WebLogic リソース アダプタ プログラマーズ ガイド

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容の開始

リソース アダプタについて

以下の節では、WebLogic リソース アダプタと、J2EE コネクタ アーキテクチャの BEA WebLogic Server 実装について紹介します。

 


リソース アダプタの概要

リソース アダプタは、エンタープライズ情報システム (EIS) に固有のシステム ライブラリであり、EIS への接続を提供します。リソース アダプタはデータベース管理システムへの接続を提供する JDBC ドライバに似ています。リソース アダプタと EIS 間のインタフェースは基底の EIS に固有のものであり、ネイティブ インタフェースの場合もあります。リソース アダプタは WebLogic Server などのアプリケーション サーバに接続し、EIS、アプリケーション サーバ、およびエンタープライズ アプリケーションの間にシームレスな接続を提供します。

1 つのアプリケーション サーバに複数のリソース アダプタを接続できます。それによって、アプリケーション サーバにデプロイされたアプリケーション コンポーネントが基底の EIS にアクセスできます。すべてのシステムレベルのメカニズム (トランザクション、セキュリティ、接続管理など) がアプリケーション コンポーネントからは意識されないように、アプリケーション サーバと EIS が共同で作業を行います。したがって、アプリケーション コンポーネント プロバイダは、アプリケーション コンポーネントのビジネス ロジックやプレゼンテーション ロジックの開発に専念でき、EIS の統合に関連したシステムレベルの問題に関わる必要はありません。複数の EIS と接続する必要のある、スケーラブルでセキュアなトランザクション対応のエンタープライズ アプリケーションを、より簡単に短期間で開発できるようになります。

WebLogic Server と WebLogic Integration のリソース アダプタの比較

BEA WebLogic Integration (WLI) リソース アダプタと BEA WebLogic Server リソース アダプタの違いに注意することが重要です。WebLogic Integration リソース アダプタは WebLogic Server 用に記述されるもので、通常は他のアプリケーション サーバにはデプロイできません。一方、WLI の拡張機能を利用せずに記述された WebLogic Server リソース アダプタは、J2EE に準拠したアプリケーション サーバにデプロイできます。このマニュアルでは、非 WLI リソース アダプタの設計と実装について説明します。WebLogic Integration リソース アダプタの詳細については、「BEA WebLogic Adapter 8.1 ドキュメント」を参照してください。

着信、発信、および双方向のリソース アダプタ

WebLogic Server は 3 種類のリソース アダプタをサポートしています。

1.0 と 1.5 のリソース アダプタの比較

WebLogic Server では、J2EE 1.0 コネクタ アーキテクチャまたは J2EE 1.5 コネクタ アーキテクチャに基づいて開発されたリソース アダプタをサポートしています。J2EE 1.0 コネクタ アーキテクチャでは、一方向の発信通信を使用した、リソース アダプタから 1 つの外部システムへの通信のみに制限されています。J2EE 1.5 コネクタ アーキテクチャではこの制限がなくなりました。1.5 リソース アダプタで提供される他の機能で、1.0 リソース アダプタに適用されないものは、以下のとおりです。

1.0 リソース アダプタと 1.5 リソース アダプタのもう 1 つの重要な相違点は接続プールに関連しています。1.5 リソース アダプタの場合、接続ファクトリにつき 1 つの接続プールが自動的に取得されることはありません。接続インスタンスをコンフィグレーションする必要があります。それには、weblogic-ra.xml デプロイメント記述子の connection-instance 要素を設定します。

WebLogic Server は現在 J2EE 1.5 コネクタ アーキテクチャに準拠していますが、J2EE 1.0 コネクタ アーキテクチャも引き続き完全にサポートしています。J2EE 1.5 コネクタ アーキテクチャに従って、WebLogic Server は現在、スキーマに基づいたデプロイメント記述子をサポートしています。J2EE 1.0 コネクタ アーキテクチャに基づいて開発されたリソース アダプタでは、文書型定義 (DTD) に基づいたデプロイメント記述子を使用します。DTD に基づくデプロイメント記述子で構築されたリソース アダプタも引き続きサポートされます。

このマニュアルでは、1.5 リソース アダプタの開発と使用について説明します。J2EE 1.0 コネクタ アーキテクチャに基づいた WebLogic Server リソース アダプタの詳細については、BEA WebLogic Server 8.1 の『WebLogic J2EE コネクタ アーキテクチャ』を参照してください。

 


J2EE コネクタ アーキテクチャ

J2EE コネクタ アーキテクチャでは、J2EE プラットフォームを、エンタープライズ リソース プランニング (ERP) システム、メインフレーム トランザクション処理 (TP)、データベース システムなどの異種のエンタープライズ情報システム (EIS) に接続するための、標準アーキテクチャを定義しています。

リソース アダプタは、任意の EIS 通信プロトコルを接続に使用できるようにするプロトコル アダプタとして機能します。アプリケーション サーバ ベンダは、J2EE コネクタ アーキテクチャをサポートするためにシステムを一度拡張すれば、複数の EIS とのシームレスな接続を確保できます。同様に、EIS ベンダは 1 つの標準リソース アダプタを提供すると、そのアダプタで J2EE コネクタ アーキテクチャをサポートするどのアプリケーション サーバにも接続できます。

J2EE コネクタ アーキテクチャのより詳細な概要については、J2CA 1.5 仕様の第 3 章「The Connector Architecture」を参照してください。

J2EE コネクタ アーキテクチャの図とコンポーネント

図 2-1 とその下の解説では、J2EE 1.5 コネクタ アーキテクチャの WebLogic Server 実装について説明します。

図 2-1 コネクタ アーキテクチャの概要

コネクタ アーキテクチャの概要

図 2-1 のコネクタ アーキテクチャの概要では、双方向のリソース アダプタを例示しています。発信接続処理では以下のコンポーネントが使用されます。

着信接続処理では以下のコンポーネントが使用されます。

システムレベル規約

WebLogic Server と EIS の間に標準のシステムレベルのプラグイン可能性を実現するために、WebLogic Server では、J2EE コネクタ アーキテクチャで定義されたシステムレベル規約の標準を実装しました。この規約は、2 つのシステムが協調して作業できるように、アプリケーション サーバと EIS で実装する必要のある SPI クラスとインタフェースで構成されています。システムレベル規約の EIS 側は、リソース アダプタの Java クラスで実装されます。以下の標準規約がサポートされます。

これらのシステムレベル規約の詳細は J2CA 1.5 仕様で説明されています。

 


リソース アダプタ デプロイメント記述子

リソース アダプタの構造と実行時の動作はデプロイメント記述子で定義されます。プログラマはパッケージ化のプロセスでデプロイメント記述子を作成します。そのデプロイメント記述子は、アプリケーションのコンパイル時にアプリケーションの一部になります。

WebLogic Server リソース アダプタには 2 つのデプロイメント記述子があり、それぞれに XML スキーマがあります。


  ページの先頭       前  次