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SNMP 管理ガイド
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SNMP を使用した WebLogic Server の管理
WebLogic Server ソフトウェアには、SNMP (Simple Network Management Protocol) を使用して企業全体の管理システムと通信する機能があります。WebLogic Server SNMP 機能によって WebLogic Server の管理を SNMP に準拠した管理システムに統合し、複雑に分散したシステムのさまざまなソフトウェアとハードウェアのリソースをまとめて表示することができます。
SNMP の管理は、ISO (国際標準化機構) が規定したネットワーク管理規格にあるエージェント/マネージャ モデルに基づいています。 このモデルでは、ネットワークとシステムのマネージャが、システムとネットワークのリソースに関するモニタ情報と制御情報をエージェントと呼ばれる分散ソフトウェア プロセスと交換します。
情報の交換によって管理可能なシステムまたはネットワークのリソースを管理対象リソースと呼びます。管理対象リソースは、Java Database Connectivity (JDBC) 接続プールなどのソフトウェア リソースや、ルータなどのハードウェア リソースです。
エージェントは「収集装置」として機能し、通常はマネージャからのリクエストに応じて管理対象リソースに関するデータを収集し、送信します。さらに、多くの場合、エージェントは、管理対象リソースにあらかじめ定義されているしきい値や条件を検出したときに、非請求レポートをマネージャに発行する機能も備えています。 SNMP では、このような非請求イベント レポートをトラップ通知と呼んでいます。
マネージャは、管理対象リソースのプロパティとエージェントがサポートするサービスについて、定義と情報のデータベースに依存しています。このデータベースが管理情報ベース (MIB) です。新しいエージェントが追加されてマネージャの管理範囲が拡大すると、マネージャには新しいエージェント経由で管理するリソースの管理可能な機能を定義する新しい MIB が必要になります。 リソースの管理可能属性は SNMP 準拠の MIB で規定されているように管理対象オブジェクトと呼ばれています。管理ステーションにある共通 MIB 内に企業分散システムの異種コンポーネントを定義すると、システム リソースとネットワーク リソースを管理する際に統一的な視点と単一のアクセス ポイントが得られます。
WebLogic ドメインにおける SNMP エージェントの役割
1 単位として管理される WebLogic Server リソースの集合は、ドメインと呼ばれます。ドメインには、1 つまたは複数の WebLogic Server が含まれ、WebLogic Server クラスタが含まれる場合もあります。
各 WebLogic ドメインでは、1 つのサーバが管理サーバになり、それ以外のサーバは管理対象サーバです。典型的な J2EE アプリケーションにあるコンポーネントは、複数の管理対象サーバに分散しています。管理サーバでは、WebLogic ドメイン全体を一元的にコンフィグレーションおよびモニタできます。WebLogic ドメインの詳細については、WebLogic Server の『管理者ガイド』を参照してください。
WebLogic 管理サーバには SNMP サービスを実行する機能もあります。SNMP サービスが特定の WebLogic ドメインに対して有効になると、管理サーバはその WebLogic ドメインの SNMP エージェントとして機能します(図 1-1 を参照)。
WebLogic SNMP サービスの有効化とコンフィグレーションについては、Administration Console オンライン ヘルプの「WebLogic SNMP エージェントの有効化およびコンフィグレーション」を参照してください。
WebLogic SNMP エージェントは次の用途に使用できます。
WebLogic Server の管理対象リソースと MBean
WebLogic Server インスタンス上のリソースは、Java Management Extensions (JMX) の管理対象 Bean (MBean) を使用して管理機能を公開します。 MBean は、JMX 仕様に基づいて開発される具象 Java クラスです。MBean は、管理対象リソースの各管理属性に対するゲッター操作とセッター操作、リソースごとに使用できる追加の管理操作を備えることができます。
管理対象リソースから情報を収集するために WebLogic SNMP エージェントをコンフィグレーションする場合、MBean の名前とデータを収集する MBean 属性を指定する必要があります。
管理対象リソースのコンフィグレーション データを公開する WebLogic Server MBean はコンフィグレーション MBean と呼ばれます。また、管理対象リソースの実行時の状態に関するパフォーマンス メトリックとその他の情報を提供する MBean は実行時 MBean と呼ばれます。 たとえば、ServerMBean コンフィグレーション MBean ではサーバ インスタンスのリスン ポートが示され、ServerRuntimeMBean 実行時 MBean ではサーバ インスタンスのライフサイクルにおける現在の状態が示されます。
WebLogic Server にデプロイするアプリケーションやサービスを管理するための独自の MBean (カスタム MBean) を作成できますが、WebLogic SNMP エージェントはこれらのカスタム MBean を SNMP 管理対象リソースとして認識しません。 カスタム MBean に関しては、WebLogic SNMP エージェントをコンフィグレーションして、トラップをモニタしたり、生成したりすることができません。
WebLogic Server の MBean の詳細については、以下を参照してください。
コンフィグレーション MBean のドキュメントを参照するには、次の手順に従います。
右ペインにパッケージの概要が表示されます (図 1-2 を参照)。
図1-2 configuration パッケージの Javadoc
実行時 MBean のドキュメントを参照するには、次の手順に従います。
右ペインにパッケージの概要が表示されます (図 1-3 を参照)。
SNMP 管理ソフトウェアを使用してアクセス可能な WebLogic Server のすべての属性は、SNMP 準拠の管理情報ベース (MIB) で定義されます。
