属性ディメンションの理解
製品には、製品のサイズやパッケージなど、製品の特性である属性があります。属性メンバーは、属性ディメンションに置かれます。
属性ディメンションには、アウトライン内で名前の横に文字Aが付きます。
次のイメージはSample.Basicアウトラインの一部を示し、ここにはProductディメンションといくつかの属性ディメンション(Caffeinated、Ounces、Pkg TypeおよびIntro Date)が含まれています。

Productディメンションの「プロパティ」パネルでは、Productディメンションに関連付けられている属性ディメンションを参照できます。

属性は、基本ディメンションと呼ばれる疎の非属性ディメンションに関連付けられます。前述の例では、Productディメンションが属性ディメンションの基本ディメンションです。
ノート:
属性ディメンションとメンバーは動的計算(非集約属性を除く)であるため、Essbaseによって、取得時に属性情報が計算されます。属性データはデータベースに保管されません。
属性ディメンションのメンバーの理解
属性ディメンションのメンバーは、関連する基本ディメンションのメンバーの潜在的な属性です。基本ディメンションを属性ディメンションに関連付けた後、基本ディメンションのメンバーを、関連付けられた属性ディメンションのメンバーに関連付けます。Marketディメンション・メンバーConnecticutをPopulation属性ディメンションの6000000メンバーに関連付けます。これにより、6000000がConnecticutの属性になります。
基本ディメンションおよび属性ディメンションとメンバーのルールの理解
属性ディメンションとその基本ディメンションのメンバーに関するルールは、次のとおりです。
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疎ディメンションのみを属性ディメンションとしてタグ付けできます。
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サーバーにアウトラインを保存するには、それぞれの属性ディメンションを、その基本ディメンションとしての標準の疎ディメンションに関連付ける必要があります。
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属性ディメンションは、アウトラインの最終ディメンションにする必要があります。
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属性ディメンションには、テキスト、数値、ブールまたは日付の型設定があります。デフォルトの設定はテキストです。型はディメンション・レベルで割り当てられますが、ディメンションのレベル0のメンバーにのみ適用されます。属性タイプの理解を参照してください。
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ディメンションから属性タグを削除すると、Essbaseによって、そのメンバー名から接頭辞または接尾辞が削除されます。接頭辞と接尾辞はアウトラインには表示されません。属性ディメンションのメンバー名における、接頭辞および接尾辞のフォーマットの設定を参照してください。
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基本ディメンション・メンバーは属性を複数持つことができますが、属性ディメンション1つ当たり1つの属性のみを持つことができます。
たとえば、製品100-10ではサイズとパッケージの属性を持つことができますが、サイズとパッケージ・タイプはそれぞれ1つのみ持つことができます。
次の比較の計算で、属性値を使用できます。
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> (次より大きい)
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>= (次以上)
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< (次より小さい)
-
<= (次以下)
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== (次と等しい)
-
<>または!= (次と等しくない)
-
IN
属性ディメンションの関連付けのルールの理解
属性ディメンションを標準ディメンションに関連付けると、標準ディメンションはその属性ディメンションの基本ディメンションになります。
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属性ディメンションは、疎標準ディメンションに関連付ける必要があります。
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1つの標準ディメンションを複数の属性ディメンションの基本ディメンションにできます。
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1つの属性ディメンションは1つの基本ディメンションにのみ関連付けることができます。
たとえば、Small、MediumおよびLargeというメンバーを持つSize属性ディメンションがあるとします。Size属性ディメンションをProductディメンションに関連付けた場合は、Size属性ディメンションをMarketディメンションにも関連付けることはできません。Marketディメンションのサイズ関連の情報を追跡するには、名前が異なる別の属性ディメンション(MarketSizeなど)が必要になり、そのMarketSize属性ディメンションをMarketディメンションに関連付ける必要があります。
