Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド 10g リリース2(10.2) for Linux B25818-05 |
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この章では、インストールの第2フェーズとして、Oracle Database 10g およびOracle Real Application Clusters(RAC)をインストールする手順について説明します。また、Oracle Universal Installer(OUI)の一部の機能についても説明します。この章の内容は次のとおりです。
Oracle DatabaseおよびRACを正常にインストールするための準備がシステムで完了しているかどうかを検証するには、次のコマンド構文を使用してクラスタ検証ユーティリティ(CVU)のコマンドを入力します。
/mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh stage -pre dbinst -n node_list [-r {10gR1|10gR2}] [-osdba osdba_group][-verbose]
前述の構文例の意味は次のとおりです。
mountpoint
変数は、インストール・メディアのマウント・ポイントです。
node_list
変数は、クラスタ内のノードのカンマ区切りリストです。
osdba_group
変数は、OSDBAグループの名前(デフォルトではdba
)です。
たとえば、マウント・ポイントが/dev/dvdrom
で、node1
およびnode2
で構成され、OSDBAグループdba
が含まれている2ノードのクラスタにOracle Database 10g リリース2(10.2)およびRACをインストールするためにインストール前の検証を実行するには、次のコマンドを入力します。
/dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh stage -pre dbinst -n node1,node2 -verbose
-verbose
オプションを選択して、CVUによるシステム検証の進捗状況を表示することをお薦めします。-verbose
オプションによって提供される詳細なレポートは、検証に失敗した場合、その原因を特定するために使用できます。
クラスタの検証に失敗した場合は、該当するシステム構成手順を確認および修正して、再度テストを実行します。システム構成の確認については、「Linux用のインストール設定のトラブルシューティング」を参照してください。
CVUによるシステムの構成検証に失敗した場合は、CVUのレポートを確認し、その出力を使用して構成検証の失敗を解決します。次のリストを参照して、失敗した検証に対応します。
「ユーザーのユーザー等価チェックが失敗しました。」
原因: すべてのノード間でユーザー等価関係の設定に失敗しました。
処置: 各ノードでoracle
アカウントのユーザー等価関係を確認してください。
oracle
アカウントのユーザー等価関係を確認するには、クラスタ内の各ノードにリモート・ログイン(rlogin
)します。次に例を示します。
# su - oracle $ rlogin node_name
すべてのノードでoracle
アカウントに同じ属性を指定していない場合は、パスワードの入力を求められます。
oracle
アカウントが各ノードに対して新しいマウント・ポイントを書き込む権限を持っていることを確認します。次に例を示します。
# su - oracle $ touch /u01/test $ ls -l /u01/test -rw-rw-r-- 1 oracle dba 0 Aug 15 09:36 /u01/test
oracle
ユーザーとして、SSHを使用して各ノードの再帰接続および各ノード間の相互接続を行います。たとえば、node1
およびnode2
で構成された2ノードのクラスタを確認するには、次のコマンドを入力します。
[oracle@node1 oracle]:$ ssh node1 [oracle@node1 oracle]:$ ssh node2 [oracle@node2 oracle]:$ ssh node2 [oracle@node2 oracle]:$ ssh node1 [oracle@node1 oracle]:$
クラスタ内の1つのノードから別のノードにoracle
ユーザーとしてログインする際にパスワードの入力を求められた場合は、不適切なSSH構成が原因と考えられます。X11転送が無効になっており、インストール前の手順で作成した~/.ssh/authorized_keysファイルにすべてのノードの~/.ssh/id_rsaおよび~/.ssh/dsa.pubファイルが示されていることを確認します。
「ノードからのノード到達可能性チェックが失敗しました。」
原因: 1つ以上のノードで正常な通信の接続に失敗しました。
処置: このメッセージが表示された場合は、次の原因が考えられます。
次のコマンドを使用して、各ノードの現行の構成を確認してください。
ifconfig -a
「ノード接続性チェックが失敗しました。」
原因: 1つ以上のクラスタ・ノードが、クラスタ内の他のすべてのノードから接続できません。
