5 トランザクション対応のATMIアプリケーションの構成

このトピックには、次の項があります。

ノート:

Oracle Tuxedo CORBA環境でトランザクションを使用する方法の詳細は、『CORBAトランザクションの使用』を参照してください。

5.1 UBBCONFIGファイルをATMIトランザクションに対応させて変更する

トランザクションに対応させるには、次に示すようにアプリケーションのUBBCONFIGファイルのRESOURCESMACHINESGROUPSおよびSERVICESセクションを変更する必要があります。

セクション名 変更内容
RESOURCES アプリケーションに設定できるトランザクションの数、およびコミット制御フラグの値を指定します。
MACHINES 各マシンのTLOG情報を指定します。
GROUPS 各リソース・マネージャおよびトランザクション・マネージャ・サーバーに関する情報を指定します。
SERVICES 自動トランザクション・オプションを有効にします。

5.2 RESOURCESセクションでグローバル・トランザクションのパラメータを指定する

次の表では、RESOURCESセクションに指定するトランザクション関連のパラメータを説明します。

パラメータ名 目的
MAXGTT 一度に1台のマシン上で設定できるグローバル・トランザクション識別子(GTRID)の数を制限します。指定可能な最大値は2048、最小値は0、デフォルト値は100です。MAXGTTの値は、MACHINESセクションでマシンごとにオーバーライドできます。

グローバル・トランザクションがアクティブな間だけ、表内にそのエントリがあるため、このパラメータには同時トランザクションの数に制限を設ける効果があります。

CMTRET TP_COMMIT_CONTROL特性の初期設定が次のいずれかであることを示します。
  • LOGGED - TP_COMMIT_CONTROL特性はTP_CMT_LOGGEDに設定されます。すべての参加リソースが正常にプリコミットを行った場合にtpcommit()が返されることを示します。
  • COMPLETE - TP_COMMIT_CONTROL特性はTP_CMT_COMPLETEに設定されます。すべての参加リソースが正常にコミットするまでtpcommit()が返されないことを示します。
デフォルトはCOMPLETEです。

適切な設定値については、リソース・マネージャ(RM)のベンダーに問い合せてください。アプリケーションに、XA標準のレイト・コミット実装を使用するリソース・マネージャがある場合、COMPLETEに設定します。すべてのリソース・マネージャがアーリー・コミット実装を使用する場合は、パフォーマンス上の理由によりLOGGEDに設定します。この設定はtpscmt()を使用してオーバーライドできます。

MAXTRANTIME トランザクションの最長のタイムアウト値を指定します。有効な値は0 - 2,147,483,647の範囲です。0はトランザクションのタイムアウト値に制限がないことを表します。

デフォルトは0です。

ノート:

MAXTRANTIMEの詳細は、UBBCONFIG(5)RESOURCESセクションにあるMAXTRANTIME、またはTM_MIB(5)T_DOMAINクラスにあるTA_MAXTRANTIMEを参照してください。

5.3 MACHINESセクションでトランザクション・ログ(TLOG)を作成する

TLOGを作成するには、以下のタスクを実行します。

  • 汎用デバイス・リスト(UDL)を作成します。
  • MACHINESセクションでトランザクション関連のパラメータを定義します。
  • Domainsトランザクション・ログを作成します。

5.3.1 UDLを作成する

汎用デバイス・リスト(UDL)は、Oracle Tuxedoファイル・システムの地図のようなものです。UDLは、アプリケーションの起動後、共有メモリーにロードされます。TLOGは、トランザクションが終了するまで、トランザクションに関する情報が保持されているログを参照します。UDL内にTLOGデバイス用のエントリを作成するには、グローバル・トランザクションを使用して各マシンにUDLを作成します。(TLOGDEVICEが2台のマシン間でミラーリングされる場合、対になるマシンでこれを行う必要はありません。)BBLは、起動時にTLOGを初期化して開きます。

