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Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド
10g リリース2(10.2) for Microsoft Windows

B25248-06
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3 記憶域のインストール前の作業

この章では、Oracle Universal Installerを起動する前に完了する必要がある、記憶域の構成作業について説明します。この章で説明する作業は、次のとおりです。

共有ディスクの事前準備

次の手順を実行して、記憶域用の共有ディスクを準備します。

書込みキャッシュの無効化

クラスタ内のノード間でデータの共有に使用するすべてのディスクで、書込みキャッシュを無効にする必要があります。書込みキャッシュを無効にするには、次の手順を実行します。

  1. 「スタート」→「設定」「コントロール パネル」「管理ツール」「コンピュータの管理」「デバイス マネージャ」「ディスク ドライブ」をクリックします。

  2. 「ディスク ドライブ」を展開し、最初に表示されているドライブをダブルクリックします。

  3. 選択したドライブの「ディスクのプロパティ」タブで、書込みキャッシュを有効にするオプションの選択を解除します。

  4. 「ディスク ドライブ」ハイブに表示されているその他の各ドライブをダブルクリックして、前述の手順を実行して書込みキャッシュを無効にします。


    注意:

    ノード間で共有されるファイル(データベース・ファイルを含む)の格納に使用するディスクでは、書込みキャッシュを無効にする必要があります。 


Windows 2003での自動マウントの有効化

Windows 2003を使用している場合、インストールするOracle製品や他の条件によっては、ディスク自動マウントを有効化する必要があります。

自動マウントを有効化する必要があるのは、次のものを使用する場合です。

自動マウントを有効化するには、次の手順を実行します。

  1. コマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    c:¥> diskpart
    DISKPART> automount enable
    Automatic mounting of new volumes enabled.
    
    
  2. exitを入力してdiskpartセッションを終了します。

  3. クラスタ内の各ノードに対して手順1および2を繰り返します。

  4. 前述の手順を実行してWindows 2003 Systemのすべてのクラスタ・ノードの準備を完了した後、それらのすべてのノードを再起動します。


    注意:

    クラスタ内のすべてのノードでは、Oracle RACおよびOracle Clusterwareを正常にインストールするために、自動マウントを有効化している必要があります。自動マウントを有効化してから、データベース、ASMまたはクラスタ・ファイル・システムで使用する論理パーティションを作成することをお薦めします。

    ディスク自動マウントを有効化した後で、各ノードを再起動する必要があります。自動マウントを有効化して、ノードを再起動すると、無効化するまでアクティブなままとなります。 


Oracle Clusterware、データベースおよびリカバリ・ファイルの記憶域オプションの確認

この項では、Oracle Clusterwareファイル、Oracleデータベース・ソフトウェアおよびデータベース・ファイルの格納でサポートされているオプションについて説明します。この項の内容は次のとおりです。

記憶域オプションの概要

記憶域オプションを選択する際には、次の概要を参考にしてください。

Oracle Clusterwareの記憶域オプションの概要

Oracle Clusterwareファイルの格納には、次の2つの方法があります。

ミラー化された1つのOracle Cluster Registry(OCR)ファイルと、ミラー化された2つの投票ディスク・ファイル用のディスク領域を指定する必要があることに注意してください。

Oracleデータベースおよびリカバリ・ファイル・オプションの概要

共有ディスクでのOracleデータベースおよびリカバリ・ファイルの格納には、次の3つの方法があります。

リカバリ・ファイルには、データベース・ファイルと同じ記憶域または別の記憶域のどちらでも選択できます。

記憶域の一般的な考慮事項

すべてのインストールに対して、Oracle ClusterwareファイルおよびOracleデータベース・ファイルで使用する記憶域オプションを選択する必要があります。また、インストール中に自動バックアップを有効にする場合は、リカバリ・ファイル(フラッシュ・リカバリ領域)で使用する記憶域オプションを選択する必要があります。各ファイル・タイプに同一の記憶域を使用する必要はありません。

投票ディスク・ファイルを配置する場合、各投票ディスクがハードウェア・デバイスまたはディスク、他のシングル・ポイント障害を共有しないように、構成されていることを確認します。構成されている投票ディスクの絶対多数(半分以上)は使用可能であり、常にOracle Clusterware の動作に応答する必要があります。

