ディメンション・タイプの設定
ディメンションを特定のタイプとしてタグ付けすると、このディメンションはそのタイプ用に設計された組込みの機能にアクセスできます。たとえば、ディメンションを勘定科目として定義すると、このディメンションのメンバーに会計機能を指定できます。Essbaseは、2つのプライマリ・ディメンション・タイプである時間と勘定科目を計算してから、データベースのその他のディメンションを計算します。デフォルトでは、すべてのディメンションは「なし」としてタグ付けされます。
ディメンション・タイプを設定するには、情報プロパティの設定を参照してください。
時間ディメンションの作成
ディメンションにデータを収集および更新する頻度を説明するメンバーが含まれている場合は、このディメンションを時間としてタグ付けします。たとえば、Sample.Basicデータベースでは、Yearディメンションは時間としてタグ付けされています。また、時間ディメンションによって、勘定科目ディメンション・メンバーで最初と最後のタイム・バランスなどの複数の機能が有効になります。
ディメンションを時間としてタグ付けする場合のルール:
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アウトラインの1つのディメンションのみを時間としてタグ付けすることができます。
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時間ディメンションのすべてのメンバーが時間プロパティを継承します。
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時間としてタグ付けされていないディメンションに時間メンバーを追加できます。
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時間ディメンションのないアウトラインを作成できます。
ディメンションを時間としてタグ付けするには、Essbase.Cubeワークシートの理解を参照してください。
勘定科目ディメンションの作成
ディメンションに利益や在庫など、分析するファクトが含まれている場合は、このディメンションを勘定科目としてタグ付けします。
ディメンションを勘定科目としてタグ付けする場合のルール:
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アウトラインの1つのディメンションのみを勘定科目としてタグ付けすることができます。
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勘定科目ディメンションのすべてのメンバーが勘定科目プロパティを継承します。
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勘定科目ディメンションのメンバーがアウトラインの2回目のパスで計算されるように指定できます。「2パス計算プロパティ」を参照してください。
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勘定科目ディメンションのないアウトラインを作成できます。
ディメンションを勘定科目としてタグ付けするには、Essbase.Cubeワークシートの理解を参照してください。
次の項では、勘定科目ディメンションの組込みの機能について説明します。
タイム・バランス・プロパティの設定
勘定科目ディメンション・メンバーでタイム・バランス・プロパティが使用される場合、Essbaseでの時間ディメンションのそのメンバーの親の計算方法が影響を受けます。デフォルトでは、時間ディメンション内の親はその子の集計および式に基づいて計算されます。たとえば、Sample.Basicデータベースでは、Qtr1メンバーはその子(Jan、FebおよびMar)の合計です。ただし、タイム・バランス・プロパティを設定すると、親(たとえば、Qtr1)は異なる方法でロールアップされます。
タイム・バランス・プロパティを設定するには、ディメンション・ワークシートの理解を参照してください。
例6-1 「なし」のタイム・バランスの例
「なし」はデフォルト値です。タイム・バランス・プロパティを「なし」に設定すると、Essbaseでは時間ディメンションが通常の方法でロールアップされます。つまり、親の値は、その子の式および集計のプロパティに基づきます。
例6-2 「最初」のタイム・バランスの例
親値が分岐の最初のメンバーの値(通常、期間の始め)を表すようにする場合は、タイム・バランスを「最初」に設定します。
たとえば、OpeningInventoryという名前のメンバーが期間の始めの在庫を表すとします。期間がQtr1である場合、OpeningInventoryは1月の始めの在庫を表します。つまり、Qtr1のOpeningInventoryはJanのOpeningInventoryと同じになります。たとえば、Janの始めに50ケースのColaがあった場合、Qtr1の始めにも50ケースのColaがありました。
次の集計の例に示すように、OpeningInventoryを最初としてタグ付けします。
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Jan(+), 50
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Feb(+), 60
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Mar(+), 70
