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Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド
10g リリース2(10.2) for Solaris Operating System

B28858-02
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D シングル・インスタンスのOracleデータベースからOracle Real Application Clustersへの変換

この付録では、Oracle Database 10g のシングル・インスタンスのデータベースからOracle Real Application Clusters(RAC)データベースに変換する方法について説明します。この付録の内容は次のとおりです。

Oracle Parallel ServerからRACにアップグレードする場合または以前のバージョンのRACからアップグレードする場合は、Oracleデータベース・アップグレード・アシスタント(DBUA)を使用します。この付録の手順は、元のシングル・インスタンス・データベースとターゲットのRACデータベースが同じリリースのOracle 10g で、同じプラットフォーム上で実行されていることを前提としています。


注意:

RACデータベースでは、クラスタ化されたASMインスタンスを使用する必要があります。 


参照:

購入したライセンスの制限に従う必要があります。ライセンスの制限の詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。 

シングル・インスタンスからクラスタ対応に変換する場合の管理上の問題点

変換前に、次の管理上の問題点に注意してください。

DBCAを使用した変換

データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用して、シングル・インスタンスのOracleデータベースをRACに変換できます。DBCAを使用すると、制御ファイル属性が自動的に構成され、UNDO表領域とREDOログが作成されて、クラスタ対応環境用の初期化パラメータ・ファイルのエントリが作成されます。また、DBCAは、Oracle Enterprise ManagerまたはSRVCTLユーティリティで使用するために、Oracle Net ServicesとOracle Clusterwareリソースの構成およびRACデータベース管理用の構成を行います。

DBCAを使用してシングル・インスタンスのデータベースをRACデータベースに変換する前に、次の条件を満たしていることを確認します。

ご使用のプラットフォームがクラスタ・ファイル・システムをサポートしている場合は、RACでそのクラスタ・ファイル・システムを使用できます。RACに変換して、非共有ファイル・システムを使用することもできます。いずれの場合も、Oracle Universal Installer(OUI)を使用してOracle Database 10g をインストールし、クラスタで選択された各ノード上の同じ位置にOracleホームおよびインベントリを設定することをお薦めします。

この項の内容は次のとおりです。

クラスタ・コンピュータ以外のコンピュータ上にあるシングル・インスタンスからOracle Database 10g およびRACへの変換

クラスタ・コンピュータ以外のコンピュータ上にあるシングル・インスタンスのOracleデータベースをRACに変換するには、次の項に説明する手順を、その順序で実行します。

元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ

次の手順に従い、DBCAを使用してシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成します。

  1. $ORACLE_HOMEの下のbinディレクトリに移動して、DBCAを起動します。

  2. 「ようこそ」ページで「次へ」をクリックします。

  3. 「操作」ページで、「テンプレートの管理」を選択して「次へ」をクリックします。

  4. 「テンプレート管理」ページで、「データベース・テンプレートの作成」および「既存のデータベースを使用(データおよび構造)」を選択して「次へ」をクリックします。

  5. 「ソース・データベース」ページで、「データベース・インスタンス」フィールドにデータベース名を入力して「次へ」をクリックします。

  6. 「テンプレート・プロパティ」ページで、「名前」フィールドにテンプレート名を入力します。データベース名を使用することをお薦めします。

    デフォルトでは、テンプレート・ファイルはORACLE_HOME/assistants/dbca/templatesディレクトリに生成されます。必要に応じて、「説明」フィールドにファイルの説明を入力したり、「テンプレート・データファイル」フィールドでテンプレート・ファイルの位置を変更できます。

    入力が完了したら、「次へ」をクリックします。

  7. 「データベース関連ファイルの位置」ページで、現行のディレクトリ構造にデータベースをリストアできるように「ファイル位置を保持」を選択して「終了」をクリックします。

DBCAは、データベース構造ファイル(template_name.dbc)およびデータベースの事前構成済イメージ・ファイル(template_name.dfb)の2つのファイルを生成します。

