連合ポータル ガイド

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リモート ポートレット、ページ、ブックの作成

この章では、Workshop for WebLogic を使用してリモート ポートレット、ページ、ブックを作成および設定する方法について説明します。この章の内容は以下のとおりです。

 


はじめに

始める前に、このガイドのアーキテクチャに関する次の章を確認することをお勧めします。

この章では、プロデューサ、コンシューマ、リモート ポートレット、ページ、ブックなどのような基本的な概念について説明します。事前に、次の概念について理解しておく必要があります。

注意 : この章は、Workshop for WebLogic を使ってコンシューマ ポータル アプリケーションを作成する開発者を対象としています。WebLogic Portal Administration Console を使用して連合ポータルを作成する場合は、「第 3 部 ステージング」を参照してください。

 


リモート ポートレットにできるタイプ

WebLogic Portal アプリケーションは、以下のタイプのポートレットを使用できます。

ポートレットを使用するには、WSRP に準拠したプロデューサで実行されている Web アプリケーションにデプロイする必要があります。コンシューマ アプリケーションが、プロデューサの WSDL URL を使用してプロデューサに接続できることも必要です。

 


リモート ポートレットの作成

この節では、Workshop for WebLogic を使ってコンシューマ アプリケーションのリモート (プロキシ) ポートレットを作成する方法をステップバイステップで説明します。この節では、次のトピックについて説明します。

概要

この例では、プロデューサ アプリケーションにポートレットをデプロイします。この例のプロデューサ アプリケーションは、WebLogic Portal Domain にデプロイされているポータル Web アプリケーションです。

ヒント : WebLogic Server ドメイン (WebLogic Portal ドメインではなく) で実行するプロデューサの操作については、「WebLogic Server プロデューサのコンフィグレーション」を参照してください。

リモート ポートレットを作成する基本的な手順は、非常にシンプルです。Workshop for WebLogic には、この手順を実行できる便利なウィザードが用意されています。プログラミングは不要です。基本的な手順は、次のとおりです。

  1. プロデューサを検索します。
  2. プロデューサのリモート ポートレットを選択します。
  3. ポートレットを使用します。

図 4-1 に、コンシューマにリモート ポートレットが含まれている連合ポータルの基本部分を示します。リモート ポートレットはポートレットのプロキシであり、プロデューサ アプリケーションにデプロイされています。

ヒント : エンド ユーザにとっては、リモート ポートレットの機能は、プロデューサにデプロイされる実際のポートレットと区別できません。ただし、「リモート ポートレットのコンフィグレーション」で説明するように、プロキシ ポートレットのプロパティの多くはカスタマイズできます。
図 4-1 コンシューマのリモート ポートレット

コンシューマのリモート ポートレット

サンプルの設定

この節で取り上げているサンプルを試すには、Workshop for WebLogic を実行し、この節で説明している前提条件タスクを実行する必要があります。

サンプル環境を設定するために、表 4-1 に示す前提条件タスクを実行します。これらタスクの各手順がわからない場合は、チュートリアルの「ポータル開発環境の設定」に詳細が説明されています。

表 4-1 前提条件タスク
タスク
推奨される名前
WebLogic Portal ドメインを作成する。
consumerPortalDomain
ポータル EAR プロジェクトを作成する。
portalEarProject
BEA WebLogic V10.0 Server を作成する。
なし
サーバに EAR プロジェクトを関連付けます。
なし
ポータル Web プロジェクトを作成して EAR に追加する。
consumerProject
ポータルを作成します。
consumer.portal

