8 チャージバック機能

この章では、Microsoft SQL Serverのチャージバック機能を構成する手順について説明します。

この章の構成は、次のとおりです。

チャージバックについて

チャージバックは、その名前が示すように、アカウンタビリティのツールです。このアプリケーションの主な用途は、一般に次のように説明できます。

  • Enterprise Managerが収集する膨大なメトリック・データを集計および正規化することで、リソース使用率を測定します。

  • リソースを使用するコンシューマに金額をチャージする方法を提供します。

  • コンシューマに使用明細および関連するチャージ明細を提供します。

チャージバック・プラグイン・デプロイメント

チャージバック機能を使用するには、チャージバック・プラグイン(「設定」メニューから、「拡張性」を選択し、次に「プラグイン」を選択)をデプロイする必要があります。

Oracle Enterprise Manager用のチャージバック・プラグインをデプロイする方法の詳細は、Oracle Enterprise Manager 12c Cloud Control測定およびチャージバックのホワイト・ペーパーを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/oem/cloud-mgmt/wp-em12c-chargeback-final-1585483.pdf

チャージバックに関するグローバル設定の構成

チャージバックのグローバル設定を構成するには:

  1. 図8-1に示すように、「エンタープライズ」メニューから「チャージバック」を選択します。

    図8-1 「チャージバック」メニュー項目


    「チャージバック」メニュー項目

  2. 通貨記号および稼働時間の計算のグローバル設定をまだ構成していない場合は、「ホーム」タブの最下部にある「設定」サブタブを選択します。
    • 通貨記号

      デフォルトの通貨(USD)を変更するには、通貨記号のテキスト・ボックスをクリックし、必要な通貨記号を入力します。新規に選択した通貨は、すべてのチャージ・プラン(ユニバーサル・プランおよびすべての拡張チャージ・プラン)全体のデフォルトの通貨になります。新規の通貨は、履歴レポートを含め、すべてのレポートに反映されます。

      ノート:

      通貨の変更によるレートの変換は起こりません(つまり、数字は同じままです)。たとえば、ドルからユーロに変更すると、1ドルのチャージが1ユーロのチャージになります。

    • 稼働時間の計算

      該当するラジオ・ボタンを選択して、チャージの計算に稼働時間を含めるか無視します。デフォルトでは、稼働時間を考慮事項に含めます。稼働時間を含めると、すべてのエンティティの固定および構成ベースの全チャージの計算に影響します。

      チャージバックでは、チャージと割引をそれ相応に按分します。このため、たとえば、エンティティが24時間のうち22.5時間使用可能な場合、日次チャージは1.5時間調整されます。稼働時間設定の変更は、現在のレポート・サイクルの初めから有効になりますが、前のレポート・サイクルには影響しません。すなわち、履歴レポートのチャージが、現在のサイクルの設定に加えられた変更に基づいて比例配分されることはありません。

  3. 「保存」をクリックして設定を更新します。

チャージ・プランの構成

チャージ・プランは、チャージ対象のリソースおよびそれらに関連付けられているレートを定義します。チャージ・プランには、ユニバーサル・チャージ・プランと拡張チャージ・プランの2つのタイプがあります。

ユニバーサル・プランは、3つの基本的なメトリック(CPU、メモリーおよび記憶域)に対するレートを設けています。ユニバーサル・チャージ・プランを構成していない場合は、Oracle Enterprise Manager Cloud管理ガイドチャージバック管理 の項を参照してください。

拡張チャージ・プランは、ユニバーサル・プランを拡張してエンティティ固有のメトリックを含めたものです。これにより、エンティティ固有の特性に関連するチャージを実装できます。エンティティ・タイプによって、レートをチャージできるアイテムが決定されます。

次のステップに従って、Microsoft SQL Serverの拡張チャージ・プランを作成します。

  1. 図8-2に示すように、「チャージ・プラン」タブから、「作成」を選択し、次に「プラン」を選択します。これにより、「計画の作成」ページが表示されます。

    図8-2 チャージバック・プランの作成


    チャージバック・プラン

  2. 「計画の作成」ページの上部で、プランの名前を指定できます。「エンティティ・タイプ」というラベルの付いた左側のパネルで「追加」をクリックし、エンティティ・タイプとして「Microsoft SQL Server」を選択します。
  3. 次に、メニューの中央で「アイテムの追加」を選択し(図8-3)、チャージ可能な様々なアイテムを追加します。次の4つのチャージ・アイテムから選択したり、すべてを追加できます。
    • 基本チャージ

    • データベースの基本チャージ

    • ディスク領域使用状況

    • メモリー使用量

    図8-3 チャージ・アイテム


    チャージ・アイテム

  4. チャージ・プランに含めるタイプを選択した後、レートおよび頻度を設定します。時間、日、週、月、四半期または年別に各アイテムの頻度を設定できます。チャージ・アイテムを設定した後、画面の右上にある「保存」をクリックします。これにより、「チャージ・プラン」タブに戻り、画面の上部(図8-4)で、プランが保存されたことを確認できます。左側のパネルにリストされて表示されるようになります。

    この時点で、チャージ・プランが作成されます。

    図8-4 チャージ・プランの確認


    チャージ・プランの確認

拡張チャージ・プランの修正

次の方法で拡張チャージ・プランを更新できます。

  • 現在および将来のサイクルで有効なチャージ・レートに変更を加えます。

  • 既存のプランをベースに次またはそれ以降のレポート・サイクルのプラン・リビジョンを作成します。

現在または将来のサイクルで有効なチャージ・レートに変更を加えるには:

  1. ナビゲーション・ペインでプラン・リビジョンを選択して、「レートの設定」をクリックします。

  2. チャージ・アイテムを調整して、レートを有効化します。

  3. 「保存」をクリックして、プラン・リビジョンを更新します。

ノート:

現在のサイクルのチャージ・レートを変更する場合、変更はサイクルの最初に遡及して適用されます。

既存のプランをベースに次またはそれ以降のレポート・サイクルのプラン・リビジョンを作成するには

  1. ナビゲーション・ペインでプランを選択して、「作成」メニューから「リビジョン」を選択します。
  2. 表示されるダイアログで、リビジョンの有効日を選択します。デフォルトの日付は、直近に追加されたリビジョンの次の月です。たとえば、現在のサイクルが5月分で、6月のリビジョンが存在している場合、デフォルトの有効日は7月1日です。「OK」をクリックします。
  3. 使い慣れた類似物作成モデルでは、ナビゲーション・ペインで選択したプランの構成、チャージ・アイテムおよびレート調整が、右側のプランの詳細表に表示されます。

    必要に応じて、プランの詳細を編集します。

    • エンティティ・タイプを追加および削除します。

    • 構成を追加および削除します。

    • チャージ・アイテムを追加、変更および削除します。

    • メトリック・レートを調整します。

  4. 終了したら、「保存」をクリックして、プラン・リビジョンを完了します。

コスト・センターの構成

コスト・センターは、企業全体にチャージを分配する個人または組織内の部門です。

チャージバック機能を設定する次のステップは、コスト・センターの構成です。

次のステップに従って、コスト・センター作成します。

  1. 図8-5に示すように、「コスト・センター」タブから「追加」を選択します。

    図8-5 コスト・センターの追加


    コスト・センターの追加

  2. 表示されたボックスで、コスト・センターに一意の識別子と表示名を指定します。次の例では(図8-6)、識別子としてACCTが使用され、名前はAccounting Departmentでした。「レベル」値には、階層内の位置に応じて「最上位レベル(ルート)」または「メンバー所属先」のいずれかを選択します。

    図8-6 新規コスト・センターの名前と表示名


    新規コスト・センターの名前と表示名

  3. 名前を選択したら、「OK」をクリックします。これにより、コスト・センターがリストされて表示されます(図8-7)。

    これで、コスト・センターが正常に作成されます。

    図8-7 コスト・センターの確認


    コスト・センターの確認

エンティティの構成

各チャージバック・エンティティ(ターゲット)について、管理者は、ターゲットにチャージ・プランを割り当てて、コスト・センターにターゲットを割り当てることができます。

次のステップを使用して、エンティティを設定します。

  1. 「エンティティ」タブから、「エンティティの追加」を選択します(図8-8)。これにより、「エンティティの追加」ページに移動します。

    図8-8 エンティティの追加


    エンティティの追加

  2. 「エンティティの追加」ページで、「追加」をクリックします。表示されたボックスで(図8-9)、ターゲット・タイプに「Microsoft SQL Server」を選択してから、追加するターゲットを選択します。また、ターゲットの名前がリストに表示されていない場合には、検索して見つけることもできます。

    図8-9 エンティティ・ターゲットの選択


    エンティティ・ターゲットの選択

  3. 追加するターゲットを検出したら、「選択」をクリックします。これにより、ページの中央にあるターゲットのリストに表示されます(図8-10)。「次へ」をクリックします。

    図8-10 追加されたターゲット


    追加されたターゲット

  4. エンティティにプランを割り当てます。ターゲットを選択して、「プランの割当て」をクリックします。「プランの割当て」ポップアップで(図8-11)、エンティティに割り当てるチャージ・プランを選択し、「OK」を選択します。

    図8-11 チャージ・プランの割当て

    チャージ・プランの割当て
  5. エンティティにコスト・センターを割り当てます。「コスト・センターの割当て」ポップアップで(図8-12)、エンティティを割り当てるコスト・センターを選択します。チャージ・プランとコスト・センターの両方を割り当てた後、「次へ」をクリックします。

    図8-12 コスト・センターの割当て


    コスト・センターの割当て

  6. 選択内容を確認します。すべて正しいと見受けられる場合は、「発行」をクリックします。「チャージバック」ページの上部に、エンティティが正常に追加されたことを確認するメッセージが表示されます(図8-13)。

    図8-13 エンティティの確認


    エンティティの確認

「エンティティ」タブで、特定のエンティティに関連付けられたコスト・センターまたはチャージ・プランを変更するには、エンティティを選択し、変更する対象に応じて「プランの割当て」または「コスト・センターの割当て」のいずれかをクリックします。エンティティを削除するには、「エンティティの削除」をクリックします。

チャージバック・レポートの生成と配布

チャージバック・サマリー・レポートは、リソース使用率およびチャージ配分を追跡する強力な分析ツールです。これらのサマリー・レポートには、コスト・センター、エンティティ・タイプおよびリソース別に分類されたチャージまたはリソース使用率に関連する情報が表示されます。これらにより、チャージまたはリソース使用率が最大のエンティティまたはコスト・センターを迅速に評価できます。サマリー・レポートは、主に、ドリルダウンの用途で役立ちます。

データの収集は、1日に1回行われます。現在のサイクルのための日次データ収集ジョブは、チャージ・プランとコスト・センターの割当てに基づいています。レポート・サイクルは、チャージを計算する期間を定義します。このサイクルは現在の月のもので、その月の最初の日から始まります。

非定型レポートを生成するには:

  1. 「エンタープライズ」メニューから「チャージバック」を選択します。
  2. 「レポート」タブを選択します。
  3. 次のオプションで、レポートを設計します。
    • 現行レポート・サイクルを使用するか、レポートの日付範囲をカスタマイズします。

    • サマリーおよび傾向のレポート・タイプを選択します。サマリー・レポートは円グラフによって内訳を示し、傾向レポートはY軸の複数の棒グラフによって使用状況の傾向を示します。

    • 特定のコスト・センターを選択するか、すべてのユーザーについてレポートします。

    • 特定のエンティティまたはエンティティ・タイプを選択するか、すべてのエンティティ・タイプ内のすべてのエンティティについてレポートします。

    • レポートするメトリックを選択します。

    「レポートの表示」をクリックして、結果を表示します。

    レポートには、コスト・センター、エンティティ・タイプおよびリソースごとのチャージをまとめて色分けしたグラフが表示され、下部には詳細が表で示されます。対応するグラフの絵の具箱リンクをクリックすると、色分けされた選択のレポート・コンテンツが再計算されます(たとえばリソース内のメモリーのグラフ)。

    図8-14は、現在のレポート・サイクルでのすべてのコスト・センターおよびエンティティ・タイプのチャージをリソース別の内訳で示したサマリー・レポートの例を示しています。

    図8-14 チャージバック・サマリー・レポート


    チャージバック・サマリー・レポート

  4. ドロップ・ダウン・リストから選択することで、詳細をフィルタ処理します(デフォルトは「すべて」です)。QBE機能(「フィルタ」アイコン)を使用して、レポートの詳細を検索します。このアイコンはトグルし、クリックすると、表の列の上のテキストおよび選択ボックスを交互に表示または非表示します。この機能は「表示」メニューでも使用できます。それぞれの列で、日付を選択したり値を入力したりして、様々な組合せで検索基準を入力します。「入力」をクリックして検索をアクティブ化します。
  5. 詳細リージョンで「エクスポート」アイコン(「エクスポート」アイコン)をクリックし、レポート・コンテンツをファイルにエクスポートします。
  6. 「レポートの公開」をクリックし、レポート・コンテンツを公開します。このアクションはBI Publisherと結合し、次のことができます。
    • 様々な形式(Excel、PowerPoint、HTML、PDF)によるレポートの保存。

    • 定義済のスケジュールに基づく、生成されたレポートの電子メール・リスト(Enterprise Managerへのアクセス権がないユーザーなど)への配信。

BI Publisherの設定の詳細は、Enterprise Manager Cloud Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイドEnterprise ManagerでのBI Publisherの構成の章を参照してください。

チャージバックの追加情報

チャージバックの詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud管理ガイドチャージバックの管理の項を参照してください。