トラップ通知

WebLogic SNMP エージェントをコンフィグレーションすると、管理対象リソース内で特定のしきい値や状況を検出して、1 つまたは 複数の SNMP マネージャにレポート (トラップ通知) を送信できます。

この章では、WebLogic SNMP エージェントが生成できるトラップ通知について説明します。

• WebLogic トラップ通知のフォーマット

• 自動的に生成される WebLogic SNMP トラップ

• ログ メッセージ トラップ

• モニタ トラップ

• 属性変更トラップ

WebLogic Server トラップ通知のコンフィグレーションと削除については、Administration Console オンライン ヘルプの「SNMP と WebLogic Server のコンフィグレーション」を参照してください。

 

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WebLogic トラップ通知のフォーマット

WebLogic SNMP エージェントは各トラップ通知を図 2-1 のフィールドを備えたプロトコル データ ユニット (PDU) の形式で SNMP マネージャに送信します。

図2-1 SNMP トラップ パケット

 

フィールドには次の意味があります。

• PDU type は、パケットをトラップ通知として識別する。

• enterprise はトラップを作成したシステムおよびネットワーク管理サブシステムのベンダ識別子 (OID) 。 WebLogic SNMP エージェントによって作成されたトラップは、すべて、enterprise フィールドが WebLogic OID の .1.3.6.1.4.140.625 になっています。

• agent address はトラップが生成された WebLogic Server インスタンスの IP アドレス。

• generic trap type は、0 〜 6 の範囲の整数。 表 2-1 に、さまざまなタイプの WebLogic SNMP トラップが generic trap type フィールドに指定する値を示します。

  表2-1 generic trap type フィールドの値

  WebLogic トラップ	生成される時点	generic trap type の値
  coldStart	管理サーバの起動時。	0
  authenticationFailure	SNMP マネージャが不正なコミュニティ文字列を送信するとき。コミュニティ文字列プレフィックスは実際のパスワードであり、Administration Console の [コミュニティ プレフィックス] フィールドに設定した値と一致する必要がある (「SNMP を使用した WebLogic Server の管理」を参照)。	4
  その他のすべての WebLogic SNMP トラップ		6

  
   

  generic trap value が 6 のトラップは enterpriseSpecific トラップと呼ばれ、specific trap type フィールドの値が伴います。

• specific trap type は enterpriseSpecific トラップをさらに限定する番号。 表 2-2 に、さまざまなタイプの WebLogic SNMP トラップが specific trap type フィールドに指定する値を示します。

  表2-2 specific trap type フィールドの値

  WebLogic トラップ	生成される時点	specific trap type の値
  すべてのログ メッセージ トラップ	ログ通知トラップを送信するためにユーザが定義した基準と一致するメッセージが、サーバ インスタンスで記録されたとき。	60
  serverStart トラップ	停止していた管理対象サーバが起動するとき。	65
  serverShutDown トラップ	起動していた管理対象サーバが停止するとき。	70
  すべてのモニタ トラップ	ユーザが定義した JMX モニタが、しきい値への到達またはイベントの発生を検出したとき。	75
  すべての属性変更トラップ	ユーザが選択した属性の値が変更されたとき。	80

  
   

• timestamp は WebLogic SNMP エージェントを最後に再初期化した時からトラップが発行された時までの時間。

• variable bindings はトラップ通知をより詳細に記述するための名前と値の組。この章の以降の節では、トラップ通知の各タイプごとに名前と値の組について説明します。

  • 自動的に生成される WebLogic SNMP トラップ

  • ログ メッセージ トラップにおける変数バインド

  • モニタ トラップの変数バインド

  • 属性変更トラップの変数バインド

 

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自動的に生成される WebLogic SNMP トラップ

ドメインの SNMP サービスを有効にした場合、WebLogic SNMP エージェントは表 2-3 に示すトラップ通知を自動的に生成します。これらのトラップ通知には、イベントをより詳細に記述するための名前と値の組が PDU に含まれるものもあります。