インストール前の手順の実行

このマニュアルの第II部で説明する、インストール前の手順を実行します。次に、第II部のインストール前の手順に関する章の「Oracleデータベース・ファイルとリカバリ・ファイルのディスク記憶域の構成」を参照して、共有記憶域を設定します。

参照:

共有ディスク・サブシステムの設定、およびディスクのミラー化とストライプ化については、記憶域ベンダー固有のドキュメントを参照してください。 

クラスタの設定

ベンダーのクラスタウェアを使用する場合は、ハードウェア・ベンダーのマニュアルに従って、必要な数のノードでクラスタを作成します。クラスタ内のすべてのノードを構成したら、ベンダーのクラスタウェアを使用するかどうかにかかわらず、Oracle Clusterwareをインストールし、第4章「Oracle Clusterwareのインストール」の手順に従ってクラスタのコンポーネントを検証します。

クラスタの検証

クラスタ検証ユーティリティを使用し、第5章「Oracle Database 10g およびOracle Real Application Clustersのインストール」の説明に従ってクラスタの構成を検証します。

事前構成済データベース・イメージのコピー

事前構成済データベース・イメージをコピーします。前述の手順「元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ」でDBCAを使用して作成したデータベース構造ファイル(*.dbc)およびデータベースの事前構成済イメージ・ファイル(*.dfb)を、DBCAを実行するクラスタのノード上の一時的な位置にコピーします。

Oracle Database 10g ソフトウェアおよびReal Application Clustersのインストール

  1. Oracle Universal Installer(OUI)を実行して、OracleデータベースおよびRACをインストールします。

  2. Oracle Universal Installer(OUI)の「ハードウェアのクラスタ・インストール・モードの指定」ページで「クラスタ・インストール」モードを選択し、RACデータベースに含めるノードを選択します。

  3. OUIのデータベースの構成タイプのページで、「詳細」インストール・タイプを選択します。

    Oracleソフトウェアのインストール後、OUIはインストール後の構成ツール(ネットワーク・コンフィギュレーション・アシスタント(NetCA)、DBCAなど)を実行します。

  4. DBCAのテンプレートを選択するページで、「事前構成済データベース・イメージのコピー」の手順で一時的な位置にコピーしたテンプレートを使用します。テンプレートの位置を選択するには、「参照」オプションを使用します。

  5. OUIの「記憶域オプション」ページでRAWデバイスを選択し、環境変数DBCA_RAW_CONFIGを設定していない場合は、DBCAの「初期化パラメータ」ページのファイルの場所タブで、データ・ファイル、制御ファイル、ログ・ファイルなどを対応するRAWデバイス・ファイルと置き換えます。「記憶域」ページでもデフォルトのデータベース・ファイルをRAWデバイスに置き換える必要があります。

    参照:

    DBCAの詳細は、第6章を参照してください。 

  6. RACデータベースを作成すると、「パスワード管理」ページが表示されます。このページでは、SYSDBASYSOPERのロールを持ち、データベース権限を付与されたユーザーのパスワードを変更する必要があります。DBCAを終了すると、変換処理が完了します。

クラスタ・コンピュータ上にあるシングル・インスタンスからOracle Database 10g RACへの変換

シングル・インスタンス・データベースがクラスタ・コンピュータ上に存在する場合は、次の3つのシナリオが考えられます。

これらのすべてのシナリオについては、次の手順に従って、クラスタ・コンピュータ上のシングル・インスタンス・データベースをRACに変換します。

クラスタ対応のOracleホームからクラスタ上のシングル・インスタンスが実行されている場合

次の手順に従って、クラスタがインストールされた(Oracle Database 10g およびRACの)Oracleホームから実行されている、クラスタ上のシングル・インスタンス・データベースを変換します。

