WebLogic Builder オンライン ヘルプ
WebLogic Builder を使用したアプリケーションの移植とデプロイ
このチュートリアルでは、Sun の BluePrint ワイヤレス アプリケーション Smart Ticket を WebLogic Builder を使用して WebLogic Server に迅速にデプロイする方法を紹介します。WebLogic Builder は、デプロイメント記述子ファイルを生成および編集するためのビジュアルな環境です。Smart Ticket は、携帯電話などのワイヤレス デバイスを使用して映画チケットを検索および購入できる J2EE アプリケーションです。Smart Ticket には、Web アプリケーションと EJB コンポーネントの両方があります。
チュートリアルでは特に以下の方法を紹介します。
WebLogic Builder を使用して Smart Ticket のデプロイメント記述子ファイルを生成および編集する
WebLogic Server Administration Console を使用して Smart Ticket のデータ ソースをコンフィグレーションする
J2ME Wireless Toolkit のデバイス エミュレータを使用して WebLogic Server 上で Smart Ticket を実行する
このチュートリアルの内容は以下のとおりです。
前提条件
このチュートリアルを開始する前に、以下のことを行ってください。
手順
Smart Ticket を WebLogic Server にデプロイするには、次の手順を行います。
手順 1 : アプリケーションと環境を設定する
この手順では、Smart Ticket および J2ME (Sun の Wireless Toolkit) をインストールします。また、アプリケーションをビルドできるように環境も設定します。
まだの場合は、WebLogic Server 8.1 をインストールして起動します。
WebLogic Server 8.1 は http://www.beasys.co.jp
からダウンロードしてインストールします。WebLogic Server のインストール ディレクトリ (変更しない限り c:\bea\weblogic810
) は WL_HOME
で表します。
Smart Ticket 1.1.1 をダウンロードしてインストールします。
Smart Ticket デモ アプリケーションのソース コードは http://developer.java.sun.com/developer/releases/smarticket/ でダウンロードします。ダウンロードしたら、同じマシン上にあるまたは WL_HOME
からアクセスできる新しいディレクトリに展開します。このディレクトリは SMARTICKET_HOME
と表します。
J2ME を J2MEWTK_HOME
(たとえば C:\J2mewtk
) にダウンロードしてインストールします。
Sun Wireless Toolkit は http://java.sun.com/products/j2mewtoolkit/download.html からダウンロードします。ツールキットをインストールします。インストール中に JDK を選択するよう要求されます。BEA_HOME/jdk141
ディレクトリにある JDK を選択できます。
J2MEWTK_HOME=C:\J2mewtk
を設定します。C:\J2mewtk
に J2ME がインストールされていると想定します。注意 : J2MEWTK_HOME
を設定しないと、アプリケーションをビルドできません。
WL_HOME\samples\domains\examples
にある setExamplesEnv
スクリプトを実行して環境を設定します。
SMARTICKET_HOME \smarticket\localant.bat
を開き、"%CLASSPATH%"
を ANT_CLASSPATH
行の末尾に追加します。
SMARTICKET_HOME\smarticket
ディレクトリで、localant.bat
を実行して Smart Ticket をビルドします。.WebLogic Builder ではコンパイル済みの .class
ファイルが必要です。.java
ファイルは使用できません。
手順 2 : Smart Ticket のデプロイメント記述子を生成する
この手順で、WebLogic Builder は Smart Ticket アプリケーションに含まれているデプロイメント記述子ファイルを読み取り、アプリケーションの .class
ファイルを参照して、アプリケーションが WebLogic Server で動作するのを助けるデプロイメント記述子ファイルを作成します。
WebLogic Builder は、アプリケーションの既存のデプロイメント記述子ファイルを上書きしません。
WebLogic Builder を開きます。Windows では、[スタート|プログラム|BEA WebLogic Platform 8.1|Other Development Tools|WebLogic Builder] を選択します。UNIX では、次のコマンドを実行します。
startBuilder.sh
WebLogic Builder の [ファイル|開く] メニューでフォルダ SMARTICKET_HOME \build\server
を選択し、[開く] をクリックします。「モジュールのデプロイメント記述子が見つかりません。記述子を新規作成しますか?」というダイアログが表示されます。[はい] をクリックすると、WebLogic Builder が Smart Ticket のクラス ファイルを参照して weblogic.xml
と weblogic-ejb-jar.xml
を生成します。
