管理インスタンスのモニタリング

管理インスタンスには、グリッドの管理に使用されるメタデータが格納されます。アクティブ・インスタンスとスタンバイ・インスタンスを使用して、このメタデータの高可用性を確保することをお薦めします。単一の管理インスタンスを使用している場合に、その管理インスタンスがダウンすると、グリッドの動作は継続しますが、グリッドに対する特定の管理操作を実行できなくなります。

管理インスタンスには、現在のグリッド、以前のグリッド・モデル・バージョン、および現在のグリッドのログに関する情報が格納されるため、管理インスタンスの空き領域がなくなることがあります。管理インスタンスが正しく機能するには、管理インスタンスに十分な空き領域があることが重要です。管理インスタンスの空き領域が少なくなると、ttGridAdminユーティリティで任意のコマンドを実行した場合に警告が出力されます。

次のタスクを実行して、管理インスタンスを保守できます。

旧グリッド・モデルの保存に関する値の変更

このトピックでは、旧グリッド・モデルの保存に関する値を増減する方法について説明します。

この例では、保存日数の値を60に設定して、保存バージョン数の値を15に設定しています。これらの値を使用すると、60日より古い旧グリッド・モデルのうち、16バージョン以上前のグリッド・モデルのみが削除されます。

ノート:

-retainDaysまたは-retainVersionsパラメータの値として0を指定した場合は、もう一方のパラメータのみが使用されます。両方のパラメータの値として0を指定した場合は、旧グリッド・モデル・バージョンは自動的に削除されません。

% ttGridAdmin gridModify -retainDays 60 -retainVersions 15
Grid Definition modified.

ttGridAdmin gridModifyコマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』グリッド設定の変更(gridModify)を参照してください。

管理インスタンスの空き領域のモニター

グリッドを作成すると、管理インスタンスの使用済領域警告しきい値がグリッドによって設定されます。管理インスタンスのサイズがこのしきい値に達した場合、ttGridAdminユーティリティでコマンドを実行すると、管理インスタンスが一杯になりかけていることを示す警告が出力されます。

次の例は、管理インスタンスがほぼ一杯であるグリッドに対するttGridAdmin instanceCreateコマンドの出力を示しています。

% ttGridAdmin instanceCreate host9 -location /grid
Instance instance1 on Host host9 created in Model
Warning: the TTGRIDADMIN database is 91% full; Temp space: 57%

ノート:

いずれかのttGridAdminコマンドを使用したときに、管理インスタンスが一杯になりかけていることを示す警告が表示された場合は、グリッドの保存日数と保存バージョン数のパラメータに基づいて、古いグリッド・モデル・バージョンと古いログがTimesTen Scaleoutによって自動的に削除されます。

管理インスタンス上でttGridAdminユーティリティのgridDisplayコマンドを使用して、管理インスタンスの現在の使用済領域警告しきい値、およびTimesTen Scaleoutで保存される旧グリッド・モデル・バージョンの数と保存日数を表示します。

この例では、ttGridAdmin gridDisplayコマンドの出力を表示しています。

% ttGridAdmin gridDisplay
Grid name:                  grid1
Grid GUID:                  864C0CB2-AF40-4047-A711-7A9F9F0E7D6C
Created:                    2018-12-12 12:20:32.000000
Major Release:              22.1
Created Release:            22.1.1.27.0
K:                          3
Admin Userid:               terry
Admin UID:                  4133
Admin Group:                admin
Admin GID:                  900
Retain Days:                30
Retain Versions:            10
Warn Threshold:             90
Perm In Use Pct:            91
Temp In Use Pct:            57

ttGridAdmin gridDisplayコマンドの詳細、および旧グリッド・モデルの保存に関する値と管理インスタンスの警告しきい値のデフォルトの詳細は、それぞれ『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』グリッドに関する情報の表示(gridDisplay)およびグリッド設定の変更(gridModify)を参照してください。

グリッド管理データベースのサイズ変更の詳細は、「管理インスタンスのサイズ変更」を参照してください。

管理インスタンスの使用済領域警告しきい値の変更

このトピックでは、管理インスタンスの現在の使用済領域警告しきい値を増減する方法を示します。

この例では、管理インスタンスの現在の使用済領域警告しきい値を80%に設定しています。

% ttGridAdmin gridModify -warnThresh 80
Grid Definition modified.

ttGridAdmin gridModifyコマンドの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』グリッド設定の変更(gridModify)を参照してください。

管理インスタンスのサイズ変更

場合によっては、管理インスタンスが一杯になりかけているために、管理インスタンスのサイズ変更が必要になることがあります。

グリッドに、単一の管理インスタンスのみが存在するか、またはアクティブ管理インスタンスとスタンバイ管理インスタンスが存在するかに応じて、次のいずれかの手順を実行します。

単一の管理インスタンスを含むグリッド

1つの管理インスタンスを含むグリッドの管理インスタンス・サイズを変更するには、その管理インスタンスに接続していることを確認してください。

  1. データベース定義をエクスポートします。
    % ttGridAdmin dbdefExport TTGRIDADMIN /tmp/ttgridadmin.dbdef

    次の例は、エクスポートしたファイルの内容を示しています。

    [TTGRIDADMIN]
    AutoCreate=0
    Connections=100
    DBUUID=C12C4FAE-5732-4307-A08F-5F7FBF9BF1C0
    DataStore=!!TIMESTEN_HOME!!/grid/admin/database/!!TTGRIDADMIN!!
    DatabaseCharacterSet=AL32UTF8
    DurableCommits=1
    LockWait=120
    Overwrite=0
    PLSQL=1
    PLSQL_TIMEOUT=0
    PermSize=200
    TempSize=100
  2. テキスト・エディタを使用して、PermSize接続属性の値を現在より大きい値に変更します。

    次の例では、変更したデータベース定義ファイルの内容を示しています。この例では、PermSize接続属性の新しい値は400です。

    [TTGRIDADMIN]
    AutoCreate=0
    Connections=100
    DBUUID=C12C4FAE-5732-4307-A08F-5F7FBF9BF1C0
    DataStore=!!TIMESTEN_HOME!!/grid/admin/database/!!TTGRIDADMIN!!
    DatabaseCharacterSet=AL32UTF8
    DurableCommits=1
    LockWait=120
    Overwrite=0
    PLSQL=1
    PLSQL_TIMEOUT=0
    PermSize=400
    TempSize=100
  3. 変更されたデータベース定義ファイルの内容をTTGRIDADMINデータベース定義にインポートします。
    % ttGridAdmin dbdefModify /tmp/ttgridadmin.dbdef
    Database Definition TTGRIDADMIN modified.
  4. TTGRIDADMINデータベース定義ファイルの変更内容を現在のモデル・バージョンに適用します。
    % ttGridAdmin modelApply
    ...
    Pushing new configuration files to each Instance......................OK
    ...
    ttGridAdmin modelApply complete
  5. 管理インスタンスを停止します。

    ノート:

    管理インスタンスを停止しても、既存のデータベースは影響を受けません。ただし、管理インスタンスを起動するまでは、管理操作を実行できません。

    % ttGridAdmin mgmtActiveStop
    Active management instance stopped
  6. 管理インスタンスを起動します。
    % ttGridAdmin mgmtActiveStart
    This management instance is now the active

管理インスタンスのサイズが正常に変更されました。

アクティブ管理インスタンスとスタンバイ管理インスタンスを含むグリッド

アクティブ管理インスタンスとスタンバイ管理インスタンスを含むグリッドの管理インスタンス・サイズを変更するには、そのアクティブ管理インスタンスに接続していることを確認してください。

  1. グリッド管理データベースのデータベース定義をエクスポートします。
    % ttGridAdmin dbdefExport TTGRIDADMIN /tmp/ttgridadmin.dbdef

    次の例は、エクスポートしたファイルの内容を示しています。

    [TTGRIDADMIN]
    AutoCreate=0
    Connections=100
    DBUUID=C12C4FAE-5732-4307-A08F-5F7FBF9BF1C0
    DataStore=!!TIMESTEN_HOME!!/grid/admin/database/!!TTGRIDADMIN!!
    DatabaseCharacterSet=AL32UTF8
    DurableCommits=1
    LockWait=120
    Overwrite=0
    PLSQL=1
    PLSQL_TIMEOUT=0
    PermSize=200
    TempSize=100
  2. テキスト・エディタを使用して、PermSize接続属性の値を現在より大きい値に変更します。

    次の例では、変更したデータベース定義ファイルの内容を示しています。この例では、PermSize接続属性の新しい値は400です。

    [TTGRIDADMIN]
    AutoCreate=0
    Connections=100
    DBUUID=C12C4FAE-5732-4307-A08F-5F7FBF9BF1C0
    DataStore=!!TIMESTEN_HOME!!/grid/admin/database/!!TTGRIDADMIN!!
    DatabaseCharacterSet=AL32UTF8
    DurableCommits=1
    LockWait=120
    Overwrite=0
    PLSQL=1
    PLSQL_TIMEOUT=0
    PermSize=400
    TempSize=100
  3. 変更されたデータベース定義ファイルの内容をTTGRIDADMINデータベース定義にインポートします。
    % ttGridAdmin dbdefModify /tmp/ttgridadmin.dbdef
    Database Definition TTGRIDADMIN modified.
  4. TTGRIDADMINデータベース定義ファイルの変更内容を現在のモデル・バージョンに適用します。
    % ttGridAdmin modelApply
    ...
    Pushing new configuration files to each Instance......................OK
    ...
    ttGridAdmin modelApply complete
  5. スタンバイ管理インスタンスから、管理インスタンスを停止します。

    ノート:

    この手順を実行しても、既存のデータベースやグリッドの動作は影響を受けません。

    % ttGridAdmin mgmtStandbyStop
    Standby management instance host2.instance1 stopped
  6. スタンバイ管理インスタンスから、管理インスタンスを起動します。
    % ttGridAdmin mgmtStandbyStart
    Standby management instance started
  7. スタンバイ管理インスタンスから、スタンバイ管理インスタンスを新しいアクティブ管理インスタンスに昇格させて、元のアクティブ管理インスタンスをシャットダウンします。
    % ttGridAdmin mgmtActiveSwitch
    This is now the active management instance
  8. 元のアクティブ管理インスタンスから、新しいスタンバイ管理インスタンスを起動します。
    % ttGridAdmin mgmtStandbyStart
    Standby management instance started

管理インスタンスのサイズが正常に変更されました。また、元のアクティブ管理インスタンスはスタンバイ管理インスタンスになり、元のスタンバイ管理インスタンスはアクティブ管理インスタンスになりました。このことは、グリッドの動作に影響を与えません。