  1. 「元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ」の説明に従い、DBCAを使用してシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成します。手動で変換を実行するには、シングル・インスタンス・データベースを停止します。

  2. クラスタにノードを追加するには、「インストール前の手順の実行」の説明に従って、クラスタにノードを追加および接続します。すべてのノードが共有記憶域にアクセスできることを確認します。また、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』のクラスタウェアおよびOracleソフトウェアの新規ノードへの拡張に関する項の手順に従って、Oracle Clusterwareホームを新しいノードに拡張します。

  3. 既存のOracleホームから、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』の「Oracle RAC データベース・レイヤーでのノードの追加」の手順に従って、このホームを新しいノードに拡張します。

  4. 新しく追加したノードのいずれかから、NetCAを使用して追加のノードにリスナーを構成します。既存のノードで使用したポート番号およびプロトコルと同じポート番号およびプロトコルを選択します。NetCAでノード・リスト・ページに既存のノードが表示される場合は、リスナーがすでに構成されているため、ノードを選択しないでください。

  5. 次のいずれかの手順でデータベースを変換します。

自動変換の手順

  1. 「元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ」の説明に従ってシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成した場合は、DBCAを使用してRACデータベースへの変換を実行します。

  2. 元のノードからDBCAを起動します。クラスタ・データベースの一部として含めるノードの名前を選択します。「データベース・テンプレート」ページで、手順1で作成した事前構成済テンプレートを選択します。データベース名を入力し、DBCAのプロンプトに従って残りの項目を入力します。

  3. クラスタ・データベース・ファイル用にRAWデバイスを使用するには、表示される「初期化パラメータ」ページのファイルの場所タブで、SPFILE用のRAWデバイス名を入力します。「データベース記憶域」ページで、デフォルトのデータベース・ファイル名を、制御ファイル、REDOログおよびデータ・ファイル用のRAWデバイスに置換して、クラスタ・データベースを作成します。「終了」をクリックすると、データベースが作成されます。

RACデータベースを作成すると、「パスワード管理」ページが表示されます。このページでは、SYSDBASYSOPERのロールを持ち、データベース権限を付与されたユーザーのパスワードを変更する必要があります。DBCAを終了すると、変換処理が完了します。

手動変換の手順

手順1で、DBCAを使用してシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成していない場合は、次の手順に従って変換を実行します。

  1. 追加した各ノード上にOFAディレクトリ構造を作成します。

    参照:

    OFAの詳細は、「Real Application Clustersのディレクトリ構造」を参照してください。 

  2. ファイル・システム上のシングル・インスタンス・データベースをRAWデバイスに変換する場合は、ddコマンドを使用して、データベースのデータ・ファイル、制御ファイル、REDOログおよびサーバー・パラメータ・ファイルを対応するRAWデバイスにコピーします。それ以外の場合は、次の手順に進みます。

  3. SQL文のCREATE CONTROLFILEREUSEキーワード付きで実行して制御ファイルを再作成し、RAC構成に必要なMAXINSTANCESMAXLOGFILESなどを指定します。MAXINSTANCESのデフォルト値は、32に指定することをお薦めします。

  4. データベース・インスタンスを停止します。

  5. シングル・インスタンス・データベースでSPFILEパラメータ・ファイルを使用していた場合は、次のSQL文を使用して、SPFILEから一時的なPFILEを作成します。

    CREATE PFILE='pfile_name' from spfile='spfile_name'
    
    
  6. CLUSTER_DATABASEパラメータをTRUEに設定し、sid.parameter=value構文を使用して、INSTANCE_NUMBERパラメータをインスタンスごとに一意の値に設定します。

    シングル・インスタンス・データベースのメモリー使用量を最適化していた場合は、システム・グローバル・領域(SGA)のサイズを調整して、RACへの変換時にスワップおよびページングが発生しないようにします。この調整が必要な理由は、RACでは、グローバル・キャッシュ・サービス(GCS)用に、各バッファに約350バイトずつ必要になるためです。たとえば、バッファが10000ある場合、RACは約350×10000バイトの追加メモリーを必要とします。したがって、DB_CACHE_SIZEパラメータとDB_nK_CACHE_SIZEパラメータをこれに応じて変更し、SGAのサイズを調整します。