図 4-2 に、前提条件タスクを完了後のプロジェクト エクスプローラを示します。

図4-2 前提条件タスクが完了した後のプロジェクト エクスプローラ

前提条件タスクが完了した後のプロジェクト エクスプローラ

ポートレットの検索と使用

  1. サンプルの設定」で説明したように、サンプル環境を設定していることを確認します。
  2. プロジェクト エクスプローラで consumerProject フォルダを開き、WebContent フォルダを右クリックして、[新規|ポートレット] を選択します。
  3. ヒント : [新規] メニューに [ポートレット] 機能が表示されない場合は、[ウィンドウ|パースペクティブを開く|ポータル] を使用してポータル パースペクティブを開きます。
  4. [新しいポートレット] ダイアログで、[ファイル名] フィールドに「remoteExample.portlet」と入力し、[終了] をクリックします。[ポートレット タイプの選択] ダイアログが表示されます。
  5. [ポートレット タイプの選択] ダイアログで、図 4-3 で示すように、[リモート ポートレット] を選択して [次へ] をクリックします。[ポートレット ウィザード - プロデューサ] ダイアログが表示されます。
  6. 図 4-3 [ポートレット タイプの選択] ダイアログ


    [ポートレット タイプの選択] ダイアログ

  7. [ポートレット ウィザード - プロデューサ] ダイアログで [プロデューサの検索] を選択し、図 4-4 に示すように、表示されているフィールドに次の WSDL の URL を入力します。
  8. http://wsrp.bea.com/portal/producer?wsdl

    別の WSDL URL を使用してもかまいません。URL のパターンは必ず次のようになります。

    http://host:port/webAppName/producer?wsdl

    ここで、host はホスト、port はプロデューサがデプロイされるサーバのポート番号、webAppName はプロデューサのポートレットがデプロイされる Web アプリケーションの名前を示しています。

    ヒント : プロデューサが前もってコンシューマに追加してあれば [プロデューサの選択] リストに表示されるため、ユーザは [プロデューサの選択] を選択するだけでリストからプロデューサを選択できます。
    ヒント : この WSDL URL は BEA がホストするサンプルのプロデューサを指します。このサンプルのプロデューサは、デモンストレーション用のポートレットをホストしています。WSDL は Web Services Description Language の略で、プロデューサが提供するサービスを記述するために使用されます。詳細については、「連合ポータルのアーキテクチャ」を参照してください。
    図4-4 WSDL の入力


    WSDL の入力

  9. WSDL URL を入力した後、[検索] をクリックします。
  10. チェックポイント : この時点で、コンシューマは WSDL を使用してプロデューサを検索し、使用可能なポートレットを確認します。図 4-5 に示すように、ウィザード パネルの [プロデューサの詳細] セクションに、プロデューサに関する情報が表示されます。たとえば、コンシューマで使用できるポートレットの数などです。

  11. 図 4-5 に示すように、ウィザード パネルの [プロデューサの詳細] セクションの [登録] をクリックします。[登録] ダイアログが表示されます。
  12. ヒント : 登録の際、プロデューサはコンシューマに関する情報を格納し、コンシューマのハンドルを返します。登録は、WSRP 仕様に記載されているオプションの機能です。WebLogic Portal の複雑なプロデューサは、このオプションを実装しているため、コンシューマはプロデューサが提供するポートレットを検出して対話する前に、登録する必要があります。詳細については、「複雑なプロデューサ」を参照してください。
    図 4-5 プロデューサの詳細


    プロデューサの詳細

  13. 図 4-6 に示すように、[登録] ダイアログの [プロデューサ ハンドル] フィールドに「beaProducer」と入力します。このハンドルは、コンシューマのプロデューサを識別できます。
  14. 図 4-6 プロデューサの登録


    プロデューサの登録

  15. [登録] をクリックします。[プロデューサ] ダイアログに戻ります。
  16. チェックポイント : この時点で、プロデューサから WSDL データが取得され、図 4-7 に示すようにダイアログの [プロデューサの詳細] パネルに表示されます。コンシューマでは、プロデューサの 4 つのポートレットを使用できるのがわかります。

    図 4-7 登録情報


    登録情報

  17. [次へ] をクリックして処理を進めます。
  18. 図 4-8 に示すように、[リストからポートレットを選択] ダイアログで、プロデューサ上のポートレットのリストからリモート ポートレットの 1 つを選択します。どれでも選択できます。
  19. 図 4-8 プロデューサ上のポートレットの選択