WebLogic Builder で、[ファイル|アーカイブ] を選択して SMARTICKET_HOME\bin\smarticket.ear
を指定することで smarticket.ear
を作成します。
smarticket.ear
は、コンフィグレーションして WebLogic Server にデプロイするアプリケーション アーカイブです。
手順 3 : Web アプリケーションの <context-root> を指定する
この手順では、<context-root>
要素を使用して Smart Ticket Web アプリケーションのコンテキスト パスを設定します。
WebLogic Builder で、\web ノードの [コンテキスト パス] タブを選択します。
[コンテキスト パス] フィールドに SmarTicketApp と入力します。
これでアプリケーションの <context-root>
要素が指定されます。
手順 4 : JNDI 名を指定する
この手順では、エンティティ Bean のデータが Web アプリケーションからアクセスされるように、Web アプリケーションおよび EJB で JNDI 名を参照に割り当てます。
Web アプリケーションの EJB 参照およびリソース参照
EJB のリソース参照
Builder の [J2EE 参照] ノードの [EJB 参照] パネルを選択し、以下のように EJB 参照の JNDI 名を指定します。
[参照名]
|
[EJB タイプ]
|
[JNDI 名]
|
ejb/MovieInfo
|
Session
|
MovieInfo
|
ejb/TicketSales
|
エンティティ
|
TicketSales
|
ejb/Customer
|
エンティティ
|
Customer
|
ejb/LocaleInfo
|
Session
|
LocaleInfo
|
Builder の [J2EE 参照] ノードの [リソース参照] パネルで、次の表に従って参照名、EJB タイプ、および JNDI 名を設定します。[リソース認証] は [Container] に設定します。
[参照名]
|
[参照型]
|
[JNDI 名]
|
jdbc/MovieInfoDataSource
|
java.sql.DataSource
|
MovieInfoDataSource
|
jdbc/TicketSalesDataSource
|
java.sql.DataSource
|
TicketSalesDataSource
|
jdbc/CustomerDataSource
|
java.sql.DataSource
|
CustomerDataSource
|
jdbc/LocaleInfoDataSource
|
java.sql.DataSource
|
LocaleInfoDataSource
|
Builder の EJB の [リソース] ノードにある [リソース参照] パネルで、次の表に従って EJB リソースの JNDI 名を設定します。
[リソース参照名]
|
[リソース参照型]
|
[JNDI 名]
|
jdbc/MovieInfoDataSource
|
java.sql.DataSource
|
MovieInfoDataSource
|
jdbc/TicketSalesDataSource
|
java.sql.DataSource
|
TicketSalesDataSource
|
jdbc/CustomerDataSource
|
java.sql.DataSource
|
CustomerDataSource
|
jdbc/LocaleInfoDataSource
|
java.sql.DataSource
|
LocaleInfoDataSource
|
Builder で、[ファイル|保存] を選択してアーカイブの変更を保存します。
手順 5 : Smart Ticket のデータ ソースを定義する
この手順では、ExamplesServer を起動し、WebLogic Server Administration Console を使用して Smart Ticket アプリケーションが使用する 4 つの EJB のそれぞれのデータ ソースをコンフィグレーションします。また、Smart Ticket の Cloudscape データベースを WebLogic Server に付属の Pointbase RDBMS に置き換えます。
データ ソースの JNDI 名は、手順 4 で設定した Web アプリケーション リソース参照および EJB リソースの JNDI 名と同じである必要があります。
[スタート|プログラム|BEA WebLogic Platform 8.1|Examples|WebLogic Server Examples|Launch WebLogic Server Examples] を選択して、ExamplesServer を起動します。
ExamplesServer によって [WebLogic Server Examples] ページが表示されます。
http://localhost:7001/console に移動するか、[WebLogic Server Examples] ページからリンクを辿って WebLogic Server Administration Console を開き、ユーザ名 weblogic
およびパスワード weblogic
を使用してサインインします。
[JDBC] ノードを選択し、[トランザクション データ ソース] をクリックします。
[新しい JDBC Tx Data Source のコンフィグレーション] を選択します。
データ ソースの名前を入力します。最初は MyCustomerDataSource
です。[JNDI] フィールドに CustomerDataSource
と入力します。プール名として demoPool
を入力します。これは、WebLogic Server のサンプルで使用されるデフォルトの接続プールです。[作成] をクリックします。
