1 Zero Downtime Migrationの概要

Zero Downtime Migrationが解決の役に立つ問題と、そのアーキテクチャ、要件およびサポートされている構成について学習します。

次の各トピックでは、Zero Downtime Migrationをインストールして使用する前に知っておく必要がある情報を示します。

Zero Downtime Migrationについて

Zero Downtime Migrationを使用すると、Oracle Active Data Guardなどのテクノロジを利用して、停止時間をほとんど発生させずにオンプレミス・データベースおよびOracle Cloud Infrastructure ClassicインスタンスをOracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerおよびExadata Cloud Serviceに短時間で簡単に移行できます。

Zero Downtime Migrationでは、ソース・データベースをOracle Cloud Infrastructure Object Storageにバックアップしたり、スタンバイ・データベースを(Data Guard構成、Oracle Data Guardの最大パフォーマンス保護モードおよび非同期(ASYNC) REDO転送モードで)バックアップからターゲット環境に作成したり、ソース・データベースとターゲット・データベースの同期をとったり、プライマリ・データベースとしてターゲット・データベースにスイッチオーバーするなどのメカニズムを使用します。

Zero Downtime Migrationにより、データベースの移行の完了後にフォールバック機能が有効になり、使用可能になります。スイッチオーバー時には、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerまたはExadata Cloud Serviceで実行されているターゲット・データベースがプライマリ・データベースになり、オンプレミスがスタンバイになります。スイッチオーバー後に新しいプライマリと新しいスタンバイの間にSQL*Net接続が確立されている場合、構成により、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerまたはExadata Cloud Serviceの新しいプライマリから新しいスタンバイ・オンプレミスへのデータの同期は引き続きとられます。ただし、SQL*Net接続がない場合、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerまたはExadata Cloud Serviceの新しいプライマリから新しいスタンバイ・オンプレミスへの同期はとられません。

Zero Downtime Migrationでは、オフライン(バックアップおよびリカバリ)の移行もサポートされています。このアプローチでは、ソース・データベースをOracle Cloud Infrastructure Object Storageにバックアップしたり、そのObject StorageバックアップからOracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerおよびExadata Cloud Serviceに新しいデータベースをインスタンス化するなどのメカニズムを使用します。この移行では、ソース・データベース・サーバーとターゲット・データベース・サーバーの間にSQL*Net接続は必要ありません。

Zero Downtime MigrationはOracle Maximum Availability Architecture (MAA)に準拠し、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)以降のデータベース・リリースがサポートされます。Zero Downtime Migrationには、堅牢かつ柔軟で再開可能な移行プロセスが用意されており、これはロールバックも容易です。Zero Downtime Migrationでは、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerおよびExadata Cloud Serviceの新しいデータベース環境にデータベース・サービスを動的に移行するために、制御されたスイッチオーバー方法を使用します。Zero Downtime Migrationを使用して、個々のデータベースのデータベース移行を実行および管理したり、フリート・レベルでデータベース移行を実行できます。

Zero Downtime Migrationソフトウェアがインストールされるサーバーは、Zero Downtime Migrationサービス・ホストと呼ばれます。Zero Downtime Migrationサービス・ホストから1つ以上のデータベース移行ジョブを実行できます。

Zero Downtime Migrationの機能

Zero Downtime Migrationサービスには多くの利点があり、カスタマイズ性に優れています。

  • 監査機能 - 移行ジョブで実行されたアクションを含め、すべてのユーザーアクションが監査されます。
  • ワークフローのカスタマイズ - ワークフロー・アクション(フェーズ別にマーク)は、ユーザーアクション前プラグインおよびユーザーアクション後プラグインでカスタマイズできます。
  • ジョブ・サブシステム - フリート・スケールでデータベース移行を実行および管理できます。
  • ジョブ・スケジューラ - 将来のある時点で実行されるように移行ジョブをスケジュールできます。
  • 一時停止および再開機能 - 必要に応じて、移行ジョブを一時停止して再開できます。これは、メンテナンス・ウィンドウに準拠する際などに便利です。
  • ジョブの再実行機能 - 移行ジョブを障害発生時点から再実行(再開)できます。
  • ジョブの事前チェック - 移行タスクの事前チェックを実行して、データベース移行中のエラーを防止することができます。
  • コンプライアンス - Zero Downtime MigrationはOracle Maximum Availability Architectureのベスト・プラクティスに準拠し、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4.0)以降がサポートされます。

