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このガイドでは、WebLogic Integration ADK (Adapter Development Kit) を使用する手順を説明します。イベント接続、サービス接続、および設計時ユーザ インタフェースの開発、テスト、デプロイ方法を説明します。
この節では ADK を使用してイベント接続、サービス接続、および設計時 GUI を開発する方法を概説します。以下の項目を学習します。
ADK は、BEA WebLogic Integration でサポートされているイベントおよびサービス プロトコルを実装するためのツール セットです。これらのツールは、WebLogic Integration の各種リソース アダプタの開発、テスト、パッケージ化、配布をサポートする一連のフレームワークに収められています。ADK には、以下の 4 つの目的に応じたフレームワークがあります。
ADK は、アダプタ開発に必要な以下の 3 つの要件を満たしています。
ADK にはさまざまな最新技術が採用され、段階的な開発プロセス (コードを少し作成してはテストし、次に進むプロセス) により着実に開発を進めることができます。ADK のテスト プロセスを用いれば、開発者は簡単な変更を行いながら、その変更内容をすぐにテストできます。
たとえば、J2EE コネクタ アーキテクチャ仕様では、javax.resource.cci.InteractionSpec
実装クラスで、JavaBean 設計パターンに従ってゲッターおよびセッター メソッドを指定する必要があります。ただし、JavaBean 設計パターンをサポートするには、使用する実装クラスで PropertyChangeListeners
と VetoableChangeListeners
もサポートする必要があります。このサポート方法を習得するために JavaBean の仕様を学習するのはたいへんです。それよりも、アダプタのエンタープライズ情報システム (Enterprise Information System : EIS) 固有の部分を実装するほうが望ましいといえます。ADK は、アダプタの実装における多くの周辺詳細に対応する基本的な機能を備えています。
リソース アダプタ (以下、「アダプタ」) は、本来相互に通信できるように設計されていないアプリケーションを接続するソフトウェア コンポーネントです。たとえば、ある会社が作成した注文入力システムと別の会社が作成した顧客情報システムとの間で通信を行うには、アダプタが必要です。
ADK を使用することにより、以下の 2 種類のアダプタを作成できます。
このサービスとイベントの両方をサポートするアダプタを作成することもできます。これらすべてのアダプタには、以下のトップレベルのアダプタ インタフェースが実装されます。
また、ADK により、Weblogic Integration 固有のアダプタではなく、J2EE コネクタ アーキテクチャ仕様に適合した J2EE 準拠アダプタを作成することもできます。
ResourceAdapter インタフェースは、WebLogic Integration 8.1 の新しい機能です。これは、イベントおよびサービス処理を統合する単一のオブジェクトとして機能します。WebLogic Integration の以前のリリースでは、イベント アダプタとサービス アダプタは、別々のアダプタ コンポーネントとして扱われました。また、各アダプタを個別にデプロイおよびコンフィグレーションできました。
このリリースでは、イベント アダプタとサービス アダプタが ResourceAdapter
インタフェースおよびアダプタのそのインタフェースの実装下で統合されています。このインタフェースにより、イベント アダプタが作成する 0 または 1 つのイベント接続、およびサービス アダプタが作成する 0 以上のサービス接続にアクセスできます。このサービス接続は、接続ファクトリと呼ばれることもあります。
イベント接続とサービス接続のコンフィグレーションは、ResourceAdapter
インタフェースの下で実行されます。Application Integration Design Console で使用される用語「リソース アダプタ」は、イベント接続とサービス接続のコンテナを意味します。
アダプタが WebLogic Integration 内で機能するには、どのアダプタも具象クラスで ResourceAdapter
を実装し、そのクラスをアダプタの EAR モジュールにパッケージ化する必要があります。ADK では、ResourceAdapter
クラスの抽象基本実装が com.bea.adapter.spi.AbstractWLIResourceAdapter
で提供されています。
ResourceAdapter の実装の開発方法については、「リソース アダプタの開発」を参照してください。
サービス接続は、クライアントから XML 要求ドキュメントを受信すると、基底の EIS 内の特定の関数を呼び出します。このサービス接続はメッセージのコンシューマで、応答を返す場合と返さない場合があります。
サービスの呼び出しには、同期または非同期の 2 つの方法があります。サービスの呼び出しが非同期の場合、クライアント アプリケーションはサービス要求を発行した後も応答を待たずに処理を続行します。サービスの呼び出しが同期の場合、クライアントは応答を待ってから処理を続行します。BEA WebLogic Integration では、どちらのタイプの呼び出し方法もサポートされているため、この機能を設定する必要がありません。
