集約ストレージ・キューブでのカスタム割当て

カスタム割当てでは、Essbase集約ストレージ(ASO)キューブ内のターゲット範囲のセルに、指定したソース金額を割り当てることができます。割当ては、予算設定プロセスで収益またはコストを配分するために使用されます。

指定した基準に基づく比例に従ってソース金額をターゲットに割り当てるか、ソース金額をターゲットに均等に配分できます。

ASOストレージ割当てを実行するには、MaxLexecute allocation文を使用します。

ASO割当てはAPIを使用して実行することもできます。その場合は、Java APIメソッドIEssPerformAllocation.performAllocationまたはC API関数EssPerformAllocationAsoをコールします。

単一割当てには、固有のPOV (視点)、範囲金額基準およびターゲットがあり、必要に応じてオフセットも存在します。複数の割当てを実行するときに、これらのパラメータの値のセットが異なる場合は、個々のAPI呼出しを順に行う必要があります。

割当ては割当てエンジン内で実行されてから、キューブに書き戻されますが、このとき、Essbaseによって作成された一時データ・ロード・バッファが使用されます。

割当て基準のリスト

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、それらに多くの必須およびオプションの基準(POV、範囲、金額、基準、ターゲット、割当て方法、端数処理方法など)を使用できます。

割当ては指定された様々な基準に基づきます。このトピックでは、割当ての定義に使用される基準の簡単な説明を示します。次に進む前にこれらの用語を確認してください。

表39-2 割当て基準の説明

基準 説明 参照

POV

割当てが実行されるコンテキストを記述する、データベース内の対称リージョン

POVの設定

範囲

割当て値が計算されて書き込まれる、データベース内の対称リージョン

範囲の設定

(オプション)除外範囲

割当て値を書き込まない、範囲内の場所

範囲の設定

金額

割り当てられる金額

金額の設定

(オプション)金額コンテキスト

金額の追加コンテキスト、つまり特異性

金額の設定

(オプション)金額の時間スパン

金額について考慮される1つ以上の期間

金額の設定

(オプション)ゼロの金額オプション

ゼロまたは#MISSINGの金額値の処理

金額の設定

基準

範囲と組み合せることで、金額の割当て方法を決定する基準値の場所を定義します

基準の設定

(オプション)基準の時間スパン

基準について考慮される1つ以上の期間

基準の設定

(基準の時間スパンが設定されている場合は必須)

基準の時間スパン・オプション

基準の時間スパン全体で基準を計算する方法:

  • 結合

  • 分割

基準の設定

ゼロの基準オプション

ゼロの基準値の処理

基準の設定

(オプション)負の基準オプション

負の基準値の処理

基準の設定

ターゲット

範囲と組み合せることで、割当て値の書込み先とするデータベース内のリージョンを定義します

ターゲットの設定

(オプション)ターゲットの時間スパン

ターゲットについて考慮される1つ以上の期間

ターゲットの設定

(ターゲットの時間スパンが設定されている場合は必須)

ターゲットの時間スパン・オプション

ターゲットの時間スパン全体で値を割り当てる方法:

  • 金額の除算

  • 金額の繰返し

ターゲットの設定

割当て方法

金額を割り当てる方法:

  • シェア: 金額を基準値に基づく比例に従って割り当てます

  • 分散: 金額を均等に割り当てます

割当て方法の設定

(オプション)分散スキップ・オプション

分散割当て方法の場合に、範囲内の基準値のうちゼロ、#MISSINGまたは負のものをスキップするかどうか

割当て方法の設定

丸め処理方法

割当て値を丸めるかどうか。

丸めることを選択した場合は、丸め誤差を処理する方法を指定します。

  • 丸め誤差の無視

  • 丸め誤差合計を次の対象に加算:

    • 最大割当て値

    • 最小割当て値

    • 特定の場所

丸め処理方法の設定

(オプション)丸め桁数

割当て値を小数点以下何桁に丸めるか:

  • 最も近い整数

  • 指定した小数点以下の桁数

  • 10の累乗

丸め処理方法の設定

(丸め処理方法が特定の場所に設定されている場合は必須)

丸め先の場所

丸め誤差合計の加算先とする場所

丸め処理方法の設定

(オプション)オフセット

各ソース金額のオフセット値が書き込まれる、データベース内の場所

オフセットの設定

(オプション)貸方および借方メンバー

複式簿記で、1つの取引に対する仕訳の貸借一致

割当ての均衡化

ASO割当てでのリージョン

Essbaseでは、カスタム割当ての実行時に、集約ストレージ(ASO)キューブ内のソース、ターゲット、基準およびオフセット・リージョンが使用されます。各リージョンは、そのリージョン内で定義されている各ディメンションの1つ以上のメンバーで構成されます。

表39-3 割当てで使用されるリージョンのリスト

リージョン名 リージョン定義 説明

ソース

(POV X 金額 [X 金額コンテキスト] X [金額の時間スパン])

このリージョンに含まれる金額値が割り当てられます。

ソース・リージョンとターゲット・リージョンは重複できません。

ターゲット

(POV X ターゲット X 借方メンバー/貸方メンバー X 範囲 X [ターゲットの時間スパン])

このリージョンに含まれる場所に割当て値が書き込まれます。

ソース・リージョンとターゲット・リージョンは重複できません。

ターゲット・リージョンは割当ての実行前に空である必要はありません。Essbaseは、空でないセルを割当てデータまたはゼロで上書きします。#MISSINGのセルについては、Essbaseがそのセルに割当てデータを書き込まないかぎり、セルは#MISSINGのままになります。

基準

(POV X 基準 X 範囲 X [基準の時間スパン])

このリージョンに含まれる基準値が、ソース金額の割当て方法の決定に使用されます。

基準がPOVの部分を上書きする場合があります。

オフセット

(POV X オフセット X 借方メンバー/貸方メンバー)

このリージョンに含まれる場所にオフセット値が書き込まれます。

割当て基準の指定

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブでカスタム割当ての基準を指定するときは、MDX構文を使用します。