フェイルオーバー用にOracle Clusterwareを使用するシングル・インスタンスのOracleデータベース・インストールでは、フェイルオーバー・プロセスに、データベース・ファイルが含まれるディスクのディスマウントおよび再マウントを含めない場合、OCFS、ASMまたは共有RAWディスクを使用する必要があります。

次の表に、Oracle Clusterwareファイル、Oracleデータベース・ファイルおよびOracleデータベースのリカバリ・ファイルを格納するために使用できる記憶域オプションを示します。Oracle Clusterwareファイルには、Oracle Cluster Registry(OCR)およびOracle Clusterwareの投票ディスクが含まれています。Oracleデータベース・ファイルには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイルおよびパスワード・ファイルが含まれています。


注意:

Oracle RAC環境でサポートされている記憶域オプションの最新情報は、OracleMetaLink Webサイトを参照してください。

https://metalink.oracle.com
 

記憶域オプション 

サポート対象ファイルのタイプ 

  Oracle Clusterware  データベース  リカバリ 

自動ストレージ管理 

不可 

可 

可 

クラスタ・ファイル・システム(OCFS) 

可 

可 

可 

共有RAW記憶域 

可 

可 

不可 

次のガイドラインに従って、各ファイル・タイプで使用する記憶域オプションを選択します。

Oracleデータ・ファイルをファイル・システムに格納するためのガイドライン

Oracleデータ・ファイルをOCFSに格納する場合は、次のガイドラインに従って格納先を決定します。

Oracleリカバリ・ファイルをファイル・システムに格納するためのガイドライン


注意:

インストール中に自動バックアップを有効にする場合にのみ、リカバリ・ファイルの場所を選択する必要があります。 


Oracleリカバリ・ファイルをクラスタ・ファイル・システムに格納する場合、次のガイドラインに従って格納先を決定します。

ディスクの記憶域オプションの選択後の作業

ディスクの記憶域オプションを決定したら、次の作業をここに示す順序どおりに実行する必要があります。

1: CVUを使用した使用可能な記憶域の検証

「CVUを使用した使用可能な共有記憶域の検証」を参照してください。

2: Oracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成
3: Oracleデータベース・ファイルおよびリカバリ・ファイル用の記憶域の構成

CVUを使用した使用可能な共有記憶域の検証

クラスタ内のすべてのノードで使用可能なすべての共有ファイル・システムを検証するには、次のCVUコマンドを使用します。

cluvfy comp ssa -n node_list

インストール・メディアのフルパス名およびruncluvfy.batコマンドを使用します。node_listには、クラスタ内のノードのカンマ区切りリストを指定します。次の例は、node1およびnode2の2ノードで構成されているシステムで、インストール・メディアがF:ドライブにある場合を示しています。

F:¥> clusterware¥cluvfy¥runcluvfy.bat comp ssa -n node1,node2

クラスタ内の特定のノードと特定の共有記憶域タイプの間の共有アクセス性を検証する場合は、次のコマンド構文を使用します。

cluvfy comp ssa -n node_list -s storageID_list

前述の構文で、node_list変数は、カンマで区切られた検証するノードのリストで、storageID_list変数は、検証するファイル・システム・タイプで管理されるストレージ・デバイスIDのリストです。

Real Application Clusters用の記憶域構成手順

管理者権限でWindowsにログインして、次の手順を実行します。手順は、Oracle Cluster File System(OCFS)とRAWデバイスで異なります。

データベース・ファイルに自動ストレージ管理(ASM)を使用する場合は、Oracleホーム、Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスクの記憶域に関連する作業のみの実行が必要です。

共有ファイル・システムでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成

Oracleホームおよびデータ・ファイルにOCFSを使用する場合は、次のパーティションを準備してから、OUIを起動しOracle Clusterwareをインストールする必要があります。

Oracle Clusterwareに必要なOCRおよび投票ディスクも、OCFSデータ・ファイル・ディレクトリ(datafile_disk¥cdata¥clustername)に格納されます。datafile_diskはOCFSパーティションで、clusternameはクラスタ名です。

Oracle Universal Installer(OUI)では、Oracle Cluster Registry(OCR)またはOracle Clusterware投票ディスク用のデフォルトの格納先は提供されません。ファイル・システムにこれらのファイルを作成する場合は、この項で説明する手順を実行して、OCFS用の共有ディスクRAWパーティションを設定します。Windowsでは、RAWパーティションを論理ドライブと呼びます。パーティション作成の詳細は、ディスク管理ツールからWindowsオンライン・ヘルプを参照してください。