表2-3 自動的に生成されるトラップ通知

トラップ	生成される時点	変数バインド
coldStart	管理サーバの起動時。	なし
authenticationFailure	SNMP マネージャが不正なコミュニティ文字列を送信するとき。コミュニティ文字列プレフィックスは実際のパスワードであり、Administration Console の [コミュニティ プレフィックス] フィールドに設定した値と一致する必要がある （「SNMP を使用した WebLogic Server の管理」を参照）。	なし
serverStart	停止していた WebLogic 管理対象サーバが起動するとき。	サーバの起動時刻とサーバ名を識別する名前と値の組が 2 つ含まれる。
serverShutDown	起動していた管理対象サーバが停止するとき。	サーバの停止時刻とサーバ名を識別する名前と値の組が 2 つ含まれる。

 

 

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ログ メッセージ トラップ

WebLogic Server インスタンス上のサブシステムとデプロイ可能モジュール (アプリケーションなど) は、ログ メッセージを生成してステータスや他の操作データを通知します。

各サーバ インスタンスではこれらのメッセージをローカル ログ ファイルに格納してから、JMX 通知としてブロードキャストします。メッセージをすべてリスンするように WebLogic SNMP エージェントを設定したり、以下のような条件に基づいてフィルタを設定したりできます。

• メッセージの重大度レベル

• メッセージを生成したサブシステムの名前

• サブシステムが稼動しているユーザ ID

• ユニークなメッセージ ID

• メッセージ テキスト内の文字列

たとえば、重大度レベルが ERROR 以上のセキュリティ サービスのメッセージだけが SNMP エージェントに送信されるように指定できます。 SNMP エージェントを設定してメッセージをリスンする方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「通知ログ フィルタの作成」を参照してください。

エージェントはメッセージを受信すると、SNMP ログ通知トラップを生成します （図 2-2 を参照）。

図2-2 ログ メッセージ トラップ

 

ログ メッセージ トラップにおける変数バインド

この節では、ログ メッセージ トラップが SNMP マネージャに渡す variable bindings フィールドの名前と値の組について説明します。

• trapTime - トラップが生成された時刻。

• trapServerName - ログ メッセージが生成されたサーバ インスタンスの名前。

• trapMachineName - サーバ インスタンスが稼動しているマシンの名前。

• trapLogThreadId - ログ メッセージのスレッド ID。

• trapLogTransactionId - ログ メッセージのトランザクション ID (存在する場合)。トランザクション ID は、メッセージがトランザクションのコンテキスト内で記録された場合にのみ存在します。

• trapLogUserId - ログ メッセージのユーザ ID。ユーザ ID は、ログ メッセージが生成されたセキュリティ コンテキストを示します。

• trapLogSubsystem - ログ メッセージを生成したサブシステム。

• trapLogMsgId - ログ メッセージのログ メッセージ ID。

• trapLogSeverity - ログ メッセージのメッセージ重大度レベル。

• trapLogMessage - ログ メッセージのテキスト。

ログ メッセージと WebLogic Server ロギング サブシステムの詳細については、『管理者ガイド』の「ログ メッセージを使用した WebLogic Server の管理」を参照してください。

 

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モニタ トラップ

SNMP マネージャを使用して WebLogic リソースの状況に変化がないか定期的にポーリングする代わりに、Java Management Extension (JMX) モニタをコンフィグレーションして WebLogic Server のインスタンスに割り当てることができます。モニタでは WebLogic リソースの MBean を指定された間隔でポーリングし、しきい値への到達などの指定したイベントが発生すると、WebLogic SNMP エージェントに通知を送信します。SNMP エージェントはトラップ通知を生成して SNMP マネージャに送信します（図 2-3 を参照）。

図2-3 モニタ トラップ

 

WebLogic Server MBean について、および WebLogic Server MBean が WebLogic ドメインの中でどのように分散されるかについて理解したい場合は、WebLogic Server の管理対象リソースと MBeanを参照してください。

監視する属性のデータ タイプによって、3 タイプの JMX モニタをコンフィグレーションできます (MBean の Javadoc では、属性が返すデータのタイプについて説明されています)。

• カウンタ モニタ

  カウンタ モニタは Integer オブジェクト タイプとして返される属性値を監視します。

  属性がしきい値の範囲を超えた場合にトラップが生成されるように指定できます。値がしきい値を超えると、モニタがしきい値をオフセット値の分だけ増加するように指定することもできます。監視されている属性が新しいしきい値を超えるたびに、しきい値は指定された最大許容しきい値に達するまでオフセット値の分ずつ増加します。

  カウンタ モニタのコンフィグレーション方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「カウンタ モニタのコンフィグレーション」を参照してください。

• ゲージ モニタ

  ゲージ モニタは整数または浮動小数点として表現される MBean 属性の変更を監視します。

  属性が高しきい値または低しきい値の境界を超えた場合にトラップが生成されるように指定できます。

  ゲージ モニタのコンフィグレーション方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「ゲージ モニタのコンフィグレーション」を参照してください。

• 文字列モニタ

  文字列モニタは String オブジェクトとして表現される属性の変更を監視します。

  属性の値と指定した文字列が一致した場合にトラップを生成するように指定することも、属性の値が指定した文字列とは異なる場合にトラップを生成するように指定することもできます。

  文字列モニタのコンフィグレーション方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「文字列モニタのコンフィグレーション」を参照してください。

モニタ トラップの変数バインド

JMX モニタは、指定したしきい値または条件に対してポーリングを行い、エージェントは、指定したしきい値に到達したとき、または指定した条件が発生したときにモニタ トラップを生成します。WebLogic SNMP エージェントには、それぞれのモニタ トラップの変数バインドに次のような名前と値の組があります。

• trapTime - トラップが生成された時刻。

• trapServerName - トラップを生成した属性値を持つローカル サーバ。

• trapMonitorType - CounterMonitor、StringMonitor、または GaugeMonitor のいずれか。

• trapMonitorThreshold - トラップをトリガしたしきい値の ASCII 表記。

• trapMonitorValue - トラップをトリガした値の ASCII 表記。

• trapMBeanName - モニタされる属性を含む MBean の名前。

• trapMBeanType - モニタされる属性を含む MBean のタイプ。

• trapAttributeName - トラップをトリガした値を持つ属性の名前。

 

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属性変更トラップ

JMX モニタを使用して WebLogic Server リソースを定期的にポーリングし、特定のしきい値の範囲を超える変化が属性にないか調べることができますが、属性に何らかの変更があったらすぐにトラップを送信するように SNMP エージェントをコンフィグレーションすることもできます。たとえば、モニタを使用して現在アクティブな JDBC プールの数に変化がないかポーリングできます。アクティブなプールの数がしきい値を超えた場合に、SNMP エージェントはトラップを送信できます。属性変更トラップを使用して、JDBC プール名やリスン ポートのような属性が変更されたかどうかを検出することもできます。

属性変更トラップを送信するように SNMP エージェントをコンフィグレーションする方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「属性変更モニタのコンフィグレーション」を参照してください。

属性変更トラップの変数バインド

属性変更トラップ通知の変数バインドには、次のような名前と値の組が含まれています。

• trapTime - トラップが生成された時刻。

• trapServerName - 管理サーバの名前。

• trapMBeanName - 属性を含む MBean の名前。

• trapMBeanType - 属性を含む MBean のタイプ。

• trapAttributeName - 変更されたコンフィグレーション属性の名前。

• trapAttributeChangeType - ADD、REMOVE、UPDATE のいずれかの値。

• trapAttriruteOldVal - 変更前の属性の値。

• trapAttributeNewVal - 変更後の属性の値。

注意: 実行時属性の変更に関するモニタの作成はサポートされていません。属性値の変更をモニタできるのは、コンフィグレーション MIB 内にある属性だけです。