  7. 手順5で作成したPFILEを使用して、データベース・インスタンスを起動します。

  8. シングル・インスタンス・データベースで自動UNDO管理を使用していた場合は、CREATE UNDO TABLESPACE SQL文を使用して、追加インスタンスごとにUNDO表領域を作成します。RAWデバイスを使用している場合は、UNDO表領域用のデータ・ファイルがRAWデバイス上にあることを確認します。

  9. 2つ以上のREDOログを持つREDOスレッドを追加インスタンスごとに作成します。RAWデバイスを使用している場合は、REDOログ・ファイルがRAWデバイス上にあることを確認します。SQL文のALTER DATABASEを使用して、新しいREDOスレッドを使用可能にします。データベース・インスタンスを停止します。

  10. Oracleパスワード・ファイルを、元のノードまたは作業中のノードから追加ノード(クラスタ・データベースのインスタンスが存在するノード)の対応する位置にコピーします。追加インスタンスごとに、各パスワード・ファイルのORACLE_SID名を適切に置換します。

  11. REMOTE_LISTENER=LISTENERS_DB_NAMEパラメータとsid.LOCAL_LISTENER=LISTENER_SIDパラメータをPFILEに追加します。

  12. データベースとインスタンスのネット・サービス・エントリ、インスタンスごとのLOCAL_LISTENERのアドレス・エントリ、およびtnsnames.oraファイルのREMOTE_LISTENERのアドレス・エントリを構成します。これを行った後、これらをすべてのノードにコピーします。

  13. 「サーバー・パラメータ・ファイルへの移行手順」で説明した手順に従って、PFILEからSPFILEを作成します。クラスタ・ファイル・システムを使用していない場合は、SPFILEがRAWデバイス上にあることを確認します。

  14. 次のエントリが含まれている$ORACLE_HOME/dbs/initsid.oraファイルを作成します。

    spfile='spfile_path_name'
    
    

    変数spfile_path_nameは、SPFILEの完全パス名です。

  15. SRVCTLを使用して、RACデータベースの構成とそのインスタンスのノードへのマッピングを追加します。

  16. SRVCTLを使用して、RACデータベースを起動します。

SRVCTLを使用してデータベースを起動すると、変換処理は完了します。たとえば、次のSQL文を実行すると、RACデータベースのすべてのインスタンスの状態を確認できます。

select * from v$active_instances

RAC非対応のOracleホームからクラスタ上のシングル・インスタンスが実行されている場合

単一ノードのクラスタ(およびRAC)をインストールした後、シングル・インスタンス・データベースの作成前にRAC機能をoracleバイナリからリンク解除して使用禁止にした場合は、RAC非対応のOracleホームから実行されているクラスタにシングル・インスタンスをインストールできます。(ただし、「ノードの選択」ページでローカル、非クラスタを選択して、クラスタに非RAC対応シングル・インスタンスのホームを作成することもできます。)次の手順に従って、このタイプのシングル・インスタンス・データベースをRACデータベースに変換します。

  1. 「元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ」の説明に従い、DBCAを使用してシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成します。手動で変換を実行するには、シングル・インスタンス・データベースを停止します。

  2. ディレクトリを、Oracleホームのrdbmsディレクトリにあるlibサブディレクトリに変更します。

  3. 次のコマンドを実行して、oracleバイナリに再度リンクします。

    make -f ins_rdbms.mk rac_on
    make -f ins_rdbms.mk ioracle 
    
    
  4. 手順2に進みます。

シングル・インスタンスがインストールされているOracleホームからクラスタ上のシングル・インスタンスが実行されている場合

シングル・インスタンスのOracle Database 10g のインストール時にOUIの「ハードウェアのクラスタ・インストール・モードの指定」ページで「ローカル・インストール」を選択した場合にのみ、シングル・インスタンスがインストールされているOracleホームから実行されているクラスタにシングル・インスタンスをインストールできます。