ADK には、イベントの場合と同様に、すべてのサービス接続に共通するこれら 4 つの機能が実装されています。
サービス接続の開発方法については、「サービス アダプタの開発」を参照してください。
イベント接続は、EIS から WebLogic Server に情報を伝播します。このタイプの接続は、情報のパブリッシャと呼ばれます。
イベント接続には、プロセス内とプロセス外の 2 つの基本タイプがあります。プロセス内イベント接続は、EIS と同じプロセス内で実行されます。プロセス外イベント接続は、別のプロセス内で機能します。プロセス内イベント接続とプロセス外イベント接続の違いは、データ抽出プロセスの実行方法だけです。
WebLogic Integration 環境で稼動するイベント接続では、以下の 3 つの機能が実行されます。
ADK では、すべてのイベント接続に共通するこれら 3 つの機能が実装されています。このため、開発者はアダプタの EIS 固有の部分に専念できます。この概念は、エンタープライズ JavaBean (EJB) の背景にある概念と同じです。コンテナによってシステムレベルのサービスが提供されるため、EJB 開発者はビジネス アプリケーション ロジックの実装に専念できます。
イベント接続の開発方法については、「イベント アダプタの開発」を参照してください。
このタイプのアダプタは WebLogic Integration 専用に設計されていないため、J2EE コネクタ アーキテクチャ仕様に対応するすべてのアプリケーション サーバにプラグインできます。このタイプのアダプタは、サービス接続の開発手順を微調整するだけで開発できます。WebLogic Integration に限定されないアダプタの開発方法については、「WebLogic Integration に限定されないアダプタの作成」を参照してください。
イベント接続とサービス接続のほかにも、ADK の設計時フレームワークには Web ベースの GUI の構築に使用できるツールが用意されています。この Web ベースの GUI は、アダプタのユーザがアプリケーション ビュー (後述の「アプリケーション ビュー」を参照) を定義、デプロイ、およびテストする際に必要になります。どのアダプタにも EIS 固有の機能がありますが、すべてのアダプタにアプリケーション ビューをデプロイする GUI が必要です。設計時フレームワークでは、主に以下の 2 つのコンポーネントを使用して、このようなインタフェースの作成やデプロイの作業を最小限に抑えることができます。
DesignTimeHelper
という名称のデプロイメント ヘルパー コンポーネント : このコンポーネントは、WebLogic Server 上のアプリケーション ビューをデプロイ、アンデプロイ、および編集するための簡易な API を提供します。
設計時 GUI の開発方法については、「設計時 GUI の開発」を参照してください。
アダプタは、アプリケーション内のすべての機能に対するシステムレベルのインタフェースであるのに対し、アプリケーション ビューは、アプリケーション内の特定の機能に対するビジネスレベルのインタフェースといえます。
アプリケーション ビューは、単一のビジネス目的のためにコンフィグレーションされ、そのビジネス目的に関連したサービスだけが定義されます。これらのサービスは、要求ドキュメントで指定されるビジネス関連データだけを要求し、応答ドキュメントでビジネス関連データだけを返します。アプリケーション ビューは、ユーザの介入なしに、このビジネス関連データを格納されているメタデータと結合します。アダプタは、このビジネス関連データと格納されているメタデータの両方を使用して、システムレベルの機能をアプリケーションに対して実行します。
また、アプリケーション ビューは、特定のビジネス目的をサポートするイベントとサービスの両方を表します。これによって、ビジネス ユーザは、アプリケーション ビューを使用してアプリケーションと通信できます。この双方向通信は、実際にはイベント接続とサービス接続の 2 つのアダプタ コンポーネントによってサポートされています。アプリケーション ビューを使用することで、ユーザがこれを意識することなく、アプリケーションに対する統合ビジネス インタフェースを提供できます。
アプリケーション ビューの詳細については、『Application Integration Design Console の使い方』の「Application Integration の概要」を参照してください。
ADK のパッケージ化フレームワークは、顧客への配信用アダプタをパッケージ化するためのツール セットです。すべてのアダプタを 1 つの WebLogic Server で同じ方法でインストール、コンフィグレーション、およびアンインストールするのが理想的です。また、サービス接続もすべて J2EE 準拠である必要があります。パッケージ化フレームワークを使用すると、J2EE アダプタ アーカイブ (RAR) ファイル、Web アプリケーション アーカイブ (WAR) ファイル、エンタープライズ アーカイブ (EAR) ファイル、および WebLogic Integration 設計環境アーカイブを簡単に設計できるようになります。
開発作業を始める前に、ご使用のコンピュータに WebLogic Integration がインストールされているかを確認してください。詳細については、『BEA WebLogic Platform のインストール』および BEA WebLogic Integration の『リリース ノート』を参照してください。