WebLogic Portal での WSRP の使用

WSRP 実装のベストプラクティス

この節では、WSRP 準拠のポートレット、プロデューサ、およびコンシューマの最高のパフォーマンスの確保を目的として実践する、プログラミングおよびチューニングのベストプラクティスについて説明します。ここでは、以下のガイドラインについて説明します。

ポートレットプログラミングのガイドライン

WSRP 準拠のポートレットのプログラミングにあたっては、以下のガイドラインに従ってください。

リクエストとセッション

複数のポートレットにまたがる request 属性を信頼しない。
複数のポートレットでセッションを共有する場合は、それらのポートレットを同じプロデューサでホストする。

セキュリティ

メッセージの安全を確保するには、プロデューサが提供されるすべてのポートで SSL を実装する。
プロデューサプロジェクトの WEB-INF/wsrp-producer-config.xml ファイルで、<service-config> 要素のすべての secure 属性に true を設定する (詳細については、「WSRP のセキュリティの確立」を参照)。

注意 : wsrp-producer-config.xml を変更した場合、変更をアクティブにするにはサーバを再デプロイまたはバウンスする必要があります。

ユーザ ID を管理するには、シングルサインオン (SSO) を使用する。SSO は、WebLogic Portal でデフォルトで設定され、ユーザがコンシューマポータルにログインできるようにします。SSO は WebLogic Portal によって自動的に管理されます。コンシューマとプロデューサ間の情報共有は、ユーザ ID をキーとして実行する外部プロファイルサービスの使用により促進されます。
プロデューサのリソースの保護については、「リソースに対するセキュリティ制約の設定」を参照。

ポートレットに URL を作成する場合は、直接リンクを使用せず、WebLogic Portal のタグと API を使用して URL を作成する。

ルックアンドフィール

ポートレットでは標準のスタイル属性を使用し、ポータルのスキンでそれらの属性を指定する。

バッキングファイル

セッションオブジェクトおよびリクエストオブジェクトまたはプロパティセットに基づいてアクションを実行するために、コンシューマ側 (リモートポートレット) でバッキングファイルを使用できる。

WSRP ポートレットのキャッシング

プロデューサ - 可能な場合は常に <wl:cache> または p13nCache を使用する。
コンシューマ (リモートポートレット) - リモートポートレットが表示される HTML をキャッシングする場合は、「RenderCacheable」属性を使用する。ただし、これはセッションスコープキャッシュであるため、コンフィグレーションできません。

例外処理

プロデューサでは、スタックトレースが表示されないようにプロデューサ側でエラーを処理し、適切なビジネスメッセージを示す。
コンシューマ (リモートポートレット) では、WebLogic Workshop でリモートポートレットを開いた状態で次の操作をこの順序どおりに実行する。

リモートポートレットの [ドキュメント構造] タブをクリックします。
リモートのコンテンツをクリックします。
[プロパティエディタ] をクリックします。
[エラー URI] に入力します。

ページフロー

ポータル Web アプリケーションをプロデューサとして使用すると、すべてのポータルアーティファクトが Web アプリケーションで使用できるようになる。ただし、ポータル Web アプリケーションでない WSRP プロデューサの場合は、プロパティセットなどのポータル機能を使用できません。プロデューサでポータル機能にアクセスする必要がある場合は、ポータル Web アプリケーションを使用してください。

WebLogic Server ドメインでの開発

WebLogic Server ドメインでの WSRP の使用については、「基本的な WebLogic Server ドメインでの WSRP の使用」を参照してください。

パフォーマンスチューニングに関する推奨事項

プロデューサとコンシューマの最適なパフォーマンスを確保するために、以下のパフォーマンスチューニングのガイドラインに従うことをお勧めします。

プロデューサのチューニング

コードリスト 5-1 のように、WEB-INF/wsrp-producer-config.xml に <markup transport="attachment"/> を追加することにより、接続サポートを有効にします。

コードリスト 5-1 接続サポートの有効化

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
wsrp-producer-config
    xmlns="http://www.bea.com/servers/weblogic/wsrp-producer-config/8.0"
    xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
xsi:schemaLocation="http://www.bea.com/servers/weblogic/wsrp-producer-config/8.0 
wsrp-producer-cnfig.xsd">

    <service-config>
        <registration required="false" secure="true"/>
        <service-description secure="true"/>
        <markup secure="true" rewrite-urls="true" transport="attachment"/>
        <portlet-management required="false" secure="true"/>
    </service-config>

コンシューマが提供する URL テンプレートを使用して、プロデューサで正しい URL を作成します。これはデフォルトの実行内容です。

コンシューマのチューニング

デフォルトでは、WebLogic Portal はコンシューマに SOAP メッセージをロギングします。メッセージは大量になる可能性があるので、プロダクション環境ではこのロギングを無効にすることをお勧めします。コンシューマでの SOAP メッセージのロギングを無効にするには、コードリスト 5-2 のように WEB-INF/web.xml ファイルを編集します。

