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Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド
リリース7.0
E05167-03
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データ・ストアのコピー、移行、バックアップおよびリストア

データ・ストアのコピー、バックアップ、リストアおよび移行用のTimesTenユーティリティでは、次の処理を実行できます。

TimesTenのリリースの間でデータ・ストアを移行するには、ttMigrateユーティリティを使用します。このユーティリティは、TimesTenデータ・ストアの表および索引をバイナリ・ファイルに保存します。その後、それらの表および索引は、別のTimesTenデータ・ストアにリストアできます。これによって、TimesTenのリリース間でのデータの移行が可能になります。

ハードウェア・プラットフォーム間でデータ・ストアを移行するには、ttBulkCpユーティリティを使用します。このユーティリティは、表の行をASCIIファイルに保存します。これによって、データ・ストア間(TimesTenの異なるリリースのデータ・ストア間、異なるハードウェア・プラットフォームのデータ・ストア間など)での単一表のコピーが可能になります。

行データを既存の表に追加するには、ttBulkCpユーティリティを使用します。データをASCIIファイルに保存して、ttBulkCpユーティリティを使用すると、TimesTenデータ・ストアの表に行データをロードできます。追加する行には、表と同じ列数を含める必要があります。また、各列のデータは、その列に定義されているデータ型である必要があります。ttBulkCpユーティリティはASCIIファイルに保存されたデータに対して処理を行うため、列数とデータ型がTimesTenデータ・ストアの表の列数とデータ型と一致し、検出されたファイルがttBulkCpと互換性を持っている場合、このユーティリティを使用して他のアプリケーションからデータをインポートすることもできます。

データ・ストアのスナップショットを作成して、後でデータ・ストアを完全に同じ状態にリストアするには、ttBackupおよびttRestoreユーティリティ、またはttBackupおよびttRestoreユーティリティのC関数を使用します。

データ・ストア内の表の所有者の名前を変更するには、ttMigrateユーティリティを使用します。表のリストア時に、-renameオプションを使用して表の所有者の名前を変更します。

データ・ストアのバックアップおよびリストア

TimesTenのバックアップおよびリストア機能を使用すると、TimesTenデータ・ストアのバックアップの作成、およびその後のデータ・ストアのリストアが可能になります。バックアップおよびリストア機能は、主に、失われた最新の状態のデータ・ストアをリストアするために使用します。

すべてのデータ・ストアのバックアップには、バックアップ・ポイント(バックアップを開始した時点)で存在していたとおりにデータ・ストアをリストアするために必要な情報が含まれています。指定したバックアップからデータ・ストアをリストアすると、バックアップ・ポイント前にコミットしたすべてのトランザクションの変更がリストアされます。

今回のリリースのTimesTenでは、全体バックアップおよび増分バックアップの両方がサポートされています。増分バックアップは、既存のバックアップをバックアップ・ポイント以降に作成されたすべてのログ・レコードで増補することによって、バックアップ・ポイントを後の時点まで進めます。

TimesTenは、バックアップ・パスで指定した場所にデータ・ストアのバックアップを書き込みます。このパスは、ディレクトリ名およびオプションのベース名で構成されます。バックアップの作成時には、バックアップ・ディレクトリおよびベース名を指定する必要があります。ベース名を指定しなかった場合、ベース名は、デフォルトでデータ・ストア自体のベース名になります。


注意: バックアップ・ディレクトリの内容は手動で変更しないでください。バックアップ・ディレクトリ内のいずれかのファイルを追加、削除または変更(ttBackupおよびttRestoreによる変更は除く)すると、バックアップの整合性が損なわれ、このバックアップからデータ・ストアをリストアできなくなる場合があります。

また、TimesTenでは、ストリーム・バックアップも可能です。ストリーム・バックアップでは、データ・ストアのバックアップがstdoutに書き込まれます。

特定のバックアップ・パスに格納されている、特定のデータ・ストアのバックアップ情報が含まれている一連のファイルは、バックアップ・インスタンスと呼ばれます。バックアップ・インスタンスは、増分バックアップに対して明示的に使用可能にする必要があります。

増分バックアップでは、同じデータ・ストアの既存の増分可能バックアップの増補のみを行うことができます。バックアップからデータ・ストアをリストアすると、このデータ・ストアのすべての既存の増分可能バックアップは、増分不可になります。

TimesTenでは、データ・ストアごとに最大8つの増分可能バックアップ・インスタンスがサポートされています。9番目のバックアップ・パスで増分バックアップを開始しようとすると、エラーが発生します。増分バックアップは、永続ディスク・ロギングのデータ・ストアでのみサポートされています。

増分バックアップに関する情報は、データ・ストアのリカバリまたはリストアにまたがっては保存されません。既存のバックアップ・インスタンスは引き続きデータ・ストアのリストアに使用できますが、これらのインスタンスに対する増分バックアップは再度使用可能にする必要があります。

バックアップ処理は原子的な処理です。成功すると、データ・ストアをそのバックアップ・ポイントの状態にリストアするために使用可能なバックアップが生成されます。なんらかの理由で失敗すると、既存のバックアップが存在する場合はそれがそのままの状態で残り、バックアップ・ポイントは変更されません。


注意: 全体バックアップの場合、新しいバックアップが作成されるまで、既存のバックアップおよび新しいバックアップの両方を保持できる十分なディスク領域が必要です。

既存のバックアップ・ファイルは、全体バックアップまたは増分バックアップの失敗によって変更される場合があります。ただし、これによって、これらのファイルからデータ・ストアをリストアできなくなることはありません。

通常、増分バックアップは、全体バックアップよりコピーするデータ量が少ないため、処理が早く完了します。増分バックアップでは、ディスク使用率を増加し、リストアにかかる時間を長くすることによって全体バックアップより高いパフォーマンスが実現されています。増分バックアップは、バックアップにかかる時間、ディスク使用率、リストアにかかる時間のバランスを考慮し、全体バックアップと組み合せて使用してください。

TimesTenでサポートされているバックアップ・タイプは次のとおりです。

バックアップ・タイプ
ファイルまたはストリーム
全体または増分
増分可能
コメント
fileFullEnable
ファイル
全体
はい
 
fileIncremental
ファイル
増分
はい
増分バックアップが不可の場合は失敗します。
fileIncrOrFull
ファイル
両方
はい
可能な場合はfileIncremental、そうでない場合はfileFullEnableを実行します。
streamFull
ストリーム
全体
いいえ
 
incrementalStop
なし
なし
いいえ
バックアップを行いません。既存の増分可能バックアップを使用不可にします。

TimesTenのバックアップおよびリストア機能の使用方法の詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database APIリファレンス・ガイド』を参照してください。