ASOキューブ内のデータの集約
ASOキューブでは、データ値がレベル0のセルにロードされた後、計算は必要ありませんが、データ値を集約ビューとして事前計算して、データの集約を最適化できます。
Essbaseでは、保管階層および動的階層のアウトライン集計およびMDX式によってASO値が計算されます。データ・ロードが完了すると、キューブは計算準備が整います。取得要求が出されると、Essbaseで、レベル0のメンバーについて、ロードされた値が集計され、式が計算されます。
取得パフォーマンスを向上させるため、Essbaseでは、値を集約し、それらの値を事前に保管できます。ただし、すべての値を集約して保管すると、ストレージ用のディスク・スペースを必要とするプロセスが長々と続く可能性があります。Essbaseには、時間とストレージ・リソースのバランスを調整する、高機能な集約プロセスがあります。
Essbaseキューブが増大するにつれて、取得で、問合せの計算要件を満たすために、より多くのデータ値を処理する必要があります。取得を迅速化するために、Essbaseではデータ値を事前計算し、それらの値を集約に保管できます。キューブのサイズが集約セル1百万に迫る場合は、集約の実行を積極的に検討してください。使用環境によっては、小さいキューブも事前計算することでパフォーマンスが向上します。MaxLまたはEssbase Webインタフェースの「集約の構築」ジョブを使用します。
集約関連のEssbase用語
Essbase集約ストレージ(ASO)キューブの計算方法を理解するには、集約セル、入力セル、集約ビュー、集計、集約、集約スクリプトなどの集約に関する用語を学習します。
集約セル
すべてのディメンションにわたるレベル0交差の、式がないセルは、入力セルと呼ばれており、データ値をそれらにロードできることを意味します。勘定科目ディメンションのメンバーまたは動的階層のメンバーが含まれている上位レベルのセルは、取得時に必ず計算されます。
ディメンション全体のその他すべての上位レベルの交差は、集約セルです。集約セルの値は、下位レベルの値からロールアップ(集計)される必要があります。
たとえば、ASOSamp.Basicのアウトラインでは、Price Paid > Curr Year > 1st Half > Portable Audio > COは1つの集約セルです。Original Price > Curr Year > Jan > Camcorders > COは、もう1つの集約セルです。
図38-4 サンプルの集約ストレージ・アウトライン

集約セルの値は、要求ごとに計算することも、事前計算してディスクに格納することもできます。
集約ビュー
Essbaseでは、どの集約セルを事前計算し保管するかを定義するときは、集約ビューの作成によってそれを行います。集約ビューは集約セルのコレクションです。このコレクションは、各ディメンション内のメンバーのレベルに基づいています。
たとえば、アウトラインの1つの集約ビューについて考えてみます。この集約ビューには、次のディメンション・レベルの集約セルが含まれます。
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Measuresディメンション、レベル0
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Yearsディメンション、レベル0
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Timeディメンション、階層0のレベル1
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Productディメンション、階層0のレベル2
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Geographyディメンション、レベル0
この例の集約ビューは、0, 0, 1/0, 2/0, 0と表されます。
各ディメンションは、右から左にその順序でアウトラインに表示されます。ディメンションに階層が含まれる場合は、注釈によって階層内のメンバー・レベルが示されます。ディメンション内の階層は、階層0からトップダウンで番号が付けられます。
0, 0, 1/0, 2/0, 0集約ビューには、次のメンバーの交差を含む集約セルが含まれています。
Original Price, Curr Year, Qtr1, Personal Electronics, CO
Original Price, Curr Year, Qtr1, Personal Electronics, KS
Original Price, Curr Year, Qtr1, Home Entertainment, CO
Original Price, Curr Year, Qtr1, Home Entertainment, KS
Original Price, Curr Year, Qtr2, Personal Electronics, CO
Original Price, Curr Year, Qtr2, Personal Electronics, KS
Original Price, Curr Year, Qtr2, Home Entertainment, CO
Original Price, Curr Year, Qtr2, Home Entertainment, KS
Original Price, Curr Year, Qtr3, Personal Electronics, CO
Original Price, Curr Year, Qtr3, Personal Electronics, KS
Original Price, Curr Year, Qtr3, Home Entertainment, CO
Original Price, Curr Year, Qtr3, Home Entertainment, KS
Original Price, Curr Year, Qtr4, Personal Electronics, CO
Original Price, Curr Year, Qtr4, Personal Electronics, KS
Original Price, Curr Year, Qtr4, Home Entertainment, CO
Original Price, Curr Year, Qtr4, Home Entertainment, KS
Original Price, Prev Year, Qtr1, Personal Electronics, CO
Original Price, Prev Year, Qtr1, Personal Electronics, KS
Original Price, Prev Year, Qtr1, Home Entertainment, CO
Original Price, Prev Year, Qtr1, Home Entertainment, KS
and so on...
