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ローリング アップグレードとは、WebLogic Server クラスタ全体またはドメイン全体をシャットダウンすることなく、パッチ、メンテナンス パック、またはマイナー リリースを使用して、実行中の WebLogic Server クラスタをアップグレードするプロセスのことです。クラスタをローリング アップグレードすると、クラスタ内の各サーバは個別にアップグレードと再起動を行い、その間、クラスタ内の他のサーバがアプリケーションをホストし続けます。
WebLogic Server 9.2 より前のリリースでは、クラスタをアップグレードするためには、ドメイン全体をシャットダウンするか、アップグレードしたサーバを、追加ハードウェアの並行ドメイン上にインストールし、ロード バランサを使用して元のドメインから新しいドメインに負荷を転送することが必要でした。ローリング アップグレードによって、ダウンタイムを短縮でき、ドメインを実行したまま、パッチ、メンテナンス パック、またはマイナー リリースをインストールできるようになりました。
ローリング アップグレードは、WebLogic Server 9.2 からサポートされています。ローリング アップグレードのサポートの範囲には、WebLogic Server 10.x で使用可能になったパッチおよびメンテナンス パックのインストールが含まれます。
ローリング アップグレードは WebLogic Server インスタンスのほとんどのクラスタに適用できますが、クラスタに含まれない管理対象サーバのドメインに対する更新もインストールできます。このドキュメントでは、クラスタへのアップグレードのインストールを中心に説明します。
パッチ、メンテナンス パック、またはマイナー リリースをローリングの方法でアンインストールすることもできます。
WebLogic Server アップグレードを実行するためにアプリケーションを停止して WebLogic Server のアップグレードが完了してからアプリケーションを再起動するなど、他の方法で最新のパッチにアップグレードすることもできます。ローリング アップグレードは、実行中の WebLogic Server クラスタをアップグレードするときにクラスタ全体やドメインを停止しないという選択肢を提供します。
アップグレードを開始する前に、次のような予防措置を実行していることを確認します。
ローリング アップグレードのプロセスには、管理サーバの停止、アップグレードのインストール、管理サーバの再起動が含まれ、クラスタの各管理対象サーバに対して同じ処理を実行します。詳細については、以下の各節を参照してください。
WebLogic Server の更新をサーバにインストールする前に、そのサーバを停止する必要があります。サーバを停止する前に、使用している環境によっては、先にそのサーバに対するロード バランサまたは Web サーバからの要求やトラフィックの送信を停止して、保留中のプロセスを完了してから、安全にサーバを停止する必要があります。
管理対象サーバの停止は、コマンドライン、WLST スクリプト、または Administration Console から実行できます。
コマンドラインの場合は、Graceful Shutdown
コマンドを使用すると安全にサーバを停止できます。このコマンドは、処理中のすべての作業が完了するまで待機してから、サーバまたはクラスタを停止します。
Graceful Shutdown
コマンドの使用については、『WebLogic Scripting Tool ガイド』の「shutdown」を参照してください。Console から管理対象サーバを停止する方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「クラスタのサーバの停止」を参照してください。
注意 : |
shutdown()
コマンドを使用する場合は、停止する管理対象サーバ インスタンスに接続していることを確認すること。WLST を使用してサーバを停止する方法については、『WebLogic Scripting Tool ガイド』の「サーバのライフサイクルの管理」を参照してください。
実行しているサーバを停止したら、メンテナンス アップグレードをインストールします。詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』の「パッチのダウンロードおよび適用」を参照してください。
パッチ、メンテナンス パック、またはマイナー リリースのインストールには、複数の方法があります。以下の節では、それぞれの方法について説明します。
Smart Update 機能を使用すると、定期的に使用可能なソフトウェア アップグレードをチェックすることができます。Smart Update を起動すると、現在の BEA Home ディレクトリに関連付けられているインストール済み製品のバージョン番号が確認されてから、Oracle Web サイトに接続され、使用可能な Service Pack の有無が確認されます。Smart Update によるインストールの詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』を参照してください。
多くの場合、メンテナンス更新はスクリプトを使用して配布およびインストールできます。複数のマシンにインストールされている Oracle 製品の特定のメンテナンス レベルをレプリケートするためのメカニズムを作成できます。プロダクション環境では、複数のマシンに対するソフトウェア更新の配布作業を、管理された方法で、信頼性と再現性を確保しつつ実施する必要があるため、この機能が特に役立ちます。
ここでは、Smart Update の bsu
コマンドについて説明します。これはパッチ ダウンロード ディレクトリにダウンロードされているパッチを適用するコマンドであり、対話形式またはスクリプトで使用できます。詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』の「コマンドライン インタフェースの使用」を参照してください。