  1. 単一のノードでWindowsのディスク管理を実行し、拡張パーティションを作成します。ベーシック ディスクを使用してください。ダイナミック ディスクはサポートされていません。

  2. 2つ以上のパーティションを作成します。1つはOracleホーム用、もう1つはOracleデータベース・ファイル用です。

    OCFSを使用する場合、投票ディスク用のパーティションを作成する必要はありません。OCFSは、投票デバイスをファイルに格納します。

    OCFSで使用するパーティションの数は、パフォーマンスに影響します。そのため、作成するパーティションは、選択するOCFSオプションで最低限必要な数にする必要があります。

必要なパーティションを作成するには、次の手順を実行します。

  1. クラスタの既存のノードのいずれかで、次の手順でWindowsディスク管理ツールを起動します。

    • 「スタート」をクリックし、「設定」「コントロール パネル」「管理ツール」「コンピュータの管理」を選択します。

    • 「記憶域」フォルダの「ディスクの管理」を開きます。マスター・ブート・レコード(MBR)・パーティション・スタイルのベーシック ディスクを、パーティション作成用の拡張パーティションとして使用します。

  2. 拡張パーティションが割り当てられていない部分を右クリックし、「論理ドライブの作成」をクリックします。ウィザードに論理ドライブの構成ページが表示されます。論理ドライブを選択するラジオ・ボタンを選択して「次へ」をクリックします。

  3. 作成するパーティションのサイズを入力して「次へ」をクリックします。

  4. オプション「ドライブ文字またはドライブ パスを割り当てない」を選択して「次へ」をクリックした後、オプション「このパーティションをフォーマットしない」を選択します。ウィザードの最後のページで「完了」をクリックします。

  5. パーティションをさらに追加する場合は、手順24を繰り返します。Oracleホーム用およびOracleデータベース・ファイル用にパーティションを1つずつ構成することをお薦めします。

  6. Windows 2003のシステムにドライブを準備する場合は、論理ドライブの作成後、クラスタ内のすべてのノードを再起動する必要があります。

  7. クラスタ内のすべてのノードでパーティションが表示されていること、およびいずれのOracleパーティションにもドライブ文字が割り当てられていないことを確認してください。いずれかのパーティションにドライブ文字が割り当てられている場合は、次の手順を実行してドライブ文字を削除します。

    • Windowsのディスク管理ツールのパーティションを右クリックします。

    • メニューから、「ドライブ文字とバスの変更」を選択します。

    • 「ドライブ文字とパスの変更」ウィンドウの「削除」をクリックします。

RAWデバイスでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成

RAWデバイスを使用するには、投票ディスク用に256MB、OCR用に256MBの2つのパーティションを作成します。データ・ファイルにOCFSを使用していない場合は、データ・ファイル用のRAWパーティションも作成します(「RAW論理ボリュームまたはRAWパーティションの構成」を参照)。

自動ストレージ管理用のディスクの構成

この項では、ASMで使用するディスクの構成方法について説明します。ディスクを構成する前に、必要なディスクの数と空きディスク領域の大きさを判断する必要があります。

次の項では、要件の確認およびディスクの構成方法について説明します。

自動ストレージ管理の構成における手順の概要

次の手順の概要に従って、自動ストレージ管理を構成します。

  1. ユーザーの環境での記憶域要件を指定します。

  2. 任意で、既存の自動ストレージ管理ディスク・グループを使用します。

  3. 新しい自動ストレージ管理ディスク・グループを作成する場合は、DASまたはSANディスク用にパーティションを作成します。

  4. 次のいずれかの方法を使用して、自動ストレージ管理の構成を実行します。

    • 対話型モードを使用してOracleデータベースをインストールする場合は、インストール中に、Oracle Universal Installerによって自動ストレージ管理のディスク構成情報の入力が求められます。

    • 非対話型モードを使用してOracleデータベースをインストールする場合は、インストールを実行する前にディスクを手動で構成する必要があります。

手順1: 自動ストレージ管理の記憶域要件の指定

自動ストレージ管理を使用するための記憶域要件を指定するには、必要なデバイス数およびディスクの空き領域を確認する必要があります。この作業を実行するには、次の手順を実行します。

  1. Oracleデータ・ファイルまたはリカバリ・ファイル(あるいはその両方)に自動ストレージ管理を使用するかどうかを決定します。


    注意:

    データ・ファイルおよびリカバリ・ファイルに対して、同じメカニズムの記憶域を使用する必要はありません。一方ではファイル・システムを使用し、もう一方では自動ストレージ管理を使用できます。自動ストレージ管理をデータ・ファイルとリカバリ・ファイルの両方で使用する場合、データ・ファイル用とリカバリ・ファイル用に、別々のASMディスク・グループを作成することをお薦めします。 


    インストール時に自動バックアップを有効にする場合、フラッシュ・リカバリ領域にASMディスク・グループを指定して、リカバリ・ファイルの記憶域メカニズムとして自動ストレージ管理を選択できます。インストール時に選択するデータベースの作成方法に応じて次のいずれかを選択します。

    • データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを対話型モードで実行するインストール方法を選択した場合(アドバンスト・データベース構成オプションを選択した場合など)、データ・ファイルとリカバリ・ファイルに同じASMディスク・グループを使用するかどうかを決定できます。それぞれのファイル・タイプで異なるディスク・グループを使用するように選択することもできます。データ・ファイル用とリカバリ・ファイル用に、別々のASMディスク・グループを作成することをお薦めします。

      インストール後にデータベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用してデータベースを作成する場合に、同じ選択内容を使用できます。

    • データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを非対話型モードで実行するインストール・タイプを選択した場合は、データ・ファイルとリカバリ・ファイルに同じ自動ストレージ記憶域ディスク・グループを使用する必要があります。

  2. 自動ストレージ管理ディスク・グループに使用する自動ストレージ管理の冗長レベルを選択します。

    自動ストレージ管理ディスク・グループに選択した冗長レベルによって、ASMでディスク・グループ内のファイルをミラー化する方法および必要となるディスク数とディスク領域が決定されます。冗長レベルは、次のとおりです。

    • 外部冗長

      外部冗長ディスク・グループでは、最小で1台のディスク・デバイスが必要です。外部冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計です。

      自動ストレージ管理は外部冗長ディスク・グループ内のデータをミラー化しないため、このタイプのディスク・グループのディスク・デバイスとしては、RAIDのみを使用するか、または同様にデバイス独自のデータ保護メカニズムを持つデバイスを使用することをお薦めします。

    • 標準冗長

      標準冗長ディスク・グループでは、自動ストレージ管理はデフォルトで双方向のミラー化を使用し(3方向でミラー化される制御ファイルは除く)、パフォーマンスおよび信頼性を向上させます。標準冗長ディスク・グループでは、最小で2台のディスク・デバイスまたは2つの障害グループが必要です。標準冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の半分です。

      ほとんどの使用環境では、標準冗長ディスク・グループを使用することをお薦めします。

    • 高冗長

      高冗長ディスク・グループでは、自動ストレージ管理はデフォルトで3方向のミラー化を使用してパフォーマンスを向上させ、最高レベルの信頼性を提供します。高冗長ディスク・グループでは、最小で3台のディスク・デバイス(または3つの障害グループ)が必要です。高冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の3分の1です。

      高冗長ディスク・グループでは、高レベルのデータ保護が提供されますが、この冗長レベルの使用を決定する前に、追加するストレージ・デバイスのコストを考慮する必要があります。

  3. データ・ファイルおよびリカバリ・ファイルに必要なディスク領域の合計容量を決定します。

    次の表を使用して、使用環境に必要なディスクの最小台数およびディスクの最小領域を決定します。

    冗長レベル  ディスクの最小台数  データ・ファイル  リカバリ・ファイル  合計 

    外部 

    1.15GB 

    2.3GB 

    3.45GB 

    標準 

    2.3GB 

    4.6GB 

    6.9GB 

    高 

    3.45GB 

    6.9GB 

    10.35GB 

    ASMインスタンスがすでにシステムに存在する場合は、これらの記憶域要件を満たすために、既存のディスク・グループを使用することができます。インストール時、必要に応じて、既存のディスク・グループにディスクを追加できます。

    次の項では、既存ディスク・グループの指定方法およびそのディスク・グループが持つ空きディスク領域の確認方法について説明します。

  4. 必要な場合は、ASMディスク・グループのデバイスに障害グループを指定します。


    注意:

    データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを対話型モードで実行するインストール方法を使用する場合(カスタム・インストール・タイプやアドバンスト・データベース構成オプションを選択する場合など)にのみ、この手順を実行する必要があります。他のインストール・タイプでは、障害グループを指定できません。 


    標準または高冗長ディスク・グループを使用する場合は、カスタム障害グループのディスク・デバイスを関連付けることによって、ハードウェア障害に対するデータベースの保護を強化できます。障害グループには、障害の可能性のある共通のメカニズムを共有しているASMディスクを定義します。ASM障害グループの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


    注意:

    カスタム障害グループを定義する場合、標準冗長ディスク・グループでは最小で2つの障害グループ、高冗長ディスク・グループでは3つの障害グループを指定する必要があります。 


  5. システムに適切なディスク・グループが存在しない場合は、適切なディスク・デバイスを設置または指定して、新しいディスク・グループを追加します。次のガイドラインに従って、適切なディスク・デバイスを指定します。

    • 自動ストレージ管理ディスク・グループのすべてのデバイスは、サイズおよびパフォーマンス特性が同じである必要があります。

    • 同じディスク・グループのASMディスクとして、単一の物理ディスクにある複数のパーティションを指定しないでください。自動ストレージ管理は、ディスク・グループの各デバイスが、別々の物理ディスク上に存在するとみなします。

    • 論理ボリュームは、自動ストレージ管理ディスク・グループのデバイスとして指定できますが、これを使用することはお薦めしません。論理ボリューム・マネージャは、物理ディスク・アーキテクチャを隠すことができ、これによって自動ストレージ管理による物理デバイス間のI/Oの最適化が行われなくなります。

手順2(任意): 既存の自動ストレージ管理ディスク・グループの使用

データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの記憶域として自動ストレージ管理を使用する場合に、自動ストレージ管理ディスク・グループがすでに存在する場合は、選択したインストール方法に応じて、次のいずれかを選択します。

既存のASMディスク・グループが存在するかどうか、またはディスク・グループに十分なディスク領域があるかどうかを判断するために、Oracle Enterprise ManagerのGrid ControlまたはDatabase Controlを使用できます。また、次の手順も使用できます。

  1. コントロール パネルの「サービス」で、OracleASMService+ASMnサービスが起動されていることを確認します。nは、ノードの数です。

  2. Windowsのコマンド・プロンプトを開き、一時的に環境変数ORACLE_SIDに、使用するASMインスタンスに対して適切な値を指定します。

    たとえば、ASM SID を+ASM1とした場合、次の設定を入力します。

    C:¥> set ORACLE_SID = +ASM1
    
    
  3. AS SYSDBA権限を持つSYSユーザーとして自動ストレージ管理インスタンスに接続し、必要に応じて次のコマンドでインスタンスを起動します。

    C:¥> sqlplus "SYS/SYS_password as SYSDBA"
    SQL> STARTUP
    
    
  4. 次のコマンドを入力して、既存のディスク・グループ、それらの冗長レベルおよび各ディスク・グループでのディスクの空き領域を表示します。

    SQL> SELECT NAME,TYPE,TOTAL_MB,FREE_MB FROM V$ASM_DISKGROUP;
    
    
  5. 出力結果から、適切な冗長レベルが設定されているディスク・グループを特定し、そのディスク・グループにある空き領域を記録します。

  6. 必要に応じて、前述の記憶域要件のリストを満たすために必要な追加のディスク・デバイスを設置または指定します。


    注意:

    既存のディスク・グループにデバイスを追加する場合は、サイズおよびパフォーマンス特性が、そのディスク・グループ内の既存デバイスと同じであるデバイスの使用をお薦めします。 


手順3: 自動ストレージ管理用のDASまたはSANディスク・パーティションの作成

自動ストレージ管理にDASまたはSANディスクを使用するには、ディスクにパーティション表が必要です。各ディスクごとに全部で1つのパーティション(ディスク全体を含む)を作成することをお薦めします。


注意:

パーティション化されていれば、どのような物理ディスクも自動ストレージ管理に使用できます。ただし、NASまたはMicrosoftダイナミック ディスクは使用できません。 


Microsoft Computer Managementまたはコマンドライン・ツールdiskpartを使用して、パーティションを作成することをお薦めします。パーティションはドライブ文字を指定しないで作成してください。パーティションを作成すると、ディスクを構成できます。