このタイプのデータベースをRACデータベースに変換するには、次の項の手順を実行します。

  1. 「元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ」

  2. 「インストール前の手順の実行」

  3. 「クラスタの設定」

  4. 「Oracle Database 10g ソフトウェアおよびReal Application Clustersのインストール」
    この手順では、シングル・インスタンス・データベースが実行されていたOracleホームとは異なるOracleホームが選択されていることを確認します。

rconfigおよびOracle Enterprise Managerを使用した変換

rconfigまたはOracle Enterprise Managerを使用すると、シングル・インスタンスのデータベースのインストールをRACデータベースに簡単に変換できます。1つ目のrconfigは、コマンドライン・ユーティリティです。Oracle Enterprise Manager Grid Controlのデータベース管理オプション(クラスタ・データベースへの変換)では、GUIによる変換ツールが提供されます。次の項では、これらの変換ツールを使用する方法について説明します。

RACデータベースへの変換の前提条件

シングル・インスタンスのデータベースをRACデータベースに変換する前に、RACデータベース・ノードを作成する各クラスタ・ノードで次の条件が満たされていることを確認します。

シングル・インスタンスのRACへの変換シナリオ

次に、シングル・インスタンスのOracleデータベースをOracle Real Application Clusters(RAC)データベースに変換するシナリオを示します。

rconfigを使用したシングル・インスタンスのデータベースのRACへの変換

コマンドライン・ユーティリティrconfigを使用して、シングル・インスタンスのデータベースをRACに変換します。この機能を使用するには、次の手順を実行します。

参照:

既存のOracleデータベースのインストールのアップグレードについては、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

  1. oracleユーザーで、$ORACLE_HOME/assistants/rconfig/sampleXMLsディレクトリに移動し、viなどのテキスト・エディタを使用してConvertToRAC.xmlファイルを開きます。

  2. ConvertToRAC.xmlファイルを確認し、システムに必要なパラメータを変更します。XMLサンプル・ファイルには、ファイルの構成方法を説明するコメント行が含まれています。

    変更が完了したら、filename.xmlという形式でファイルを保存します。選択した名前を記録しておきます。

  3. $ORACLE_HOME/binディレクトリに移動し、次の構文を使用してrconfigコマンドを実行します。

    rconfig input.xml

    input.xmlは、手順2で作成したXML入力ファイルの名前です。

    たとえば、convert.xmlというXML入力ファイルを作成した場合は、次のコマンドを実行します。

    $ ./rconfig convert.xml
    
    


    注意:

    ConvertToRAC.xmlファイルのConvert verifyオプションには、3つのオプションがあります。

    • Convert verify="YES": rconfigは変換を開始する前に、シングル・インスタンスからRACに変換するための前提条件が満たされていることを確認するチェックを行います。

    • Convert verify="NO": rconfigは前提条件のチェックを行わずに、変換を開始します。

    • Convert verify="ONLY" rconfigは前提条件のチェックのみを行います。前提条件のチェックが完了しても変換は開始されません。

     

rconfig XML入力ファイルの例

次の例は、rconfigユーティリティ用のXML入力ファイルです。この例のXML入力ファイルは、ASMを使用したシングル・インスタンスのデータベースを、同じOracleホームでASMを使用したRACデータベースに変換するものです。

