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Oracle Database プラットフォーム・ガイド
10gリリース2(10.2) for Microsoft Windows(64-bit)on Intel Itanium

B25021-03
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1 WindowsでのOracle Databaseアーキテクチャ

この章では、Oracle DatabaseアーキテクチャでWindowsオペレーティング・システムのより高度なサービスがどのように利用されているかを説明します。

この章の項目は次のとおりです。

WindowsアーキテクチャでのOracle Database

Windows上のOracle Databaseは、アプリケーションを構築するシステムとして、安定性、信頼性および高いパフォーマンスを提供します。データベースの各リリースでは、Windowsでのパフォーマンスを高めるために、プラットフォーム固有の新しい機能が提供されています。

Oracle Databaseは、Windows上でも他のプラットフォームと同じように動作します。このアーキテクチャは、Windowsで次のような利点を提供します。

自動ストレージ管理

自動ストレージ管理(ASM)は、Oracle Databaseファイル用として作成された統合ファイル・システムおよびボリューム・マネージャです。ASMでは、ファイル・システムの管理を容易にすることで、RAW I/Oのパフォーマンスを高めます。何千にもなる可能性のあるOracle Databaseファイルを直接管理する必要がなくなり、データベース管理が単純化されます。これを実現するために、使用可能なすべての記憶域をディスク・グループに分割する機能を備えています。ユーザーは少ないディスク・グループを監視し、ASMがこれらのディスク・グループに各データベース・ファイルを自動的に配置します。

関連資料

『Oracle Database管理者ガイド』の「自動ストレージ管理の使用」 

スレッドベースのアーキテクチャ

Oracle Databaseの内部プロセスのアーキテクチャは、スレッドベースです。スレッドは、プロセス内のプログラム命令を実行するオブジェクトです。スレッドにより、1つのプロセス内での同時処理が可能になり、プロセスが、異なるプロセッサ上でプログラムの異なる部分を同時に実行できます。スレッドベースのアーキテクチャには、次の利点があります。

内部的には、スレッド・モデルを実装するコードはコンパクトで、Oracle Databaseコードの本体から分離されています。例外ハンドラおよびルーチンは、リソースを追跡し、割当てを解除します。これにより、リソース・リークまたはプログラムの誤動作による停止時間が生じず、堅牢性が増します。

Oracle Databaseは、一般的なWindowsプロセスではありません。Windowsでは、Oracle Databaseまたは自動ストレージ管理インスタンス(スレッドおよびメモリー構造)はWindowsのサービス、つまりオペレーティング・システムに登録されるバックグラウンド・プロセスです。サービスはWindowsによって起動されるため、ユーザーによる起動操作は必要ありません。このため、起動時にデータベースを自動的にオープンできます。

Windows上で複数のOracle Databaseまたは自動ストレージ管理インスタンスを実行する場合、各インスタンスでは、複数のコンポーネント・スレッドを持つ独自のWindowsサービスを実行します。スレッドには、データベースの使用に必須のスレッドと、特定のプラットフォームに固有のオプションのスレッドがあります。バックグラウンド・プロセスは、構成に応じて様々なデータファイルから読取りおよび書込みを行います。WindowsでのOracle Databaseアーキテクチャを図1-1に示します。Windows上でのオプションおよび必須のスレッドの例を表1-1に示します。

図1-1    WindowsでのOracle Databaseアーキテクチャ


画像の説明

表1-1    必須またはオプションのOracle Databaseスレッド 
Oracle Databaseスレッド  説明  必須/オプション 

DBW0 

データベース・ライター 

必須 

LGWR 

ログ・ライター 

必須 

MMAN 

メモリー・マネージャ・プロセス 

必須 

PMON 

プロセス・モニター 

必須 

PSPO 

プロセス起動プロセス 

必須 

SMON 

システム・モニター 

必須 

CKPT 

Windows上でデフォルトで動作するチェックポイント・プロセス(Windowsのスレッド) 

オプション 

ARCH0 

アーカイブ・プロセス(またはWindowsのスレッド) 

オプション 

RECO 

分散リカバリ・バックグラウンド・プロセス 

オプション 


注意

次の問合せを発行して、実行中のバックグラウンド・プロセスを表示できます。

SQL> select * from v$bgprocess where paddr <> '00'; 
 

Oracle Database for Windowsは、一連の実行可能ファイルおよびDynamic Link Library(DLL)として提供されます。ORASTACKを使用して実行可能ファイルのイメージを変更し、Oracle Databaseプロセスのスレッドで使用されるスタックのサイズを変更できます。このツールは、必ずオラクル社カスタマ・サポート・センターの指示に従って使用してください。

ファイルI/Oの拡張

Oracle Databaseでは、64ビットのファイルI/Oをサポートするため、4GBを超えるサイズのファイルを使用できます。さらに、Windows上でOracle Real Application Clusters(RAC)をサポートし、最大限のパフォーマンスが必要な場合に備え、データファイル、ログ・ファイルおよび制御ファイルとして物理および論理RAWファイルがサポートされています。