割当てパラメータ値は、次の方法で表すことができます。

  • MDXメンバー式

  • MDXセット式

  • MDXタプル式(その2つのメンバーが同じディメンションに属することはできません)

  • 定数

割当てパラメータ値を表す方法の詳細は、MaxLexecute allocation文またはOracle EssbaseおよびProvider ServicesのJava APIリファレンスを参照してください。

割当てパラメータでの共有メンバー

割当てパラメータの中で共有メンバーが指定されているときは、Essbaseによって共有メンバーがそのプロトタイプ・メンバーにマッピングされ、その後で割当てが実行されます。

割当てパラメータでの重複メンバー

割当てパラメータの中で重複メンバーが指定されているときは(同じメンバー名が繰り返されているか、メンバーおよびその共有メンバーの両方が指定されているという理由で)、Essbaseによって重複メンバーが削除されて警告が発行されます。

POVの設定

Essbaseの集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てでは、割当て基準の1つとしてPOVを指定する必要があります。POVにより、割当てが実行されるコンテキストを記述する、キューブ内の対称リージョンを指定します。

POVはレベル0メンバーのみで構成できます。POVで定義されたディメンションは、基準および基準の時間スパンを除き、他のパラメータで使用できません。

割当ては、POVセット内のメンバーのすべての組合せに対して繰り返されます。POVの組合せの数は、複数のメンバーが存在するディメンションのメンバー数の積です。(メンバーが1つだけのディメンションは、組合せの数の計算に使用されません。)

たとえば、POVが2つのディメンション(CostCenterおよびProject)で構成され、割当てが2つのコスト・センター(CostCenter1およびCostCenter2)と3つのプロジェクト(Project1、Project2およびProject3)に対して行われるとします。POVの組合せの数は6になります。

Project1,CostCenter1
Project1,CostCenter2
Project2,CostCenter1
Project2,CostCenter2
Project3,CostCenter1
Project3,CostCenter2

割当てコンテキストが各組合せに順に設定され、その結果として割当てが6回繰り返されます。

割当ての基準とみなされる値は、POVの組合せに依存します。

ノート:

期間がPOVの中で指定されている場合は、金額の時間スパン・オプションおよびターゲットの時間スパン・オプションは使用できません。

範囲の設定

Essbaseの集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てでは、割当て基準の1つとして範囲を指定する必要があります。範囲により、割り当てた値が計算されて書き込まれる、キューブ内の対称リージョンを指定します。

範囲内の特定のセルに割当て値が書き込まれないようにするには、除外範囲パラメータを使用して、範囲の対称サブセットを表します。範囲のサブセットが除外されている場合も、Essbaseは範囲内のすべてのセルを使用して割当て値を計算します。

セルを範囲から除外すると、割当て値の合計が金額の値を下回ることがあります。

次の例では、範囲を構成するメンバー組合せが6つあり、金額が6で、割当て方法が分散であるとします。つまり、Essbaseが金額を範囲全体で均等に割り当てます。割当て分散金額は1です(6/6 = 1)。

次に示すように、Essbaseは範囲内の各セルに1を書き込みます。

表39-4 例: 範囲内の各メンバーに対する金額の割当て

- CostCtr1 CostCtr2
Project1 1 1
Project2 1 1
Project3 1 1

次に示すように、除外範囲が(Project2,CostCtr2)というメンバー組合せに設定されている場合は、Essbaseは割当て分散金額をそのセルに書き込みません。したがって、割当て値の合計(5)は金額(6)を下回ります。除外されたセルの値は、割当てプロセス後は#MISSINGまたはゼロになります。

表39-5 例: 範囲の一部のメンバーのみに対する金額の割当て

- CostCtr1 CostCtr2
Project1 1 1
Project2 1  
Project3 1 1

範囲および除外範囲を構成できるのは、レベル0のメンバーのみです。

金額の設定

Essbaseの集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てでは、割当て基準の1つとして金額を指定する必要があります。金額では割当てのソースを指定します。金額の値はターゲット・リージョン内のセルに割り当てられます。

金額は、上位レベルまたはレベル0のメンバーで構成でき、数値式、タプルまたは定数として表すことができます。

金額をどのように表すかによって、特定の要件が決まります。

  • 数値式:

    • 式の全メンバーが同じディメンションのものであることが必要です。

    • 式の中ではタプルを使用できません。

    • 算術式(+、-、/および*)のみを式で使用できます。

    • MDX関数(AvgやParentなど)は使用できません。

    例:

    (Acc_1000 + Acc_2000)/2
    AccA + AcctB
    Balance * 1.1
  • タプル:

    • タプルでは、POVで指定されていないすべてのディメンションから1メンバーずつ使用する必要があります。

    • 金額コンテキストは空である必要があります。

    例:

    (Balance,Cost_Center_00,Project_00)
    (Balance,Cost_Center_00,Actual)
  • 定数:

    • 金額コンテキストは空である必要があります。

    • 金額の時間スパンは空である必要があります。

    例:

    100

これらのパラメータを使用して金額を詳細に定義できます。

  • (オプション)金額コンテキストは、金額の追加的なコンテキスト、つまり特異性を指定します。金額コンテキストは、上位レベルまたはレベル0のメンバーで構成でき、タプルとして表すことができます。金額コンテキストを指定すると、POVで指定されていないディメンションのメンバーを含めることができます。

    金額コンテキストを使用するときは、これらの要件が金額および金額コンテキストに適用されます。

    • 複数のパラメータが同じディメンションのメンバーを参照することはできません。

    • POVで指定されていないすべてのディメンションからのメンバーが、パラメータのいずれかで使用されている必要があります。

  • (オプション)金額の時間スパンは、金額について考慮される1つ以上の期間を指定します。指定された期間の金額値が集約され、集約された金額値が割り当てられます。期間は時間ディメンションのレベル0メンバーである必要があります。

    金額が算術式を使用して指定され、かつ金額の時間スパンが使用されるときは、金額の時間スパンが、金額内のすべての式、および金額内で使用されるすべての式メンバーよりも優先されます。たとえば、金額がDept_A/Dept_Bと指定され、次のように金額の時間スパンが各部門についてJan、Feb、MarおよびAprに設定されているとします。POVに対して割り当てられる金額は、Dept_Aの金額の時間スパン値(10)をDept_Bの金額の時間スパン値(20)で除算した結果、つまり0.5です。