処置: ノードによるプライベート・ネットワーク・インタフェースでの通信を妨害するファイアウォールが存在していないか確認してください。
「ユーザーの存在チェックが失敗しました。」または「ユーザーとグループの関係チェックが失敗しました」
原因: インストールに必要なユーザーおよびグループの管理権限が付与されていないか、または正しくありません。
処置: 各ノードでid
コマンドを使用して、oracle
アカウントが正しいグループ・メンバーシップで作成されていることを確認してください。
「ノードで共有記憶域チェックが失敗しました。」
原因: クラスタ内の各ノードから共有記憶域へのアクセスを確認できません。
処置: 共有ディスク記憶域を使用している場合は、fdisk -l
コマンドを使用して共有記憶域の到達可能性を確認してください。
「システム要件チェックが失敗しました」
原因: システム・リソースの不足、ソフトウェア・パッケージの欠落またはその他のオペレーティング・システムかハードウェアの問題が考えられます。
処置: -verbose
オプションを指定してCVUコマンドを実行しなかった場合は、-verbose
を使用してコマンドを再度実行し、レポートを確認して満たされていないシステム要件を特定してください。問題を修正してください。
この項では、RACのインストールの第2フェーズを開始する前に理解しておく必要のあるOUI機能について説明します。
参照:
シングル・インスタンスのデータベースのRACへの変換方法については、付録D「シングル・インスタンスのOracleデータベースからOracle Real Application Clustersへの変換」を参照してください。 |
構成の選択ページには、次のオプションがあります。
SYS
パスワードを求められます。
Oracleデータベース・ソフトウェアをインストールする場合は、事前構成済データベース・オプションのいずれかを使用するか、構成の選択ページで「詳細」オプションを選択してカスタム初期データベースを構成することをお薦めします。
環境を構成し、データベースを手動で作成する場合は、構成の選択ページで「データベースを作成しない」を選択し、次のWebサイトに記載されている、手動によるデータベースの作成手順を参照してください。
http://otn.oracle.com
自動ストレージ管理を使用する場合は、「自動ストレージ管理(ASM)の構成」を選択し、要求に応じて情報を指定します。必要に応じて、「ヘルプ」をクリックします。
OUIを起動すると、データベース構成タイプとして、「汎用」、「トランザクション処理」、「データ・ウェアハウス」または「詳細」を選択できます。
最初の3つの構成タイプについては、この章に後述する手順でも作成できます。「詳細」を選択すると、第6章で説明するように、データベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を使用してデータベースを作成できます。データベース作成には、DBCAを使用することをお薦めします。
「汎用」、「トランザクション処理」および「データ・ウェアハウス」構成タイプでは、事前構成済データベース・テンプレートが使用されます。
インストール中に、事前構成済データベース・テンプレートのいずれかを選択すると、OUIによってOracle Netコンフィギュレーション・アシスタント(NetCA)およびDBCAが起動され、それ以上入力することなく、事前構成済データベースがインストールされます。データベースのインストール中、OUIにプログレス・バーが表示されます。
これら3つの構成タイプでのDBCAの処理によって、初期データベースが作成され、Oracleネットワーク・サービスが構成されます。「データベース・ファイル記憶域オプションの指定」ページでRAWデバイスを選択すると、各表領域に対してRAWデバイスが構成されているかどうかがDBCAによって確認されます。
詳細構成を選択した場合、次の項で説明するように、固有の情報を入力する必要があります。
「詳細」構成タイプを選択すると、OUIによってDBCAが実行され、「汎用」、「トランザクション処理」、「データ・ウェアハウス」および4つ目の構成タイプである「カスタム・データベース」が表示されます。
最初の3つのテンプレートは、事前構成済データベース・タイプのカスタマイズ可能なバージョンです。「カスタム・データベース」タイプは、事前構成済オプションを使用せずにデータベースを作成します。
次の項では、RACデータベースを作成する場合のOUIおよびDBCAの処理について詳しく説明します。
インストールが終了すると、OUIによってNetCAが起動されます。NetCAの処理が完了すると、OUIによってDBCAが起動され、Optimal Flexible Architecture(OFA)を使用してデータベースが作成されます。つまり、DBCAによって、標準的なファイルのネーミング方法および配置方法に従って、デフォルトのサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を含むデータベース・ファイルが作成されます。DBCAによる処理では、最初に次のことを行います。
スタンドアロン・モードでDBCAを使用してデータベースを作成することもできます。