[対象] タブをクリックして、[選択可] カラムで examplesServer を選択し、右矢印をクリックして対象として設定します。[適用] をクリックします。
他の 3 つのデータ ソース (MyMovieInfoDataSource
、MyLocaleInfoDataSource
、および MyTicketSalesDataSource
) で手順 4 と 5 を繰り返します。
Smart Ticket の Cloudscape データベースを Pointbase (WebLogic Server 8.1 に付属の評価版 RDBMS) に置き換えるために、以下の行を SMARTICKET_HOME\smarticket\populate.bat
に追加します。
set POINTBASEHOME=%SAMPLES_HOME%\server\eval\pointbase
java utils.Schema jdbc:pointbase:server://localhost/demo,database.home=%POINTBASEHOME% com.pointbase.jdbc.jdbcUniversalDriver -u examples -p examples -verbose ./src/smarticketPointBase.sql
SMARTICKET_HOME\smarticket\populate.bat
を実行してデータベースを設定します。
手順 6 : Smart Ticket を WebLogic Server にデプロイする
この時点で、Smart Ticket を WebLogic Server 8.1 ExamplesServer にデプロイして実行する準備ができています。
WebLogic Builder の [ツール] メニューの [サーバに接続] ダイアログを使用してアプリケーションのサーバを指定します。
WebLogic Builder の [ツール] メニューから [モジュールのデプロイ] を選択して Smart Ticket をデプロイします。
指定されたポート番号 (8000) を ExamplesServer のポート番号 (デフォルトは 7001) に置き換えて、Smart Ticket の実行ファイル SMARTICKET_HOME\bin\smarticket.jad
でポートを設定します。
必要に応じて、J2ME Wireless Toolkit を開き、デフォルト デバイスを選択して、設定を指定します。エミュレータで利用できるオプションは複数あります。
SMARTICKET_HOME\bin\smarticket.jad
を起動します。起動するには、ダブルクリックするか、[スタート|J2ME Wireless Application|Run MIDP Application] を選択してそれを選択します。
J2ME ワイヤレス エミュレータ (手順 4 で選択したものか、デフォルト エミュレータ DefaultGrayPhone
) が表示されます。Smart Ticket はユーザ アカウントとログインの作成を求めます。
手順 7 : Smart Ticket を実行する
Smart Ticket アプリケーションのユーザ アカウントを作成するときには、郵便番号として 95130 または 95054 を入力します。パスワードの長さは 6 文字でなければなりません。
アカウントを作成するときには、「ポスター」モードを選択してみてください。ポスター モードにすると、電話などのワイヤレス エミュレータで映画の検索中に予告ポスターを表示できます。
全体像
WebLogic Builder は、アプリケーションのデプロイメント記述子ファイルを生成および編集するためのビジュアルな環境です。WebLogic Builder では記述子ファイルを表示してビジュアルに編集することができます。XML をテキストで編集する必要がありません。『WebLogic Builder オンライン ヘルプ』を参照してください。
サンプル アプリケーションの Smart Ticket は、J2EE プラットフォームが J2ME プラットフォームと連携して、携帯電話、双方向ポケットベル、パームトップなどのモバイル クライアント デバイスにサービスするエンタープライズ アプリケーションをどのように作成するのかを示します。
ベスト プラクティス
WebLogic Server で Smart Ticket アプリケーションの進捗状況とステータスを表示するには、サーバを起動するときに表示された [Launch Examples Server] コマンド ウィンドウをモニタします。
J2ME Wireless Toolkit の [Default Device] メニューからデバイス エミュレータを選択すると、DefaultGreyPhone が最も簡単に処理できるようになります。
Smart Ticket アプリケーションを再デプロイする場合は、データベースから前のユーザの情報を消去します。そのためには、次の手順に従います。
J2ME Wireless Ticket Utility を実行します。Windows の [スタート] メニューから実行するか、J2ME_HOME/bin
で実行可能ファイルとして実行します。
[Clean Database] をクリックします。
Smart Ticket を再起動します。SMARTICKET_HOME\bin\smarticket.jad
をダブルクリックするか、[スタート|J2ME Wireless Application|Run MIDP Application] を選択します。
関連情報
WebLogic Builder を使用せずに Smart Ticket を WebLogic Server 8.1 に移植する手順については、「Smart Ticket デモ」を参照してください。