    表39-6 例: 金額の時間スパンは金額内の式よりも優先される

    金額の時間スパンのメンバー Dept_A Dept_B
    Jan 1 2
    Feb 2 4
    Mar 3 6
    Apr 4 8
    合計 10 20
  • (オプション)ゼロの金額オプションは、値がゼロまたは#MISSINGの場合に金額を処理する方法を指定します。ゼロ値を割り当てる(デフォルト)か、次のゼロでも#MISSINGでもない金額値にスキップするか、割当て操作全体を取り消すかを選択できます。

次の例に示すように、金額コンテキストと金額の時間スパンを使用して同じ結果を得ることができます。金額はDept_Aの値ですが、金額の時間スパンを使用してDept_AのJan、Feb、MarおよびAprの月のみに焦点を当てます。次に示すように、金額の時間スパンに含まれるメンバーの集約値(10)が金額値であり、これが範囲内の各セルに割り当てられます。

表39-7 例: 金額の時間スパン

金額の時間スパンのメンバー Dept_A
Jan 1
Feb 2
Mar 3
Apr 4
合計 10

次に示すように、金額をJan + Feb + Mar + Aprという算術式として指定し、金額コンテキストをDept_Aと設定すると、同じ金額値を導き出すことができます。

表39-8 例: 金額コンテキスト

金額コンテキスト Jan Feb Mar Apr 合計
Dept_A 1 2 3 4 10

基準の設定

Essbaseの集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てでは、通常は、割当て基準の1つとして基準を指定する必要があります。範囲と組み合せて、基準により、金額の割当て方法を決める基準値の場所を定義します基準は上位レベルまたはレベル0のメンバーで構成できます。

基準は、使用される割当て方法が分散であり値がスキップされない場合のオプションです。割当て方法spreadが、skipオプションなしで使用されている場合は、basisは省略する必要があります。

これらのパラメータを使用して基準を詳細に定義できます。

  • (オプション)基準の時間スパンは、基準について考慮される1つ以上の期間を指定します。期間は時間ディメンションのレベル0メンバーである必要があります。

  • (基準の時間スパンが設定されている場合は必須)基準の時間スパン・オプションは、基準の時間スパンで指定された期間のそれぞれに対して基準を計算する方法を指定します。基準値を各期間で個別に使用する(分割)か、基準の時間スパンで指定された期間全体の基準値の合計を使用する(結合)かを選択できます。

    • 基準の時間スパンで複数の期間を指定し、ターゲットの時間スパンで1つの期間を指定するか空にする場合は、基準の時間スパン・オプションを結合に設定する必要があります。Essbaseはターゲットの時間スパン・オプションを無視します。

    • 基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンで複数の期間を指定し、基準の時間スパン・オプションを分割に設定する場合は、基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンで指定される期間が同一である必要があります。Essbaseはターゲットの時間スパン・オプションを無視します。

  • ゼロの基準オプションは、ゼロの基準値を処理する方法を指定します。次のゼロでも#MISSINGでもない金額値にスキップするか、割当て操作全体を取り消すかを選択できます。Essbaseは、割当て方法に基づいてゼロの基準オプション設定を処理します。

  • (オプション)負の基準オプションは、負の基準値を処理する方法を指定します。負の基準オプションに使用できるオプションは、使用される割当て方法によって異なります。

ノート:

基準は、分散割当て方法を使用するときに、どの分散スキップ・オプションも設定していない場合は無視されます。

ターゲットの設定

Essbaseの集約ストレージ・キューブのカスタム割当てでは、割当て基準の1つとしてターゲットを指定する必要があります。範囲と組み合せて、ターゲットにより、割当て値の書込み先となるASOキューブ内のリージョンを定義します。

ターゲットを構成できるのはレベル0メンバーのみです。

これらのパラメータを使用してターゲットを詳細に定義できます。

  • (オプション)ターゲットの時間スパンは、ターゲットについて考慮される1つ以上の期間を指定します。期間は時間ディメンションのレベル0メンバーである必要があります。

  • (ターゲットの時間スパンが設定されている場合は必須)ターゲットの時間スパン・オプションは、ターゲットの時間スパンで指定された期間のそれぞれに値を割り当てる方法を指定します。金額値を除算するか、指定されたすべての期間に対して金額値を繰り返すかを選択できます。

    • 基準の時間スパンで複数の期間を指定し、ターゲットの時間スパンで1つの期間を指定するか空にする場合は、基準の時間スパン・オプションを結合に設定する必要があります。Essbaseはターゲットの時間スパン・オプションを無視します。

    • 基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンで複数の期間を指定し、基準の時間スパン・オプションを分割に設定する場合は、基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンで指定される期間が同一である必要があります。Essbaseはターゲットの時間スパン・オプションを無視します。

割当て方法の設定

集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、割当て方法を指定して、金額を均等(分散)または比例(共有)のどちらで割り当てるかをEssbaseに指示できます。

  • シェアの方法は、金額の何割かを割り当てるもので(alloc_share_amt)、この割合は範囲の現在のメンバーの基準値(basis_mbr_value)を範囲全体の基準の合計(basis_range_sum)で除算するという方法で計算されます。割当て金額は、範囲内の有効な基準値の数に基づきます。割当てシェア金額を計算するためのアルゴリズムは次のとおりです。

    alloc_share_amt = (basis_mbr_value/basis_range_sum) * amount

    基準値とEssbaseのアクション:

    • ゼロ: Essbaseは対応するターゲット・セルにゼロを書き込みます。

      すべての基準値の合計がゼロの場合は(ゼロ除算エラーとなります)、Essbaseはゼロの基準オプション設定を使用します。

    • #MISSING: Essbaseはターゲット・セルを#MISSINGのままにします。ターゲット・セルにすでに値がある場合は、既存の値をゼロで上書きします。

    • 負数: Essbaseは負の基準オプション設定を使用します。負の基準値を使用するか(デフォルト)、次の金額値にスキップするか(現在の金額値についてはデータは割り当てられず、Essbaseは次のPOVの組合せにスキップします)、操作全体を取り消すかを選択できます。

