ポータル開発ガイド

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プロダクションへのポータルのデプロイ

伝播とは、データベースと LDAP の内容を別のポータル ドメイン環境に移動するプロセスのことです。BEA には、ポータルの伝播に役立つツールがあります。これらのツールを使用すると、データベース資産および LDAP の情報を移動するだけでなく、ソース環境と対象環境の相違点や衝突の可能性について知ることができます。衝突を自動的に解決するためのポリシーを定義したり、管理者が相違点を表示して、状況に応じて適切なアクションを決定したりすることができます。

伝播ツールの詳細については、『プロダクション業務ガイド』を参照してください。また、このプロダクション業務ガイドでは、伝播の方法を計画する手順およびベスト プラクティスについても詳しく説明しています。

この章では、ポータルを公開する準備ができて、ステージング環境からプロダクション環境へポータルを伝播 (デプロイ) する際に役立つ情報について説明します。

この章で使用する主なツールは、WebLogic Portal 伝播ツール (ステージング、開発、プロダクション間でデータベースと LDAP のデータをやり取りする)、WebLogic Server アプリケーション デプロイメント ツール、および使用している外部のコンテンツ プロバイダとセキュリティ プロバイダです。

 


共有 J2EE ライブラリ

以下の節では、J2EE ライブラリとポータル デプロイメント時のライブラリの動作について詳しく説明します。デプロイメント時の J2EE ライブラリの操作手順については、『プロダクション業務ガイド』を参照してください。

WebLogic Portal 共有ライブラリ間の依存関係を示す詳細なダイアグラムを表示するには、『Shared J2EE Library Dependency Diagrams』を参照してください。

config.xml における共有 J2EE ライブラリの参照

図 13-1 はアプリケーション コードと共有 J2EE ライブラリが分離されている様子を示しています。config.xml ファイルはドメイン内にあり、Web アプリケーションと J2EE ライブラリ間の関係を規定します。コード リスト 13-1 は、WebLogic Portal ドメイン内の config.xml ファイルの <library> 要素の例を示しています。 表示されているように、このライブラリ ファイルは WebLogic のインストール領域に存在する EAR ファイルです。このライブラリは、対象サーバにデプロイされたアプリケーションで利用できます。

コード リスト 13-1 config.xml ファイルにおける J 2EE ライブラリの参照
<library>
<name>p13n-app-lib#9.2.0@9.2.0</name>
<target>AdminServer</target>
<source-path>D:/bea/weblogic92/common/deployable-libraries/
    p13n-app-lib.ear
    </source-path>
<deployment-order>1</deployment-order>
<security-dd-model>DDOnly</security-dd-model>
</library>

アプリケーションをデプロイすると、これらの関係によって、アプリケーションと J2EE ライブラリ コードを単一のエンタープライズ アプリケーションにマージする計画が提示されます。

図 13-1 共有 J2EE ライブラリを参照するアプリケーション

共有 J2EE ライブラリを参照するアプリケーション

ヒント : デプロイメント計画を作成すると、ファイルがマージされる際に実行時にマップされる内容をコンフィグレーションできます。デプロイメント計画の詳細については、『プロダクション業務ガイド』を参照してください。

J2EE ライブラリは、次のような特長を備えています。

アプリケーションに複数の J2EE ライブラリを含めて、それぞれにデプロイメント順序を指定することができます。デプロイメント順序は、複数のライブラリに同じファイルが含まれている場合に、優先するファイル バージョンを特定します(参照アプリケーションに含まれるファイルは、ライブラリ ファイルよりも常に優先されます)。概念的に、J2EE ライブラリはライブラリが含まれるアプリケーションに対する重ね合わせ (より正確には、基礎) と考えることができます。

J2EE ライブラリは、エンタープライズ アプリケーションまたは Web アプリケーション レベルのいずれでもデプロイできます。J2EE ライブラリはライブラリが含まれるアプリケーションと同じファイルおよびディレクトリ構造を使用します。J2EE ライブラリに含まれるファイルは、実質的に、デプロイ時に参照アプリケーションにマージされます。

デプロイメントが完了すると、マージされたアプリケーションは標準の J2EE アプリケーションとして機能します。そのため、ライブラリ内の資産に関するデプロイメント情報は、デプロイメント プロセスの前に (または、デプロイメント プロセスの一環として) 参照元アプリケーションの記述子にマージする必要があります。

共有 J2EE ライブラリの構造

J2EE ライブラリは、ライブラリ、リソース、およびコンフィグレーション ファイルを EAR または WAR ファイルにパッケージ化したものです。EAR ベースの J2EE ライブラリはエンタープライズ アプリケーション スコープで、WAR ベースのモジュールは Web アプリケーション スコープです。

図 13-2 は、展開された J2EE ライブラリを示しています。この J2EE ライブラリの名前は p13n-app-lib です。

図 13-2 展開された共有 J2EE ライブラリの例

展開された共有 J2EE ライブラリの例

META-INF ディレクトリには Manifest.mf ファイルがあります (コード リスト 13-2 の例を参照)。このファイルには、アーカイブを J2EE ライブラリとして定義する 3 つの要素があります。

web.xml ファイルにおける共有 J2EE ライブラリ設定のオーバーライド

実行時には、ポータル Web プロジェクトの web.xmlファイルに加えて、すべての共有 J2EE ライブラリの web.xml ファイルがマージされます。WEB-INF/web.xml ファイルの内容は共有 J2EE ライブラリの内容をすべてオーバーライドするため、特定の設定の変更が必要な場合は、このファイルで設定することができます。

その他の多くのファイルでも、ファイルの内容がマージされます。これらは、同じようにしてオーバーライドされる場合があります。これらのファイルには、WEB-INF/web.xml だけでなく、WEB-INF/weblogic.xml も含まれます。また、ユーザのアプリケーションや共有ライブラリの weblogic-extension.xml に記載されたすべてのファイルも含まれます。

NULL サーブレット フィルタ (com.bea.p13n.servlets.NullFilter) または 404 サーブレット (com.bea.p13n.servlets.SendErrorServlet) をデプロイすると、必要に応じて、共有ライブラリの web.xml ファイルにデプロイされたサーブレット フィルタやサーブレットを無効にできます。詳細については、Javadoc を参照してください。

サーブレット マッピングのオーバーライド

WebLogic Portal で提供される web.xml サーブレット マッピングは、J2EE ライブラリ内に存在します。たとえば、showBinaryServlet は次のモジュールで定義されます。

WebLogic_Home/portal/lib/modules/wlp-services-web-lib.war

これらのサーブレット マッピングの追加または変更を行う場合には、次のパスにあるポータル Web プロジェクトのファイルベース web.xml ファイルで、マッピングの追加またはマッピングのオーバーライドを行います。

PortalWebProject/WebContent/WEB-INF/web.xml

たとえば、URL で /ShowBinaryServlet/* が使用されているときに ShowPropertyServlet を呼び出すには、ファイル システムの web.xml ファイルに次のエントリを追加します。

<servlet-mapping>

   <servlet-name>ShowPropertyServlet</servlet-name>

   <url-pattern>/ShowBinaryServlet/*</url-pattern>

</servlet-mapping>


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