    プロデューサ上のポートレットの選択

  20. [次へ] をクリックします。[プロキシ ポートレット詳細] ダイアログが表示されます。図 4-9 に示すように、選択したポートレットのタイトルが [ポートレット タイトル] フィールドに表示されます。このタイトルは必要に応じて変更することができます。
  21. 注意 : プロデューサに登録の必要がない場合、[プロデューサのハンドル] フィールドは編集可能で初期化されていない状態で表示されます。この場合、[作成] ボタンを有効化する前に、プロデューサ ハンドルに任意の値を入力する必要があります。
    図 4-9 プロキシ ポートレット詳細


    プロキシ ポートレット詳細

  22. [作成] をクリックします。

図 4-10 に示すように、新しいリモート ポートレットは WebContent フォルダのプロジェクト エクスプローラに表示されます。

図 4-10 リモート ポートレット

リモート ポートレット

ポートレットの表示

ポートレットを表示するには、この節で説明するようにコンシューマ ポータルにポートレットを追加する必要があります。

  1. 表示されていない場合は、consumerProject/WebContent フォルダを開きます。
  2. [WebContent] フォルダの consumerPortal.portal ファイルをダブルクリックします。ポータル エディタが Workshop for WebLogic に表示されます。
  3. プロジェクト エクスプローラからポータルに remoteExample.portlet ファイルをドラッグします。その結果は図 4-11 に表示されています。
  4. 図 4-11 ポータルに配置されたリモート ポートレット


    ポータルに配置されたリモート ポートレット

  5. ポータルをテストするには、プロジェクト エクスプローラでポータル ファイル名 remoteExample.portlet を右クリックし、[実行|サーバーで実行] を選択します。[サーバーで実行 - 新規サーバーの定義] ダイアログが表示されます。
  6. [サーバーで実行 - 新規サーバーの定義] ダイアログで、BEA WebLogic v10.0 Server が選択されていることを確認して [終了] をクリックします。
  7. 図 4-12 に示すように、リモート ポートレットを含むポータルがブラウザに表示されます。
  8. 図 4-12 連合ポータル


    連合ポータル

まとめ

この節では、リモート ポートレットを WebLogic Portal コンシューマ アプリケーションに追加しました。使用したポートレットはポートレットのプロキシであり、リモート プロデューサ アプリケーションにデプロイされています。基本的な設定手順のほか、このサンプルでは次のタスクについても説明しました。

 


リモート ページとリモート ブックの作成

リモート ブックとリモート ページの主な利点は、他のリモート リソースのコンテナとして機能する点です。たとえば、プロデューサは、リモートで使用できる複数のページ (各ページにはリモートで使用できる複数のポートレットを含む) が存在するリモート ブックを提供できます。そのようなブックを利用する場合は、そのブックに含まれるリモートで使用できるページおよびポートレットも利用されます。追加の手順は不要です。

ヒント : 「リモートで使用できる」という用語は、プロデューサ アプリケーションにデプロイされ、コンシューマにリモートで提供されるブック、ページ、ポートレットに使われます。アプリケーションの開発者は、作成するブック、ページ、ポートレットがリモートで提供されるものかどうかを判断します。

プロデューサ アプリケーションでリモートで使用できるページやブックを作成する方法の詳細については、「コンシューマに対するブック、ページ、およびポートレットの提供」を参照してください。リモートのブックやページがうまく表示されない場合は、「リモートで使用可能なブックおよびページを作成する場合のルール」を参照してください。

リモート ブックやページに対する変更はプロデューサには反映されないため、リモート ブックやページがコンシューマで変更されると、プロデューサ アプリケーションのオリジナルのブック、ページ、ポートレットと一貫性がなくなる場合があります。

リモート ブックやページも、他のブックやページと同じようにポータルに追加できます。

基本手順

リモートページやブックを作成する手順は、リモート ポートレットの作成手順とほとんど同じです。

ヒント : このサンプルでは、リモート ページを作成する方法について説明します。リモート ブックの作成手順と似ています。
  1. [ファイル|新規|その他] を選択します。
  2. 新しいダイアログで、図 4-13 に示す [リモート ページ] (または[リモート ブック]) を選択し、[]をクリックしてください。
  3. 図 4-13 新しいリモート ページの作成


