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Oracle TimesTen In-Memory Database APIリファレンス・ガイド
リリース7.0
E05170-03
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ttXactAdmin

説明

ttXactAdminユーティリティは、未処理の各トランザクションの所有者、ステータス、ログおよびロックの情報を表示します。また、ttXactAdminユーティリティを使用すると、XAトランザクション・ブランチのコミット、強制終了または消去を経験則的に実行できます。

構文

ttXactAdmin  [-h | -help | -?]

ttXactAdmin [-V | -version]

ttXactAdmin [-v verbosity] [-lsn]
           [-mt maxTrans] [-ml maxLocks] [-pid pid]
           [-xact xid] [-tbl [owner.]tableName]
           [-row rowid] [-interval seconds] [-count iterations]
           {DSN | -connstr <connStr>}

ttXactAdmin -latch
           [-interval <seconds>] [-count <number>]
           {DSN | -connstr connStr}

ttXactAdmin -latchstats [clear | off |on | show]
           [-interval seconds] [-count iterations]
           {DSN | -connstr connStr}

ttXactAdmin -connections

           [-pid pid]
           [-interval seconds] [-count iterations]

           {DSN | -connstr connStr}

ttXactAdmin -xactIdRollback xid {DSN | -connstr connStr}

ttXactAdmin {-HCommit xid | -HAbort xid | -HForget xid}
           {DSN | -connstr connStr}

オプション

ttXactAdminには次のオプションがあります。

オプション
説明

-connections

データ・ストアへの現在の接続をすべて表示します。-connectionsオプションとともに実行する場合、ttXactAdmin自体はデータ・ストアへ実際の接続を確立せず、ラッチを要求しません。このことは、フリーズしたシステムを診断するときに役立つことがあります。

-connStr

connection_string

データ・ストア名、サーバー名とDSN(必要に応じて)および関連する接続属性を含むODBC接続文字列。

-count iterations

iterations回レポートを生成します。-intervalオプションを指定しない場合は、1秒間隔で生成します。

DSN

管理するデータ・ストアのODBCデータソース名を示します。

-h

-help

-?

使用方法のメッセージを出力して終了します。

-HAbort xid

TimesTenのXAトランザクション・ブランチを経験則的に強制終了します。トランザクションIDには、ローカルTimesTenのTransIDを指定する必要があります。

-HCommit xid

TimesTenのXAトランザクション・ブランチを経験則的にコミットします。トランザクションIDには、ローカルTimesTenのTransIDを指定する必要があります。

-HForget xid

TimesTenのXAトランザクション・ブランチを経験則的に消去します。トランザクションIDには、ローカルTimesTenのTransIDを指定する必要があります。

-interval seconds

指定した秒数一時停止しながら、レポートの生成を繰り返します。-countオプションが指定されない場合は、永続的に繰り返します。

-latch

このオプションは、Oracleサポート・サービスによってのみ使用されます。このオプションは、指定したデータ・ストアのラッチ情報のみを表示します。

-latchstats
[clear | off | on | show]

このオプションは、Oracleサポート・サービスによってのみ使用されます。このオプションは、リクエストしたlatchstat処理を実行します。
-latchstatsが使用される場合、その他のすべてのオプションは無視されます。
clear: すべてのlatchstat情報を0(ゼロ)にリセットします。
off: latchstatsの収集をオフにします。
on: latchstatsの収集をオンにします。
show: アクセス・カウントおよびその他のstatsを含むラッチ情報を表示します。処理が指定されない場合は、デフォルトになります。

-lsn

トランザクションによって書き込まれた、最初と最後のログ・レコードのログ順序番号を表示します(存在する場合)。両方のLSN値が-1である場合は、そのトランザクションが読取り専用であることを示しています。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。

-ml maxLocks

トランザクションごとのロックの最大数です。デフォルトは6000です。

-mt maxTrans

表示する最大トランザクション数を指定します。デフォルトは、未処理のトランザクションすべてが表示されます。

-pid pid

指定したpidのプロセスによって開始されたトランザクションのみを表示します。Linuxでは、接続をオープンしたスレッドのpidです。

-row rowid

指定した行のロック情報を表示します。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。

-tbl [owner.]tableName

指定した表のロック情報を表示します。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。

-V | -version

ttXactAdminのリリース番号を出力し、終了します。

-v verbosity

冗長レベルを指定します。冗長レベルは、次のいずれかになります。
0: 行ロックの表の名前を表示しません。この場合、ttXactAdminの実行がより高速になります。
1: (デフォルト)行ロックの表の名前を表示します。

-xact xid

指定されたトランザクションの情報を表示します。指定されたトランザクションのLSNは、自動的に出力に含まれます。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。

