10 ネットワークへのATMIアプリケーションの分散

このトピックには、次の項があります。

ノート:

ネットワークにOracle Tuxedo CORBAアプリケーションを分散する方法については、『CORBAアプリケーションのスケーリング、配布およびチューニング』ガイドを参照してください。

10.1 分散型のATMIアプリケーションとは

分散アプリケーションとは、1つ以上のローカル・クライアントまたはリモート・クライアントが、ネットワークで接続された複数のマシン上の1つ以上のサーバーと通信するアプリケーションのことです。分散アプリケーションでは、どの場所からでも業務処理を行うことができます。たとえば、企業では、次のような処理を国内各地や海外に分散できます。

  • 売上の予測
  • 商品の発注
  • 商品の製造、出荷、および請求処理
  • 社内データベースの更新

最新の電気通信技術やデータのネットワーク化により、この種の分散処理は一般的になりつつあります。このような企業戦略を実現するために開発されたアプリケーションを使用すると、コストを削減し、世界中の顧客にサービスを提供することができます。Oracle Tuxedoシステムは、分散アプリケーションの管理タスクを簡略化することにより、このようなアーキテクチャをサポートします。アプリケーションが1台のコンピュータで構成されている場合でも、ネットワーク接続された数千台のコンピュータで構成されている場合でも、アプリケーションのすべての構成要素(クライアントやサーバー、およびそれらを接続するネットワークなど)は、1つのOracle Tuxedo構成ファイルによって管理されます。

10.1.1 分散アプリケーションの例

次の図は、3つのマシンにまたがって分散されたアプリケーションの基本部分を示しています。

図10-1 分散アプリケーションの例


分散アプリケーションの例の図

10.1.2 分散アプリケーションの実装

分散アプリケーションは、構成ファイルのNETWORKセクション(および必要に応じてNETGROUPS)に定義されているネットワーク上で実装されます。多くの場合、分散アプリケーションでは、構成ファイルのROUTINGセクションに定義されたデータ依存型ルーティングが使用されます。分散アプリケーションの設計では、サーバー・グループ、プロセス、トランザクション・マネージャ・サーバー(TMS)、およびリソース・マネージャ(RM)の配置が重要です。

ネットワーク上に分散アプリケーションを設定する場合、アプリケーション管理者はネットワーク管理者と協力する必要があります。大抵の場合、アプリケーション管理者が構成ファイルのRESOURCESMACHINESGROUPSSERVICES、およびROUTINGセクションに分散アプリケーション用のパラメータを定義し、ネットワーク管理者またはMIS部門の担当者がネットワーク関連のセクションを定義または担当します。

関連項目:

10.2 ATMIアプリケーションをネットワークに分散する理由

分散アプリケーションには、いくつかの重要な利点があります。初期のビジネス・アプリケーションは、1台の大型メインフレーム・コンピュータ上で実行するように開発されたものでした。コンピュータ処理はすべて1台のマシン上で行われたため、障害が発生するとシステム全体の停止につながりました。しかし、分散アプリケーションの普及により、このようなシステム障害による危険は少なくなりつつあります。

また、アプリケーションを分散することにより、1つのアプリケーションを論理グループに分割し、これらのグループをそれぞれ適切な場所に配置できるという利点もあります。たとえば、サーバー・グループを作成して、大規模なアプリケーションを管理しやすいサイズの業務別コンポーネントに分割し、最適な場所に配置できます。

分散アプリケーションにより、以下のことが可能になります。

  • データ依存型の分離を実行できます
  • 複数のリソースを管理できます
  • クライアント/サーバー型のモデルを拡張できます。
  • Oracle Tuxedoシステムのサービスに対し、透過的にアクセスできます。
  • 複数のサーバー・グループを確立できます。
  • 1つのアプリケーション作業を複数のコンピュータで同時に行うことにより、スループットとレスポンス時間を向上できます。
  • 利用頻度の高いリソースをレプリケートできます。

10.2.1 分散アプリケーションの特長

  • 自律的なアクションの調整 - 自律的なアクションとは、複数のサーバー・グループと複数のリソース・マネージャ・インタフェースのどちらか、または両方が関係するアクションです。Oracle Tuxedoシステムでは、個別のアプリケーション間の自律的なアクションを、1つの論理作業単位として調整することができます。
  • フォルト・トレランス - 複数のマシンのうち、1台で障害が発生しても、残りのマシンが処理を続行します。同様に、サーバー・グループ内のどれか1つのサーバーで障害が発生しても、残りのサーバーが作業を続行します。
  • スケーラビリティ - アプリケーションの負荷や容量を、次の方法で増加できます。
    • グループにサーバーを追加します。
    • アプリケーションにマシンを追加し、複数のマシンにグループを再分散します。
    • アプリケーションにマシンを追加し、複数のマシンにグループを再分散します。
    • マシン上のサーバー・グループを別のマシン上にレプリケートし、ロード・バランシングを使用します。
    • 特定の基準を満たすグループにデータ依存型ルーティングを使用して、データベースをセグメントに分割します。

関連項目: