1 コネクタの概要

CA Service Desk (CASD)用のOracle Management Connectorは、HTTPまたはHTTPS接続を介してCA Service Desk 11、12、14または17をEnterprise Managerに統合します。このコネクタを使用すると、Enterprise Managerでインシデントのチケットを作成、更新、クローズおよび再オープンできます。チケットという用語は、CA Service Deskのインシデントを指すことに注意してください。

コネクタにより生成されたチケットには、Enterprise Managerインシデントに関連する情報が含まれ、これにはヘルプデスク・アナリストがインシデントを解決するためのEnterprise Managerの診断および解決機能を利用できる、Enterprise Managerコンソールへのリンクが含まれています。Enterprise Mangerでは、チケットID、チケット・ステータス、およびCASDコンソールへのリンクが、インシデントのコンテキストに表示されます。これによりEnterprise Manager管理者にはチケット・ステータス情報と、チケットにすばやくアクセスする簡単な方法が提供されます。

注意:

CASDコネクタは、チケットを作成する際にカスタム・フィールドを移入しようとしますが、CASDをカスタマイズしないと機能しません。必要なカスタマイズを実施する場合は、CASDコネクタのみを使用してください。

次の各項では、CA Service Deskコネクタを使用する前に理解しておく必要がある、CA Service Deskコネクタの様々な概念について説明します。

チケットの自動発行

チケットの自動発行とは、Enterprise Managerの照合ルールに対してチケットを自動的に作成または更新することを示します。基礎となるイベントまたはインシデント属性の変更に対して、チケットをオープン/更新する必要のある一連のイベントまたはインシデントを定義できます。たとえば、「警告」から「クリティカル」へのイベント重大度の変更によって、関連するチケットを更新できます。

関連項目:

『Oracle Enterprise Manager管理者ガイド』の「インシデント管理」の章を参照してください。

チケットがオープンされると、基礎となるイベント重大度の変更など、インシデント属性または基礎となるイベント属性のその後の更新によって、チケットが更新されます。Enterprise Managerでインシデントがクリアされると、チケットが更新され、必要に応じてCA Service Deskに移動してチケットをクローズできます。

チケットの手動発行

Enterprise Managerのオープン・インシデントに基づいて、Enterprise ManagerコンソールからCASDチケットを手動でオープンできます。該当するインシデントと選択されたチケット・テンプレートに基づいて、CASDコネクタによってチケットの詳細が入力されます。

チケット・テンプレート

チケット・テンプレートは、CASDにリクエストを送信する前に、Enterprise Managerのインシデントをチケットの書式に変換するためのXML変換スタイルシートです。チケット・テンプレートは、Enterprise Managerインシデントおよび関連するイベントの属性をCASDのチケット属性にマップする方法を指定します。

チケットの自動発行では、ルールを設定するときに、構成されているコネクタを選択し、テンプレート・リストからチケット・テンプレートを選択します。選択したチケット・テンプレートは、CASDへのチケット・リクエストの送信時に使用されます。チケットの手動発行では、チケットの作成リクエストを発行する前に、コネクタ・インスタンスとチケット・テンプレートを選択する必要があります。

CASDコネクタには、いくつかのチケット・テンプレートがあらかじめ用意されています。機能的なニーズに応じて、デフォルトのテンプレートをカスタマイズできます。事前に作成されているこれらのテンプレートは、カスタマイズする前にバックアップすることをお薦めします。

猶予期間

猶予期間を使用すると、同じイベントが再発することで頻繁に作成されるインシデントに対して、多数のチケットが作成されるのを防止できます。

たとえば、イベントが発生し、Enterprise Managerでインシデントが作成されます。チケットを作成するために定義されたルールでは、CASDシステムにチケットが作成されることが強制されます。猶予期間が1時間で、イベントが午前10時にクリアされると、これによってインシデントおよびチケットがクリアされます。同じイベントが午前11時より前に再発し、別のインシデントの作成が強制されると、猶予期間機能によって、この新規チケットの作成が停止され、かわりに同じチケットが再オープンされます。

注意:

CASDでは、チケットが「クローズ」ステータスに設定された後は、チケットを再オープンできません。したがって、猶予期間内に再度トリガーするインシデントでは、チケットを再オープンできず、注釈を付けるのみです。

猶予期間内でのインシデントの発生に対してチケットを再オープンする場合は、インシデントがクリアされたときに、チケットのステータスを「クローズ」ではなく「解決」に設定してください。これによって、同じインシデントが猶予期間内が再発した場合に、CASDコネクタがチケットを再オープンできるようになります。

再試行

「コネクタ構成」ページで使用できる「再試行」セクションでは、失敗したチケット・リクエストを、構成可能な有効期限内に再試行する必要があるかどうかを指定できます。

「再試行」オプションを有効にすると、リクエストが初めて失敗したときにチケッティング・リクエストを再送信するかどうかを指定するオプション、および再試行を中止するまでの時間を指定するオプションを使用できます。Enterprise Managerでは、リクエストが成功するか、再試行間隔が経過するまで、2分ごとに再試行します。

サポートされているバージョン

CA Service Deskコネクタ・リリース12.1.0.2.0に対して基本となるEnterprise Managerバージョン番号は、Enterprise Manager 12cリリース1です。

CA Service Deskコネクタ・リリース12.1.0.3.0は、CA Service Deskアプリケーションのバージョン11、12、14および17をサポートしています。