RAWファイルのサポート

RAWファイルではなく、自動ストレージ管理を使用することをお薦めします。それにより、RAWファイルのパフォーマンスが向上し、管理性を高めることができます。自動ストレージ管理は、単一インスタンスおよびRACデータベースの両方で使用できます。

関連資料

『Oracle Database管理者ガイド』の「自動ストレージ管理の使用」 

RAWファイルとは、1つの大きなファイルとして使用できるフォーマットされていないディスク・パーティションです。フォーマットされていないパーティションであるため、RAWファイルにはファイル・システムのオーバーヘッドがないという利点があります。Windowsでは、UNIXと同様、RAWファイルがサポートされています。データベース・ファイルまたはログ・ファイルにRAWファイルを使用すると、パフォーマンスが向上することがあります。Windows 2003には、全ボリュームを管理するディスク・マネージャ(diskmgmt.msc)があります。Windows 2003には、RAWを含むボリュームを管理するコマンドライン・ユーティリティ(diskpart.exe)もあります。RAWボリュームのアドレッシングにはWindowsのボリューム・マウント・ポイントを使用することをお薦めします。

Oracle Databaseでは、RAWファイルは他のOracle Databaseファイルと変わりありません。これらのファイルは、Oracle Databaseでは他のファイルと同様に扱われ、Recovery ManagerまたはOCOPYを使用してバックアップおよびリストアできます。

WindowsでのOracle Databaseのスケーラビリティ

いくつかの新機能により、Oracle Databaseは、Windows上でより多くのデータベース接続をサポートできます。

Oracle DatabaseとWindowsとの統合

Oracle DatabaseはWindowsとの統合を強化することにより、メンテナンスを容易にし、セキュリティ、ディレクトリ、トランザクション・サービスにおけるエンタープライズレベルでの配置を改善しています。Oracle Databaseの統合機能は次のとおりです。

Oracle PKIとWindowsとの統合

Oracle Advanced Securityには、認証およびシングル・サインオンのためのOracle PKIが統合されています。Oracle Wallet Managerを使用して、OracleベースのアプリケーションとPKI認証および暗号化フレームワークを統合できます。

Oracle Services for Microsoft Transaction Server

Microsoft Transaction Server(MTS)は、分散環境のCOM/COM+オブジェクトおよびトランザクション用のアプリケーション・サーバーとして中間層で使用されます。Oracle Services for Microsoft Transaction Serverを使用すると、Oracle DatabaseをMicrosoft Transaction Serverによって調整されるトランザクションのリソース・マネージャとして使用し、OracleソリューションとMicrosoft Transaction Serverを緊密に統合できます。Oracle Services for Microsoft Transaction Serverは、任意のオペレーティング・システムで実行されるOracle Databaseとともに実行できます。

Oracle Databaseではシステム固有の実装を利用し、リカバリ情報をOracle Databaseそのものに格納します。Oracle Services for Microsoft Transaction Serverにより、Oracle Call Interface(OCI)、ActiveX Data Objects(ADO)、OLE DB、Open Database Connectivity(ODBC)など、業界全体で使用されているすべてのデータ・アクセス・インタフェースでの開発が可能になります。Oracle OCI APIは、効率的に最も優れています。

Oracle Fail SafeとWindowsとの統合

Oracle Fail Safeを使用すると、Oracle Database(および他のOracleアプリケーションとサード・パーティ・アプリケーション)を、Windowsクラスタで高可用性を提供できるように構成および管理できます。インスタンスは、一度に1つのノードでのみ実行されます。

クラスタは、1つの仮想システムとして機能する独立したコンピュータ・システムのグループで、障害の発生箇所となった個々のホスト・システムを排除します。Oracle Fail Safeは、Microsoft Cluster Serverと連動して、1つのクラスタ・システムで障害が発生した場合に、そのシステムで動作しているワークロードを正常なシステムへ、迅速かつ自動的にフェイルオーバーします。Windowsクラスタ上でOracle DatabaseとOracle Fail Safeを組み合せることにより、ハードウェアおよびソフトウェア双方の障害からシステムを保護できます。

優れたソリューションにより、Oracle Fail Safeは、使用頻度の高いデータベースの場合も正常なシステムを即座に使用できるようにしています。

関連資料

ご使用のOracle Fail Safeのドキュメント・セット(Oracle CD-ROMパッケージの別のメディアで提供) 

Oracle Real Application ClustersとWindowsとの統合

Oracle Real Application Clustersは、クラスタ化をサポートするすべてのWindowsオペレーティング・システムに配置されたMicrosoft Cluster Serverクラスタと統合されます。次の機能を提供することにより、Oracle Real Application Clustersの高可用性機能を拡張します。

その他の参考資料

関連項目

 


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