    次の例はシェア割当て方法を示しています。どちらの例も、割り当てる金額は10です。

    次の例では、金額(10)はある建物の賃借料を表し、基準は範囲内の各部門の人員数を表します。Essbaseは、Dept_AからDept_Dまでのうち、人員数が#MISSINGではない部門の基準値を使用して割当てシェア金額を計算し、これが賃借料割当てになります。

    Dept_Aの賃借料割当ては、Dept_Aの基準値(3)を範囲全体の有効な基準値の合計(3 + 2 = 5)で除算して金額(10)を乗算した結果、つまり3/5 * 10 = 6となります。Dept_Dについては、賃借料割当ては2/5 * 10 = 4です。範囲内のターゲット・セルの合計は10です。

    表39-9 シェア割当て方法の例

    範囲内のメンバー 基準(人員数) ターゲット(賃借料割当て)
    Dept_A 3 6
    Dept_B    
    Dept_C 0 0
    Dept_D 2 4

    次の例では、すべての基準値がシェア割当て金額の計算に考慮されるとします。Mbr1の割当ては、Mbr1の基準値(3)を範囲全体の有効な基準値の合計(3 + -1 + 2 = 4)で除算して金額(10)を乗算した結果、つまり3/4 * 10 = 7.5となります。Mbr3の割当ては-1/4 * 10 = -2.5、Mbr4の割当ては2/4 *10 = 5です。範囲内のターゲット・セルの合計は10です。

    表39-10 シェア割当て方法の例: 負の基準オプション - デフォルト

    範囲内のメンバー 基準 ターゲット
    Mbr1 3 7.5
    Mbr2 #MISSING  
    Mbr3 -1 -2.5
    Mbr4 2 5.0
  • 分散の方法は、金額を範囲全体で均等に割り当てます(alloc_spread_amt)。金額の除算に使用される数値、つまり、割当て分散金額が書き込まれるターゲット・セルの数は、範囲内の有効な基準値の数(#_valid_basis_values)に基づきます。割当て分散金額を計算するためのアルゴリズムは次のとおりです。

    alloc_spread_amt = amount/#_valid_basis_values

    分散割当て方法を使用するときに、オプションの分散スキップ・オプション・パラメータを使用すると範囲内のゼロ、#MISSINGまたは負数の基準値をすべてスキップできます。複数のオプションを指定できます。

    基準値とEssbaseのアクション:

    • ゼロ: Essbaseは対応するターゲット・セルにゼロを書き込みます。

      分散スキップ・オプションがゼロをスキップするように設定されている場合は、データは割り当てられません。

    • #MISSING: Essbaseはターゲット・セルを#MISSINGのままにします。ターゲット・セルにすでに値がある場合は、Essbaseは既存の値をゼロで上書きします。

      分散スキップ・オプションが#MISSINGをスキップするように設定されている場合は、データは割り当てられません。

    • 負数: Essbaseは負の基準オプション設定を使用します(これは、負数をスキップする分散スキップ・オプション設定よりも優先されます)。次のいずれかのアクションを選択できます。

      • 負の基準値の使用(デフォルト)

      • 次の金額値へのスキップ(現在の金額値についてはデータは割り当てられません)

      • 負数の絶対値の使用

      • 負数を$MISSINGとして処理(ターゲット・セルに値は割り当てられません)

      • 負数をゼロとして処理(ゼロがターゲット・セルに割り当てられます)

      • 操作全体の取消

    基準値がすべてスキップされた場合は(割当ての分母がゼロとなります)、Essbaseはゼロ基準オプション設定を使用します。基準の設定を参照してください。

    次の例は分散割当て方法を示しています。どちらの例も、割り当てる金額は10です。

    次の例では、分散スキップ・オプション・パラメータが指定されていないとします。したがって、Essbaseは範囲内の基準メンバー4つすべてを考慮します。Essbaseは金額(10)を、範囲内の有効な基準メンバーの数(4)で除算し、その値(2.5)を範囲内の各ターゲット・セルに分散します。つまり10/4 = 2.5となります。

    表39-11 分散割当て方法の例: 基準値をスキップしない

    範囲内のメンバー 基準 ターゲット
    Mbr1 2 2.5
    Mbr2 #MISSING 2.5
    Mbr3 3 2.5
    Mbr4 -6 2.5

    次の例では、分散スキップ・オプション・パラメータが#MISSINGおよび負数を無視するように設定されているとします。したがって、Essbaseが考慮するのは正の値を持つ2つの基準メンバーのみ(Mbr1およびMbr3)となります。Essbaseは金額(10)を、範囲内の有効な基準メンバーの数(2)で除算し、その値(5)をMbr1およびMbr3のターゲット・セルに分散します。つまり10/2 = 5となります。

    表39-12 分散割当て方法の例: #MISSINGおよび負の基準値のスキップ

    範囲内のメンバー 基準 ターゲット
    Mbr1 2 5
    Mbr2 #MISSING  
    Mbr3 3 5
    Mbr4 -6  

丸め処理方法の設定

集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、割り当てた値を丸め処理するかどうかをEssbaseに指示する丸め処理方法を指定できます(デフォルトは丸め処理なし)。

値を丸めることを選択した場合は、丸め誤差の処理方法を丸め処理方法で指定します。丸め誤差を無視するか、すべての割当て値を丸めて丸め誤差合計を最大割当て値、最小割当て値または特定のセルに加算するかを選択できます。丸め誤差を最大または最小の割当て値に加算することを選択した場合に、最大または最小の割当て値が複数存在するときは、Essbaseは最大または最小の値の1つを選択して丸め誤差を加算します。

割当て値を丸めることを選択した場合は、これらのパラメータを使用して丸め処理方法を詳細に定義できます。

  • (割当て値を丸める場合は必須)丸め桁数に、割当て値を小数点以下何桁に丸めるかを指定します。最も近い整数(デフォルト)、指定した小数点以下の桁数または10の累乗に丸めることを選択できます。