注意: WebLogic Server MIB のすべてのオブジェクトが MBean 属性を表すとはかぎりません。 たとえば、WebLogic Server MIB にはトラップ変数を定義するオブジェクトがあります。
BEA WebLogic SNMP MIB は、抽象構文記法 1 (ASN.1) のコーディング規格に準拠しています。 ASN.1 ファイルは、SNMP 準拠の MIB を構成するオブジェクトを定義する標準の SNMP ファイルです。 このファイル内の各オブジェクトは、SNMP 標準に準拠して定義されます。 BEA WebLogic Server ソフトウェアは、SNMP 用の BEA WebLogic Server MIB を定義するための ASN.1 ファイル BEA-WEBLOGIC-MIB.asn1 を含みます。 BEA WebLogic SNMP MIB は、SNMP 標準に従って、RFC 1212 に準拠して記述されます。
次のいずれの方法を使用しても、WebLogic Server MIB の内容を参照できます。
WebLogic Server MIB は、MBean 属性に対してオブジェクト識別子 (OID) と呼ばれるユニークな番号を割り当てます。MIB の各 MBean 属性は SNMP の管理対象オブジェクトであり、SNMP 管理システムによって管理できます。
MIB は管理対象オブジェクトの間に階層関係を作成して、その階層を MIB ツリーまたは登録ツリーと呼ばれるツリー構造で表現します。MIB の各 OID は左から右に並べられた整数で構成されています。 この整数によって、MIB ツリー内のオブジェクトの位置が定義され、オブジェクトのユニークなパスが指定されます。 パス内の各ノードには、番号とその番号に関連付けられた名前があります。 パス .1.3.6.1.4.1 は、private.enterprises OID を定義しており、ツリー内のこのノードの下にあるそれぞれの番号は特定ベンダ用に予約されたツリーの枝を表しています。
BEA の MIB はツリーの .1.3.6.1.4.1.140 位置に登録されています。 また、WebLogic Server MIB は .1.3.6.1.4.140.625 の下にあるすべての OID から成ります。
WebLogic Server MIB 内で WebLogic Server MBean 属性を表す OID はすべて、MBean 属性タイプの識別子です。 たとえば、.1.3.6.1.4.1.140.625.360.1.60 は serverRuntimeState 属性タイプの OID です。
ある属性タイプの特定のインスタンスを識別するために、WebLogic SNMP エージェントは、一連の数字を生成して属性タイプの OID に追加します。 たとえば、MyServer というサーバのアクティブなインスタンスの serverRuntimeState 属性の値を指定する OID は、.1.3.6.1.4.1.140.625.360.1.60.32.102.100.48.98.101.102.100.99.102.52.98.97.48.48.49.102.57.53.51.50.100.102.53.55.97.101.52.56.99.99.97.99 です。
OID は、オブジェクト タイプをインスタンス化している間は永続的です。
WebLogic Server MIB 参照では、属性タイプを表す OID に (.*) が付加されます。 この規約は、追加された数字によってタイプの特定のインスタンスが識別されることを示します。 たとえば、WebLogic Server MIB 参照では、serverRuntimeState 属性タイプの OID は .1.3.6.1.4.1.140.625.360.1.60(.*) であることを示します。
snmpwalk または snmpgetnext コマンドを使用すると、WebLogic Server 属性のオブジェクト インスタンスの OID を確認できます。 詳細については、『管理者ガイド』の「WebLogic SNMP エージェント コマンドライン リファレンス」を参照してください。
WebLogic SNMP エージェントからのデータを要求しているエンティティがデータを取得するパーミッションを備えていることを確認し、エージェントが対象マネージャにトラップ通知を送信するパーミッションを備えていることを検証するために、SNMP はコミュニティ名というテキスト パスワードを使用します。
Administration Console オンライン ヘルプの「WebLogic SNMP エージェントの有効化およびコンフィグレーション」で説明している WebLogic 管理サーバの SNMP エージェント機能を設定するとき、必ず指定するものとして、エージェントが SNMP マネージャから提供されると予想するコミュニティ名があります。 エージェントは、誤ったコミュニティ名の SNMP リクエストを受け取った場合、自動的に authenticationFailure トラップを生成し、リクエストのソースに送信します。
管理リクエストでコミュニティ名を使用して対象サーバを指定する
SNMP マネージャによっては、属性の値を WebLogic SNMP エージェントに要求できます。 WebLogic Server ドメインでは複数のサーバ インスタンスが同時にアクティブになる場合があるので、属性名だけを指定したリクエストは不十分なことがあります。 たとえば、属性 serverUptime はドメイン内の WebLogic Server インスタンスごとに存在します。
特定の管理対象サーバの属性の値を要求するには、SNMP マネージャからリクエストを送信する場合に、次のように、リクエストと一緒に送信する SNMP パスワード (コミュニティ) にサーバ インスタンス名を追加します。
community_prefix@server_name
community_prefix は実際の SNMP コミュニティ名を指し、server_name は目的の管理対象サーバの名前を指します。 マネージャから送信される community_prefix の値は、SNMP エージェントをコンフィグレーションするとき、[コミュニティ プレフィックス] フィールドで設定する値と一致する必要があります。
管理サーバの属性の値を要求するには、次の形式でコミュニティ文字列を WebLogic SNMP エージェントに送信します。
community_prefix
ドメイン内のすべてのサーバ インスタンスの属性の値を要求するには、次の形式でコミュニティ文字列を送信します。
community_prefix@domain_name
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