<n:RConfig xsi:schemaLocation="http://www.oracle.com/rconfig">
-
<n:ConvertToRAC>
-
<!--
 Verify does a precheck to ensure all pre-requisites are met, before the conversion is 
attempted. Allowable values are: YES|NO|ONLY 
-->
-
<n:Convert verify="YES">
-
<!--
Specify current OracleHome of non-rac database for SourceDBHome 
-->
<n:SourceDBHome>/oracle/product/10.2.0/db_1</n:SourceDBHome>
-
<!--
Specify OracleHome where the rac database should be configured. It can be same as 
SourceDBHome 
-->
<n:TargetDBHome>/oracle/product/10.2.0/db_1</n:TargetDBHome>
-
<!--
Specify SID of non-rac database and credential. User with sysdba role is required to 
perform conversion 
-->
-
<n:SourceDBInfo SID="sales">
-
<n:Credentials>
<n:User>sys</n:User>
<n:Password>oracle</n:Password>
<n:Role>sysdba</n:Role>
</n:Credentials>
</n:SourceDBInfo>
-
<!--
ASMInfo element is required only if the current non-rac database uses ASM Storage 
-->
-
<n:ASMInfo SID="+ASM1">
-
<n:Credentials>
<n:User>sys</n:User>
<n:Password>welcome</n:Password>
<n:Role>sysdba</n:Role>
</n:Credentials>
</n:ASMInfo>
-
<!--
Specify the list of nodes that should have rac instances running. LocalNode should be 
the first node in this nodelist. 
-->
-
<n:NodeList>
<n:Node name="node1"/>
<n:Node name="node2"/>
</n:NodeList>
-
<!--
Specify prefix for rac instances. It can be same as the instance name for non-rac 
database or different. The instance number will be attached to this prefix. 
-->
<n:InstancePrefix>sales</n:InstancePrefix>
-
<!--
Specify port for the listener to be configured for rac database.If port="", alistener 
existing on localhost will be used for rac database.The listener will be extended to 
all nodes in the nodelist 
-->
<n:Listener port="1551"/>
-
<!--
Specify the type of storage to be used by rac database. Allowable values are CFS|ASM. 
The non-rac database should have same storage type. 
-->
-
<n:SharedStorage type="ASM">
-
<!--
Specify Database Area Location to be configured for rac database.If this field is left 
empty, current storage will be used for rac database. For CFS, this field will have 
directory path. 
-->
<n:TargetDatabaseArea>+ASMDG</n:TargetDatabaseArea>
-
<!--
Specify Flash Recovery Area to be configured for rac database. If this field is left 
empty, current recovery area of non-rac database will be configured for rac database. 
If current database is not using recovery Area, the resulting rac database will not 
have a recovery area. 
-->
<n:TargetFlashRecoveryArea>+ASMDG</n:TargetFlashRecoveryArea>
</n:SharedStorage>
</n:Convert>
</n:ConvertToRAC>
</n:RConfig>

Oracle Enterprise Managerを使用したシングル・インスタンスのデータベースのRACへの変換

Oracle Enterprise Manager Grid Controlを使用して、シングル・インスタンスのデータベースをRACに変換できます。この機能を使用するには、次の手順を実行します。

参照:

既存のOracleデータベースのインストールのアップグレードについては、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

  1. Grid Controlにログインします。Grid Controlの「ホーム」ページで、「ターゲット」タブをクリックします。

  2. 「ターゲット」ページで、「データベース」タブをクリックし、RACに変換するデータベースの「名前」列にあるリンクをクリックします。

  3. 「データベース・インスタンス」の「ホーム」ページで、「管理」タブをクリックします。

  4. 「管理」ページにある「データベース管理」の「データベースの変更」セクションで、「クラスタ・データベースへの変換」をクリックします。

  5. SYSDBA権限を持つデータベース・ユーザーSYSとして、変換するデータベースにログインし、「次へ」をクリックします。

  6. 「クラスタ・データベースへの変換: クラスタ資格証明」ページで、oracleユーザーのユーザー名とパスワード、および変換するターゲット・データベースのパスワードを指定します。ターゲット・データベースでASMを使用している場合は、ASMのSYSユーザーとパスワードも指定して、「次へ」をクリックします。