    丸め桁数は-100以上100以下の数値である必要があり、整数、MDX数値式またはタプルとして表現できます。

    割当て値の通貨に基づいて丸め桁数を設定する場合は、MDX数値式を使用すると便利です。たとえば、データベースにCurrencyというディメンションがあり、これがPOVの一部であるときに、関連付けられた属性ディメンションNumCurrencyDigitsで割当て値の通貨に基づいて割当て値を丸める方法が指定されているとします。丸め桁数を次のように表現できます。

    Currency.currentMember.NumCurrencyDigits

    ノート:

    割当て値を丸めないことを丸め処理方法で選択した場合は、丸め桁数パラメータ値が0 (これがデフォルトです)である必要があります。0桁で丸める必要がある場合は、パラメータ値を-1にする必要があります。

  • (丸め処理方法が特定の場所に設定されている場合は必須)丸め先の場所で、丸め誤差合計の加算先とするセルを指定します。タプルとして表現され、セルが範囲内にあることと、ディメンショナリティが範囲と同じであることが必要です。丸め先の場所を構成できるのはレベル0のメンバーのみです。

    ノート:

    特定のセルに丸めること以外のオプションを丸め処理方法で選択した場合は、丸め先の場所のパラメータは空である必要があります。

オフセットの設定

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、オプションでオフセットを指定できます。オフセットにより、各ソース金額のオフセット値の書込み先となる、キューブ内の場所を指定します。

オフセットの働きは、割当てでもカスタム計算でも同様です。

割当ての均衡化

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、オプションのdebitMemberおよびcreditMemberを、レベル0のメンバーのみで構成できます。

借方メンバーと貸方メンバーはオプションです。使用する場合は、それらが同一ディメンションからの2つの異なるメンバーである必要があります。

debitMemberおよびcreditMemberの働きは、割当てでもカスタム計算でも同様です。

基準およびターゲットの時間スパン

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、基準の考慮に入れる1つ以上の期間、およびターゲットの考慮に入れる1つ以上の期間を指定できます。

基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンに対して指定されているメンバーの数は、Essbaseで基準の時間スパン・オプションおよびターゲットの時間スパン・オプションがどのように処理されるかに影響します。

基準またはターゲットの時間スパンが空であるか単一の期間に設定されているという状況では、Essbaseで、基準またはターゲットの時間スパン・オプションを設定してある場合でも、設定は無視されます。基準またはターゲットの時間スパンの一方または両方が複数の期間に設定されている状況では、Essbaseは基準またはターゲットの時間スパン・オプションに対して特定の設定を必要とします。

表39-13 サマリー: 基準およびターゲットの時間スパンと、基準およびターゲットの時間スパン・オプション

基準の時間スパン ターゲットの時間スパン 基準の時間スパン・オプション ターゲットの時間スパン・オプション 参照
空または単一のメンバー 空または単一のメンバー 無視される 無視される 例1
空または単一のメンバー 複数のメンバー 無視される 除算または繰返し 例2
複数のメンバー 空または単一のメンバー 結合 無視される 例3
複数のメンバー 複数のメンバー 分割 無視される 例4
複数のメンバー 複数のメンバー 結合 除算または繰返し 例5

例1: 基準およびターゲットの時間スパン—空または単一のメンバー

この例では、基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンが未設定か、単一の期間のみに設定されています。Essbaseは、基準の時間スパン・オプションまたはターゲットの時間スパン・オプションに対して設定が選択されていても無視します。

例2: 基準の時間スパン—空または単一のメンバー、ターゲットの時間スパン—複数のメンバー

この例では、基準の時間スパンが未設定で、ターゲットの時間スパンには複数の期間が指定されています。基準の時間スパン・オプションは無視されます。ターゲットの時間スパン・オプションには、除算または繰返しを選択できます。

金額が1000であるとします。次の例に、各部門の基準(Dept_1 = 1)および範囲の合計基準(21)を示します。

表39-14 例2: 基準値

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

基準

1脚注1

2 3 4 5 6

21脚注2

脚注1

メンバーの基準

脚注2

範囲の合計基準

ターゲットの時間スパン・オプションの設定によって、割当ての計算方法が決まります。

  • 指定されたターゲットの時間スパン期間全体で割当て金額を繰り返します。

    このシナリオでは、Essbaseは単一期間の割当てを実行し、割当て金額値をターゲットの時間スパン内のすべてのメンバーにコピーします。

    Essbaseが使用するアルゴリズム:

    alloc_amt = (basis_mbr_value/basis_total_range) * amount

    次に示すように、Dec 07,Dept_1について、メンバー基準値(1)を範囲全体の合計基準(21)で除算し、その結果(0.04762)に金額(1000)を乗算します。つまり(1/21) * 1000 = 47.62となります。Essbaseは47.62をJan 08、Feb 08、Mar 08およびApr 08のセルにコピーします。Essbaseは引き続き、Dec 07の割当てを各部門について実行します。各ターゲットの時間スパンについて、範囲全体の割当て値の合計は金額(1000)と等しくなります。

    表39-15 例2: 繰返しに設定されたターゲットの時間スパン・オプションを使用した割当て

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
    ターゲットの時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
    Dec 07 47.62 95.24 142.86 190.48 238.10 285.71 1000
    Jan 08 47.62 95.24 142.86 190.48 238.10 285.71 1000
    Feb 08 47.62 95.24 142.86 190.48 238.10 285.71 1000
    Mar 08 47.62 95.24 142.86 190.48 238.10 285.71 1000
    Apr 08 47.62 95.24 142.86 190.48 238.10 285.71 1000

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

               

    5000脚注3

    脚注3

    合計割当て値

    合計割当て金額は、元の金額値(1000)にターゲットの時間スパンのメンバー数(5)を乗算した結果です。つまり1000 * 5 = 5000となります。

  • 指定されたターゲットの時間スパン期間全体で均等になるように割当て金額を除算します

    このシナリオでは、Essbaseは1つの期間の割当てを実行し、割当て金額を除算してターゲットの時間スパン内のすべてのメンバーに均等に分割します。

    Essbaseが使用するアルゴリズム:

    alloc_amt = ((basis_mbr_value/basis_total_range) * amount)/#_target_time_span_periods