UDLを作成するには、アプリケーションを起動する前に次のコマンドを実行します。

tmadmin -c crdl -z config -b blocks

ノート:

デバイスがすでに存在する場合、このコマンドは失敗します。

configの値は、UDLの作成先デバイスのフルパス名です。これは、構成ファイルのMACHINESセクションにあるTLOGDEVICEパラメータの値と一致している必要があります。blocksの値には、デバイス上に割り当てるブロックの数を指定します。

ノート:

blocksの値がTLOGSIZEの値より小さいと、パフォーマンスが低下するおそれがあります。したがって、blocksにはTLOGSIZEより大きい値を指定してください。たとえば、TLOGSIZEに200ブロックが指定されている場合、-b 500を指定すると、パフォーマンスは低下しません。

TLOGの格納方法については、『Oracle Tuxedoシステムのインストール』を参照してください。

5.3.2 MACHINESセクションでトランザクション関連のパラメータを定義する

グローバル・トランザクション・ログ(TLOG)を定義するには、UBBCONFIGファイルのMACHINESセクションでパラメータをいくつか設定する必要があります。

これらのパラメータのうち、TLOGDEVICEについては、TLOGが必要な各マシン上にTLOGDEVICEのデバイス・リスト・エントリを手動で作成しなければなりません。これは、TUXCONFIGがロードされる前でも後でも作成できますが、必ず、システムを起動する前に作成してください。

次の表では、MACHINESセクションに指定するトランザクション関連のパラメータを説明します。

パラメータ名 説明
TLOGNAME このマシンのDTPトランザクション・ログの名前を指定します。
TLOGDEVICE このマシンのDTPトランザクション・ログ(TLOG)を含むOracle Tuxedoファイル・システムを指定します。このパラメータを指定しないと、マシンにはTLOGがないと見なされます。値に使用できる文字数は、最大64文字です。
TLOGSIZEE TLOGファイルのサイズを指定します(物理ページ単位)。この値には、1 - 2048の範囲の値を設定します。デフォルト値は100です。指定した時点で、未処理トランザクションを十分保持できるマシン上のサイズを指定します。1ページにつき1つのトランザクションがログに記録されます。ほとんどのアプリケーションではデフォルト値で十分です。
TLOGOFFSET TLOGDEVICEの先頭から、マシンのトランザクション・ログを含むVTOCの開始点までのオフセット(ページ数)。この値は0以上で、デバイス上のページ数より小さい値でなければなりません。デフォルトは0です。

TLOGOFFSETが必要になることはほとんどありません。ただし、2つのVTOCが同じデバイスを共有したり、VTOCが別のアプリケーションに共有されるデバイス(ファイル・システムなど)上に格納される場合は、TLOGOFFSETを使用してデバイスのアドレスに関連する開始アドレスを指定できます。

5.3.2.1 Oracle DatabaseへのTLOGの書込み

Oracleデータベースにtlogを書き込む場合、UDLを作成する必要はありません

次のステップを実行する必要があります。

  1. Oracle Databaseクライアントをインストールし、libclntsh.so.x.x (たとえば、libclntsh.so.10.1)のリンクlibclntsh.soを作成して、Linuxプラットフォームでリンクlibclntsh.soLD_LIBRARY_PATHを設定します。
  2. DB:Oracle_XA: …」という形式を使用して、UBBCONFIG(5) TLOGDEVICEまたはDMCONFIG(5) DMTLOGDEVを設定します。
  3. tmadminおよびdmadminコマンドを使用してtlogを作成します。

    ノート:

    tlogを書き込むことができるのはOracleデータベースのみです。サード・パーティのデータベースはサポートされていません。

5.3.3 Domainsトランザクション・ログを作成する

Domainsゲートウェイ・グループを起動する前に、Domainsトランザクション・ログを作成する必要があります。Domainsトランザクション・ログは、現在のマシン(DMADMを実行中のマシン)の指定されたローカル・ドメインに作成してください。ログを作成するには、次のコマンドを入力します。

dmadmin crdmlog crdlog -d local_domain_name

このコマンドでは、DMCONFIGファイルで指定したパラメータが使用されます。指定したローカル・ドメインが現在のマシン上でアクティブであるか、またはログがすでに存在する場合、このコマンドは失敗します。トランザクション・ログがない場合は、Domainsゲートウェイ・グループの起動時に作成されます。