属性メンバーの関連付けのルールの理解
属性ディメンションのメンバーを基本ディメンションのメンバーに関連付けるときは、次のルールに従います。
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同じ属性ディメンションの複数のメンバーを、同じ基本ディメンション・メンバーに関連付けることはできません。たとえば、BottleとCanのパッケージ・タイプの両方を製品100-30に関連付けることはできません。
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異なる属性ディメンションのメンバーは、基本ディメンションの同じメンバーに関連付けることができます。たとえば、16オンスのボトルで販売されるカフェイン抜きコーラの製品(100-30)には、Caffeinated:False、Ounces:16およびPkg Type:Bottleの3つの属性があります。
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Essbaseは、基本ディメンションの各メンバーを、属性ディメンションのメンバーに関連付けることを要求しません。
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属性はレベル0のメンバーにのみ割り当てることができます。
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属性ディメンションのレベル0のメンバーのみを基本ディメンション・メンバーに関連付けることができます。
たとえば、Population属性ディメンションでは、3000000、6000000、9000000などのレベル0のメンバーのみをMarketディメンションのメンバーに関連付けることができます。Smallなどのレベル1のメンバーを関連付けることはできません。
属性ディメンションのレベル0のメンバーの名前は、属性値です。属性値を持つ属性ディメンションのメンバーは、レベル0のメンバーのみです。
属性ディメンションのより高いレベルのメンバーを使用して、データを選択およびグループ化できます。たとえば、Population属性ディメンションのレベル1のメンバーであるSmallを使用して、3000000と6000000の両方の人口カテゴリの売上を取得できます。
属性タイプの理解
属性ディメンションは、テキスト型、数値型、ブール型または日付型となり、これにより、データのグループ化、選択または計算のための様々な関数が使用可能になります。属性タイプはディメンション・レベルで割り当てられますが、属性ディメンションのレベル0のメンバーにのみ適用されます。
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デフォルトの属性タイプはテキストです。テキストの属性によって、計算における基本の属性メンバー選択と属性の比較が可能になります。このような比較を実行する際、Essbaseでは、文字が比較されます。たとえば、アルファベットではBはCの前にあるため、パッケージ・タイプBottleはパッケージ・タイプCanより小さいことになります。Sample.Basicでは、Pkg Typeがテキスト属性ディメンションの一例です。
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数値属性ディメンションのレベル0のメンバーの名前は、数値です。計算には数値の属性ディメンションのメンバーの名前(値)を含めることができます。たとえば、Ounces属性で指定したオンス数を使用して、各製品のオンス当たりの利益を計算できます。
数値属性は、基本ディメンションの値の範囲に関連付けることもできます。たとえば、市場の人口グループ別に製品の売上を分析するために、人口3,000,000以下の州を1つのグループにし、人口3,000,001から6,000,000までの州を別のグループにし、以降同様に続けます。値の範囲を表すメンバー名の設定を参照してください。
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データベース内のすべてのブール属性ディメンションには、2つのメンバーのみが含まれます。メンバー名は、データベースの設定(たとえば、TrueとFalse)と一致する必要があります。複数のブール属性ディメンションが存在する場合は、Caffeinated_TrueおよびCaffeinated_Falseなど、接頭辞または接尾辞のメンバー名のフォーマットを指定して、メンバー名を確実に一意にします。ブール属性メンバー名の設定を参照してください。
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日付属性を使用すると、日付フォーマット(月-日-年または日-月-年)を指定して、それに応じて情報を順序付けることができます。日付属性ディメンションのメンバー名の変更を参照してください。計算で日付属性を使用できます。たとえば、10-12-1999に開設された市場からの製品の売上を選択する計算で、日付を比較できます。
Essbaseでは、1970年1月1日から2038年1月1日までの日付属性がサポートされています。
属性ディメンションと標準ディメンションの比較
通常、属性ディメンションとそのメンバーは、標準ディメンションとそのメンバーに似ています。属性には別名とメンバー・コメントを指定できます。属性ディメンションには階層を含めることができ、世代とレベルに名前を付けることができます。属性ディメンションとメンバーでは、標準ディメンションとメンバーの場合と同じスプレッドシートの操作を実行できます。たとえば、様々な観点からデータを分析するために、スプレッドシート内で取得、ピボットおよびドリルダウンを実行できます。
次の表は、属性ディメンションと標準ディメンション、およびそれらのメンバーの間の主な相違点の説明を示しています。
表7-1 属性ディメンションと標準ディメンションとの相違点
機能 | 属性ディメンション | 標準ディメンション |
---|---|---|
ストレージ |
疎。属性ディメンションの基本ディメンションも疎である必要があります |
密または疎であることが可能です |
ストレージ・プロパティ |
動的計算のみにできます。したがって、データベースには保管されません。アウトラインにはこのプロパティは表示されません。 |
データの保管、動的計算またはラベルのみにできます |
アウトライン内の位置 |
アウトラインの最終ディメンションにする必要があります |
アウトラインのすべての属性ディメンションよりも上に位置する必要があります |
パーティション |
属性ディメンションに沿って定義することはできませんが、属性を使用して基本ディメンション上にパーティションを定義できます |
標準ディメンションに沿って定義できます |
式(メンバーに対する) |
関連付けできません |
関連付けできます |
共有メンバー |
許可されません |
許可されます |
2パス計算メンバー・プロパティ |
使用できません |
使用できます |
実行時の式での2パス計算 |
メンバー式に、属性メンバー名に関連付けられている実行時依存の関数が含まれ、かつその式を持つメンバーが2パスとしてタグ付けされている場合は、計算によってそのメンバーがスキップされ、警告メッセージが発行されます。実行時依存の関数には、@CURRMBR、@PARENT、@PARENTVAL、@SPARENTVAL、@MDPARENTVAL、@ANCEST、@ANCESTVAL、@SANCESTVALおよび@MDANCESTVALがあります。 |
計算は、実行時の式を持ち、2パスのタグが付けられている標準メンバーに対して実行されます。 |
2パス、複数のディメンション: 計算順序 |
2パスのタグが付けられているメンバーの計算の順序は、アウトラインでの順序に依存します。最終ディメンションは最後に計算されます。 |
複数のディメンションの2パスのタグが付けられているメンバーの計算結果は、アウトライン順序には依存しません。 |
メンバー式を含まない2パス計算 |
計算はスキップされ、警告メッセージが発行されます。したがって、2パスのタグが付けられているメンバーとそれよりも高いレベルのメンバーのメンバー交差では、標準ディメンションでの計算とは異なる結果が戻されることがあります。 |
使用できます |
存在しない保管ブロックにおける、密の動的計算メンバー |
計算で、存在しない保管ブロック上の密ディメンションがスキップされます。 属性が密メンバーで機能するには、密メンバーのデータ・ブロックが存在する必要があります。動的計算式があり属性のない密メンバーのデータを取得する場合は、Essbaseによって、データ・ブロックが動的に作成されて、値が戻されます。ただし、動的計算密メンバーに属性がある場合に属性メンバーで取得を実行すると、Essbaseで密メンバーの動的計算がスキップされて、データ・ブロックが作成されないため、#MISSINGという結果が生じます。 存在しない保管ブロックを特定するには、データベースをエクスポートするか、問合せを実行して、ブロックにデータが含まれるかどうかを確認します。 |
使用できます |
メンバーに対するUDA |
許可されません |
許可されます |
集計 |
すべてのメンバーに対して、属性計算ディメンション・メンバー(Sum、Count、Min、MaxおよびAvg)で計算されます。属性計算中はアウトライン内の集計演算子は無視されます。 |
目的の集計記号を各メンバーに割り当てることによって、集計操作が指示されます |
レベル0のメンバーの型の指定によって容易になるメンバー選択 |
使用可能な型は、テキスト、数値、ブールおよび日付です。 |
すべてのメンバーはテキストとして処理されます |
関連付け |
基本ディメンションに関連付けられる必要があります |
該当なし |
スプレッドシートのドリルダウン |
選択した属性に関連付けられた基本ディメンションのデータがリストされます。たとえば、属性Glassをドリルダウンすると、ProductがPkg Type属性ディメンションの基本ディメンションである、パッケージがガラスの各製品の売上が表示されます。 |
標準ディメンションの下位または兄弟のレベルの詳細がリストされます。たとえば、Qtr1をドリルダウンすると、その四半期の製品とそれらの売上のリストが表示されます。 |
解決順序と属性
ハイブリッド・モードを有効にすると、属性ディメンションとその基本ディメンションの解決順序を設定できるため、メンバーを2パスとしてタグ付けする必要がありません。ハイブリッド・モードでは、デフォルトの計算順序(解決順序とも呼ばれます)はブロック・ストレージ・データベースの計算順序と一致しますが、いくつかの拡張機能があります。デフォルト以外の解決順序を使用する場合は、ディメンションおよびメンバーにカスタムの解決順序を設定できます。
