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『Avitek Medical Records 開発チュートリアル』では、WebLogic Server を使用して実際の J2EE アプリケーションを開発、パッケージ化、およびデプロイするプロセスについて説明します。このガイドのチュートリアルの手順では、基盤として Avitek Medical Records サンプル アプリケーション スイート (バージョン 2.0) を使用します。ただし、この手順およびベスト プラクティスを独自の J2EE アプリケーションに簡単に適用できます。
以下の節では、アプリケーションとチュートリアルの概要について説明します。
Avitek Medical Records (MedRec) は、J2EE プラットフォームのすべての側面を簡潔にデモンストレーションする WebLogic Server サンプル アプリケーション スイートです。MedRec はあらゆるレベルの J2EE 開発者に向けた学習用ツールです。各 J2EE コンポーネントの使用方法を示し、コンポーネントの対話やクライアント開発のベスト プラクティスとなるデザイン パターンを例示します。
MedRec アプリケーションは、患者、医師、および管理者に対して、さまざまなクライアントを使用して患者のデータを管理するためのフレームワークを提供します。患者のデータには、以下のものがあります。
MedRec アプリケーション スイートは、2 つの主要な J2EE アプリケーション (medrecEar と physicianEar) と、MedRec 情報ページをロードし、管理 Bean (MBean) を登録する 2 つのサポート アプリケーション (startBrowserEar と initEar) で構成されます。メインのアプリケーションは、1 つまたは複数の MedRec ユーザ シナリオをサポートしています。
medrecEar
- 患者が Patient Web アプリケーション (patient
) にログインし、自分のプロファイル情報を編集するか、または自分のプロファイルをシステムに追加するように要求します。また、以前の通院時の医療記録を参照することもできます。管理者は、Administration Web アプリケーション (admin
) を使用して新しい患者のプロファイル リクエストを承認するか、または否認します。
さらに medrecEar
では、MedRec アプリケーション スイートで使用されるすべてのコントローラとビジネス ロジック、およびさまざまなクライアントで使用される Web サービスも使用できます。
physicianEar
- 医師および看護師が Physician Web アプリケーション (physician
) にログインし、患者のプロファイルを検索およびアクセスしたり、患者の医療記録を作成および参照したり、患者に薬を処方したりします。Physician アプリケーションは、medrecEar
で提供される Web サービスを通じて通信します。startBrowserEar
- startBrowserEar
アプリケーションは、インストールされている MedRec ドメインの起動時に、自動的に Web ブラウザを起動して MedRec 情報ページをロードするシンプルな Web アプリケーションです。このアプリケーションは開発チュートリアルでは扱いませんが、MedRec のビルド プロセスでコンパイルおよびデプロイされます。initEar
- initEar アプリケーションでは、データベースを 6 秒ごとにポーリングしてシステムに新しいユーザが追加されたかどうかをチェックする、カスタム管理 Bean (MBean) を実装して登録します。
以降のチュートリアルでは、すべてのアプリケーションを 1 つのサーバ ドメインにデプロイします。デプロイメントおよびテストの便宜上、開発プロセスでは一般に 1 つのサーバ ドメインが使用されます。図 1 は、プロダクション環境で各アプリケーションが複数のサーバにどのようにデプロイされるかを示します。
この MedRec チュートリアルでは、手順に従ってサーバ インスタンスを作成し、MedRec アプリケーションをビルドし、ビルドしたアプリケーションを新しいサーバにデプロイします。完成した MedRec アプリケーションを参照または使用した後でこのチュートリアルを開始したいと考えている場合は、WebLogic Server のインストール時に一緒にインストールされたあらかじめビルド済みの MedRec ドメインを使用できます。
この MedRec チュートリアルでは、WebLogic Server を使用してアプリケーション コンポーネントを開発する方法を説明しますが、MedRec の J2EE の実装や、Java での J2EE コンポーネントのプログラミング方法については説明しません。
MedRec チュートリアルは、示されている順に実行するように設計されています。チュートリアルの順序は、アプリケーションのステージングおよびコーディングから、コンポーネントのビルドおよびデプロイまで、J2EE アプリケーション開発のさまざまな段階を追って進むようになっています。
1 つまたは複数のチュートリアルを省略する場合、実行するチュートリアルの「前提条件」の節に目を通してください。そのチュートリアルを実行する前に完了する必要がある手順が、この節に示されています。多くの場合、チュートリアルの特定の段階まで進むためのスクリプトが用意されています。順序どおりにチュートリアルを実行していくと、必ず次のチュートリアルの前提条件は満たされます。
これらのチュートリアルは Microsoft Windows コンピュータで操作することを前提としているため、すべてのコマンドでは Windows 構文を使用しています。
注意: | WebLogic Server のインストールの際、同時に Server Examples をインストールすることを指定した場合は、MedRec アプリケーション スイート用にあらかじめコンフィグレーションされたドメインが作成され、このドメインにコンパイル済みの MedRec エンタープライズ アプリケーションがインストールされます。 |
注意: | ただし、これらのチュートリアルでは、このコンフィグレーション済みのドメインは使用せず、まったく新しいドメインを作成およびコンフィグレーションする方法について順を追って説明します。 |
注意: | コンフィグレーション済みのドメインを使用してチュートリアルを実施したい場合は、WL_HOME /samples/domains/medrec にあるドメインと、WL_HOME /samples/server/medrec にあるサンプル ソース コードを使用してください。Microsoft Windows コンピュータの場合は、コンフィグレーション済みの MedRec サーバを [スタート] メニューから起動できます。 |