関連項目:

5.4 GROUPSセクションでリソース・マネージャとトランザクション・マネージャ・サーバーを定義する

GROUPSセクションのパラメータにより、特定のグループに対してトランザクション・マネージャ・サーバー(TMS)およびリソース・マネージャ(RM)の属性を定義できます。

  • TMSは、グローバル・トランザクションを制御するほとんどの作業を行うサーバーです。このサーバーに対しては、次のパラメータを定義します。
    • TMSNAMEには、エントリで定義済のグループに関連付けられた、トランザクション・マネージャ・サーバー用の実行可能ファイル名を指定します。Oracle Tuxedoシステムには、トランザクションに参加してもRMは使用しないグループ用に、NULLトランザクション・マネージャ・サーバー(TMS)が用意されています。 このTMSサーバーは、どのRMとも通信しません。RMとは通信せず、トランザクションの管理だけを行います。
    • TMSCOUNTには、起動するTMSの数(最小2、最大10、デフォルト3)を指定します。
  • 各リソース・マネージャに対しては、OPENINFOおよびCLOSEINFOパラメータを定義します。これらのパラメータの値は、リソース・マネージャを開くまたは閉じるために必要な情報を含む文字列です。適切なパラメータ値は、リソース・マネージャのベンダー側で用意されます。たとえば、リソース・マネージャとしてOracleデータベースを使用している場合、次のような値を指定します。
    OPENINFO=”ORACLE_XA:
    Oracle_XA+Acc=P/Scott/*****+SesTm=30+LogDit=/tmp” 

5.4.1 GROUPSセクションの例

以下は、Oracle Tuxedoシステムに同梱されている銀行業務サンプル・アプリケーションbankappGROUPSセクションの例です。

BANKB1 GRPNO=1 TMSNAME=TMS_SQL TMSCOUNT=2
OPENINFO=”TUXEDO/SQL:APPDIR/bankdl1:bankdb:readwrite”
5.4.1.1 GROUPSセクションの例でのトランザクション値

この表では、GROUPSエントリの例のトランザクション値を説明します。

トランザクション値 目的
BANKB1 GRPNO=1 TMSNAME=TMS_SQL TMSCOUNT=2 トランザクション・マネージャ・サーバーの名前(TMS_SQL)と、グループBANKB1で起動するサーバーの数(2)を指定します。
TUXEDO/SQL リソース・マネージャの公開名です。
APPDIR/bankdl1 デバイス名
bankdb データベース名
readwrite アクセス・モード
5.4.1.2 TMSNAME、TMSCOUNT、OPENINFO、およびCLOSEINFOパラメータの特性

次の表に、TMSNAMETMSCOUNTOPENINFOおよびCLOSEINFOパラメータの特性を示します。

パラメータ名 説明
TMSNAME 実行可能なトランザクション・マネージャ・サーバーの名前です。

トランザクション対応のアプリケーションでは、必須パラメータです。

TMSは、NULLトランザクション・マネージャ・サーバーです。

TMSCOUNT トランザクション・マネージャ・サーバーの数。2 - 10の範囲の値を設定します。デフォルトは3です。このパラメータは省略可能です。
OPENINFO、CLOSEINFO リソース・マネージャを開くまたは閉じるために必要な情報です。

内容は、リソース・マネージャによって異なります。

値はリソース・マネージャの名前で始まります。

この値を省略すると、RMが開くまたは閉じるための情報を必要としないことを示します。

5.5 SERVICESセクションでサービスに対するトランザクションの開始を有効にする

状況によっては、SERVICESセクションにAUTOTRANTRANTIME、およびROUTINGという3つのトランザクション関連パラメータを設定しなければならない場合があります。