    新しいリモート ページの作成

  4. 新しい [リモート ページ] ダイアログで、作成する .page ファイルを保存するフォルダを選択し、図 4-14 に示すファイル名をつけてから [] をクリックします。
  5. 図 4-14 リモート ページ ファイルの作成


    リモート ページ ファイルの作成

  6. [ページ プロデューサ] ダイアログで [プロデューサの検索] を選択し、図 4-15 に示すように、表示されているフィールドにプロデューサの WSDL の URL を入力します。
  7. WSDL URL のパターンは、以下のとおりです。

    http://host:port/webAppName/producer?wsdl

    ここで、host および port はプロデューサがデプロイされるサーバのポート番号、webAppName はプロデューサのリモートで使用できるページおよびブックがデプロイされる Web アプリケーションの名前を示しています。

    ヒント : プロデューサが前もってコンシューマに追加してあれば [プロデューサの選択] リストに表示されるため、ユーザは [プロデューサの選択] を選択するだけでリストからプロデューサを選択できます。
  8. WSDL URL を入力した後、[検索] をクリックします。
  9. チェックポイント : この時点で、コンシューマは WSDL の URL を使用してプロデューサを検索し、使用可能なリモートで使用できるページを確認します。図 4-15 に示すように、ウィザード パネルの [プロデューサの詳細] セクションに、プロデューサに関する情報が表示されます。たとえば、コンシューマで使用できるページの数などです。

  10. 図 4-15 に示すように、ウィザード パネルの [プロデューサの詳細] セクションの [登録] をクリックします。[登録] ダイアログが表示されます。
  11. 図 4-15 プロデューサの詳細


    プロデューサの詳細

    ヒント : 登録の際、プロデューサはコンシューマに関する情報を格納し、コンシューマのハンドルを返します。登録は、WSRP 仕様に記載されているオプションの機能です。WebLogic Portal の複雑なプロデューサはこのオプションを実装しているため、プロデューサが提供するブックとページを検出して対話する前に、コンシューマの登録を行う必要があります。詳細については、「複雑なプロデューサ」を参照してください。
  12. 図 4-6 に示すように、[登録] ダイアログの [プロデューサ ハンドル] フィールドにハンドル名を入力します。このハンドルは、コンシューマのプロデューサを識別できます。
  13. 図 4-16 プロデューサの登録


    プロデューサの登録

  14. [登録] をクリックします。[新しいリモート ページ - ページ プロデューサ] ダイアログに戻ります。
  15. チェックポイント : この時点でプロデューサからの WSDL データは取得済みなので、ダイアログの [プロデューサの詳細] パネルに表示されます。

  16. [次へ] をクリックして処理を進めます。
  17. 図 4-8 に示すように、[リストからページを選択] ダイアログで、プロデューサで提供するページのリストからリモート ページの 1 つを選択し、[] をクリックします。
  18. 図 4-17 プロデューサ上のページの選択


    プロデューサ上のページの選択

  19. [リモート ページの詳細] ダイアログが表示されます。図 4-9 に示すように、選択したページのタイトルが [ページ タイトル] フィールドに表示されます。このタイトルは必要に応じて変更することができます。
  20. 注意 : プロデューサに登録の必要がない場合、[プロデューサのハンドル] フィールドは編集可能で初期化されていない状態で表示されます。この場合、[作成] ボタンを有効化する前に、プロデューサ ハンドルに任意の値を入力する必要があります。
    図 4-18 [リモート ページの詳細] ダイアログ


    [リモート ページの詳細] ダイアログ

  21. [終了] をクリックします。

[プロジェクト・エクスプローラー] で、新しいリモート ページが選択したフォルダに表示されます。ページは .page ファイル (たとえば、/WebContent/myRemotePage.page) として表示されます。これで、ポータルにリモート ページを追加できます。ページ上のリモートで使用できるポートレットは、インライン ポートレットとしてリモート ページに表示されます。リモートとしてリモートで使用できるポートレット、ページ、ブックの詳細については、「コンシューマに対するブック、ページ、およびポートレットの提供」を参照してください。インライン ポートレットについては、『ポートレット開発ガイド』を参照してください。


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