集約
集約とは、アウトライン階層に基づいた、レベル0のデータ値の集計のことです。集約には、ロールアップ(集計)される1つ以上の集約ビューが含まれています。Essbaseには、ロールアップされる集約ビューを選択し、それらを集約してから、選択したビューにセルの値を保管するという、高機能な集約プロセスがあります。データ・ロードによって変更されるレベル0の値に依存する集約セルが集約に含まれる場合、上位レベルの値はデータ・ロード・プロセスの最後に自動的に更新されます。
集約という用語は、集約プロセスと、プロセスの結果として保管される値のセットの両方に使用されます。
ASOデータ値のロールアップ方法
集約ストレージ・アウトラインの階層構造により、値のロールアップ方法が決定されます。レベル0のメンバーの値はレベル1のメンバーの値にロールアップし、レベル1のメンバーの値はレベル2のメンバーの値にロールアップする、などのようになります。
動的階層のメンバーに割り当てられた集計演算子は、ロールアップで使用される加算(+)、減算(-)、乗算(*)、除算(/)、パーセント(%)、非演算(~)および集計なし(^)演算子を定義します。
保管階層のメンバーは、加算(+)または非集計演算子(~)のみを使用できます。
より複雑な演算では、動的階層のメンバーに対するMDX式を指定できます。MDX式はMDX数値式と同じフォーマットで記述されます。
集約スクリプト
それぞれの集約スクリプトは、生成される集約ビューの特定の選択を定義するファイルです。「Essbase ASOキューブの集約スクリプト」を参照してください。
ASO集約の実行
集約には、ビューの選択と生成が含まれます。有用な集約ビューの選択については、次回必要なときにビューの選択をバイパスして集約スクリプトとして保存できます。集約を実行すると、選択したビューが計算されます。
オプションで、Essbase集約ストレージ・キューブに、事前計算された値を集約として保管できます。MaxLまたはジョブを使用して集約を実行します。
集約プロセスには2つのフェーズがあります。
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集約ビューの選択。
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選択された集約ビューの値の計算および保管。このフェーズは、集約の生成とも呼ばれます。
集約ビューの選択フェーズでは、Essbaseで、集約ビューの計算および保管を様々に組み合せることで集約の問合せ応答時間にどのような影響があるのかが分析されます。分析に対する入力として、物理的ストレージとパフォーマンスの要件を定義できます。「使用状況に基づいたビューの選択」の説明に従って、データの使用状況を追跡したり、分析プロセスに情報を指定したりすることもできます。
有用性とリソース要件に基づいて、Essbaseで集約ビューのリストが作成されます。このリストの各ビューにはストレージとパフォーマンスに関する情報が含まれており、これらの情報は、その集約ビューと前述のその他すべての集約ビューが保管されるときに適用されます。リストされたビューの集約、リストされたビューのサブセットの選択と集約または別の入力基準による選択プロセスの再実行を選択できます。また、新しい選択基準に基づいた新しいビューの生成を、集約に追加することもできます。「集約ビュー選択の最適化」を参照してください。
選択を生成するかどうかにかかわらず、集約ビューの選択は集約スクリプトとして保存できます。集約スクリプトには柔軟性があり、同じ選択が再度必要になった場合に選択プロセスをバイパスできるため、時間を節約できます。「Essbase ASOキューブの集約スクリプト」を参照してください。
選択プロセスが終了すると、選択された集約ビューを集約に生成するときに、選択された集約ビューが計算されます。
次のプロセスに従って集約を定義および生成することをお薦めします。
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アウトラインを作成または変更した後に、データ値をロードします。
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デフォルトの集約を実行します。
オプション: ストレージ停止ポイントを指定します。
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推奨される集約ビューを生成し、デフォルトの選択を集約スクリプトに保存します。
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集約が設計されている問合せのタイプを実行します。
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問合せ時間や集約時間が長すぎる場合は、集約の最適化を検討してください。
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(オプション)集約の選択を集約スクリプトとして保存します。
ASOキューブ集約の選択または生成を実行するには、Essbase Webインタフェースまたは次のMaxL文を使用します。
必要に応じて自動的に集約ビューを生成するようにEssbaseを構成することもできます。