-xactIdRollback
xid

トランザクションをロールバックできます。このことは、特に長時間実行トランザクションで有効である可能性があります。このパラメータxidは、トランザクションIDを表します。
現在実行している処理をトランザクションにかわって停止してから、TimesTen内でトランザクションをロールバックします。
ロールバックがリクエストされたときにチェックポイント処理が進行中の場合、TimesTenによってチェックポイント処理が終了されます。
このコマンドによって、Oracle上でのキャッシュ接続操作が停止されることはありません。このような操作には、PassThrough文、フラッシング、手動ロード、手動リフレッシュ、同期WRITETHROUGH、伝播および透過的ロードが含まれます。
ADMIN権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。

出力

ttXactAdminは次の出力を生成します。

説明

Program File Name

トランザクションを所有するプロセスの実行可能ファイル名です。

PID

トランザクションを所有するアプリケーションのプロセスIDです。Linuxでは、これは接続をオープンしたスレッドのPIDです。

Context

単一のマルチスレッド・プロセスによる、データ・ストアへの複数の接続で区別するための内部識別子です。

TransId

TimesTenによって内部的に使用される、一意のトランザクション識別子です。識別子は2つの部分で構成されます。最初の部分は比較的小さな値(2048未満)で、同時にアクティブであるトランザクションを区別するために使用されます。2つ目の部分は大きな値(符号なし整数)になる可能性が高く、最初の部分が続けて使用される場合にそれらを区別するために使われます。この値は、必要に応じて始めに戻ります。このため、識別子4.100および4.200は同時には存在しません。4.100が出現し、その次に4.200が出現する場合、これはトランザクション4.100が完了(コミットまたはロールバック)したことを示しています。

TransStatus

トランザクションの現在のステータスです。次のいずれかのステータスになります。
Active: アクティブなトランザクション。
Committing: コミット中のトランザクション。ロックが解放されています。
Ckpointing: チェックポイントを実行しているトランザクション。
Rep-Wait-Return: RETURN RECEIPT/コミットを待機している、レプリケートされたトランザクション。
Idle: データに現在アクセスしていないトランザクション・ブランチ。
Prepared: 準備されたトランザクション・ブランチ。
Heur-Committed: 経験則的にコミットされたトランザクション・ブランチ。
Heur-Aborted: 経験則的に強制終了されたトランザクション・ブランチ。
Propagating: Oracleのコミットを待機しているTimesTenトランザクション。

Resource

要求されているロックのタイプです。
Row: 行レベル・ロック。
HashedKey: ハッシュ索引のキー値に保持されたロック。処理でハッシュ索引を更新する必要がある場合に取得されます。
Table: 表レベル・ロック。
EndScan: 表またはTツリー・スキャン・ロックの終了。
Database: データ・ストア・レベル・ロック。
Command: コマンド・ロック。
Prepare: コマンドの準備中に取得されたロック。
GrpComm: グループ・コミット・ロック。
ReplHold: レプリケーション保持のロック。
XlaHold: XLA保持のロック。

ResourceId

一意の各リソースの一意識別子。この識別子は、10進値で表示される表とCompCmdを除き、16進形式で表示されます。

Mode

ロックが提供する同時実行性のレベルを判断するために使用される値です。

S: シリアライズ可能な分離における共有ロック。
Sn: シリアライズ可能でない分離における共有ロック。
U: シリアライズ可能な分離における更新ロック。
Un: シリアライズ可能でない分離における更新ロック。
En: シリアライズ可能でない分離におけるスキャン終了ロック。
IRC: シリアライズ可能でない分離における意図的な共有ロック。
IS: シリアライズ可能な分離における意図的な共有ロック。
IU: シリアライズ可能な分離における意図的な更新ロック。
IUn: シリアライズ可能でない分離における意図的な更新ロック。
IX: シリアライズ可能な分離における意図的な排他ロック。
IXn: シリアライズ可能でない分離における意図的な排他ロック。
SIX: シリアライズ可能な分離における、排他ロックの設定を目的とした共有ロック。
SIXn: シリアライズ可能でない分離における、排他ロックの設定を目的とした共有ロック。
X: 排他ロック。
Xn: シリアライズ可能でない分離における排他ロック。
W: 更新、挿入または削除表ロック。
XNi: 表または一意でない索引に挿入するための次のロック。
NS:シリアライズ可能な分離におけるすべての表ロックと競合するコミット読取り分離における表ロック。
ロック"0"は、ブロックしている処理がまだ待機リストにあることを意味します。

HMode

待機状態のトランザクションが要求しているロックを保持する競合トランザクションのロック・モード。同時実行性レベルについては、この表の「Mode」を参照してください。