    次に示すように、Dec 07,Dept_1について、Essbaseは繰返しのターゲットの時間スパン・オプションのシナリオで説明したのと同じ計算を実行して、47.62を導き出します。ただし、この金額はDept_1に対する5つのターゲットの時間スパン期間すべてに均等に分割されるように除算されるため、9.52が各ターゲット・セルに書き込まれます。つまり47.62/5 = 9.52となります。Essbaseは引き続き、各部門の割当てを実行します。各ターゲットの時間スパンについて、範囲全体の割当て値の合計は等しくなります(200)。

    表39-16 例2: 除算に設定されたターゲットの時間スパン・オプションを使用した割当て

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
    ターゲットの時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
    Dec 07 9.52 19.05 28.57 38.10 47.62 57.14 200
    Jan 08 9.52 19.05 28.57 38.10 47.62 57.14 200
    Feb 08 9.52 19.05 28.57 38.10 47.62 57.14 200
    Mar 08 9.52 19.05 28.57 38.10 47.62 57.14 200
    Apr 08 9.52 19.05 28.57 38.10 47.62 57.14 200

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

               

    1000脚注4

    脚注4

    合計割当て値

    範囲全体の合計割当て値は元の金額値(1000)です。つまり200 * 5 = 1000となります。

例3: 基準の時間スパン—複数のメンバー、ターゲットの時間スパン—空または単一のメンバー

この例では、基準の時間スパンに対して複数の期間が指定されていますが、ターゲットの時間スパンは未設定です。ターゲットの時間スパン・オプションは無視されます。基準の時間スパン・オプションに対する有効な選択肢は結合のみです。

金額が1000であるとします。次に示すように、各部門に使用される基準は、基準の時間スパンの基準値の合計です(Dept_1 = 15)。範囲の合計基準はすべての部門の基準値の合計です(147)。

表39-17 例3: 基準値

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
基準の時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
Dec 07 1 2 3 4 5 6  
Jan 08 2 3 4 5 6 7  
Feb 08 3 4 5 0 7 8  
Mar 08 4 5 6 1 8 9  
Apr 08 5 6 7 2 9 10  
合計

15脚注5

20 25 12 35 40

147脚注6

脚注5

各範囲メンバーの基準を、基準の時間スパン期間全体で合計した値

脚注6

範囲の合計基準

割当ての計算に使用される基準の時間スパン設定は結合です。この設定では、基準の時間スパン期間全体の基準値の合計が使用されます。

Essbaseが各範囲メンバーに対して使用するアルゴリズム:

alloc_amt = (sum_across_basis_time_span/basis_total_range) * amount

次に示すように、各部門の割当て値が1つのターゲットの場所に書き込まれますが、これはターゲットの時間スパンが複数の期間には設定されていないためです。Dept_1の割当て金額を求めるために、基準の時間スパンの合計(15)が範囲の合計基準(147)で除算され、その結果(0.10204)に金額(1000)が乗算されます。つまり(15/147) * 1000 = 102.04となります。Essbaseは引き続き、範囲内の各部門の割当てを実行します。

表39-18 例3: 結合に設定された基準の時間スパンを使用した割当て

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
ターゲット 102.04 136.05 170.07 81.63 238.10 272.11

1000脚注7

脚注7

合計割当て値

範囲全体の合計割当て値は元の金額値(1000)です。

例4: 基準およびターゲットの時間スパン—複数のメンバー、基準の時間スパン・オプション—分割

この例では、基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンに対して複数の期間が指定されており、基準の時間スパン・オプションは分割に設定されています。分割を基準の時間スパン・オプションとして使用するときは、基準の時間スパンおよびターゲットの時間スパンで指定される期間が同一である必要があります。

金額が1000であるとします。次に示すように、範囲の合計基準は全部門の基準値の合計です(165)。

表39-19 例4: 基準値

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
基準の時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
Dec 07 1 2 3 4 5 6

21脚注8

Jan 08 2 3 4 5 6 7 27
Feb 08 3 4 5 6 7 8 33
Mar 08 4 5 6 1 8 9 39
Apr 08 5 6 7 2 9 10 45

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

           

165脚注9

脚注8

基準の時間スパンの期間それぞれの合計基準

脚注9

範囲の合計基準

割当ての計算に使用される基準の時間スパン設定は分割です。この設定では、各期間の基準値が個別に使用されます。

Essbaseが使用するアルゴリズム:

alloc_amt = (basis_mbr_value/basis_total_range) * amount

次に示すように、Dec 07,Dept_1について、メンバー基準値(1)が範囲の合計基準(165)で除算され、その結果(0.00606)に金額(1000)が乗算されます。つまり(1/165) * 1000 = 6.06となります。Essbaseは引き続き、各部門の割当てを期間ごとに実行します。

表39-20 例4: 分割に設定された基準の時間スパンを使用した割当て

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
ターゲットの時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
Dec 07 6.06 12.12 18.18 24.24 30.30 36.36 127.27
Jan 08 12.12 18.18 24.24 30.30 36.36 42.42 163.64
Feb 08 18.18 24.24 30.30 36.36 42.42 48.48 200.00
Mar 08 24.24 30.30 36.36 42.42 48.48 54.55 236.36
Apr 08 30.30 36.36 42.42 48.48 54.55 60.61 272.73

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

           

1000脚注10

脚注10

合計割当て値

範囲全体の合計割当て値は元の金額値(1000)です。

例5: 基準およびターゲットの時間スパン—複数のメンバー、基準の時間スパン・オプション—結合

この例では、基準およびターゲットの時間スパンに対して複数の期間が指定されていますが、基準の時間スパン・オプションが結合に設定されているため、基準およびターゲットの時間スパンに含まれるメンバー・セットが同じである必要はありません。

金額が1000であるとします。次に示すように、各部門に使用される基準は、基準の時間スパン全体の基準値の合計です(Dept_1 = 10)。範囲の基準はすべての部門の基準値の合計です(113)。

表39-21 例5: 基準値

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
基準の時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
Dec 07 1 2 3 4 5 6  
Jan 08 2 3 4 5 6 7  
Feb 08 3 4 5 6 7 8  
Mar 08 4 5 6 0 8 9  

合計

10脚注11

14 18 15 26 30

113脚注12

脚注11

各範囲メンバーの基準を、基準の時間スパン期間全体で合計した値

脚注12

範囲の合計基準

ターゲットの時間スパン・オプションの設定によって、割当ての計算方法が決まります。

  • 指定されたターゲットの時間期間全体で割当て金額を繰り返します。

    このシナリオでは、Essbaseは単一期間の割当てを実行し、割当て金額値をターゲットの時間スパン内のすべてのメンバーにコピーします。

    Essbaseが各範囲メンバーに対して使用するアルゴリズム:

    alloc_amt = (sum_across_basis_time_span/basis_total_range) * amount

    次に示すように、Dec 07,Dept_1について、Dept_1の基準(10)を範囲の合計基準(113)で除算し、その結果(0.0885)に金額(1000)を乗算します。つまり(10/113) * 1000 = 88.50となります。Essbaseは88.50をJan 08、Feb 08、Mar 08およびApr 08のセルにコピーします。Essbaseは引き続き、Dec 07の割当てを各部門について実行します。各ターゲットの時間スパンについて、範囲全体の割当て値の合計は金額(1000)と等しくなります。

    表39-22 例5: 繰返しに設定されたターゲットの時間スパン・オプションを使用した割当て

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
    ターゲットの時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
    Dec 07 88.50 123.89 159.29 132.74 230.09 265.49 1000
    Jan 08 88.50 123.89 159.29 132.74 230.09 265.49 1000
    Feb 08 88.50 123.89 159.29 132.74 230.09 265.49 1000
    Mar 08 88.50 123.89 159.29 132.74 230.09 265.49 1000
    Apr 08 88.50 123.89 159.29 132.74 230.09 265.49 1000

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

               

    5000脚注13

    脚注13

    合計割当て値

    合計割当て値は、元の金額値(1000)にターゲットの時間スパンのメンバー数(5)を乗算した結果です。つまり1000 * 5 = 5000となります。

  • 指定されたターゲットの時間期間全体で均等になるように割当て金額を除算します。

    このシナリオでは、Essbaseは単一期間の割当てを実行し、割当て金額を除算してターゲットの時間スパン内のすべてのメンバーに均等に分割します。

    Essbaseが使用するアルゴリズム:

    alloc_amt = ((basis_time_span/basis_total_range) * amount)/#_target_time_span_periods

    次に示すように、Essbaseは繰返しのターゲットの時間スパン・オプション・シナリオで説明したのと同じ計算を実行して、88.50を導き出します。ただし、この金額はDept_1に対する5つのターゲットの時間スパン期間すべてに均等に分割されるように除算されるため、17.70が各ターゲット・セルに書き込まれます。つまり88.50/5 = 17.70となります。Essbaseは引き続き、各部門の割当てを実行します。各ターゲットの時間スパンについて、範囲全体の割当て値の合計は等しくなります(200)。

    表39-23 例5: 除算に設定されたターゲットの時間スパン・オプションを使用した割当て

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます 範囲 合計
    ターゲットの時間スパンのメンバー Dept_1 Dept_2 Dept_3 Dept_4 Dept_5 Dept_6 スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます
    Dec 07 17.70 24.78 31.86 26.55 46.02 53.10 200
    Jan 08 17.70 24.78 31.86 26.55 46.02 53.10 200
    Feb 08 17.70 24.78 31.86 26.55 46.02 53.10 200
    Mar 08 17.70 24.78 31.86 26.55 46.02 53.10 200
    Apr 08 17.70 24.78 31.86 26.55 46.02 53.10 200

    スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます

               

    1000脚注14

    脚注14

    合計割当て値

    範囲全体の合計割当て値は元の金額値(1000)です。つまり200 * 5 = 1000となります。

集約ストレージ割当ての例

次の例は、POVの組合せの変化が、割当ての基準として考慮される値にどのように影響するかを示しています。この例では、シェア割当て方法を使用し、前年の総賃借料を当年のすべてのコスト・センターに、各コスト・センターの人員数に基づいて割り当てます。集約ストレージ・データベースにDepartments、Time、CostCenterおよびMeasuresの4つのディメンションがあり、割当て基準が次の例のように指定されているとします。

表39-24 POVの例: 割当て基準

基準 定義
POV Dept_A、Dept_B
金額

2007、CCNA、TotalRent

金額値は次のとおりとします。

  • Dept_A = 1000

  • Dept_B = 2000

基準 Jan 2008、Head count
ターゲット Jan 2008、RentalAllocation
範囲 CostCenterのレベル0の子孫

範囲を評価した結果が次のコスト・センターであるとします。

  • CostCenter1

  • CostCenter2

  • CostCenter3

  • CostCenter4

割当てはPOVの組合せのそれぞれに対して実行されます。

  • Dept_A

  • Dept_B

次の例に示すように、POVの組合せのそれぞれに、割当ての計算で使用される固有の一連の基準値があります。具体的には、範囲内の各コスト・センターの人員数と、Jan 2008の合計人員数です。

表39-25 POVの例: 各POV組合せに対する基準値

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます メンバー基準値 範囲基準値
POV CostCenter1 CostCenter2 CostCenter3 CostCenter4 2008年合計人員数
Dept_A 1 2 3 5 11
Dept_B 5 0   10 15

各POVについて、Essbaseは各コスト・センターの人員数(各メンバーの基準値)を範囲の合計人員数(範囲の基準値)で除算し、その値に各部門の合計賃借料(金額)を乗算します。たとえば、Dept_A,CostCenter1については、メンバー基準値(1)を範囲の基準(11)で除算し、その結果(0.09090909)に金額(1000)を乗算します。つまり(1/11) * 1000 = 90.90909となります。Dept_B,CostCenter1については、割当て金額は666.6667です。つまり(5/15) * 2000 = 666.6667です。次の例に、各コスト・センターの割当てシェア金額を示します。