参照:

diskpartを使用したパーティション作成の詳細は、「論理名の割当て」を参照してください。 

手順4: 自動ストレージ管理用のディスクの手動構成

DAS(Direct Attached Storage)またはSAN(Storage Area Network)ストレージとともに自動ストレージ管理を使用するには、ディスクにヘッダーがスタンプされている必要があります。対話型モードでOracleデータベースをインストールする場合は、インストール・プロセス中に、Oracle Universal Installerによってディスクのヘッダーが構成されます。

ただし、非対話型モードでOracleデータベースをインストールする場合は、インストール前に、asmtoolg(GUI)またはasmtool(コマンドライン)を使用して、ディスクを手動で構成する必要があります。また、インストール後に、これらのツールを使用してディスクを再構成することもできます。asmtoolgおよびasmtoolユーティリティは、パーティション化されたディスクに対してのみ動作します。パーティション化されていないディスクには、自動ストレージ管理は使用できません。

次の項では、asmtoolgおよびasmtool の機能とコマンドについて説明します。

asmtoolgおよびasmtoolの概要

asmtoolgおよびasmtoolツールは、ディスクに意味のある永続的な名前を関連付けることによって、自動ストレージ管理でのそれらのディスクの使用を容易にします。自動ストレージ管理は、ディスク・グループを同時に、より簡単に操作するためにディスク文字列を使用します。asmtoolgまたはasmtoolで作成された名前を使用すると、Windowsのドライブ文字を使用するよりも操作が簡単になります。

asmtoolgまたはasmtoolで作成されたすべてのディスク名は、接頭辞ORCLDISKで始まり、ユーザー定義の接頭辞(デフォルトはDATA)と、識別を目的としたディスク番号が続きます。¥¥.¥ORCLDISKprefixnという名前を指定すると、これらを、RAWデバイスとして自動ストレージ管理インスタンスで使用できます。prefixDATAまたはユーザー指定の値のいずれかで、nはディスク番号です。

asmtoolgを使用してディスクを構成する場合は、「asmtoolgの使用(Graphical User Interface)」を参照してください。asmtoolを使用してディスクを構成する場合は、「asmtool(コマンドライン)の使用」を参照してください。

asmtoolgの使用(Graphical User Interface)

asmtoolgは、デバイス名を作成するためのグラフィカル・インタフェースです。asmtoolgを使用して、自動ストレージ管理で使用可能なデバイスを追加、変更、削除および調査します。

ディスク・スタンプを追加または変更するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Database 10g リリース2(10.2)のインストール・メディアで、db¥asmtoolに移動し、asmtoolgをダブルクリックします。

    Oracleデータベースがすでにインストールされている場合は、ORACLE_BASE¥ORACLE_HOME¥binに移動して、asmtoolgをダブルクリックします。

  2. 「Add or change label」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。

    asmtoolgによって、システムで使用可能なデバイスが表示されます。認識されていないディスクは、「Candidate device」としてラベル付けされます。RAWデバイス・ファイルは、「Oracle raw device file」としてラベル付けされます。スタンプされた自動ストレージ管理ディスクは、「Stamped ASM disk」としてラベル付けされ、スタンプされていない自動ストレージ管理ディスクは、「Unstamped ASM disks」としてラベル付けされます。また、このツールは、ディスクをWindowsで認識されるファイル・システム(NTFSなど)としても表示します。これらはのディスクは、ASMディスクとしては使用できないため、選択できません。また、Microsoftダイナミック ディスクもASMディスクとしては使用できません。

    必要に応じて、「論理ボリューム用のパーティションの作成」の手順を実行し、ASMインスタンスのディスク・パーティションを作成します。

  3. 「Stamp Disks」画面で、スタンプするディスクを選択します。

    自動ストレージ管理は、簡単に使用できるように、任意の接頭辞に対して選択されたすべてのデバイスに一意のスタンプを生成できます。スタンプは、指定した接頭辞と数値を連結して生成されます。たとえば、接頭辞がDATAの場合、最初の自動ストレージ管理リンク名はORCLDISKDATA0となります。

    また、個々のデバイスのスタンプも指定できます。

  4. 任意で、ディスクを選択して個々のスタンプ(自動ストレージ管理リンク名)を編集します。

  5. 「Next」をクリックします。

  6. 「Finish」をクリックします。

ディスク・スタンプを削除するには、次の手順を実行します。

  1. 「Delete labels」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。

    「delete」オプションは、ディスクがスタンプされている場合にのみ使用できます。「delete」画面には、スタンプされたすべての自動ストレージ管理ディスクが表示されます。