サポートされている移行方法

データベースのソースおよびターゲットの宛先に応じて、Zero Downtime Migrationでは様々な移行方法がサポートされています。

Zero Downtime Migrationを使用したオンプレミスまたはOracle Cloud Infrastructure ClassicソースからOracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud ServiceまたはExadata Cloud at Customerへのデータベースの移行では、ソース・データベースのバックアップを作成してターゲット・データベースにリストアした後、Oracle Active Data Guard同期およびソース・データベースからターゲット・データベースへのプライマリ・ロールのスイッチオーバーが行われます。

Zero Downtime Migrationでは、選択したバックアップ媒体に基づいて様々な移行方法がサポートされています。バックアップ媒体は、Oracle Cloud Infrastructure Object Storage、Zero Data Loss Recovery ApplianceまたはNFSストレージのいずれかです。

データベースをOracle Cloud InfrastructureまたはExadata Cloud Serviceに移行する場合は、Object Storageがバックアップ媒体としてサポートされています。Exadata Cloud at Customerターゲットへの移行では、Object Storage、Zero Data Loss Recovery ApplianceまたはNFSをバックアップ媒体として使用できます。

データベースをObject StorageまたはNFSマウントにバックアップする場合、Zero Downtime Migrationサービスによってソース・データベースのバックアップが開始され、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerおよびExadata Cloud Serviceにリストアされます。バックアップ媒体には、ソース環境とターゲット環境の両方からアクセスできる必要があります。Object Storageにバックアップする場合、Zero Downtime Migrationサービス・ホストではソースおよびターゲットのデータベース・サーバーへのSSH接続を使用して、Object Storageに対するバックアップおよびリストアに必要なバックアップ・モジュール・ソフトウェアをインストールして構成します。ソース・データベースからObject Storageへのバックアップは、RMANチャネルを介して行われます。

Zero Data Loss Recovery Applianceをバックアップ媒体として選択した場合、Zero Downtime Migrationではワークフローの一環としてZero Data Loss Recovery Applianceへのバックアップを開始しないため、Zero Data Loss Recovery Applianceにソース・データベースの有効なバックアップがあることを確認する必要があります。

また、Zero Data Loss Recovery Applianceへのバックアップを開始する前に、データベースのすべてのインスタンスが稼働していることを確認する必要があります。インスタンスの停止時にバックアップが開始されると、データベースの複製操作が失敗する場合があります。

Zero Downtime Migrationサービスでは、Zero Data Loss Recovery Applianceのバックアップにアクセスし、Exadata Cloud at Customerにリストアします。Zero Data Loss Recovery Applianceのアクセス資格証明およびウォレットの場所は必須の入力引数であるため、Zero Downtime Migrationでは、ターゲット・データベースでのZero Data Loss Recovery Applianceウォレットの設定を処理できます。

ソースとターゲットのデータベース・サーバー間でのREDOストリームの転送はいずれの方向にも、SQL*Netリンクを介して行われます。

サポートされている移行パス

Zero Downtime Migrationでは、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud ServiceおよびExadata Cloud at Customerへの様々な移行パスがサポートされています。

次の各トピックでは、サポートされている移行パスについて説明します。

Oracle Cloud Infrastructureへのオンプレミス・データベースの移行

Zero Downtime Migrationを使用して、Oracleオンプレミス・データベースをOracle Cloud Infrastructure (仮想マシンまたはベア・メタル)に移行できます。

Zero Downtime Migrationでは、オンプレミス・データベースをOracle Cloud Infrastructureに移行するために、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageサービスを中間バックアップ媒体として使用する必要があります。

Oracle Exadata Cloud at Customerへのオンプレミス・データベースの移行

Zero Downtime Migrationを使用して、オンプレミス・データベースをOracle Exadata Cloud at Customer環境に移行できます。

Zero Downtime Migrationでは、オンプレミス・データベースをOracle Exadata Cloud at Customer環境に移行するために、Object Storage Service (OSS)、Zero Data Loss Recovery Appliance (ZDLRA)またはネットワーク・ファイル・システム(NFS)を中間バックアップ媒体として使用する必要があります。

Oracle Cloud InfrastructureへのOracle Cloud Infrastructure Classicデータベースの移行

Zero Downtime Migrationを使用して、Oracle Cloud Infrastructure ClassicのデータベースをOracle Cloud Infrastructure (仮想マシンまたはベア・メタル)に移行できます。

Zero Downtime Migrationでは、Oracle Cloud Infrastructure ClassicのデータベースをOracle Cloud Infrastructureに移行するために、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageサービスを中間バックアップ媒体として使用する必要があります。

Exadata Cloud Serviceへのオンプレミス・データベースの移行

Zero Downtime Migrationを使用して、Oracleオンプレミス・データベースをExadata Cloud Serviceに移行できます。

Zero Downtime Migrationでは、オンプレミス・データベースをOracle Cloud Infrastructureに移行するために、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageサービスを中間バックアップ媒体として使用する必要があります。

サポートされている構成

このリリースのZero Downtime Migrationでサポートされている構成とデプロイメントについて学習します。

Zero Downtime Migrationでは現在、次のトピックで説明するプラットフォーム、データベース・アーキテクチャおよびデータベース・バージョンがサポートされています。

サポートされているプラットフォーム

Zero Downtime Migrationでは、サービス・ホストと移行のソースおよびターゲット・データベース・サーバーで次のプラットフォームがサポートされます。

Zero Downtime Migrationサービス・ホスト - サポートされているプラットフォーム

Zero Downtime Migrationサービス・ホストは、Oracle Linux 7以降のリリースで構成できます。

Zero Downtime Migrationサービスは、オンプレミスのスタンドアロン・サーバーまたはOracle CloudのスタンドアロンLinuxサーバー(ベア・メタルまたは仮想マシン)にデプロイできます。Oracle Linuxは、Zero Downtime Migrationサービス・ノードでサポートされているプラットフォームです。

Zero Downtime Migrationサービス・ホストは、他の目的で他のアプリケーションと共有できます。ただし、Oracle Grid InfrastructureインスタンスをZero Downtime Migrationサービス・ホストで稼働させないでください。

ソースおよびターゲット・データベース・サーバー - サポートされているプラットフォーム

Linux-x86-64は、移行のソースおよびターゲット・データベース・サーバーでサポートされているプラットフォームです。

移行でサポートされているデータベース・バージョン

Zero Downtime Migrationでは、Oracle Cloud Infrastructure、Exadata Cloud at CustomerおよびExadata Cloud Serviceで使用可能なOracle Databaseのほとんどのバージョンがサポートされています。

次のOracle Databaseバージョンは、Zero Downtime Migrationを使用して移行できます。

  • Oracle Database 11 gリリース2 (11.2.0.4)
  • Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)
  • Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)
  • Oracle Database 18リリース3 (18.3)
  • すべての後続のOracle Databaseリリース

Zero Downtime MigrationではOracle Data Guardを利用するため、ソースとターゲットの両方では同じオペレーティング・システムおよびデータベース・バージョンが必要です。

ノート:

Zero Downtime Migrationでは、クロス・エディションの移行はサポートされていません。Zero Downtime Migrationは、Enterprise EditionのデータベースからStandard Editionのデータベースへの移行には使用できません。その逆も同様です。

移行でサポートされているデータベース・アーキテクチャ

Zero Downtime Migrationでは、Oracle Databaseシングルインスタンス、Oracle RAC One NodeおよびOracle Real Application Clusters (RAC)データベースがサポートされています。

Zero Downtime Migrationでは、次のデータベース・アーキテクチャの実装がサポートされています。

  • Oracle Databaseシングルインスタンス: シングルインスタンスまたはOracle RACデータベース・ターゲットに移行できます。
  • Oracle RAC One Node: Oracle RACデータベース・ターゲットに移行できます。
  • Oracle RAC: Oracle RACデータベース・ターゲットに移行できます。

サポートされているバックアップの場所

Zero Downtime Migrationでは、最高のパフォーマンスで最も人気のあるバックアップ媒体がサポートされています。

ターゲット環境に応じて、Zero Downtime Migrationでは次のバックアップ媒体がサポートされています。

  • Object Storageサービス(OSS)
  • Zero Data Loss Recovery Appliance (ZDLRA)
  • 外部のバックアップの場所(NFS)

バックアップおよびオブジェクト・ストアの作成の詳細は、選択したバックアップ媒体の製品ドキュメントを参照してください。

Zero Downtime Migrationのセキュリティ・プロビジョニング

Zero Downtime Migrationのファイルおよびディレクトリの権限と所有権と、セキュリティ機能の構成の処理はOracle Databaseのものと同等です。

Zero Downtime Migrationでは、ZDM_HOMEという名前の場所にインストールされます。これは、Oracle DatabaseのOracleホーム・ディレクトリORACLE_HOMEと同様に構造化されています。ZDM_HOME内のファイルおよびディレクトリの権限と所有権は、データベースORACLE_HOMEと同じ規則に従います。

また、Zero Downtime Migrationでは、Zero Downtime Migrationの構成ファイル、ログおよびその他のアーティファクトを格納するための、ZDM_BASEという名前のベース・ディレクトリ構造も作成されます。これは、Oracleホームに関連付けられている、Oracleベース・ディレクトリORACLE_BASEと似ています。ZDM_BASEのディレクトリおよびファイルの構造、所有者、権限は、ORACLE_BASEのものと似ています。

Zero Downtime Migrationの構成はすぐに使用できてセキュアであるように設計されているため、Zero Downtime Migrationの構成のセキュリティを確保するために、追加ステップを実行する必要はありません。

Zero Downtime Migrationは、ローカル・ホストからのJMX接続のみを受け入れ、HTTP接続用のループバック・アドレスでリスニングするように構成されます。Zero Downtime Migrationの操作は、製品をインストールしたオペレーティング・システム・ユーザーのみが実行できます。

Zero Downtime Migrationホストからオンプレミス・ソース・ノードおよびクラウド・ターゲット・ノードへのSSH接続が必要です。移行ジョブの入力としてSSH鍵ファイルの場所を指定する必要があり、移行ジョブの間、このファイルが存在することが想定されています。これらの鍵ファイルが配置されているディレクトリおよびファイルのセキュリティを管理する必要があります。

ポートが別のアプリケーションと競合している場合は、通信ポートを変更できます。これらのポートへのアクセスは、Zero Downtime Migrationホスト内からのみ構成されます。$ORACLE_BASE/crsdata/<hostname>/rhp/conf/standalone_config.propertiesファイルのRMIおよびHTTPポート・プロパティを変更できます。

プロパティは次のとおりです。

  • RMIポート - oracle.jwc.rmi.port=8895
  • HTTPポート - oracle.jwc.http.port=8896

プロパティの変更後にZero Downtime Migrationサーバーをバウンスします。

Zero Downtime Migrationの操作にパスワードが必要な場合、パスワード入力用のプロンプトが表示されます。パスワードは暗号化されてZero Downtime Migrationデータベースに格納されます。指定されたパスワードは、移行ジョブの間、変更されないと想定されています。

操作の観点から、Zero Downtime Migrationは、ソースおよびターゲットのデータベースの移行用の構成(Oracleウォレット、透過的データ暗号化など)を処理するために、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドのガイドラインに従います。

Zero Downtime Migrationのデータベース・サーバーのアクセス

Zero Downtime Migrationサービス・ホストでは、データベースの移行中にソースおよびターゲットのデータベース・サーバーにアクセスする必要があります。

移行を実行するために、Zero Downtime Migrationサービス・ホストでは、ソース・データベース・サーバーのいずれかに対するrootユーザーまたはSSH鍵ベースのアクセス権と、ターゲット・データベース・サーバーのいずれかに対するSSH鍵ベースのアクセス権が必要です。Oracle RACデータベースを移行する場合は、Oracle RACノードのいずれかへのアクセス権を付与することが適切です。Zero Downtime Migrationサービス・ホストでは、移行に必要なソフトウェアをソースおよびターゲットのサーバーにコピーして、操作の最後にクリーン・アップします。

SSH接続を確立するにはSSH秘密鍵が必要です。この生成された鍵ではパスフレーズを使用しないでください。Oracle Cloud Serviceコンソールを使用して、新しいSSH鍵を作成して既存のデプロイメントに追加できます。