ハイブリッド・モードの詳細は、高速分析処理に対するハイブリッド・モードの採用を参照してください。
属性ディメンションでの2パス計算の理解
Sample.BasicデータベースのProductディメンションに基づいた次の例は、2パス計算が属性ディメンションでどのように機能するかを示しています。メンバー400–30が2パスとしてタグ付けされているとします。
メンバー400-30に次のメンバー式が含まれている場合:
=”400–10”;
400-30での取得を実行するときに、Essbaseによって式が実行されます。
400-30に次のメンバー式が含まれている場合:
=@CURRMBR("Market");
式に、許可されていない@CURRMBRランタイム関数が含まれているため、Essbaseで計算がスキップされて、次のエラー・メッセージが発行されます。
Two-pass calc skipped on member [400-30] in attribute calc”
2パスとしてタグ付けされたメンバーには式が必要であるため、400-30にメンバー式がない場合は同じエラー・メッセージが生成されます。
属性とUDAの比較
属性とUDAにより、データの特性に基づく分析が可能になります。属性にはUDAよりも多くの機能があります。このトピックの表で、次の機能の領域における属性とUDAの相違点を示します。
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データ・ストレージ
-
データの取得
-
データ変換
-
計算スクリプト
表7-2 データ・ストレージ—属性とUDAの比較
データ・ストレージ | 属性 | UDA |
---|---|---|
疎ディメンションに関連付けることができます。 |
サポートされています |
サポートされています |
密ディメンションに関連付けることができます。 |
サポートされていません |
サポートされています |
表7-3 データの取得—属性とUDAの比較
データの取得 | 属性 | UDA |
---|---|---|
属性値またはUDA値によって集計された合計をグループ化および取得できます。たとえば、値High Focus ItemをProductディメンションの様々なメンバーに関連付けて、この項を使用してこれらのメンバーのみの合計および詳細を取得します。 |
サポートされています 簡単 |
サポートされています 実装がより困難で、追加の計算スクリプトまたはコマンドが必要 |
階層で属性を分類して、属性階層の上位レベル別に集計された合計を取得できます。たとえば各製品に8、12、16、32などのサイズ属性があり、これらのサイズが小、中および大に分類される場合などです。小の製品の売上合計を参照できます。 |
サポートされています |
サポートされています 実装がより困難 |
同じ基本ディメンションに関連付けられた属性の集約合計を表示する、クロス集計ビューを作成できます。 |
サポートされています 各属性ディメンションのすべての値のクロス集計を表示できます。 |
サポートされていません 特定のUDA値に基づく合計のみを取得できます。 |
ブール演算子AND、ORおよびNOTを属性値およびUDA値とともに使用して、問合せを絞り込むことができます。たとえば、製品グループ100からカフェイン抜き飲料を選択できます。 |
サポートされています |
サポートされています |
属性は、テキスト、ブール、日付または数値の型を持つため、適切な演算子および関数を使用して属性データを操作および表示できます。たとえば、特定の日付以降に発売されたすべての製品の売上合計を参照できます。 |
サポートされています |
サポートされていません |
数値属性を値の範囲にグループ化し、ディメンション構築プロセスによって基本メンバーを適切な範囲に自動的に関連付けることができます。たとえば、売上を人口の範囲(300万未満、300万から600万など)に基づいた様々な地域にグループ化できます。 |
サポートされています |
サポートされていません |
属性計算ディメンションを使用して、合計、カウント、最小、最大、平均などの属性値の集約を参照できます。 |
サポートされています |
サポートされていません |
メンバーを定義する計算で属性を使用できます。たとえば、オンス単位の製品の重さを使用して、Measuresディメンションのオンス・メンバー当たりの利益を定義できます。 |
サポートされています |
サポートされていません |
属性関連情報を使用して特定の基本メンバーを取得できます。 |
サポートされています 強力な条件選択と値ベースの選択 |
サポートされています テキスト文字列の一致のみに制限 |
表7-4 データ変換—属性とUDAの比較
データ変換 | 属性 | UDA |
---|---|---|
データがデータベースにロードされるときに、UDAの値に基づいてデータの符号を変更できます。たとえば、DebitというUDAを持つすべてのメンバーの符号を反転できます。 |
サポートされていません |
サポートされています |
表7-5 計算スクリプト—属性とUDAの比較
計算スクリプト | 属性 | UDA |
---|---|---|
メンバーの属性値またはUDA値が特定の値に一致する場合に、そのメンバーに対して計算を実行できます。たとえば、Bottleの属性またはUDAで、すべての製品の価格を10%上げることができます。 |
サポートされています |
サポートされています |
指定した条件を満たす属性値を持つ基本メンバーに対して、計算を実行できます。たとえば、各基本メンバーのオンス当たりの利益を計算できます。 |
サポートされています |
サポートされていません |