表39-26 POVの例: 各POV組合せに対するターゲット値

スペースのイメージが空のスレッド・セルに使用されます メンバー・ターゲット値 金額値
POV CostCenter1 CostCenter2 CostCenter3 CostCenter4 賃借料割当て合計
Dept_A 90.90909 181.8182 272.7273 454.5455 1000
Dept_B 666.6667 0   1333.333 2000

集約ストレージ割当ての使用例

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブでのカスタム割当てについてのこのユースケース例では、シェア割当て方法を使用して、各部門の占有面積に基づいて月額家賃の合計をすべての部門に比例的に再分配します。

ディメンションのアウトラインは次のとおりとします。

  • 会社: この中に複数の元帳があります。賃借料割当てはVision US元帳で行われます。

  • 部門: この中に次のメンバーがあります。

    • 100: ここで総月額賃借料$100,000がVision USに対して記録されています。この金額が部門999の子の間で比例配分で割当てされます。

    • 999: 次の部門の親です。

      • 101: 賃借料割当ての45%が配分されます

      • 102: 賃借料割当ての30%が配分されます

      • 103: 賃借料割当ての25%が配分されます

  • 勘定科目: この中に次のメンバーがあります。

    • 5740: 賃借料の勘定科目

    • SQFT: 各部門の面積(平方フィート)の記録に使用される統計勘定科目

  • 金額タイプ: この中にPeriodActivtyがあり、これは次のメンバーの親です。

    • PeriodActivityDebit: ターゲットの場所

    • PeriodActivityCredit: オフセットの場所

賃借料割当てには様々な方法がありますが、どの方法でも同じ結果になります。2つのシナリオを示します。各シナリオについて、パラメータが次のように定義されているとします。

  • 割当て方法: シェア

  • 範囲: 部門999の子孫:

    • 101

    • 102

    • 103

    範囲内のどのセルも除外されません。

  • 基準: アクティビティの期間(月)に対する各範囲メンバーの面積(平方フィート)。

    SQFT,PeriodActivity
  • ゼロ金額オプション: (デフォルト)ゼロの金額値を割り当てます。

  • ゼロ基準オプション: 基準値がゼロの場合は割当て操作を取り消します。

  • 基準の時間スパン・オプション: (デフォルト)分割。各期間の基準値を個別に使用します。

  • 丸め処理方法: 割当て値を最も近い1,000に丸めて、丸め誤差合計を部門101に加算します。

  • 借方メンバー: 合計が正数の場合は、値をPeriodActivityDebitに書き込みます。

  • 貸方メンバー: 値をPeriodActivityCreditに書き込みます。

シナリオ1: 集約ストレージ割当て

シナリオ1では、パラメータが次のように定義されているとします。

  • POV: 会社ディメンションからの1つのメンバー、Vision USで構成されます。

    1つのディメンションからの1つのメンバーのみが指定されているため、POVは変化しません。したがって割当ては1回だけ実行されます。

  • 金額: 割当てのソース値は、次のディメンション間メンバーからとなります。

    5740,100,Beginning Balance
  • ターゲット: 割当て値を各部門の勘定科目5740に書き込みます。

  • オフセット: オフセット・エントリをメンバー5740,100に書き込みます。

シナリオ2: 集約ストレージ割当て

シナリオ2では、パラメータが次のように定義されているとします。

  • POV: 2つのディメンションからのそれぞれ1つのメンバーで構成されます。

    • Vision US: 会社ディメンションから

    • 5740: 金額ディメンションから

      このシナリオでは、勘定科目5740はPOVの一部です。基準の中では、勘定科目5740ではなくメンバーSQFTが使用されます。

    各ディメンションからの1つのメンバーのみが指定されているため、POVは変化しません。したがって割当ては1回だけ実行されます。

  • 金額: 割当てのソース値は、次のディメンション間メンバーからとなります。

    100,Beginning Balance
  • ターゲット: 未設定です。POV、ターゲット、借方メンバー/貸方メンバーおよび範囲を組み合せるとすべてのディメンションからのメンバーが使用されていることになるため、ターゲットは空でもかまいません。

  • オフセット: オフセット・エントリを部門100に書き込みます。

データ整合性および式

Essbase集約ストレージ(ASO)キューブのカスタム割当てを設計するときは、ターゲットではなく、金額と基準で式を使用できます。ただし、ASOキューブではトランザクション・セマンティクスがサポートされていないため、式メンバーを金額または基準で使用するときにデータ不整合の問題が発生することがあります。

次の例では、ユーザー1が一連の部門の収益値を転記し、ユーザー2がボーナス金額の割当てを実行します。各部門の年間累計収益がこの割当ての基準です。これらの操作が実行される順序が結果に影響を及ぼします。

  • シナリオ1: ユーザー1が収益を転記し、その後でユーザー2が割当てを実行します。

    割当て結果は更新後の収益値に基づきます。

  • シナリオ2: ユーザー2が割当てを実行し、その後でユーザー1が収益を転記します。

    割当て結果は、更新後の収益値ではなく以前の収益値に基づきます。

  • シナリオ3: ユーザー1による収益の転記とユーザー2による割当ての実行が同時に行われます。

    割当て結果が更新後と以前の収益値のどちらに基づくかは、どちらのユーザーが先に操作を開始したかによって異なります。

    式メンバーを金額または基準で使用するときは、これらの操作を同時に実行することはお薦めしません。

また、割当てのための年間累計収益の計算にMDX式が使用されるとします。式の複雑性が結果に影響を及ぼす可能性があります。

  • シナリオ4: 年間累計収益の式で使用されるのは1つのディメンションからのメンバーであり、算術式+、-、/および*のみが使用されます。

    割当て結果は、全体が更新後の収益値に基づくか、以前の収益値に基づくかのいずれかとなります。

    シナリオ4で説明したような、シンプルなMDX式を使用することをお薦めします。

  • シナリオ5: 年間累計収益の式がシナリオ4の式よりも複雑です。

    割当て結果の一部は更新後の収益値に基づき、一部は以前の収益値に基づくという状態になる可能性があります。