ポータル開発ガイド

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く    
ここから内容

ポータルの計画

ポータルの開発には、適切な計画が不可欠です。計画を省略して開発を進めると、開発期間の短縮という短期的なメリットはあるかもしれませんが、プロジェクトの混乱や矛盾、スケーラビリティやパフォーマンスの悪化、および管理時間の増大を招く場合があります。

アーキテクチャ段階の計画および設計タスクは、ドメインやエンタープライズ アプリケーション、Web アプリケーション、WebLogic Portal の個々の機能領域などのさまざまなレベルで実施します。

グローバルなポータル間の計画については、BEA WebLogic Portal の概要を参照してください。このドキュメントでは、あらゆるレベルにおいてアーキテクチャ段階で考慮すべき問題のタイプがまとめられています。WebLogic Portal の各種機能ガイドでは、各機能に関する計画上の問題点が詳しく記述されています。

この章の内容は以下のとおりです。

 


プロダクション業務 (伝播とデプロイメント)

プロダクション業務には、ポータルの開発からステージングおよびテストを経て実際のプロダクション環境に至るまで、ポータルのライフサイクル管理の中核となるツール、プロシージャ、方法、およびベスト プラクティスが含まれます。図 2-1 で示すように、ポータルは通常、Workshop for WebLogic を使用して開発者がチーム開発環境で開発します。開発が終わると、ポータル コンポーネントはステージング環境に移動します。ステージング環境では、ポータル管理者が WebLogic Portal Administration Console を使用してデスクトップの作成、資格の追加、コンテンツ リポジトリの設定、およびテストを実行します。プロダクション環境は、ユーザがポータル アプリケーションへのアクセスおよび対話を行う実稼動環境です。環境間の矢印は、BEA が提供するユーティリティを使用して、ポータルやポータル リソースを環境間でやり取りできることを示します。WebLogic Portal 伝播ツールなどの WebLogic Portal ユーティリティを使用すると、環境間での変更の移動および結合を容易かつ確実に行うことができます。

図 2-1 一般的な WebLogic Portal の環境

一般的な WebLogic Portal の環境

ネットワークやソフトウェア システムのアーキテクチャを検討するのと同様に、ポータル システムのプロダクション業務への対応についても十分に検討し、慎重に計画してください。特定のポータル システムのコンフィグレーション、開発チームの編成、ポータルのテストおよびコンフィグレーション、サーバのコンフィグレーション、ポータル アプリケーションのライフサイクルの管理計画について検討するのは重要なことです。

プロダクション業務ガイド』では、確実で管理のしやすいポータルの開発環境、ステージング環境、およびプロダクション環境を作成できるように、特定の方法、ツール、およびベスト プラクティスについて説明します。

 


分散型ポータル チームでのポータル開発

リモート (分散型) の開発チームを含む環境でポータルを構築する場合、実装の計画は慎重に実施する必要があります。チーム開発を行う場合は、次の内容を考慮してください。

WebLogic Portal Web サイトのチーム開発は、適切に設計されたソース コントロールおよび正しくコンフィグレーションされた開発用の共有ドメインを中心として行われます。開発環境の設定の詳細については、『プロダクション業務ガイド』のチーム開発に関する章を参照してください。

 


連合ポータル

連合ポータルとは、リモートのポートレットなど、離れた場所に分散されたリソースを含むポータルを指します。これらのリモートのリソースは、コンシューマと呼ばれるポータル アプリケーションで実行時に収集および結合されます。連合ポータルは、このコンシューマによってエンド ユーザに表示されます。

連合ポータル環境を実装するには、アプリケーションの構成方法について決定する必要があります。たとえば、ポータルのすべてのポートレットを単一のアプリケーションにバンドルするのではなく、リモート システムで稼働する個別の Web アプリケーションにポートレットをデプロイし、連合ポータルで WSRP を使ってこれらを使用することができます。連合ポータルは、そのポートレットから切り離されているため、ポートレットを変更するたびにポータルを再デプロイする必要はありません。このように切り離されていることは、ほとんどの WebLogic Portal プロジェクトで、時間と費用の面でただちに大きな節約となって表れます。同じサーバ内でポータルを結合するのが有効な場合もあります。