インストール対象のOracle Database 10g リリース2(10.2)で、Oracle9i データベースの言語および地域の定義ファイルを使用できます。この機能を有効にするには、「Oracle Universal Installerを使用したOracle Database 10g およびRACのインストール」の手順1に従ってOUIをコマンドラインから起動し、次の文を使用してb_cr9idata
変数をtrue
に設定する必要があります。
runInstaller oracle.rsf.nlsrtl_rsf:b_cr9idata=true
この章の以降の項では、OUIを使用してOracle Database 10g およびOracle Real Application Clusters(RAC)をインストールする方法について説明します。
zSeriesシステムは、DVD-ROMドライブを直接取り付けることをサポートしていないため、DVD-ROM ドライブをサポートするシステム上でディスクからハード・ディスクにインストール・ファイルをコピーするか、またはOracle Technology NetworkのWebサイトからシステムにインストール・ファイルをダウンロードする必要があります。
http://www.oracle.com/technology/software
インストール・ファイルを別のシステムにコピーする場合は、次のようにします。
各ディスクに対して、Disknというディレクトリを作成します。nはディスク番号です。ファイルをディスクからそのディレクトリにコピーします。
インストール・ファイルをコピーした後、次のいずれかの方法を使用して、zSeriesベースのLinuxシステム上のインストール・ファイルにアクセスします。
次の手順を実行して、Oracle Database 10g ソフトウェアおよびRACをインストールします。
runInstaller
コマンドを実行します。OUIの「ようこそ」ページが表示されたら、「次へ」をクリックします。
oinstall
)の次の場所に格納されます。
OraInventory/logs/installActionsdate_time.log
次に、インストールの注意に関する追加情報を示します。
oracle
アカウントが読取り/書込み権限を所有し、/dev/raw/*
とマーク付けされたすべてのディスクが、ASMによってデフォルトで検出されます。ASMに使用するディスクが他の場所にある場合は、インストール時にディスク検出文字列を変更できます。Standard EditionからRACをインストールする場合は、データベース記憶域にASMを使用する必要があります。
Grid Control Management Agentのインストールを完了している場合は、「データベース管理オプションの選択」ページで、Grid ControlまたはローカルのDatabase Controlのいずれかを選択できます。それ以外の場合は、データベース管理用のローカルのDatabase ControlのみがOracle RACでサポートされます。ローカルのDatabase Controlを使用する場合は、電子メール・オプションを選択して、送信SMTPサーバー名と電子メール・アドレスを選択できます。
Enterprise Managerを含まないカスタム・ソフトウェア・インストール、Enterprise Manager構成を含まないインストール、ユーザー独自のスクリプトによるデータベースの作成など、Oracle Enterprise Managerを含まないインストールを実行する場合は、OUI、DBCAまたはEnterprise Managerコンフィギュレーション・アシスタント(EMCA)・ユーティリティを使用して、後でEnterprise Managerを構成できます。
インストールの第2フェーズ(最終フェーズ)を完了したら、第7章「Oracle Real Application Clustersのインストール後の手順」に進んでインストール後の作業を実行します。
注意: インストールが完了し、データベースを作成した後で、10g リリース2(10.2)データベースにOracle Database 10g 製品をさらにインストールする場合は、追加の製品をインストールする前に、Oracleホームで実行されているすべてのプロセスを停止する必要があります。すべてのデータベース・プロセスを停止する必要があるのは、Oracle Universal Installerが特定の実行可能ファイルおよびライブラリに再リンクするためです。詳細は、付録F「既存のOracle Real Application Clustersデータベースでのプロセスの停止方法、およびOracle Clusterwareローリング・アップグレードの実行方法」を参照してください。 |
Oracle Real Application Clusters(RAC)ソフトウェアを削除する必要がある場合は、インストールを実行したノードでOUIを起動して削除する必要があります。また、Oracle Clusterwareソフトウェアを削除する前に、まずOracleデータベース・ソフトウェアを削除する必要があります。
Oracle Database 10g RACおよびOracle Clusterwareのソフトウェアを削除するには、次の項で説明する手順を実行します。
この項では、Oracle Database 10g RACソフトウェアおよび自動ストレージ管理(ASM)ソフトウェアを削除する手順を説明します。これらの手順を実行する前に、削除するOracleホームで実行されているデータベースのバックアップを作成することをお薦めします。