  2. 「Delete Stamps」画面で、スタンプを削除するディスクを選択します。

  3. 「Next」をクリックします。

  4. 「Finish」をクリックします。

asmtool(コマンドライン)の使用

asmtoolは、ディスクをスタンプするためのコマンドライン・インタフェースです。asmtoolには、次のオプションがあります。

オプション  説明   

-add 

スタンプを追加または変更します。ハード・ディスク、パーティションおよび新しいスタンプ名を指定する必要があります。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存の自動ストレージ管理スタンプが含まれている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。

必要に応じて、「論理ボリューム用のパーティションの作成」の手順を実行し、ASMインスタンスのディスク・パーティションを作成します。 

asmtool -add [-force]
¥Device¥Harddisk1¥Partition1 ORCLDISKASM0
¥Device¥Harddisk2¥Partition1 ORCLDISKASM2...
 

-addprefix 

共通の接頭辞を使用してスタンプを追加または変更し、自動的にスタンプを生成されます。スタンプは、指定した接頭辞と数値を連結して生成されます。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存の自動ストレージ管理スタンプが含まれている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。 

asmtool -addprefix ORCLDISKASM [-force]
¥Device¥Harddisk1¥Partition1
¥Device¥Harddisk2¥Partition1...
 

-list  

使用可能なディスクを表示します。スタンプ、Windowsデバイス名およびディスク・サイズ(MB)が表示されます。一部のディスクはファイル・システムであるため、スタンプできません。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存のASMスタンプが含まれている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。 

asmtool -list [-force]
 

-delete 

ディスクから既存のスタンプを削除します。 

asmtool -delete ORCLDISKASM0 ORCLDISKASM1...
 


注意:

-add-addprefixおよび-deleteを指定した場合、asmtoolは、ローカル・マシンおよびクラスタ内の他のノード(使用可能な場合)上のすべての自動ストレージ管理インスタンスに、使用可能なディスクを再スキャンするように通知します。 


RAW論理ボリュームまたはRAWパーティションの構成

この項の内容は次のとおりです。

論理ボリューム用のパーティションの作成

次の表に示す論理ボリュームを作成します。Oracleデータベースをインストールするには、これらのボリュームを作成する必要があります。

  パーティション・サイズ(MB)  目的および論理ボリューム名の例 

500 

SYSTEM表領域: dbname_system_raw_500m 

800 

SYSAUX表領域: dbname_sysaux_raw_800m 

1(インスタンスごと) 

500 

UNDOTBS1表領域: dbname_undotbs1_raw_500m 

180 

EXAMPLE表領域: dbname_example_raw_180m 

120 

USERS表領域: dbname_users_raw_120m 

2(インスタンスごと) 

120 

2つのオンラインREDOログ(mはスレッド番号、nはログ番号で1または2): dbname_redom_n_raw_120m 

110 

第1および第2制御ファイル:

dbname_control[1|2]_raw_110m 

250 

TEMP表領域: dbname_temp_raw_250m 

サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE): dbname_spfile_raw_5m 

パスワード・ファイル: dbname_pwdfile_raw_5m 

RAWボリュームまたはパーティションを作成および構成するには、オペレーティング・システムまたはサード・パーティ・ベンダーによって提供されるディスク管理ツールを使用します。次の管理ツールは、オペレーティング・システムによって提供されます。

diskpartツールのcreate partitionコマンドを使用して、プライマリ・パーティション、拡張パーティションまたは論理ドライブを作成できます。

次の例では、diskpartツールを使用して、disk 100に32MBの拡張パーティションを作成します。この構文で、diskpart.exeは、ディスクを管理するためのコマンドライン・ツールです。

c:¥> diskpart.exe
DISKPART> select disk 100
DISKPART> create partition extended size=32


注意:

パーティションに関する次の制限に注意してください。

  • OUIを実行したOracle Clusterwareのインストール中に定義した記憶域には、プライマリ・パーティションが含まれているディスクに定義したパーティションは使用できません(第4章「Windows-Based SystemsへのOracle Clusterwareのインストール」を参照)。

  • 32-bitのWindowsでは、1つのディスクに作成できるプライマリ・ディスク・パーティション数は最大4です。64-bitおよびx64のWindowsでは、作成できるプライマリ・パーティション数は最大128です。ただし、ディスクが競合しないように、作成するパーティションの数を制限することをお薦めします。