OpeningInventory (TB First), Cola, East, Actual, Qtr1(+), 50
例6-3 「最後」のタイム・バランスの例
親値が分岐の最後のメンバーの値(通常、期間の終わり)を表すようにする場合は、タイム・バランスを「最後」に設定します。
たとえば、EndingInventoryという名前のメンバーが期間の終わりの在庫を表すとします。期間がQtr1である場合、EndingInventoryはMarの終わりの在庫を表します。つまり、Qtr1のEndingInventoryはMarのEndingInventoryと同じになります。たとえば、Marの終わりに70ケースのColaがあった場合、Qtr1の終わりにも70ケースのColaがありました。
次の集計の例に示すように、EndingInventoryを最後としてタグ付けします。
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Jan(+), 50
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Feb(+), 60
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Mar(+), 70
EndingInventory (TB Last), Cola, East, Actual, Qtr1(+), 70
例6-4 「平均」のタイム・バランスの例
親値がその子の平均値を表すようにする場合は、タイム・バランスを「平均」に設定します。
たとえば、AverageInventoryという名前のメンバーが期間の在庫の平均を表すとします。期間がQtr1である場合、AverageInventoryは、Jan、FebおよびMarの在庫の平均を表します。
次の集計の例に示すように、AverageInventoryを平均としてタグ付けします。
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Jan(+), 60
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Feb(+), 62
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Mar(+), 67
AverageInventory (TB Average), Cola, East, Actual, Qtr1(+), 63
スキップ・プロパティの設定
タイム・バランスを最初、最後または平均として設定する場合は、スキップ・プロパティを設定して、欠落値または値0を検出したときにどのように処理するかをEssbaseに指示します。
表6-1 スキップ・プロパティ
設定 | Essbaseのアクション |
---|---|
なし |
親値を計算するときにデータをスキップしません。 |
欠落 |
親値を計算するときに#MISSINGデータをスキップします。 |
ゼロ |
親値を計算するときにゼロに等しいデータをスキップします。 |
欠落およびゼロ |
親値を計算するときに#MISSINGデータとゼロに等しいデータをスキップします。 |
メンバーを最後としてマークし、欠落または欠落およびゼロのスキップ・プロパティを設定すると、期間の親が、欠落していない最後の子と一致します。次の例では、Marに値がないため、EndingInventoryはFebの値に基づきます。
Cola, East, Actual, Jan, EndingInventory (Last), 60
Cola, East, Actual, Feb, EndingInventory (Last), 70
Cola, East, Actual, Mar, EndingInventory (Last), #MI
Cola, East, Actual, Qtr1, EndingInventory (Last),70
スキップ・プロパティを設定するには、ディメンション・ワークシートの理解を参照してください。
差異レポート・プロパティの設定
差異レポート・プロパティによって、メンバー式に@VARまたは@VARPER関数が含まれるメンバーの実績および予算データの差異のEssbaseでの計算方法が決定されます。会社に対する費用を表すメンバーには、費用プロパティが必要です。
ある期間の費用の予算策定を行うとき、実績費用が予算を下回る必要があります。実績費用が予算費用を上回ると、差異は負数になります。@VAR関数では、予算-実績が計算されます。たとえば、予算費用が$100で、支出が$110である場合、差異は-10です。
費用外のアイテム(たとえば売上など)の予算策定を行う場合は、実績売上が予算を上回る必要があります。売上の実績が予算を下回ると、差異は負数になります。@VAR関数では、実績-予算が計算されます。たとえば、売上の予算が$100で、売上が$110である場合、差異は10です。
デフォルトでは、メンバーは費用外です。
差異レポート・プロパティを設定するには、情報プロパティの設定を参照してください。
属性ディメンションの作成
標準ディメンションの特性に基づいてデータをレポートおよび集計するには、属性ディメンションを使用します。たとえば、Sample.Basicデータベースでは、ProductディメンションがOunces属性ディメンションに関連付けられています。Ounces属性ディメンションのメンバーは、オンス単位に基づいて製品を分類します。
属性ディメンションの使用ルールは、属性の操作を参照してください。
ディメンションを属性としてタグ付けするには、Essbase.Cubeワークシートの理解を参照してください。