集約ビュー選択の最適化
Essbaseの集約ストレージ(ASO)キューブ用デフォルト・ビューの選択により、優れたパフォーマンスがもたらされます。ただし、選択リスト内のすべての集約ビューを受け入れると、最適なパフォーマンスは保証されません。キューブの環境および取得パターンのためにビュー選択を最適化できます。
集約ビューのデフォルトの選択では、Essbaseで、保管階層が分析され、どの集約セルに取得される可能性も等しいとみなされます。Essbaseは、問合せの時点で、使用可能なメモリー容量などの外的要因は考慮しません。使用可能なメモリーは、取得時のキャッシュ・メモリーの定義や、他の同時プロセスで必要なメモリーなどの要因の影響を受ける可能性があります。
最も多く問合せされるデータを追跡し、結果と代替ビューを集約ビューの選択プロセスに組み込む場合は、「使用状況に基づいたビューの選択」を参照してください。
Essbase 21cの集約ストレージ(ASO)キューブのパフォーマンスを向上させるには、メタデータ分析に基づいてデフォルトの集約ビューの作成とメンテナンスを自動化するようにEssbaseを構成し、集約ビューのサイズを制御できます。詳細は、「集約ビューの自動生成」を参照してください。
集約を調整してテストする場合は、次の点を考慮してください。
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取得パフォーマンスを向上させると、ディスク・ストレージのコストと集約の生成にかかる時間が増加することがあります。
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問合せトラッキングによって、一連の提案された集約ビューがもたらされ、一部の問合せのパフォーマンスが他の問合せよりも高くなることがあります。問合せのタイプおよび頻度が追跡期間中に実行される問合せのタイプおよび頻度に近いかぎり、提案された集約ビューを選択した場合、一部の問合せのパフォーマンス時間は著しく向上しますが、他の問合せではほとんど向上が見られないことがあります(ただし、悪くなることはありません)。
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集約を最適化するには、微調整プロセスを繰り返す必要がある場合があります。
Essbaseで集約ビューのサイズを見積りやすくするために、Essbaseのサンプル元の入力セルの数を変更するASOSAMPLESIZEPERCENT構成設定を調整できます。サンプル・サイズは、入力レベルのデータのパーセンテージとして指定します。デフォルトで最小のサンプル・サイズは、100万(1,000,000)セルです。
Essbaseでは、ASOキューブに適したバランスの集約ビューを選択し保管するために役立つ情報が提供されます。この情報を、取得要件と環境について把握している内容と比較検討してください。次の情報は、集約のための集約ビューの選択に役立ちます。
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最大ストレージ要件
集約ビューを選択するときに、次の2つの方法でストレージの上限を指定できます。
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集約の選択を開始するときに、ストレージ停止の最大値を指定します。集約ビューは、指定されたストレージ上限に達するまで、または選択するビューがなくなるまで選択されます。
MaxL文のexecute aggregate processでstopping when total_size exceeds構文を使用するときは、結果となるデータファイルの最大ディスク・スペースを、現在のキューブ・サイズの比率で指定できます。たとえば、キューブのサイズが1 GBの場合に合計サイズを1.2と指定すると、結果として生成されるデータのサイズは、1 GBの20%より大きくできず、合計1.2 GBになります。
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キューブの分析が終わるたびに、Essbaseで、レベル0の入力セル・ビューに関する情報が表示され、その後に、提案された集約ビューのリストが表示されます。各集約ビューには、その集約ビューが含まれるストレージの番号と、その集約ビューが依存するその他すべての集約ビューが表示されます。集約に含める集約ビューを選択するときに、このストレージ番号を考慮に入れることができます。
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「問合せコスト」の相対的なパフォーマンスの向上
リストの集約ビューごとに表示される問合せコストの数値には、関連する集約ビューから値を取得するための平均取得時間が反映されています。デフォルトのビュー選択では、可能なすべての問合せの平均としてコストが推定されます。問合せトラッキングを使用する場合、推定コストは追跡されるすべての問合せの平均になります。特定の集約ビューのコスト数値は、別の選択リストとは異なる場合があります。たとえば、集約ビュー0, 0, 1/0, 2/0, 0は、デフォルトの選択リストでは、分析で追跡した問合せが含まれる選択に示されるものとは異なる問合せコストを示すことがあります。します。
