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WebLogic ZAC を使用したパブリッシュ

 

この節では、WebLogic Zero Administration Client(ZAC)の使い方の概要を説明します。内容は以下のとおりです。

 


はじめに

注意: WebLogic Zero Administration Client は、非推奨の製品です。BEA では、Sun Microsystems の Java Web Start 製品を使用することをお勧めしています。Java Web Start は Java 2 に準拠した製品で、これを使用すると、ユーザは Java アプリケーションをダウンロードできるようになります。

WebLogic ZAC(Zero Administration Client ユーティリティ)を使用すると、アプリケーション、アプレット、ライブラリをパブリッシュ/再パブリッシュできるので、それらをエンド ユーザのクライアント マシン上で最新バージョンに透過的かつ自動的に更新することができます。そのため、アプリケーション、アプレット、またはライブラリを手動でクライアントに配布する必要がなくなり、配布作業を ZAC の自動サービスに任せることができます。

ZAC は非常に効率的です。ZAC アプリケーションを再パブリッシュすると、必要最小限のデータだけがネットワーク経由で各クライアントに転送され、クライアント上のアプリケーションが最新のバージョンに更新されます。変更がごく一部、またはまったくないような一般的な場合には、起動時に新しいファイルをチェックするためのオーバーヘッドはユーザが意識しないほど小さなものです。

ZAC では詳細なコンフィグレーションが可能なので、アプリケーションのパブリッシュ、インストール、および更新の方法を設計することができます。アプリケーションが更新されていないかどうかを、アプリケーションを起動または停止するたびにチェックしたり、スケジュールに基づいてチェックしたりすることができます。また、ZAC の更新チェックを無効にすることもできます。これは ZAC の最も便利な機能を無効にすることになりますが、パッケージを一括して配布する場合には適しています。

ZAC は、1997 年 8 月に W3C に提出された仕様、HTTP Distribution and Replication Protocol(DRP)というプロトコルを使用して、データを効率的にレプリケートします。

このマニュアルでは、ZAC Publish Wizard を使用して、ユーザに配布するためのアプリケーションを WebLogic Server 上でパブリッシュする方法について説明します。

 


ZAC デモの実行

インストール シールド(.exe)バージョンを使用して Windows 上にインストールした場合、WebLogic には、ZSimple と ZUpdate という準備なしで使える 2 つの ZAC パッケージが付属し、WebLogic ZAC がどのように動作するかをすぐに試してみることができます(このプリインストールされたデモは、WebLogic Server を .zip ファイルの配布キットからインストールした場合には正しく動作しません)。

  1. WebLogic を起動します(パブリッシュするにはシステム パスワードが必要です)。

  2. ZAC Publish Wizard を起動します。Win32 ユーザは、[スタート] メニューの WebLogic ディレクトリにある ZAC Publisher のショートカットを使用します。

    Windows ユーザ以外は、(次のコマンドを使用して CLASSPATH を設定した後に)コマンド ラインから Publish Wizard を起動します。

    $ java weblogic.PublishWizard

  3. [Publish Wizard] ウィンドウで、ZSimple または ZUpdate を選択してダブルクリックします。順を追ってすべての手順を参照すると、パッケージをパブリッシュする方法がわかります。また、[Finish] ボタンをクリックすると、概要部分をスキップできます。

  4. [Done] ボタンをクリックします。

  5. アプリケーションをパブリッシュするには、リストで選択してから [Package] メニューの [Publish...] を選択します。適切なホストを選択して、[Publish] ボタンをクリックします。1 つのホストだけに接続している場合、そのホストが自動的に選択されます。[Publish...] ダイアログにパブリッシュ処理のステータスが表示され、正常に処理が完了すると、パッケージが Publish Wizard のウィンドウの左下の、選択した WebLogic Server ホストの下に表示されます。「+」記号を展開しないと、パブリッシュされたパッケージが見えない場合もあります。

  6. パブリッシュされたパッケージをテストするには、パブリッシュ ウィンドウの左下で WebLogic Server ホストの下のパッケージを選択してから、[Server] メニューの [Test run] を選択します。

テストが始まった後も、パッケージを開いてパラメータを変更したり、アプリケーションを再パブリッシュしてクライアントの応答を確認したりすることができます。

ここからは、パッケージの作成およびパブリッシュする方法と、ブートストラップ実行可能ファイルの作成方法について説明します。ブートストラップ実行可能ファイルは、ZAC パッケージからアプリケーションをインストールおよび実行する標準的な方法です。

 


ZAC の動作

どのような Java アプリケーション、アプレット、またはライブラリも、ZAC パッケージとしてパブリッシュできます。ZAC を使用すると、Java ソース コードに何も追加することなく、プログラムをパブリッシュできます(ただし、ZAC には Java API が含まれており、ZAC 更新を行うタイミングやアプリケーションが ZAC 更新にすぐに応答するかどうかを対話方式で制御するコードをアプリケーションに追加する場合に使用できます。ZAC API を使用した開発については、「 WebLogic ZAC を使用した開発」で説明しています)。

ZAC の仕組みは、ユーザにとって非常に簡単です。

  1. 開発者が ZAC Publish Wizard を使用して、アプリケーションを WebLogic Server にパブリッシュします。

  2. アプリケーションのユーザが小さなネイティブ OS インストーラをダウンロードして、ダブルクリックするだけでアプリケーションをインストールおよび起動できます。