コードリスト 5-2 SOAP メッセージロギングの無効化

<servlet>
    <servlet-name>com.bea.wsrp.logging.MessageMonitor</servlet-name>
    <servlet-class>com.bea.wsrp.logging.MessageMonitor</servlet-class>
    <init-param>
      <param-name>enableSoapMessageLogging</param-name>
      <param-value>false</param-value>
    </init-param>
    <load-on-startup>1</load-on-startup>
  </servlet>

コンシューマのチューニングに関するその他のヒントは次のとおりです。

デフォルトの動作をそのまま使用して、リモートポートレットのキャッシュを有効にする。
リモートポートレットのフォーク表示を有効にする。
接続のタイムアウトを設定する。タイムアウトの設定の詳細については、「リモートポートレットのタイムアウト値の設定」を参照してください。

プロデューサの移動の回避

プロデューサを追加してリモートポートレットを作成した場合、プロデューサのレジストリ (WEB-INF/wsrp-producer-registry.xml) とポータルフレームワークのデータベーステーブルに、プロデューサの WSDL アドレスや WSDL に記述されたポートのアドレスなど、プロデューサに関する特定の情報が保存されます。プロデューサを別の環境に伝播または移動すると、このデータは無効になります。この場合、プロキシポートレットからプロデューサのポートレットを参照しているコンシューマは、データを見つけられなくなります。

注意 : 現在、WebLogic Portal では共有登録モデルのみサポートされており、同じプロデューサ登録ハンドルをステージング環境とプロダクション環境で共有しています。登録の共有および WSRP プロデューサの伝播については、『プロダクション業務ユーザーズガイド』を参照してください。

ヒント : プロデューサのデータベースエントリをプログラムで更新できます。次のクラスに、プロデューサの情報を取得および更新するためのメソッドがあります。

com.bea.wsrp.consumer.management.producer.ProducerManager

単純なプロデューサの Service Pack 3 からのアップグレード

単純なプロデューサを WebLogic Portal Service Pack 3 から Service Pack 4 以降のバージョンにアップグレードした場合、WSRP プロデューサ Web アプリケーションライブラリは自動的に更新されません。SP3 から SP4 以降のバージョンにアップグレードする場合、アップグレード後も単純なプロデューサが WSRP プロデューサとして正しく機能するように、以下の手順を実行する必要があります。

注意 : 単純なプロデューサとは、非ポータル Web アプリケーションです。単純なプロデューサの詳細については、「プロデューサ」を参照してください。

WebLogic Portal アプリケーションを SP3 から SP4 以降のバージョンにアップグレードする通常の手順を実行します。

以下のファイルを Web アプリケーションの WEB-INF/lib ディレクトリにコピーします。

BEAHOME/weblogic81/portal/lib/netuix/web/netui-adapter.jar
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/netuix/system/ext/web/struts-adapter.jar
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/netuix/system/ext/web/struts-adapter-html.tld
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/netuix/system/ext/web/struts-adapter-naming.tld
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/netuix/system/ext/web/struts-adapter-nested.tld
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/netuix/system/ext/web/struts-adapter-tiles.tld
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/wsrp/wsrp-producer.jar
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/wsrp/adapters/wsrp-jpf-adapter.jar
BEAHOME/weblogic81/portal/lib/wsrp/adapters/wsrp-struts-adapter.jar

WSRP プロデューサ Web アプリケーションを再デプロイします。

その他のガイドライン

セッションクッキーのコンフィグレーション

プロデューサとコンシューマとの間のセッションクッキーが重複する場合は、コンシューマ Web アプリケーションのユーザセッションが失われる場合があります。これを防止するには、weblogic.xml を開き、Web アプリケーションにセッションクッキーのドメイン名と Web アプリケーションパスが組み込まれるようにコンフィグレーションします。以下の URL にある「weblogic.xml デプロイメント記述子の要素」の「session-descriptor」を参照してください。

http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs81/webapp/weblogic_xml.html#1038173

ドメイン名とパスの設定方法の詳細について説明しています。

ローカルプロキシモードによるデッドロックの回避

コンシューマとプロデューサの両方を同じサーバ上で実行する場合、デッドロックの状況が発生する可能性があります。これは、プロデューサがポートレットごとに新しいスレッドを割り当てるためです。ローカルプロキシモードで実行すると、追加のスレッドは割り当てられません。この理由から、プロデューサとコンシューマの両方を同じサーバで実行する場合は、この節の説明のようにローカルプロキシモードを使用することをお勧めします。詳細については、「ローカルプロキシサポート」を参照してください。

WSRP 実装のベスト プラクティス

ポートレット プログラミングのガイドライン

パフォーマンス チューニングに関する推奨事項