改善率を計算するには、集約ビューの問合せコスト値を、レベル0の入力セルのみを保管する場合の問合せコスト値で除算します。
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使用状況の追跡
集約ビューの選択を実行する前に、問合せトラッキングをオンにして、最も頻繁に取得されるデータを確認できます。一定期間のキューブ・アクティビティの後、Essbaseで、集約分析プロセスに使用状況統計を組み込むことができます。
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集約時間
選択プロセス完了後の集約実行にかかる時間は、集約ビューが生成されるたびに増加します。実際の集約時間を確認するには、集約を実行する必要があります。
次のプロセスに従って、集約を微調整することをお薦めします。
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「ASO集約の実行」で説明されている、デフォルトの集約を実行します。
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集約スクリプトにデフォルトの選択を保存します。「Essbase ASOキューブの集約スクリプト」を参照してください。
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問合せトラッキングをオンにします。「使用状況に基づいたビューの選択」を参照してください。
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キューブに対して通常の問合せを実行します。または、集約が設定されているキューブに対してバッチ問合せの操作を実行します。すべての問合せツールによる問合せが追跡されます。
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データ取得要件の捕捉に十分な時間が経過したら、追跡したデータを含む別の集約を実行します。
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保管候補の集約ビューのリストを分析し、システム・リソースと取得パフォーマンスのバランスが最適な集約ビューを選択します。
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選択した集約ビューを生成し、必要に応じて、選択した集約ビューを集約スクリプトに保存します。
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集約スクリプトと様々な選択基準を使用して、環境に最適な集約ビューを選択できるまでこのプロセスを繰り返します。
ノート:
レポートの生成やユーザー問合せなど、様々な取得状況に対して集約を最適化するには、調整プロセスを繰り返し、それぞれの状況に応じた集約スクリプトを作成することが必要な場合があります。
集約ビューの自動生成に関する項
Essbase 21cの集約ストレージ(ASO)キューブのパフォーマンスを向上させるために、メタデータ分析に基づいてEssbaseがデフォルトの集約ビューの作成とメンテナンスを自動化できるようにMETADATABASEDAGGVIEWSBUILDを構成できます。DEFAULTVIEWBUILDSIZEを使用して、集約ビューのサイズを制御できます。
Essbase 19cより前のリリースでは、デフォルト集約ビューは、データ・サンプリングに基づいた内部分析を使用してEssbaseによって作成されていました。Essbase 19c以降、Essbaseでは、メタデータ分析を使用してデフォルト・ビューを選択できます。
メタデータ分析に基づくビュー選択アルゴリズムを使用している場合、Essbaseで自動デフォルト集約ビューの選択、構築およびメンテナンスの実行が可能になります。自動的に生成される集約ビューの使用を選択すると、問合せのパフォーマンスが向上します。また、データ・ロードの直後に集約ビューが構築(または、既存のビューの場合は更新)されるため、データのロード時間にも影響し、データによって使用されるディスク容量が増加します。
デフォルト集約ビューの生成および管理を自動化するには、METADATABASEDAGGVIEWSBUILD構成をAUTO (Essbase 21c以降の場合)またはDEFAULTVIEWBUILD構成をTRUE (Essbase 19cの場合)に設定します。有効にした場合、集約ビューが適切な基準に基づいて、またはオンデマンドで(execute aggregate selection MaxL文の実行時)自動的に生成されます。
適切な基準の詳細は、METADATABASEDAGGVIEWSBUILD (Essbase 21cの場合)またはDEFAULTVIEWBUILD (以前のリリースの場合)を参照してください。
結果の集約ビューのサイズを制御するには、追加のアプリケーション構成設定DEFAULTVIEWBUILDSIZEを追加し、その値を必要な合計サイズ率に設定します。たとえば、DEFAULTVIEWBUILDSIZE AsoSamp 1.2
は、集約キューブの結果の増加を、集約前のサイズの20%未満に制限します。
使用状況に基づいたビューの選択
