3.4 以前のOracle Application Expressリリースからのアップグレード

Oracle Application Expressをアップグレードすると、新しいスキーマに新しいデータベース・オブジェクトが作成され、アプリケーションのメタデータが新しいリリースに移行されます。

Oracle Application Expressリリース19.x以前をご使用の場合は、このマニュアルに記載されているどのインストール例に従っても、Oracle Application Expressインスタンスがリリース20.2にアップグレードされ、新しいスキーマにOracle Application Express 20.2のデータベース・オブジェクトが作成され、アプリケーションのメタデータが新しいリリースに移行されます。

3.4.1 リリース番号の規則について

Oracle Application Expressの新規リリースは、カレンダ年に対応しています。

2018年のリリース18.1および18.2以降では、Oracle Application Expressのリリース番号はカレンダ年に対応しています。

また、Application Expressでは完全リリースしか提供されなくなり、パッチ・セット・リリース(5.1.1など)は提供されなくなりました。パッチ・セットのリリースを消去すると、既存のインストールを更新する際の停止時間が短縮されます。Application Expressアーキテクチャでは、必要に応じて開発者がリリースを元に戻すこともできます。

大きい欠陥については、今後もパッチ・セットの例外(PSE)が提供される場合があります。PSEについてさらに学習するには、Oracle Application Expressの既知の問題を参照してください。

3.4.2 サンプル・アップグレード・シナリオ

一般的なアップグレード・シナリオには、以前のリリースからのアップグレード、およびOracle Application Expressを含んでいるOracle Databaseリリースのインストールが含まれます。

表3-1に、一般的なアップグレード・シナリオをリストします。

表3-1 サンプル・アップグレード・シナリオ

アップグレード・シナリオ アクション

以前のOracle Application Expressリリースからのアップグレード

「ダウンロード」ページから最新のファイルをダウンロードします。

Oracle Application Expressを含むOracle Databaseのインストール。

「ダウンロード」ページから最新のファイルをダウンロードします。

3.4.3 Oracle Application Expressのリリース番号の表示

「ワークスペース」ホームページまたは「Application Expressについて」ページでOracle Application Expressのリリース番号を表示します。

「ワークスペース」ホームページまたは「Application Expressについて」ページでOracle Application Expressのリリース番号を表示できます。
  • ワークスペース・ホームページ:
    • Oracle Application Expressにサインインします。

      「ワークスペース」ホームページで、右下隅に現在のリリース番号が表示されます。

  • Application Expressについて」ページ:
    • Oracle Application Expressにサインインします。

    • 右上にある「ヘルプ」メニューをクリックし、「情報」を選択します。

      Application Expressについて」ページで、「製品のバージョン情報」の隣にリリース番号が表示されます。

3.4.4 Oracle REST Data Servicesのリリース番号の表示

「Application Expressについて」ページでOracle REST Data Servicesのリリース番号を表示します。

Oracle Application Expressは、Webリスナー(Oracle REST Data Services (ORDS) 19.x以降)へのアクセスを必要とします。

Oracle REST Data Servicesのリリース番号を表示するには:

  1. Oracle Application Expressにサインインします。
  2. 右上にある「ヘルプ」メニューをクリックし、「情報」を選択します。
  3. 「CGI環境」セクションの下でAPEX_LISTENER_VERSIONを見つけます。

3.4.5 Oracle Databaseと同梱されているOracle Application Expressリリースのインストールについて

Oracle Databaseリリースに同梱されているOracle Application Expressリリースについて学習します。

ノート:

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降では、Oracle Application Expressはディスク上のOracleホームに含まれており、デフォルトではデータベースにインストールされなくなりました。

Oracle Application Expressは、次のOracle Databaseリリースに同梱されています。

  • Oracle Database 19c - Oracle Application Expressリリース18.1。

  • Oracle Database 18c - Oracle Application Expressリリース5.1。

  • Oracle Database 12cリリース2 (12.2)- Oracle Application Expressリリース5.0。

  • Oracle Database 12cリリース1 (12.1) - Oracle Application Express リリース4.2。

  • Oracle Database 11gリリース2 (11.2) - Oracle Application Expressリリース3.2。

  • Oracle Database 11gリリース1 (11.1) - Oracle Application Expressリリース3.0。

Oracle Databaseのリリースの頻度はOracle Application Expressよりも少ないです。したがって、Oracle Technology Networkにある最新のOracle Application Expressリリースに更新することをお薦めします。詳細は、ご使用の環境の適切なWebリスナーに関するインストール手順を参照してください。

ノート:

データベースに同梱されているリリースからOracle Application Expressをアップグレードする場合は、Oracleホーム・ディレクトリ(たとえば、/u01/app/oracle/product/18.0.0/dbhome_1/apex)内のOracle Application Expressファイルはいずれも変更しないでください。

3.4.6 既存のアプリケーションのアップグレードについて

Oracle Application Expressの新しいリリースをインストールすると、インストール・プロセスにより、既存のアプリケーションが最新のリリースに更新されます。

アップグレード・プロセスは、アプリケーション・ユーザー・インタフェースやアプリケーション・コンポーネントを変更しないように設計されています。結果として、ユーザー・インタフェースに影響する可能性があるアプリケーション・コンポーネントは、アップグレード・プロセスでは変更されません。これらのコンポーネントを手動で検討し、更新する、または現状のまま残すのは、開発者の担当範囲です。既存の機能に影響を与える場合があるコンポーネントの例には、対話モード・レポート、チャート、一部の検証などに追加された新しい機能などがあります。

ヒント:

カスタムXMLを使用するチャートは手動で更新する必要があります。そうしない場合、カスタムXMLは失われます。

参照:

Oracle Application Expressアプリケーション・ビルダー・ユーザーズ・ガイドアプリケーション整合性のチェックのためのアドバイザの実行

3.4.7 アプリケーション互換性モードの指定について

各アプリケーション内のアプリケーション定義で互換性モードを指定できます。

各アプリケーション内で、「アプリケーション定義」で互換性モードを指定することもできます。「互換性モード」属性は、Application Expressランタイム・エンジンの互換性モードを制御します。特定のランタイム動作は、リリース間で異なります。この属性を使用して、特定のアプリケーション動作を取得できます。「互換性モード」のオプションとしては、「4.1前」、「4.1」、「4.2」、「5.0」、「5.1/18.1」、「18.2」、19.1および「19.2」があります。

参照:

3.4.8 テスト要件について

Oracle Application Expressアップグレード時の、適切な回帰テストの量の判定は、アップグレードするアプリケーションの複雑さ、サイズおよび数に依存します。

複雑なページ、特に大きなJavaScriptや、広範なPL/SQLの計算またはプロセスを統合しているページの大部分を含める必要があります。開発者は、「アプリケーションのアップグレード」または「アドバイザ」に基づいて手動で更新するページが回帰テストにも含まれていることを確認する必要があります。残りのページをすべて回帰テストに含める必要はありません。レポート、チャートおよびフォームを含む様々なページ・タイプを適切に代表する内容を含めることをお薦めします。アプリケーションの互換性モードがアップグレード後に変更された場合は、必ず回帰テストに含める必要があります。

エンド・ユーザーが中断されるリスクを最小にするにはアップグレードされたアプリケーションの回帰テストは必須ですが、長期間かからないようにすることが重要です。一般原則:

  • ステップ1: 先に開発環境をアップグレードします。開発者がアプリケーションを検討して、必要に応じて初期更新できるようにします。

  • ステップ2: QA/テスト環境をアップグレードします。

  • ステップ3: アプリケーションを、この環境に組み込まれた開発からアップグレードします。

  • ステップ4: 本番環境をアップグレードします。

  • ステップ5: アップグレードされたアプリケーションをこの環境に組み込みます。

3.4.9 環境のクリーンアップについて

すべての環境で最新リリースへのOracle Application Expressのアップグレードが成功したら、環境をクリーンアップする必要があります。

新しいリリースでの開発を開始したら、以前のリリースに関連付けられたOracle Application Expressスキーマは削除できます。以前のリリースが別の表領域にインストールされた場合、固有の表領域を単純に削除できます。以前のOracle Application Expressスキーマは、数週間残してから、開発、テストおよび本番環境から削除することをお薦めします。このクリーンアップ・プロセスによりディスク領域が解放され、SQL DeveloperやSQL*Plusなどのツールを使用して古いスキーマにアクセスするユーザーをゼロにできます。

3.4.10 元のリリースに戻す

Oracle Application Expressの元のリリースに戻すことができます。

Oracle Application Expressは各メジャー・リリースに対して新しいスキーマを作成するため、元のリリースに戻すのは比較的単純なプロセスです。以前のリリースに戻る場合、現在のOracle Application Expressインスタンスで行われた変更はすべて失われます。主要なタスクは、パブリック・シノニムと権限付与を、新しいスキーマでなく以前のスキーマを参照するように切り替えることです。