Essbase 11g On-Premiseアプリケーションからの移行準備
既存のEssbase 11g On-Premiseアプリケーションとキューブを移行する場合は、次の考慮事項と前提条件を確認してください。
移行のタスク・フロー
Essbase 11g On-PremiseのShared Servicesが外部セキュリティ・プロバイダを使用するように構成されていた場合、次のステップ1および2は不要です。Essbase 11g On-Premiseで使用されているのと同じ外部セキュリティ・プロバイダを使用するようにOracle Identity Cloud Serviceを構成します。
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Essbase 11g On-PremiseのShared Servicesからユーザーおよびグループをエクスポートします。
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ユーザーおよびグループをOracle Identity Cloud Serviceにインポートします。
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Essbase 11g On-Premiseがインストールされているコンピュータでユーティリティを実行することで、ライフ・サイクル管理(LCM)スタンドアロン・ユーティリティを使用して、Essbaseアプリケーションをエクスポートします。
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Essbaseコマンドライン・ツール(CLI)を使用してEssbaseアプリケーションをインポートします。
アクセスに必要なユーザー・ロール
Essbaseセキュリティ・アーティファクトのうち、Essbaseサーバーレベル・ロール、アプリケーションレベル・ロール、フィルタの関連付け、計算の関連付けは、LCMユーティリティを使用して移行されるのでご注意ください。LCMでは、ユーザーおよびグループのプロビジョニングを対応する新しいロールで処理します。
表4-1 デフォルトのロール・マッピング
ソースのEPMシステム・セキュリティ・モード・ロール | ターゲットのWebLogicセキュリティ・ロール | レベル |
---|---|---|
管理者 | サービス管理者 | サーバー |
アプリケーション・マネージャ | アプリケーション・マネージャ | アプリケーション |
計算 | データベース更新 | アプリケーション |
アプリケーションの作成/削除 | パワー・ユーザー | サーバー |
データベース・マネージャ | データベース・マネージャ | アプリケーション |
フィルタ | データベース・アクセス | アプリケーション |
読取り | データベース・アクセス | アプリケーション |
サーバー・アクセス | ユーザー | サーバー |
アプリケーションの開始/停止 | データベース・アクセス | アプリケーション |
書込み | データベース更新 | アプリケーション |
Essbase 11g On-Premiseの「フィルタ」ロールは、読取りアクセスを許可しませんが、フィルタによって制限されたメンバーによるアクセスは許可することにご注意ください。現在は「フィルタ」ロールがなく、すべてのメンバーに読取りアクセスを許可する「データベース・アクセス」が最も低いロール・アクセスとなります。選択したメンバーにアクセスを制限するには、グローバル・アクセスを制限するグループ・フィルタを使用します。
エクスポートおよびインポートを実行するには、次のアクセス権が必要です。
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エクスポート: 作成されたアプリケーションに対して少なくとも「アプリケーション・マネージャ」ロールを持つユーザーが、アプリケーション、フォルダおよびアーティファクトをエクスポートできます。
さらに、LCMユーティリティとそれに対応する操作を使用できるのは、次のロールです: すべてのアプリケーションの場合、サービス管理者。パワー・ユーザーが作成したすべてのアプリケーションの場合、パワー・ユーザー。
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インポート: パワー・ユーザー以上のロールを持つユーザーは、アプリケーションの作成(インポート時)およびアプリケーションの管理ができます。
ライフサイクル管理ユーティリティ
ライフサイクル管理(LCM)ユーティリティを使用すると、オンプレミスのアプリケーションおよびキューブをエクスポートすることで、アプリケーションを作成できます。その後、Essbaseコマンドライン・ツール(CLI)を使用して、それらをインポートします。
LCMユーティリティを使用するには、Java Development Kit 8以上がインストールされ、JAVA_HOME環境変数が設定されている必要があります。また、シェル・ターミナルにEPM_ORACLE_HOME変数とEPM_ORACLE_INSTANCE変数を設定する必要もあります。
Unicodeへのアプリケーションの変換
次のようにして、すべてのEssbase 11g On-PremiseアプリケーションをUnicodeに変換する必要があります。
- LCMユーティリティのエクスポートを実行する前に、サーバーでAlter Systemを使用し、次にEssbaseアプリケーションのバックアップ・コピーで使用して、Essbase自体がUnicodeアプリケーションをサポートできるようにします。
- Unicode以外のブロック・ストレージ・キューブ・アプリケーションの場合は、エクスポート・コマンドで「-converttoutf8」オプションを使用してアプリケーションをエクスポートします。LCMユーティリティのエクスポートのオプションを参照してください。