これらの制限のため、プライマリ・パーティションではなく拡張パーティションを使用する方が適した場合があります。 


論理名の割当て

ボリュームの作成後、Oracleデータベースに論理名を割り当てます。コマンドラインからimportSYMLinksを使用して、またはOracle Object Link Managerを使用して、名前をパーティションに割り当てることができます。Oracle Object Link Managerを使用して、対応するRAWパーティションへの永続シンボリック・リンクを作成するには、コマンドCRS_home¥bin¥GUIOracleObjManager.exeを実行します。


注意:

Windows Server 2008でOracle Clusterwareホームにある実行可能ファイルを実行するには、管理者権限を保持し、管理コマンド・プロンプトからコマンドを実行する必要があります。 


DBCA RAWデバイス・マッピング・ファイルの作成


注意:

データベース・ファイルにRAWデバイスを使用している場合にのみ、この手順を実行する必要があります。DBCAのRAWデバイス・マッピング・ファイルには、Oracle Clusterwareファイル用のRAWデバイスは指定しません。 


データベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)で各データベース・ファイルに適切なRAWパーティションのシンボリック・リンクを識別できるようにするには、次の手順を実行し、RAWデバイス・マッピング・ファイルを作成する必要があります。

  1. 次の例に示すように、環境変数ORACLE_BASEに、以前に選択または作成したOracleベース・ディレクトリを指定します。

    C:¥>set ORACLE_BASE = E:¥oracle
    
    
  2. 次の例に示すように、Oracleベース・ディレクトリにデータベースのサブディレクトリを作成します。

    C:¥>mkdir E:¥oracle¥dbname
    
    

    dbnameは、以前選択したデータベースの名前です。

  3. ディレクトリを%ORACLE_BASE%¥dbnameディレクトリに変更します。

  4. 任意のテキスト・エディタを使用して、conf.txtというファイルを作成します。このファイルには、次の特性があります。

    次の構文は、2インスタンスのOracle RACクラスタに対するマッピング・ファイルの例です。

    system=¥¥¥¥.¥¥dbname_SYSTEM 
    sysaux=¥¥¥¥.¥¥dbname_SYSAUX 
    spfile=¥¥¥¥.¥¥dbname_SPFILE 
    users=¥¥¥¥.¥¥dbname_USERS 
    temp=¥¥¥¥.¥¥dbname_TEMP 
    undotbs1=¥¥¥¥.¥¥dbname_UNDOTBS1 
    undotbs2=¥¥¥¥.¥¥dbname_UNDOTBS2 
    control1=¥¥¥¥.¥¥dbname_CONTROL1 
    control2=¥¥¥¥.¥¥dbname_CONTROL2 
    redo1_1=¥¥¥¥.¥¥dbname_REDO1_1 
    redo1_2=¥¥¥¥.¥¥dbname_REDO1_2 
    redo2_1=¥¥¥¥.¥¥dbname_REDO2_1 
    redo2_2=¥¥¥¥.¥¥dbname_REDO2_2 
    example=¥¥¥¥.¥¥dbname_EXAMPLE 
    pwdfile=¥¥¥¥.¥¥dbname_pwdfile
    
    
  5. ファイルを保存して、指定したファイル名を書き留めます。

  6. 任意で、環境変数DBCA_RAW_CONFIGに、このファイルへのフルパスを指定できます。手順1で定義したOracleベースの場合、次のコマンドを使用します。

    C:¥>set DBCA_RAW_CONFIG=E:¥oracle¥dbname¥conf.txt
    
    

Oracleが管理するファイルの要件

データベース・ファイルにOCFSまたはASMを使用した場合、データベースは、デフォルトで、Oracleデータベースが管理するファイルを使用して作成されます。また、カスタム・インストール・タイプまたはアドバンスト・データベース作成オプションを選択した場合も、Oracleが管理するファイルの使用を選択できます。この機能を使用する場合は、データベース・ファイルの作成または削除時に、ファイル名のかわりにデータベース・オブジェクト名のみを指定する必要があります。

Oracle Managed Filesを使用可能にするには、設定の手順を実行する必要があります。

参照:

『Oracle Database管理者ガイド』のOracle Managed Filesの使用に関する項を参照してください。 


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