Essbase集約ストレージ(ASO)キューブについて取得統計を取り込み、これらの統計を使用して自社の取得パターンに合った集約を構築します。Essbaseでは、集約ビュー選択プロセスに通知するように問合せトラッキングを有効にした場合、キューブの分析に代替階層が含まれます。
定期的なレポート生成に必要な組織のEssbaseキューブの使用は、継続的なユーザー取得とは異なる場合があります。様々な取得状況を最適化するには、状況による使用パターンの追跡と状況ごとの集約スクリプトの作成を検討してください。
集約の選択プロセスを開始する前に、問合せトラッキングがオンになっていて、使用状況の捕捉に十分な時間が経過していることを確認してください。問合せトラッキングを有効にするには、MaxLのalter database文をenable query_tracking文法で使用します。
問合せトラッキングでは、問合せの使用状況の情報がメモリー内に保持されます。次のいずれかの操作を実行すると、問合せの使用状況の情報がクリアされます。
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データのロードまたはクリア
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集約の生成またはクリア
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問合せトラッキングのオフ設定
問合せトラッキングは、オフにするか、アプリケーションを停止するか、アウトラインを変更するまでオンのままです。
ノート:
問合せトラッキングと問合せトレースは異なります。
問合せトラッキングを使用すると、集約ストレージ・キューブに対するユーザー取得統計を捕捉できるため、Essbaseは、集約のパフォーマンスを向上させるためにビューベースの最適化を実行できます。これは、デフォルトではオンになっています。関連するMaxL文には、次のものがあります:
import query_tracking
export query_tracking
alter database enable query_tracking
query database appname.dbname get cube_size_info
問合せトレースを使用すると、ブロック・ストレージ・キューブ(ハイブリッド・モードを含む)のEssbase問合せパフォーマンス・メトリックをモニターできます。これは、デフォルトではオフになっています。有効にすると、Essbaseはトレース・レポートにメトリックを記録します。関連する構成パラメータ: TRACE_REPORT、QUERYTRACE、QUERYTRACETHRESHOLD、LONGQUERYTIMETHRESHOLD。
集約レベル使用に基づく選択の表示
集約ストレージ(ASO)キューブを管理している場合は、ビュー選択プロパティを保管階層に適用して、Essbaseで特定のレベルが集約のために選択されないようにすることができます。Essbase Webインタフェースで、「集約レベルの使用方法」というラベルのオプション・グループで、アウトライン・エディタを使用してこれらのプロパティを適用します。
デフォルトでは、Essbaseは内部メカニズムを使用して集約の作成方法を決定します。ユーザー定義のビュー選択には、デフォルトのビュー選択と問合せデータに基づいたビュー選択に影響する方法があります。
データベース・マネージャでは、保管階層にビュー選択プロパティを適用して、Essbaseで特定のレベルが集約のために選択されないようにすることができます。
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クラシックWebインタフェースで、「集約レベルの使用方法」というラベルのオプション・グループで、アウトライン・エディタを使用してこれらのプロパティを適用します。
-
REST APIでは、
aggLevelUsage
プロパティを使用し、バッチ・アウトライン編集の実行のエンドポイントを使用してビュー選択プロパティを適用できます。
ノート:
セカンダリ(代替)階層は、共有階層または属性階層のいずれかになります。
表38-3 ビュー選択プロパティ
プロパティ | 影響 |
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デフォルト |
プライマリ階層では、Essbaseによってすべてのレベルが検討されます。代替ロールアップが有効な場合を除き、セカンダリ階層で集約は行われません。 |
すべてのレベルを検討します |
集約の可能性のある候補として、階層のすべてのレベルが検討されます。これはプライマリ階層ではデフォルトですが、セカンダリ階層ではデフォルトではありません。 |
集約しません |
この階層は集約されません。Essbaseで選択されるすべてのビューは入力レベルです。 |
最下位レベルのみ検討します |
セカンダリ階層にのみ適用されます。Essbaseでは、この階層の最下位レベルにのみ集約が検討されます。 |
最上位レベルのみ検討します |
プライマリ階層にのみ適用されます。この階層の最上位レベルにのみ集約が検討されます。 |
中間レベルに集約しません |
プライマリ階層に適用されます。最上位レベルと最下位レベルのみ選択します。 |
ノート:
最下位レベルの属性ディメンションは、ゼロレベルの属性メンバーで構成されます。セカンダリ階層が共有メンバーを使用して形成されている場合、最下位レベルは共有メンバーの直属の親で構成されます。
Essbaseでは、選択されたビュー選択プロパティを満たすビューのみが検討されます。
デフォルトのプロパティを変更するには、キューブの主要な問合せパターンをよく理解している必要があります。特定のビューが選択されないようにすると、それらのビューに対する問合せは遅くなりますが、他の問合せの速度は上がります。同様に、セカンダリ階層で「すべてのレベルを検討します」を有効にすると、その階層に対する問合せは速くなり、他の問合せは遅くなることがあります。
ビュー選択プロパティを定義するには、次のMaxL文を使用します。
Essbase ASOキューブの集計スクリプト
集約スクリプトとは、Essbase集約ストレージ(ASO)キューブ上の特定の集約ビューの選択内容を表しています。それらを使用すると集約ビュー選択プロセスを柔軟にスキップでき、使用しないとデータのロード後にそのプロセスが必要になる場合があります。
集約スクリプトについて
各集約スクリプトは、キューブに対する特定の集約ビュー選択内容を表しています。
集約スクリプトによって時間を節約できます。たとえば、新しいデータ値をロードした後、別の集約ビューの選択を実行する必要はありません。集約スクリプトに保管されている選択を使用して集約を生成することで、集約プロセスの速度を上げることができます。
集約スクリプトによって柔軟性を得ることもできます。集約スクリプトを使用して、様々な取得状況ごとに最適化された集約ビューの選択を保存できます。たとえば、月末レポートの取得を最適化するためのスクリプトや、日次レポートの取得要件に対応するスクリプトを使用できます。
ASOキューブの集約スクリプトに含まれている選択内容がそのキューブに無効であった場合、そのスクリプトは無効になります。集約スクリプトは、集約の作成時に作成されます。集約スクリプト・ファイルは手動で変更しないでください。手動で変更すると、予測できない結果が生じることがあります。
集約スクリプトの作成
保存されている集約スクリプトを使用すると、すべての集約プロセスを分割できます。集約の集約ビューが選択されているときとは異なる時点で集約を生成できます。集約スクリプトには、集約ビューの選択フェーズで導出される情報が含まれます。
集約スクリプトを作成するには、次のMaxL文を使用します。
集約スクリプトは、拡張子が.csc
のテキスト・ファイルとしてキューブ・ディレクトリに保管され、アウトラインでのディメンション・レベル構造が変更されないかぎり有効です。
無効な集約スクリプト・ファイルで煩雑にならないように、不要になった集約スクリプトは手動で削除します。
集約スクリプトの実行
集約スクリプトを実行すると、その中に指定された集約ビューが生成されます。複数の集約スクリプトを作成できますが、一度に生成できる集約は1つのみです。
集約スクリプトを実行するには、execute aggregate build MaxL文を使用します。
キューブからの集約データのクリア
Essbase集約ストレージ(ASO)キューブから集約をクリアすると、レベル0以外のデータが削除されます。集約がクリアされた後は、ユーザー問合せによって、レベル0の値から動的に、取得された値が計算されます。
手動でディスクから集約をクリアする必要が生じる場合もあります。たとえば、ディスクの使用度が高い操作にディスク・スペースを使用できるようにする場合です。集約をクリアすると、レベル0の値を除くすべてのデータがキューブからクリアされ、他の用途で使用できるようにディスク領域が解放されます。
集約をクリアするには、alter database MaxL文を使用します。
キューブ内の集約データの置換
Essbase ASOキューブ・データの集約は、既存の集約をクリアし、集約ビューの別の選択を生成することで置換できます。新しい集約ビューの選択および生成プロセスを実行することも、集約スクリプトを実行することもできます。
次のような状況で、集約の置換を検討します。
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集約ビューの選択を最適化してパフォーマンスを向上させる場合。
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様々な取得状況(レポートの生成やユーザーの問合せなど)に対して最適化された集約を作成する場合。
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キューブ・サイズが大幅に増加した後で集約を最適化する場合。キューブのサイズが大きくなるにつれて、徐々に、集約の効率が低下していく可能性があります。パフォーマンスの低下が顕著な場合や、キューブのサイズが元のサイズの約150%まで増加した場合は、集約の置換を検討してください。
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使用可能なメモリーやディスク・リソースが変更された場合など、新しい運用環境や異なる運用環境にあわせて集約を最適化する場合。
ディメンション内のレベル数が変更されたり、アウトラインに1つ以上のディメンションが追加または削除されたりした場合には、集約および関連する集約スクリプトを置換する必要があります。