サイレントモード インストールは、インストール コンフィグレーションを一度だけ設定し、その後はこれらのコンフィグレーションを使用して、インストールを多くのマシンに複製する方法です。サイレントモード インストールでは、インストール開始前に作成した XML ファイルからコンフィグレーション用の設定が読み込まれます。インストール プログラムからは、インストール処理中にコンフィグレーション オプションは何も表示されません。サイレント インストールは、メンテナンス パックとマイナー リリースのインストールにのみ適用できます。詳細については、『インストール ガイド』の「サイレント モードでのインストール プログラムの実行」を参照してください。
メンテナンス アップグレードをインストールしたら、サーバを再起動する前に必要に応じて起動スクリプトを修正します。詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』の「インストールおよびアプリケーションにおける適用済みパッチのアクティブ化」を参照してください。また、その他のインストール後の必要なタスクは、環境とインストールしたメンテナンスの種類によって異なります。
サーバ インスタンスの開始と停止の方法の概要については、『サーバの起動と停止の管理』の「サーバの起動と停止」を参照してください。
必要な場合は、サーバを起動した後で、そのサーバに要求が送信されるように Web サーバまたはロード バランサを再コンフィグレーションする必要があります。
パッチは 1 つまたはいくつかの問題修正を含むファイルで、Smart Update を使用してインストールできます。パッチは、通常はソフトウェアの問題を修正するために作成されます。パッチは、Smart Update を使用してインストール (推奨) できますが、クラスパスの最初でパッチを参照する方法もあります。
メンテナンス パックは、複数の修正が 1 つのファイルに組み込まれたものです。メンテナンス パックは Smart Update を使用してインストールするか、サポート Web サイトからインストーラをダウンロードしてインストールします。メンテナンス パックもパッチも、既存のインストールに対して適用されます。
WebLogic Server ドメインの実行中に、以下の手順を実行します。
注意 : | Smart Update を使用して、再起動のプロセスを自動化するように起動スクリプトを修正することもできます。詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』の「インストールおよびアプリケーションにおける適用済みパッチのアクティブ化」の「起動スクリプトの修正」を参照してください。 |
新規リリースのマイナー バージョンには、問題修正と新機能が含まれています。マイナー リリースは、まったく新しいディレクトリにインストールされます。同じリリース ファミリの既存のドメインは、新規のマイナー リリースを使用して実行できます。WebLogic Server 9.1 と WebLogic Server 9.2 は、WebLogic Server 9.x のマイナー バージョンの既存のサンプルです。
WebLogic Server ドメインの実行中に、以下の手順を実行します。
JAVA_HOME
、BEA_HOME
、および WLS_HOME
などの環境変数が新しいバージョンの WebLogic Server を参照するように更新します。JAVA_HOME
、BEA_HOME
、および WLS_HOME
などの環境変数に新しいバージョンの WebLogic Server を参照させる更新。
クラスタ全体やドメインを停止しないで、パッチ、メンテナンス パック、またはマイナー リリースをアンインストールすることができます。詳細については、以下の各節を参照してください。
場合によっては、メンテナンス アップグレードのアンインストールが必要になることがあります。Smart Update を使用すると、システムのインストール環境をそのリリース以前のバージョンに戻すことができます。詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』の「メンテナンス パック、およびパッチのアンインストール」を参照してください。
パッチおよびメンテナンス パックのアンインストールの手順は、ローリング アップグレードとは逆の順序になります。
詳細については、『パッチおよびメンテナンス パックのインストール』の「メンテナンス パック、およびパッチのアンインストール」を参照してください。
これで、適用されていたパッチまたはメンテナンス パックはアンインストールされました。
マイナー リリースのアンインストールの詳細については、『インストール ガイド』の「ソフトウェアのアンインストール」を参照してください。
この手順は、ローリング アップグレードの逆の順序になります。
詳細については、『インストール ガイド』の「ソフトウェアのアンインストール」を参照してください。
これで、WebLogic Server の新しいバージョンがアンインストールされました。
アップグレードの処理中に、インストールされている一部のファイルを置換することがあります。しかし、WebLogic Server インスタンスが実行中にこれらのインストール済みファイルを使用するため、アップグレード プロセス中でもそのサーバ インスタンスを停止してからでないと、該当するファイルを置換できません。複数の管理対象サーバが WebLogic Server の同じインストールを共有している場合、その一連のファイルを使用するすべてのインスタンスを停止して、同時にアップグレードする必要があります。ローリング アップグレードのサポートについて、Oracle では、各管理対象サーバにそれぞれ固有の WebLogic Server インストールを行うことをお勧めしています。
アップグレード処理の間、クラスタのすべてのサーバがアップグレードされるまでは、コンフィグレーションを変更しないでください。新しいコンフィグレーション オプションについては、特に注意が必要です。サーバは処理できない設定を無視して、反応しないため、ローカル コンフィグレーション ファイルが適切に更新されません。また、新しいコンフィグレーション オプションでは、メンテナンス アップグレードをローリング アンインストールできないことがあります。
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