連合ポータル環境の設定手順については、『連合ポータル ガイド』を参照してください。

 


セキュリティ

2 種類のカテゴリのユーザに対して、ポートレット リソースへのアクセスを制御できます。

アーキテクチャ段階では、セキュリティ ポリシーとロールの構成および全体的なセキュリティ戦略との整合性について計画します。ポータル環境のセキュリティの管理の概要については、『セキュリティ ガイド』を参照してください。WSRP 対応環境におけるセキュリティの推奨事項については、『連合ポータル ガイド』を参照してください。

 


コンテンツ管理

WebLogic Portal のコンテンツ管理システムでは、コンテンツの格納、コンテンツの進捗状況の追跡、およびポータル アプリケーションへのコンテンツの組み込みを行うことができます。これにより、コンテンツの作成とユーザへのそのコンテンツの配信とが簡単に統合されます。コンテンツの作成者は WebLogic Portal のリポジトリを使用してコンテンツを作成し、ポータルの開発者はコンテンツの API および JSP ツールを使用してコンテンツをポータルの訪問者に提供します。

ポータルでは、BEA リポジトリまたはサード パーティのリポジトリのいずれかを使用できます。BEA には、豊富な Java クラスと API が用意されています。ECM システムのベンダが SPI を実装している場合、仮想コンテンツ リポジトリへのリポジトリの追加は、WebLogic Portal Administration Console でのコンフィグレーションだけで済みます。ベンダが BEA の SPI を実装していない場合には、独自に設定することができます。

サードパーティのリポジトリを使用してコンテンツを格納する場合には、引き続きそのリポジトリのコンテンツ ツールを使ってコンテンツの追加や変更を行います。また、必要な実装方法によっては、BEA のコンテンツ ツールを使用することもできます。

ポータルのコンテンツ管理の詳細については、『コンテンツ管理ガイド』を参照してください。

 


対話管理

ポータル アプリケーションでポータル訪問者との対話の制御や強化を行うには、WebLogic Portal の対話管理機能を使用します。特定のユーザや対象者に対するパーソナライズされたコンテンツを設定できます。個人の好みや特性に応じて異なる場所へジャンプするプロセス (従業員手当ての登録やオンライン ショッピングなど) を通じて、ユーザを誘導できます。ポータル、ポータルのデザイン、またはプロセス フローの効果を測定するために、ユーザがポータル内でたどったパスを記録することもできます。

対話管理機能の開発には、いくつかの相互に依存したタスクが関与します。たとえば、広告キャンペーンでパーソナライズされたコンテンツを特定のユーザに提供する場合には、BEA の仮想コンテンツ リポジトリへのコンテンツの追加、コンテンツを表示するプレースホルダの作成、ユーザがキャンペーン コンテンツの対象になる条件を定義するためのプロパティ (ユーザ プロファイルやセッション プロパティなど) の設定、およびキャンペーンの作成を行う必要があります。

詳細については、『対話管理ガイド』を参照してください。

 


パフォーマンス

プロダクション環境で必要になる調整を最小限に抑えるには、ポータル アーキテクチャ内で優れたパフォーマンスを実現できるように計画する必要があります。設計上のいくつかの重要な決定事項に注意すると、パフォーマンスに関する多くの問題を解消して、パフォーマンスの大幅な向上を実現できます。

全体的なポータルの使用方法に組み込むために計画するパフォーマンスの最適化の例を次に示します。

ポータルの開発を始める前にパフォーマンスの最適化を計画して、求められるすべての前提条件を実現できるようにします。高性能ポータルを開発する手順の詳細については、「最適なパフォーマンスを得るためのポータルの設計」を参照してください。プロダクション環境で実施可能な WebLogic Portal パフォーマンスの推奨事項については、『パフォーマンス チューニング ガイド』(今後のドキュメント リリースとして提供予定) を参照してください。


  ページの先頭       前  次