  • クライアントのかわりに、サービスにトランザクションを開始させる場合は、AUTOTRANフラグをYに設定する必要があります。この設定は、サービスが大規模なトランザクションの一部でない場合や、トランザクションの決定に関わるクライアント側の負担を軽減したい場合に役立ちます。既存のトランザクションがある場合にサービスが呼び出されると、この呼出しは既存のトランザクションの一部になります。デフォルト値はNです。

    ノート:

    一般的に、サービスは大規模なトランザクションに参加するため、トランザクションのイニシエータとしてはクライアントが最も適しています。
  • AUTOTRANYに設定されている場合、TRANTIMEパラメータを設定する必要があります。これはトランザクション作成時のタイムアウト値です。0 - 2,147,483,647 (2 31 - 1、つまり約70年)の値を指定してください。0は、トランザクションにタイムアウトが設定されていないことを示します。(デフォルトは30秒です。)
  • データ依存型ルーティングを使用するトランザクションには、ROUTINGパラメータを定義する必要があります。

5.5.1 AUTOTRAN、TRANTIME、およびROUTINGパラメータの特性

次の表では、AUTOTRANTRANTIME、およびROUTINGパラメータの特性を説明します。

パラメータ名 目的
AUTOTRAN トランザクションのイニシエータとしてサービスを指定します。

このパラメータを正しく機能させるには、アプリケーション設計者とアプリケーション管理者の間のコミュニケーションが重要です。開発者が設定したICFパラメータを知らずに管理者がこの値をYに設定すると、アプリケーションの誤動作や失敗が生じるおそれがあります。

トランザクションがすでに存在している場合、新しいトランザクションは開始しません。

デフォルトはNです。

TRANTIME AUTOTRANトランザクションのタイムアウト値を指定します。

有効な値は0 - 2,147,483,647の範囲です。

0は、タイムアウトが発生しないことを示します。

デフォルトは30秒です。

ROUTING このサービスをリクエストするトランザクションにデータ依存型ルーティングが指定されているROUTINGセクション内のエントリを指します。

5.6 トランザクションをサポートするようにDomains構成ファイルを変更する

ドメイン全体でトランザクションを有効にするには、Domains構成ファイル(DMCONFIG)のDM_LOCALおよびDM_IMPORTの両方のセクションでパラメータを設定する必要があります。DM_LOCALセクションのエントリでは、ローカル・ドメインの特性を定義します。DM_IMPORTセクションのエントリでは、インポートされたサービスや、リモート・ドメインで使用可能なサービスを定義します。

5.6.1 DMTLOGDEV、DMTLOGNAME、DMTLOGSIZE、MAXRAPTRAN、およびMAXTRANパラメータの特性

Domains構成ファイルのDM_LOCALセクションでは、ローカル・ドメインおよびそれに関連するゲートウェイ・グループを指定します。ゲートウェイ・グループ(ローカル・ドメイン)ごとに、そのグループで実行するドメイン・ゲートウェイ・プロセスに必要なパラメータを指定するエントリを作成する必要があります。

次の表では、このセクションの5つのトランザクション関連パラメータ(DMTLOGDEVDMTLOGNAMEDMTLOGSIZEMAXRAPTRAN、およびMAXTRAN)を説明します。

