.2)のSRVM共有データが、リリース2(9.2)のGSDでは使用できないOracle Cluster Registryにアップグレードされるためです。リリース2(10.2)のOracle Clusterwareのインストールでは、10g リリース2(10.2)のGSDが起動され、Oracle9i リリース2(9.2)のクライアントに対しサービスが提供されます。これを実行するには、「グローバル・サービス・デーモンの停止」を参照してください。

リスナーの停止

Oracle9i の既存のリスナー・プロセスが実行されているかどうかを確認し、必要に応じて停止するには、次の手順を実行します。

  1. ユーザーをoracleに切り替えます。

    # su - oracle
    
    
  2. 次のコマンドを入力して、Oracle9i のリスナー・プロセスが実行されているかどうかを確認し、その名前およびリスナー・プロセスが組み込まれているOracleホーム・ディレクトリを特定します。

    $ ps -ef | grep tnslsnr
    
    

    このコマンドの出力結果に、システムで実行されているOracle Net Listenerの情報が表示されます。

    ... oracle_home1/bin/tnslsnr LISTENER -inherit
    
    

    この例では、oracle_home1が、リスナーが組み込まれているOracleホーム・ディレクトリで、LISTENERがリスナー名です。


    注意:

    Oracle Net Listenerが実行されていない場合は、第3章 に進みます。 


  3. 環境変数ORACLE_HOMEに、リスナーに適したOracleホーム・ディレクトリを指定します。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ ORACLE_HOME=oracle_home1
      $ export ORACLE_HOME
      
      
    • Cまたはtcshシェル:

      % setenv ORACLE_HOME oracle_home1
      
      
  4. 次のコマンドを入力して、リスナーで使用されているTCP/IPポート番号およびIPCキー値を確認します。

    $ $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl status listenername
    


    注意:

    リスナーにデフォルト名LISTENERを使用している場合は、このコマンドでリスナー名を指定する必要はありません。 


  5. 次のコマンドを入力して、リスナー・プロセスを停止します。

    $ $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl stop listenername
    
    
  6. この手順を繰り返して、このシステムおよび他のすべてのクラスタ・ノードで実行されているすべてのリスナーを停止します。

グローバル・サービス・デーモンの停止

クラスタ内の各ノードで、Oracleユーザーとして次の構文を使用し、GSDを停止します。

$ cd 92_Oracle_home
$ bin/gsdctl stop

前述の構文例で、変数92_Oracle_homeはOracle9i リリース2(9.2)のデータベース・ホームです。


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