Unicode以外の集約ストレージ・キューブ・アプリケーションの場合は、集約ストレージ・キューブ・アウトライン・バージョンのアップグレードの手動でのUnicode変換の手順に従ってください。
サポート対象のEssbaseバージョン
移行がテスト済のリリースは、11.1.2.3.0nn、11.1.2.4.0nn、12.2.1以降です。古いバージョンを使用できます。サポートが必要な場合は、Oracleサポートまでお問い合せください。
ハイブリッド・モード
デフォルトの計算および問合せプロセッサは、ハイブリッド・モードです。ハイブリッド・モードでは、ブロック・ストレージ・キューブが上位レベルの動的疎メンバー、および完全な動的問合せと計算を含むことができます。更新後に、バッチ計算を実行しないで即座にデータを問い合せることができます。ハイブリッド・モードでは、動的計算を上位レベルの疎メンバーに適用しないことを選択した場合、キューブへの影響はありません。
暗黙の共有
暗黙の共有は適用できません。子の数に関係なく、保管済のすべての交差にデータが含まれています。
構成設定
構成は、アプリケーション・レベルで行われるようになり、デフォルトの構成値は異なります。
- IGNORECONSTANTS設定は、現在デフォルトでTRUEです。ハイブリッド・モードでの計算では、定数を割り当てません。
- INDEXCACHESIZEおよびDATACACHESIZEの設定は、すべてのEssbaseキューブ(集約ストレージ・キューブを除く)のキャッシュ・サイズを制御するようになりました。以前は、これらの設定では、新規に作成したキューブまたは移行したキューブのみに影響がありました。
MaxLを使用してキャッシュ・サイズを変更することはできません。これらの構成設定を使用する場合にのみ、キャッシュ・サイズを変更できます。
- GRIDSUPPRESSINVALIDは、現在デフォルトでTRUEです。無効な交差は、Smart Viewグリッドに表示されません。
- QRYGOVEXECTIMEは、現在デフォルトで300秒に設定されています。これは、問合せがこの時間で完了しない場合、タイムアウトになるということです。
前述の構成の変更に加えて、アプリケーションレベルの構成設定のデフォルト値を変更できます。
すべての構成設定をアプリケーション・レベルで管理することをお薦めします。アプリケーション・レベルの構成は、LCMユーティリティのエクスポートおよびインポート・プロセス時に保持されます。
アプリケーション・ファイルおよびアーティファクト
計算スクリプト、ルール・ファイルおよびテキスト・ファイルといったアプリケーションレベルのファイルやアーティファクトはすべて、Essbase 11g On-Premiseインスタンスからエクスポートして移行する前に、データベースレベルのファイルやアーティファクトに変換することをお薦めします。アーティファクトはデータベース・レベルでサポートされます。
ルール・ファイルをインポートして実行できます。
外部クライアントとEssbaseとの間でファイルのアップロード・サイズの制限にかかった場合、容量の大きなファイルを小さいファイルに分割し、サーバーへのSSH接続を使用してクラウド・サービスにアップロードした後に結合する必要があります。このオプションは、顧客が管理する環境でEssbaseユーザーのみが使用できます。
アウトライン
アウトラインはデプロイメント・サーバーで暗号化されます。デプロイメント・サーバー間でアウトラインをエクスポートおよびインポートする必要がある場合、LCMコマンドライン・ユーティリティおよびアプリケーション・ワークブックはサポートされている方法です。
ユーザーとグループ
既存のユーザーのフィルタと計算割当てを移行する場合は、Essbaseに同じ一連のユーザーとグループがすでに存在しているようにします。
ユーザー・ロールの割当ての動作は、Essbase 11g On-Premiseとは異なります。現在は「データベース・アクセス」が最も低いロールであり、デフォルトですべてのセルのデータ値への読取りアクセスを持っています。Essbaseのデータ値へのアクセスを制限するには、現在、NONEフィルタを作成してユーザーおよびグループに割り当てる必要があります。これは、「フィルタ」が最も低いロールであり、デフォルトですべてのセルのデータ値へのアクセス権を持たなかったEssbase 11g On-Premiseでは必要ありませんでした。
サポートされていないアプリケーションおよびデータベース設定
次のアプリケーションレベルの設定とデータベースレベルの設定は、Essbaseインスタンスに適用されません。
- コマンドの有効化/無効化(デフォルトでは有効)
- 接続の有効化/無効化(デフォルトでは有効)
- 更新の有効化/無効化(デフォルトでは有効)
- データおよび索引のキャッシュ・サイズの制御(デフォルトでは固定ですが、INDEXCACHESIZEおよびDATACACHESIZE構成設定を使用するとアプリケーションごとに変更できます)
- 最低限の権限レベル(かわりにLCMエクスポートより前にセキュリティ・フィルタを作成)
- ロック・タイムアウトの設定
- 通貨換算
- ディスク・ボリューム
パーティション
LCMユーティリティのインポート操作を実行するときは、ターゲット・アプリケーションの前にソース・アプリケーションをインポートします。ターゲット・アプリケーションの前にソース・アプリケーションをインポートしない場合、パーティション定義が機能しないため、ソース・アプリケーションをインポートした後にパーティション定義を再作成する必要があります。
サイズ要件
移行する予定の既存のアプリケーションは、調達するリソース・レベルに適合するようにしてください。サイズ要件を見積り、CPU、メモリーおよびストレージの最適な組合せを調達します。
LCM以外のアプリケーション作成オプション
LCMによるエクスポート済アプリケーションの移行に加えて、次のようにアプリケーションを作成することもできます。
- Excelのアプリケーション・ワークブックを使用してインポートします
- Smart Viewでキューブ・デザイナの拡張機能を使用します
- MaxLのcreate application文