  7. 「ホスト」画面で、インストールしたRACデータベースのクラスタ・メンバーにするクラスタ内のホスト・ノードを選択します。選択が完了したら、「次へ」をクリックします。

  8. 「クラスタ・データベースへの変換: オプション」ページで、既存のリスナーとポート番号を使用するか、またはクラスタに新しいリスナーとポート番号を指定するかどうかを選択します。また、クラスタのクラスタ・データベース・インスタンスの接頭辞も指定します。

    情報の入力が終了したら、「次へ」をクリックします。または、情報の入力方法の決定についての情報が必要な場合は、「ヘルプ」をクリックします。

  9. 「クラスタ・データベースへの変換: 共有記憶域」ページで、既存の共有記憶域領域を使用するオプションを選択するか、またはデータベース・ファイルを新しい共有記憶域の場所にコピーするオプションを選択します。また、既存のフラッシュ・リカバリ領域を使用するか、またはOracleデータベースによって管理されたファイルを使用して、フラッシュ・リカバリ・ファイルを新しいフラッシュ・リカバリ領域にコピーするかどうかを決定します。

    情報の入力が終了したら、「次へ」をクリックします。または、情報の入力方法の決定についての情報が必要な場合は、「ヘルプ」をクリックします。

  10. 「クラスタ・データベースへの変換: 確認」ページで、選択したオプションを確認します。変換に進む場合は、「ジョブの発行」をクリックします。選択したオプションを変更する場合は、「戻る」をクリックします。変換を取り消す場合は、「取消」をクリックします。

  11. 「確認」ページで、「ジョブの表示」をクリックし、変換の状態を確認します。

シングル・インスタンスのASMのクラスタASMへの変換

ASMを使用するシングル・インスタンスのノードをASMを使用するRACノードに変換するには、次の手順を実行します。

  1. データベース・インスタンス、ASMインスタンスおよびリスナーを停止します。

    /etc/inittabファイルからCSSのauto-start行を削除すると、CSSの停止および削除が可能になります。

  2. 第2章および第3章の手順に従って、クラスタ・メンバーにする各ノードを構成します。

  3. クラスタ・メンバー・ノードに以前のバージョンのOracleのクラスタウェア(Cluster Ready ServicesまたはOracle Clusterware)がインストールされている場合は、クラスタ・ノードとして以前にラベル付けされているすべてのノードのocr.locファイルを削除します。ocr.locファイルは/etc/oracleにあります。

  4. oracleユーザーでログインし、DBCAをサイレント・モードで実行してASMを構成解除します。DBCAをサイレント・モードで実行するには、$ORACLE_HOME/binディレクトリに移動し、ローカル・ノードで次のコマンド構文を使用します。

    dbca -silent -deleteASM
    
    

    シングル・インスタンスのASMを削除しても、データは失われません。

  5. 第4章の手順に従って、クラスタ・メンバーにするすべてのノードにOracle Clusterwareをインストールします。

  6. DBCAを使用してクラスタASMをインストールします。「ノードの選択」ページで、記憶域の管理にASMを使用するクラスタ・メンバー・ノードをすべて選択します。「ASMディスク・グループ」ページでディスク・グループを選択するように求められたら、手順4で削除したシングル・インスタンスのASMインスタンスとともに使用していた既存のディスク・グループを選択します。

  7. シングル・インスタンスのOracleデータベースを起動します。

変換後の手順

変換の終了後は、RACドキュメントで説明されているとおり、RAC環境に関する次の推奨事項に注意してください。

RACでのバッファ・キャッシュおよび共有プールの容量に関する要件は、シングル・インスタンスのOracleデータベースでの要件よりもわずかに大きくなります。このため、バッファ・キャッシュのサイズを約10%、共有プールのサイズを約15%増加する必要があります。


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