oratab
ファイルを調べて、このOracleホームでのインスタンスの依存性を確認します。
ASMデータベースが実行されているOracleホームにデータベースがある場合は、これらの一連のASMインスタンスに対して他のデータベースの依存性がないことを確認してからoracle
ユーザーとしてログインし、次の手順に従ってASM構成を削除します。
SQL> select INSTANCE_NAME from GV$ASM_CLIENT;
注意: このコマンドでは、実行されているデータベース・インスタンスのみが示されます。他のインスタンスがASMインスタンスに関連付けられている可能性はありますが、それらは現在実行されていません。Oracleホームからデータベースを削除して、ASMインスタンスで別のOracleホームのデータベース・インスタンスがサポートされていることがコマンドの出力結果に示された場合は、ASMインスタンスまたはOracleホームを削除しないでください。 RACデータベースで使用しているOracleホームとASM環境で使用しているOracleホームが異なる場合にRACデータベースを削除するには、RACデータベース・ホームで手順5を実行します。 |
SQL> select * from V$ASM_DISKGROUP;
SQL> drop diskgroup diskgroup_name including contents;
diskgroup_name
変数は、削除するディスク・グループの名前です。
1.次のコマンドを実行して、削除する必要があるディスクを表示します。
oracleasm listdisks
2.次のコマンドを実行して、前述のコマンドで表示されたすべてのディスクを削除します。
oracleasm deletedisks
3.oracleasm listdisks
コマンドを再度実行して、すべてのディスクが削除されていることを確認します。各RACクラスタ・ノードでこのコマンドを繰り返し、すべてのノードからディスクが削除されていることを確認します。
4.root
ユーザーとして、RACクラスタのすべてのノードで次のコマンドを実行します。
/etc/init.d/oracleasm stop /etc/init.d/oracleasm disable
DBCAを使用してASMを構成解除するには、DBCAをサイレント・モードで実行します。DBCAをサイレント・モードで実行するには、$ORACLE_HOME/binディレクトリに移動して、次のコマンド構文を使用します。
dbca -silent -deleteASM -nodelist node1,node2,...
node1
、node2
などの変数には、ASMが構成されているすべてのノードのリストを指定します。DBCAによる削除が完了したら、手順4に進みます。
srvctl remove asm -n nodename
nodename
は、ASMインスタンスを削除するノードの名前です。
rm -f $ORACLE_HOME/dbs/*ASM* rm -r $ORACLE_BASE/admin/+ASM
コマンドを正常に実行するには、下位のファイルまたはディレクトリを削除する必要がある場合があります。
oratab
エントリを削除します。
$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリに変更し、次のNetCAコマンド構文を使用してリスナーおよびリスナーのOracle Clusterwareリソースを削除します。
$ ./netca /deinst /nodeinfo node1,node2,...
前述の構文例のnode1
、node2
などの変数は、RACデータベースのすべてのメンバー・ノードです。
前の項「Oracle Database 10g RACソフトウェアおよびASMの削除」で実行した手順を実行して、各Oracle Database 10g RACホームを削除します。その後、次の手順を実行してOracle Clusterwareソフトウェアを削除し、削除を完了します。
CRSHome
/install/rootdelete.sh
を実行して、クラスタ・ノードで実行中のOracle Clusterwareアプリケーションを無効にします。rootdelete.sh
スクリプトには3つの引数が必要です。クラスタのリモート・ノードでこのコマンドを実行している場合は、1つ目の引数にremote
を、それ以外の場合はlocal
を使用します。ocr.loc
ファイルが共有ファイル・システムに存在する場合は、sharedvar
を使用します。それ以外の場合は、2つ目の引数にnosharedvar
を使用します。Oracle Clusterwareホームが共有ファイル・システムに存在する場合は、sharedhome
を使用します。それ以外の場合は、3つ目の引数にnosharedhome
を使用します。Oracle Clusterwareを削除するクラスタの各ノードで、この手順を繰り返します。CRS_home
/install/rootdeinstall.sh
スクリプトを実行してOCRを削除します。このスクリプトの実行が必要なのは1回のみです。
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