  3. インストーラは、ユーザのマシン上でアプリケーションを作成し、必要なライブラリをインストールするだけでなく、新しくパブリッシュされたバージョンのアプリケーションをモニタし、更新処理を実行する小さなブートストラップもインストールします。

サーバ上で ZAC パッケージをパブリッシュする方法

ZAC Publish Wizard を使用すると、アプリケーションを簡単にパブリッシュできます。ZAC Publish Wizard では、以下の処理を行うことができます。

ZAC Publish Wizard の手順に従うと、ZAC を使用するパッケージを作成し、WebLogic Server 上でパブリッシュできます。パブリッシュ処理では、アプリケーションまたは ZAC パッケージをクライアント マシン上で実行するために必要な以下のパラメータを設定します。

アプリケーションが WebLogic Server にパブリッシュされると、ユーザは HTTP 経由でそのアプリケーションをダウンロードできるようになります。アプリケーションまたはライブラリを変更するたびに、パッケージを再パブリッシュできます。

ZAC がパブリッシュされているアプリケーションをユーザのマシンにインストールする方法

パブリッシュ処理が完了すると、アプリケーションが WebLogic Server 上でパブリッシュされます。ZAC Publish Wizard は、ZAC がサポートしている各マシンのネイティブ形式で小さなインストール プログラムを作成します。ユーザがこのプログラムをダウンロードして実行すると、パブリッシュされているアプリケーションまたはパッケージがインストールされます。ここからは、このインストール プログラムを「インストーラ」と呼びます。インストーラはごく小さな実行可能ファイルなので、短時間でダウンロードできます。

パブリッシュされたアプリケーションをユーザが使用できるようにするには、インストーラを電子メールに添付するか、インストーラがある FTP へのリンクを HTML ページに埋め込みます。ユーザはインストーラをダウンロードして実行します。インストール プログラムはネイティブ形式の実行可能ファイルなので、ユーザは Java 実行環境(JRE または JDK のような Java 開発環境)をプリインストールしておく必要がありません。

インストーラは、ZAC Publish Wizard でのコンフィグレーション内容によって、以下の作業の一部またはすべてを実行します。

初期インストールが完了したら、インストーラをクライアント マシンから削除してもかまいません。

パブリッシュされているアプリケーションがユーザのマシン上で動作する仕組み

インストーラはアプリケーションだけでなく、ネイティブ形式のブートストラップ ファイルもインストールします。アプリケーションがインストールされると、ユーザはネイティブ OS ブートスラップを使用してアプリケーションを起動します。ZAC Publish Wizard のプロセスでは、ブートストラップ プログラムも作成します。

クライアントがブートストラップを実行するたびに、ブートストラップはまず、WebLogic Server 上に新しいバージョンのアプリケーションがパブリッシュされていないかチェックします。新しいバージョンのアプリケーションまたは ZAC アプリケーションが必要とする他の ZAC パッケージがパブリッシュされていた場合、ブートストラップは、クライアント マシン上の ZAC パッケージを新しいバージョンに自動的に更新します。次に、ブートストラップは、新しいバージョンのアプリケーションを起動します。

 


ZAC によるパブリッシュに対応するための WebLogic の設定

ユーザが ZAC にアクセスできるようにするには、ZAC を Web アプリケーションとして WebLogic Server にデプロイしておく必要があります。ZAC Web アプリケーションに含まれているサーブレットがクライアントからのリクエストを処理します。ZAC は、WAR ファイル、zac.war としてサーバ上にデプロイされます。デプロイ用に ZAC パッケージを準備するには、以下の手順を実行します。

  1. ファイル web.xml(ZAC Web アプリケーションの一部)を編集して、パブリッシュされたパッケージを見つけるためのパブリッシュ ルートを設定します。パブリッシュ ルートを相対パスに設定した場合、ディレクトリは WebLogic ホーム ディレクトリが基準となります(myserver\ ディレクトリと同じレベル)。未設定の場合、パブリッシュ ルートは、デフォルトで WebLogic ホームの exports\ ディレクトリに設定されます。次の例は、パブリッシュ ルートを設定する web.xml のエントリです。

    <context-param>
    <param-name>weblogic.zac.publishRoot</param-name>
    <param-value>C:/weblogic/publish</param-value>
    </context-param>

  2. 必要に応じて、パブリッシュするパッケージに ACL を設定して、アクセスを制限します。未設定の場合、書き込みパーミッションが system に、読み込みパーミッションが everyone にデフォルト設定されます。アクセス制御リストを設定する場合も、zac.war アプリケーションに含まれる web.xml ファイルを編集します。次の例は、myApp へのアクセスを Peter、Paul、Mary の 3 ユーザに制限する ACL を設定する web.xml ファイルのエントリの例です。

    <context-param> <param-name>weblogic.allow.read.weblogic.zac.myApp</param-name>
    <param-value>Peter,Paul,Mary</param-value>
    </context-param>

ZAC Web アプリケーションをデプロイするには、次の手順を実行します。

  1. WebLogic Server を起動します。ZAC パッケージをパブリッシュする場合には、WebLogic Server が稼働している必要があります。ただし、ZAC パッケージを作成する場合には稼働している必要がありません。

  2. WebLogic Administration Console を起動します。

  3. パブリッシュされたパッケージを使用可能にするには、ZAC Web アプリケーションのアーカイブ ファイル zac.war を Web アプリケーションとしてデプロイします。Web アプリケーションのデプロイの詳細については、『Web アプリケーションのアセンブルとコンフィグレーション』を参照してください。

 

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