ターゲット・プレースホルダ・データベース環境

Zero Downtime Migrationでは、Oracle Cloud Infrastructureコンソールを使用してプレースホルダ・データベース・ターゲット環境を構成する必要があり、プレースホルダ・データベースはオープン・モードで存在する必要があります。

プレースホルダ・データベース・ターゲット環境の構成を完全に制御しているため、ニーズに応じてその設定および構成を行うことができます。Zero Downtime Migrationサービス・ホストにより、ソース・データベースはこのプレースホルダ・データベース・ターゲット環境にリストアされます。プレースホルダ・データベースは、ソース・データベースと同じデータベース・バージョンかつソース・データベースと同じかそれ以上のパッチ・レベルで設定する必要があります。

SGAパラメータを含めターゲット・データベースのデータベース・パラメータは、必要に応じて設定する必要があります。これらの設定は移行時に保持され、移行されたデータベースはこの同じ構成で実行されます。データベース・パラメータに対する変更は、移行後に実行できます。

ターゲット・データベース環境がソース・データベースよりも高いパッチ・レベルである場合、移行後のタスクとして、ターゲット・データベースでdatapatchユーティリティを実行する必要があります。たとえば、ソース・データベースがOct 2018 PSU/BPで、ターゲットがJan 2019 PSU/BPである場合、datapatchユーティリティを実行する必要があります。

指定するSYSパスワードは、ソース・データベースのものと一致する必要があります。

プロビジョニングされたデータベースの名前は、ターゲット・プラットフォームに基づいて、次のいずれかのパターンと一致する必要があります。

  • Exadata Cloud at CustomerターゲットまたはExadata Cloud Serviceターゲットの場合、Zero Downtime Migrationでは、プレースホルダ・データベースを削除し、バックアップおよびレスポンス・ファイル・パラメータTGT_DB_UNIQUE_NAMEに指定されたdb_unique_nameパラメータを使用して、ソース・データベースと同じdb_nameのデータベースをターゲット環境で再作成します。ターゲット・データベースのdb_unique_nameパラメータ値は、Oracle Data Guardでターゲットをオンプレミス・プライマリ・データベースとは異なるデータベースとして識別できるように一意である必要があります。したがって、TGT_DB_UNIQUE_NAMEに指定する値は、ソース・データベースのdb_unique_nameの値と異なっている必要があります。
  • 仮想マシン・ターゲットまたはベア・メタル・ターゲットの場合、Oracle Data Guard移行方法を使用する際に、ソース・データベースとは異なるdb_nameでターゲット・データベースを作成します。この値は、レスポンス・ファイルでパラメータTGT_DB_UNIQUE_NAMEとして指定する必要があります。スタンバイの作成中に、Zero Downtime Migrationにより、プレースホルダ・データベースのデータ・ファイルが、オブジェクト・ストアのバックアップからリストアされたデータ・ファイルに置き換えられます。Zero Downtime Migrationでは、ターゲットのdb_nameがソースと同じになるよう更新されます。

移行が完了すると、ターゲット・データベースはOracle Database Cloud Serviceコンソールを使用してアクセス可能になり、ターゲット・データベースのdb_unique_name値を使用してSRVCTLコマンドでデータベースを管理できます。

データベース・パラメータに対する変更は、移行後に実行できます。

Zero Downtime Migrationの操作フェーズ

Zero Downtime Migrationサービスでは、操作フェーズの単位で移行プロセスを定義します。

Zero Downtime Migrationでは、ターゲット・プラットフォームやバックアップ媒体などの構成された入力パラメータに基づいて、定義された操作フェーズを使用して移行ワークフローを自動計算します。各操作フェーズでカスタム・プラグインを挿入すると、ワークフローをカスタマイズできます。Zero Downtime Migrationサービスを使用すると、選択した操作フェーズで移行ワークフローを一時停止および再開できます。

特定の操作について移行ワークフローに関連するフェーズをリストできます。ソース・データベース・サーバーで実行されるフェーズは接尾辞_SRC付きでリストされ、ターゲット・データベース・サーバーに関連付けられたフェーズは接尾辞_TGT付きでリストされます。