RMode

待機状態のトランザクションがロックの保持を要求しているモードを示します。同時実行性レベルについては、この表の「Mode」を参照してください。

HolderTransId

待機状態のトランザクションが競合しているトランザクションの識別子。

Name

ロックが保持されている、またはロックを含む表の名前。

次のコマンドはデータ・ストア内のすべてのロックを表示します。

ttXactAdmin -connstr DSN=demodata

Outstanding locks

PID   Context  TransId     TransStatus Resource   ResourceId  Mode Name 
Program File Name: localtest 
10546 0x118e28 2047.000003 Active      Table      411104      IS   SYS.TABLES 
                                       Table      416480      IXn  TEST1.TAB1 
                                       Row        0x00065ae0  Sn   SYS.TABLES 
                                       Hashed Key 0x69cf9c36  Sn   SYS.TABLES 
                                       Database   0x01312d00  IX 
                                       Row        0x000eebfc  Xn   TEST1.TAB1 
Program File Name: /users/smith/demo/XAtest1 
XA-XID: 0xbea1-001b238716dc35a7425-64280531947e1657380c5b8d 
1817 0x118e28 2046.000004 Active       Table      416480      IS   TEST1.TAB1 
                                       CompCmd    21662408    S 
                                       Database   20000000    IS 
                                       Row        0x000eebf0  Sn   TEST1.TAB1 
Program File Name: /users/smith/demo/XAtest2 
XA-XID: 0xbea1-001c99476cf9b21e85e1-70657473746f7265506f6f6c 
27317 0x118e28 2045.000005 Prepared    Table      411104      IS   SYS.TABLES 
                                       Table      416816      IXn  TEST1.TAB2 
                                       Row        0x00065c30  Sn   SYS.TABLES 
                                       Database   0x01312d00  IX 
                                       Hashed Key 0x67fe3852  Sn   SYS.TABLES 
                                       Row        0x000ef804  Xn   TEST1.TAB2 
Program File Name: /users/smith/demo/Reptest 
27589 0x118e28 2044.000006 Rep-Wait-Return 
Awaiting locks 
PID  Context  TransId     Resource ResourceId RMode HolderTransId HMode Name 
Program File Name: /users/smith/demo/XAtest1 
1817 0x118e28 2046.000004 Row      0x000eebfc Sn    2047.000003   Xn  TEST1.TAB1 

次のコマンドはトランザクション2045.000005に対するすべてのロックを表示します。

ttXactAdmin -xact 2045.000005 -connstr DSN=demodata

PID   Context  TransStatus 1stLSN    LastLSN  Resource ResourceId Mode Name 
Program File Name: /users/smith/demo/XAtest2 
XA-XID: 0xbea1-001c99476cf9b21e85e1-70657473746f7265506f6f6c  
27317 0x118e28 Prepared    0.0116404 0.0116452 Table   411104     IS  SYS.TABLES 
                                             Table     416816     IXn TEST1.TAB2 
                                             Row      0x00065c30  Sn  SYS.TABLES 
                                             Database 0x01312d00  IXn 
                                             Hashed Key 0x67fe3852 Sn SYS.TABLES 
                                             Row      0x000ef804  Xn  TEST1.TAB2 

データ・ストアへのすべての接続を表示するには、次のコマンドを実行します。

$ ttXactAdmin -connections sample

2006-09-10 10:26:33 
/datastore/terry/sample 
TimesTen Release 7.0.0.0.0 
 
ID   PID    Context            Name           Program        State TransID UID 
1    29508  0x00000001001c6680 myconnection   ttIsql         Run   1.23    TERRY 
2044 29505  0x0000000100165290 Worker         timestensubd   Run           TERRY 
2045 29505  0x00000001001df190 Flusher        timestensubd   Run           TERRY 
2046 29505  0x000000010021cc50 Monitor        timestensubd   Run           TERRY 
2047 29505  0x0000000100206730 Checkpoint     timestensubd   Run           TERRY 
    5 connections found 

注意:

コマンドで指定されたトランザクションがXAトランザクション・ブランチでなく、TimesTenのローカル・トランザクションである場合、XA-XIDは表示されません。XA-XIDはフォーマット識別子を含むC構造体で、2つのデータ長フィールドと1つのデータ・フィールドを持ちます。データ・フィールドは、グローバル・トランザクション識別子(gtrid)およびブランチ修飾子(bqual)という、最大2つの連続するコンポーネントで構成されます。2つのデータ長フィールドは、gtridおよびbqualのバイト数(1-64)をそれぞれ指定します。詳細は、X/Openの文書『Distributed Transaction Processing』のXA仕様(c193)に関する説明を参照してください。

RModeにおいては、待機状態のトランザクションはPIDおよびContextによってソートされます。リストにはロック・リクエストの順番は反映されません。

ロック・リクエスト・キュー内で、互換性のあるモードのリクエストの前に互換性のないモードの別のロック・リクエストがあるため、HModeのロック保持者と互換性のあるRModeのロック・リクエストが待機することがあります。