パラメータ名 説明
DMTLOGDEV このマシンのDomainsトランザクション・ログ(DMTLOG)を含むOracle Tuxedoファイル・システムを指定します。DMTLOGは、TLOGDEVICE (Oracle Tuxedoファイル・システム)上にOracle TuxedoのVTOC表として格納されます。このパラメータを指定しない場合、Domainsゲートウェイ・グループはリクエストをトランザクション・モードで処理できません。同じマシン上で実行するローカル・ドメインは、同じDMTLOGDEVファイル・システムを共有できますが、ローカル・ドメインごとに個別のログ(DMTLOGDEV)を作成する必要があります。各ログの名前は、DMTLOGNAMEパラメータによって決まります。
DMTLOGNAME このドメインのDomainsトランザクション・ログの名前を指定します。このドメインが他のローカル・ドメインと同じファイル・システム上にある場合(DMTLOGDEVの値が同じ)、DMTLOGNAMEの値はログごとに一意でなければなりません。値には30文字以内の文字を使用できます。デフォルトはDMTLOGです。
DMTLOGSIZE このマシンのDomainsトランザクション・ログのサイズを指定します(ページ数単位)。0より大きく、Oracle Tuxedoファイル・システム上の空き領域より小さい値を指定します。デフォルトは100ページです。

ノート:

トランザクション内のドメインの数により、DMTLOGSIZEパラメータで指定するページ数が決まります。トランザクションとログのページ数は、1対1でマッピングされません。
MAXRAPTRAN トランザクションに含めることのできるドメインの最大数を指定します。0より大きく、32,768未満の値を指定します。デフォルトは16です。
MAXTRAN このローカル・ドメイン上で同時に実行できるグローバル・トランザクションの最大数を指定します。0以上で、構成ファイルに定義されているMAXGTTパラメータ以下の値を指定します。デフォルトは、MAXGTTの値です。

5.6.2 AUTOTRANおよびTRANTIMEパラメータの特性

Domains構成ファイルのDM_IMPORTセクションでは、インポートされ、リモート・ドメインで使用可能になったサービスに関する情報を提供します。各リモート・サービスは、特定のリモート・ドメインに関連付けられています。

DM_IMPORTセクションに、トランザクションをサポートするAUTOTRANパラメータとTRANTIMEパラメータを設定することもできます。

次の表では、これらのパラメータを説明します。

パラメータ名 説明
AUTORAN リモート・サービスのトランザクションを自動的に開始/終了するために、ゲートウェイによって。この機能は、リモート・サービスに対して、信頼性のあるネットワーク通信を行う場合に必要です。この機能をリクエストするには、対応するリモート・サービスのエントリでAUTOTRANパラメータをYに設定します。
TRANTIME 定義されたサービスに対して自動的に開始されるトランザクションのタイムアウト値を秒単位で指定します。値には、0以上2147483648未満を指定します。0は、マシンの最大タイムアウト値を示します。デフォルトは30秒です。

UBBCONFIGファイルのRESOURCESセクションでは、MAXTRANTIMEという追加のトランザクション・タイムアウト・プロパティも使用できます。MAXTRANTIMEタイムアウト値がTRANTIMEタイムアウト値またはトランザクションを開始するtpbegin(3c)の呼出しで渡されたタイムアウト値より小さい場合、トランザクションのタイムアウトはMAXTRANTIMEの値に削減されます。MAXTRANTIMEはOracle Tuxedo 8.0以前を実行するマシン上で開始されるトランザクションには影響を与えません。ただし、Oracle Tuxedo 8.1以降を実行するマシンがトランザクションの影響を受ける場合は、そのノードに対して構成されているMAXTRANTIME値までトランザクション・タイムアウト値が制限(必要に応じて減少)されます。

Domains構成の場合は、以下のようなトランザクション処理のシナリオが考えられます。

  • ドメイン間トランザクションでMAXTRANTIMEパラメータを認識しないノードが影響を受ける場合、またはMAXTRANTIMEパラメータを認識するがパラメータが設定されていない場合、トランザクションのタイムアウト値はTRANTIME、またはトランザクションを開始したtpbegin()呼出しで渡されたタイムアウト値によって決まります。TRANTIMEまたはtpbegin()のタイムアウト値を超えると、トランザクションの影響を受けるすべてのOracleノード(トランザクションを開始したノードも含む)はTMSタイムアウト・メッセージを生成します。
  • ドメイン間トランザクションがMAXTRANTIMEパラメータを認識するノードに影響を及ぼし、そのノードに対してパラメータが設定されている場合、トランザクションのタイムアウト値はそのノードのMAXTRANTIME値を超えない値にまで削減されます。TRANTIMEまたはtpbegin()タイムアウト値がMAXTRANTIME以下である場合、トランザクション処理は前に説明したシナリオになります。TRANTIMEまたはtpbegin()タイムアウト値がMAXTRANTIMEより大きい場合、トランザクションのタイムアウト値は影響を受けるノードによってMAXTRANTIMEに削減されます。MAXTRANTIMEタイムアウト値を超えると、影響を受けるノードはTMSタイムアウト・メッセージを生成します。

MAXTRANTIMEの詳細は、UBBCONFIG(5)RESOURCESセクションにあるMAXTRANTIME、またはTM_MIB(5)T_DOMAINクラスにあるTA_MAXTRANTIMEを参照してください。

5.7 例:トランザクションを使用する分散アプリケーション

この項では、3つのサイトに分散される、トランザクション対応のbankappアプリケーションを定義する構成ファイル例を示します。このアプリケーションには、次の特徴があります。

  • ACCOUNT_IDに対してデータ依存型ルーティングが実行されます
  • データが3つのデータベースに分散されます
  • ATMIインタフェースを使用してシステムと通信するBRIDGEプロセスが実行されます
  • 1つのサイトからアプリケーションが管理されます。

ファイルは、7つのセクション(RESOURCESMACHINESGROUPSNETWORKSERVERSSERVICES、およびROUTING)で構成されます。

5.7.1 RESOURCESセクションの例

次のリストは、RESOURCESセクションの例です。

RESOURCESセクションの例のリスト

*RESOURCES
#
IPCKEY           99999
UID              1
GID              0
PERM             0660
MAXACCESSERS     25
MAXSERVERS       25
MAXSERVICES      40
MAXGTT           20
MASTER           SITE3, SITE1
SCANUNIT         10
SANITYSCAN       12
BBLQUERY         180
BLOCKTIME        30
DBBLWAIT         6
OPTIONS          LAN, MIGRATE
MODEL            MP
LDBAL            Y

このリストでは、次の点に注意してください。

  • MAXSERVERSMAXSERVICESおよびMAXGTTは、デフォルト値より小さい値に設定されています。これは、掲示板のサイズを小さくするためです。
  • MASTERSITE3で、バックアップ・マスターはSITE1です。
  • MODELMPに設定されており、OPTIONSLANMIGRATEに設定されているため、ネットワーク接続された構成を使用して移行を行うことができます。
  • BBLQUERY180に設定されており、SCANUNIT10に設定されているため、DBBLはリモートのBBL1800秒おき(30分おき)にチェックします。

5.7.2 MACHINESセクションの例

次のリストは、MACHINESセクションの例です。

MACHINESセクションの例のリスト

*MACHINES
 giselle       LMID=SITE1
               TUXDIR=”/usr/tuxedo”
               APPDIR=”/usr/home”
               ENVFILE=”/usr/home/ENVFILE”
               TLOGDEVICE=”/usr/home/TLOG”
               TLOGNAME=TLOG
               TUXCONFIG=”/usr/home/tuxconfig”
               TYPE=”3B600”
        
 romeo         LMID=SITE2
               TUXDIR=”/usr/tuxedo”
               APPDIR=”/usr/home”
               ENVFILE=”/usr/home/ENVFILE”
               TLOGDEVICE=”/usr/home/TLOG”
               TLOGNAME=TLOG
               TUXCONFIG=”/usr/home/tuxconfig”
               TYPE=”SEQUENT”

 juliet        LMID=SITE3
               TUXDIR=”/usr/tuxedo”
               APPDIR=’/usr/home”
               ENVFILE=”/usr/home/ENVFILE”
               TLOGDEVICE=”/usr/home/TLOG”
               TLOGNAME=TLOG
               TUXCONFIG=”/usr/home/tuxconfig”
               TYPE=”AMDAHL”   

このリストでは、次の点に注意してください。

  • TLOGDEVICEおよびTLOGNAMEが指定され、トランザクションが行われることを示します。
  • TYPEパラメータはすべて異なりますが、これはマシン間で送られるすべてのメッセージにエンコード/デコードが行われることを示します。

5.7.3 GROUPSセクションおよびNETWORKセクションの例

次のリストに、GROUPSおよびNETWORKセクションの例を示します。

GROUPSおよびNETWORKセクションの例のリスト

*GROUPS
DEFAULT:           TMSNAME=TMS_SQL         TMSCOUNT=2
BANKB1             LMID=SITE1              GRPNO=1
  OPENINFO=”TUXEDO/SQL:/usr/home/bankdl1:bankdb:readwrite”
BANKB2             LMID=SITE2              GRPNO=2
  OPENINFO=”TUXEDO/SQL:/usr/home/bankdl2:bankdb:readwrite”
BANKB3             LMID=SITE3              GRPNO=3
  OPENINFO=”TUXEDO/SQL:/usr/home/bankdl3:bankdb:readwrite”

*NETWORK
SITE1              NADDR=”0X0002ab117B2D4359”
                   BRIDGE=”/dev/tcp”
                   NLSADDR=”0X0002ab127B2D4359”

SITE2              NADDR=”0X0002ab117B2D4360”
                   BRIDGE=”/dev/tcp”    
                   NLSADDR=”0X0002ab127B2D4360”
  
SITE3              NADDR=”0X0002ab117B2D4361”
                   BRIDGE=”/dev/tcp”
                   NLSADDR=”0X0002ab127B2D4361”

このリストでは、次の点に注意してください。

  • TMSCOUNT2に設定されますが、これはグループあたり2つのTMS_SQLトランザクション・マネージャ・サーバーだけが起動されることを示します。
  • OPENINFO文字列は、アプリケーションがデータベース・アクセスを行うことを示します。

5.7.4 SERVERS、SERVICES、およびROUTINGセクションの例

次のリストは、SERVERSSERVICES、およびROUTINGセクションの例です。

SERVERS、SERVICES、およびROUTINGセクションの例のリスト

*SERVERS
DEFAULT: RESTART=Y MAXGEN=5 REPLYQ=N CLOPT=”-A”
TLR      SRVGRP=BANKB1    SRVID=1    CLOPT=”-A -- -T 100"
TLR      SRVGRP=BANKB2    SRVID=3    CLOPT=”-A -- -T 400"
TLR      SRVGRP=BANKB3    SRVID=4    CLOPT=”-A -- -T 700"
XFER     SRVGRP=BANKB1    SRVID=5    REPLYQ=Y
XFER     SRVGRP=BANKB2    SRVID=6    REPLYQ=Y
XFER     SRVGRP=BANKB3    SRVID=7    REPLYQ=Y
    
*SERVICES
DEFAULT: AUTOTRAN=N
WITHDRAW     ROUTING=ACCOUNT_ID
DEPOSIT      ROUTING=ACCOUNT_ID
TRANSFER     ROUTING=ACCOUNT_ID
INQUIRY      ROUTING=ACCOUNT_ID
     
*ROUTING
ACCOUNT_ID   FIELD=ACCOUNT_ID     BUFTYPE=”FML”
                  RANGES=”MON - 9999:*,
                  10000 - 39999:BANKB1
                  40000 - 69999:BANKB2
                  70000 - 100000:BANKB3
                     “”

このリストでは、次の点に注意してください。

  • TLRサーバーがtpsvrinit()関数を呼び出す場合は、-Tオプションに100、400、または700を指定します。
  • すべてのサービス・リクエストはACCOUNT_IDフィールドでルーティングされます。
  • AUTOTRANモードではサービスは行われません。

関連項目: