11 分散型のOracle Tuxedo ATMIアプリケーション用の構成ファイルの作成

この項では、次のトピックを取り上げます:

ノート:

分散型のOracle Tuxedo CORBAアプリケーション用の構成ファイルを作成する方法の詳細は、『CORBAアプリケーションのスケーリング、配布およびチューニング』を参照してください。

11.1 分散型のOracle Tuxedo ATMIアプリケーション用の構成ファイルの要件

分散型のOracle Tuxedo ATMIアプリケーションは、1つ以上のローカル・クライアントまたはリモート・クライアントで構成され、ネットワーク接続された複数のマシン上にある1つ以上のサーバーと通信します。すべての構成要素は、Oracle Tuxedo構成ファイルで1つのエンティティとして管理されます。分散型の構成を設定するには、構成ファイルを作成し、次のセクションを設定する必要があります。

構成に複数のドメインが含まれており、データ依存型ルーティングを使用する場合は、ルーティング機能をサポートするためのドメイン・ゲートウェイ構成ファイル(DMCONFIG)を変更する必要もあります。

11.2 RESOURCESセクションの作成

RESOURCESセクションでは、アプリケーションの最大サーバー数など、システム全体に関するリソースの制御パラメータを定義します。このセクションのパラメータ設定は、すべて、アプリケーション全体に適用されます。

ノート:

このトピックの表で説明するパラメータは、分散アプリケーション用です。どのOracleTuxedoアプリケーションにも適用できる基本的なパラメータの説明については、『ファイル形式、データ記述、MIBおよびシステム・プロセス・リファレンス』のUBBCONFIG(5)に関する項を参照してください。

次の表に、RESOURCESセクションのパラメータを示します。

表11-1 RESOURCESセクションのパラメータ

パラメータ 説明
BBLQUERY (オプション) BBLQUERYでは、DBBLがすべてのBBLのステータスをチェックする間隔を、基本のSCANUNITに対する乗数として指定します。DBBLは、すべてのBBLのステータスがBBLQUERYで指定した期間内に報告されるようにします。BBLからの報告がない場合、DBBLはそのBBLにメッセージを送信し、状態を照会します。応答がない場合、BBLはパーティション化されます。

BBLQUERYには、0より大きい値を指定する必要があります。このパラメータを指定しない場合、デフォルト値が設定され、SCANUNIT * BBLQUERYが、約300秒になります。

BLOCKTIME (オプション) BLOCKTIMEでは、ブロッキング呼出し(たとえば応答の受信)の後でタイムアウトするまでの時間を、基本のSCANUNITに対する乗数として指定します。

BLOCKTIMEの値は0より大きくなければなりません。このパラメータを指定しない場合、デフォルト値が設定され、SCANUNIT * BLOCKTIMEが、約60秒になります。

DBBLWAIT (オプション) DBBLWAITは、DBBLがすべてのBBLからの応答を待機する期間を、基本のSCANUNITに対する乗数として指定します。この期間を経過すると、タイムアウトします。DBBLは、BBLにリクエストを転送した後、すべてのBBLから肯定応答を受信した後でリクエスタに応答を返します。このパラメータを使用して、動作不能なBBLまたは異常なBBLを検出することもできます。

DBBLWAITには、0より大きい値を指定する必要があります。このパラメータを指定しない場合、デフォルト値が設定され、SCANUNIT * DBBLWAITがSCANUNITより大きい値か、または20秒になります。

IPCKEY(必須) IPCKEYは、掲示板の数値キーを指定します。単一プロセッサ環境では、このキーにより掲示板の名前が指定されます。マルチプロセッサ環境では、このキーによりDBBLのメッセージ・キューが指定されます。また、このキーは、既知のアドレスのほか、マルチプロセッサ全体の掲示板などのリソース名の基準としても使用されます。

IPCKEYは、32,768より大きく262,143より小さい値にする必要があります。

MASTER(必須) MASTER (string_value1[,string_value2])は、TUXCONFIGのマスター・コピーが置かれているマシンのLMIDを指定します。また、アプリケーションがMPモードで実行されている場合、MASTERはDBBLが実行されるマシンを指定します。string_value2は、プロセスの再配置および起動時に、使用されるLMIDの代替位置を指定します。本来の位置が使用できない場合、DBBLはこの代替位置で起動し、代替のTUXCONFIGファイルが使用されます。

string_value1およびstring_value2の値は、どちらもMACHINESセクションで定義されたマシンのLMIDである必要があります。各文字列には、最大30文字まで指定できます。

MAXGROUPS (オプション) MAXGROUPSは、掲示板のグループ表に対応した、構成済のサーバー・グループの最大数を指定します。

MAXGROUPSには、100以上32,768未満の値を指定する必要があります。デフォルトは100です。

MAXSERVERS (オプション) MAXSERVERSは、掲示板のサーバー表に対応するサーバーの最大数を指定します。

MAXSERVERSには、0より大きく8192より小さい値を指定する必要があります。デフォルトは50です。

MAXSERVICES (オプション) MAXSERVICESは、掲示板のサービス表に対応するサービスの最大数を指定します。

MAXSERVICESには、0より大きく1,048,575より小さい値を指定する必要があります。デフォルトは100です。

SANITYSCAN (オプション) SANITYSCANは、システムの正常性チェックの間隔を、基本のSCANUNITに対する乗数として指定します。

SCANUNITには、0より大きい値を指定する必要があります。デフォルト値が設定されると、SCANUNIT * SANITYSCANが約120秒になります。

正常性チェックは、掲示板のデータ構造体のほか、サーバーに対しても実行されます。

SCANUNIT (オプション) SCANUNITは、掲示板連絡(BBL)が、サービス・リクエスト内でタイムアウトされたトランザクションやブロッキング呼出しをスキャンする間隔(秒単位)を指定します。この値はBBLによるスキャン処理の基本単位として使用されます。この値は、tpbegin(3c)で指定できるトランザクション・タイムアウト値と、BLOCKTIMEパラメータで指定されるブロッキング・タイムアウト値の粒度に影響します。SANITYSCANBBLQUERYDBBLWAITおよびBLOCKTIMEパラメータは、この単位の倍数であり、システム内のその他の時間制限の操作に使用されます。

SCANUNITには、0より大きく60以下で、2または5の倍数の秒数を指定する必要があります。デフォルトは10秒です。

11.3 MACHINESセクションの作成

MACHINESセクションでは、構成内のすべての物理マシン(マルチプロセッサ・マシンのすべての処理要素も含む)に論理名を割り当て、各マシンに対してその他のパラメータを個別に定義します。次の表では、分散アプリケーションに参加する各マシンに対し、マシン名やその他のマシン固有の情報を定義するためのパラメータを説明します。

表11-2 MACHINESセクションのパラメータ

パラメータ 説明
ENVFILE (オプション) ENVFILEは、マシン上のすべてのクライアントとサーバーの実行環境を定義するファイルを指定します。

各行は、ident=valueの形式で指定します。identにはアンダースコアか英数字、またはその両方を指定し、先頭にはアンダースコアまたは英文字を指定します。

ENVFILEに無効なファイル名が指定されると、環境に値は追加されません。

MAXACCESSERS (オプション) MAXACCESSERSは、このプロセッサの掲示板に同時にアクセスできるプロセスの最大数を指定します。適切な値を計算する場合、BBLやtmadminなどのシステム管理プロセスをカウントする必要はありませんが、アプリケーションのサーバーとクライアント、およびTMSサーバーはすべてカウントする必要があります。

MAXACCESSERSは、0より大きく32,768より小さい値にする必要があります。デフォルトは、RESOURCESセクションで指定した値です。

MAXCONV (オプション) MAXCONVは、特定のマシン上のプロセスで同時に実行できる会話の最大数を指定します。

MAXCONVには、0より大きく32,768より小さい値を指定する必要があります。サーバーごとの同時会話数の最大値は64です。デフォルトは、RESOURCESセクションで指定した値です。

MAXWSCLIENTS (オプション) MAXWSCLIENTSは、ワークステーション・クライアント専用に予約されている、このプロセッサのアクセサのエントリ数を指定します。このパラメータは、Oracle TuxedoシステムのWorkstationコンポーネントが使用される場合にのみ指定されます。このパラメータで指定された数は、MAXACCESSERSで指定したアクセサ・スロットの総数に含まれます。ワークステーション・クライアントからシステムへのアクセスは、Oracle Tuxedoシステムに組み込まれている代理プロセス、つまりワークステーション・ハンドラによって多重化されます。そのため、このパラメータを適切に設定すると、IPCリソースを節約できます。

MAXWSCLIENTSには、0以上32,768未満の値を指定する必要があります。MAXACCESSERSより大きい値を指定することはできません。(MAXACCESSERSより大きい値をMAXWSCLIENTSに割り当てると、エラーが発生します。)デフォルトは0です。

11.4 GROUPSセクションの作成

GROUPSセクションでは、アプリケーション内の各サーバー・グループを識別し、特定のサーバー・グループ内のサーバーにリクエストがルーティングされるようにします。

GROUPSセクションでは、アプリケーションに必要なサーバー・グループの数を設定します。サーバー・グループは、すべて同じサイトに設定することも(SHMモード)、分散アプリケーションで複数のサイトに分散することも(MPモード)できます。

GROUPSセクションのパラメータは、分散トランザクション処理に関する次の2つの側面を実現します。

  • パラメータにより、サーバー・グループが特定のLMIDおよびリソース・マネージャの特定のインスタンスに関連付けられます。
  • サーバー・グループに対して、代替マシンを示す別のLMIDを関連付けることにより、サーバー・グループを代替マシンに移行できます(ただし、MIGRATEオプションが指定されている場合)。

次の表では、GROUPSセクションのパラメータを説明します。

表11-3 GROUPSセクションのパラメータ

パラメータ 説明
ENVFILE ENVFILEは、グループ内のすべてのサーバーの実行環境を定義するファイルを指定します。

各行は、ident=valueの形式で指定します。identにはアンダースコアか英数字、またはその両方を指定します。

ENVFILEに無効なファイル名が指定されると、環境に値は追加されません。

GRPNO (必須) GRPNOは、特定のサーバー・グループに対して番号を関連付けます。

この数には、0より大きく30,000より小さい値を指定する必要があります。GROUPSセクションのエントリの中で一意でなければなりません。

LMID (必須) LMIDは、定義されたサーバー・グループが実行されるマシンを識別します。値の後に、カンマで区切って別のLMIDを指定し、代替マシンを設定することもできます。MIGRATEオプションが指定されている場合は、サーバー・グループをこの代替マシンに移行できます。GROUPSセクションでRESTART=Yが指定されているサーバーは移行できます。

LMIDの値は、MACHINESセクションのLMIDパラメータに割り当てられている値と同じでなければなりません。

11.5 SERVICESセクションの作成

SERVICESセクションのパラメータは、アプリケーション・サービスの処理方法を決定します。このセクションのエントリの各行は、識別子名によってサービスと関連付けられます。

SERVICESセクションでは、各サーバー・グループで提供されるサービスを識別する必要があります。SRVGRPパラメータは、1つのサービスを複数のサーバーにリンクするために用意されています。このパラメータは、サービスのインスタンスを示すパラメータを特定のサーバー・グループに関連付けます。

次の表では、分散アプリケーションの定義に使用できるSERVICESセクションのパラメータを説明します。

表11-4 SERVICESセクションのパラメータ

パラメータ 説明
LOAD (オプション) LOADは、SVCNMによってシステムに与える負荷のサイズを指定します。

LOADには、1以上32,767以下の数値を指定する必要があります。数値が大きくなるほどロード・ファクタも大きくなります。デフォルトは50です。

PRIO (オプション) PRIOは、SVCNMをキューから取り出すときの優先度を指定します。

PRIOの値は0より大きく100以下(100が最高の優先度)である必要があります。デフォルトは50です

ROUTING (オプション) ROUTINGは、データ依存型ルーティングを行うときに、このサービスに使用されるルーティング基準名を指定します。このパラメータを指定しないと、このサービスに対してデータ依存型ルーティングは実行されません。

ROUTINGの値には、127文字以内の文字を使用できます。サービス名は同じで異なるSRVGRPパラメータを持つ複数のエントリがある場合、ROUTINGパラメータはそのエントリすべてにおいて同じである必要があります。

SRVGRP (オプション) SRVGRPは、SVCNMで指定され、このセクションで設定されたパラメータによって制御されるサービスのホスト・サーバー・グループを指定します。

SRVGRPを設定すると、異なるサーバー・グループによって同じサービスが提供されるときに、そのサービスに異なるパラメータ設定を割り当てることができます。たとえば、アプリケーションが2つのサーバー・グループGROUP1およびGROUP2を提供し、これらのサーバー・グループがWITHDRAWというサービスを提供しているとします。SRVGRPを設定すると、次のように、サービスの各コピーに異なるロード・ファクタを割り当てることができます:

WITHDRAW ROUTING=123 LOAD=60 SRVGRP=GROUP1 
WITHDRAW ROUTING=123 LOAD=60 SRVGRP=GROUP2
SRVGRPの値には、30文字以内の文字を使用できます。
SVCTIMEOUT (オプション) SVCTIMEOUTは、特定のサービスの処理に与える時間を秒単位で指定します。サービスがタイムアウトになると、サービス・リクエストを処理しているサーバーがSIGKILLシグナルで終了します。

SVCTIMEOUTには、0以上の値を指定する必要があります。この値が0の場合、サービスはタイムアウトになりません。デフォルトは0です。

アプリケーションにトランザクション処理が含まれる場合は、SERVICESセクションでさらに3つのパラメータ(AUTOTRANROUTINGおよびTRANTIME)を設定します。これらのパラメータについては、「トランザクション対応のATMIアプリケーションの構成」で説明します。

次のリストに、SERVICESセクションの例を示します。

*SERVICES

WITHDRAW    ROUTING=ACCOUNT_ID
DEPOSIT     ROUTING=ACCOUNT_ID
OPEN_ACCT   ROUTING=BRANCH_ID

11.6 ROUTINGセクションの作成

ROUTINGセクションでは、データ依存型ルーティングの実行時に使用される基準を指定します。サービスが複数のエントリに属しており、それぞれに対して異なるSRVGRPパラメータの値が設定されている場合、各エントリのROUTINGパラメータには同じ値を指定する必要があります。ROUTINGパラメータに同じ値が指定されないと、サービスに対して一貫したルーティングが行われません。サービスがルーティングされるのは、1つのフィールド上でのみです。したがって、そのフィールドのサービスに対する値は、すべてのエントリで同じでなければなりません。

構成ファイルにROUTINGセクションを追加し、データ範囲とグループのマッピングを示すことができます。このセクションの情報により、システムは指定されたグループ内のサーバーにリクエストを送ることができます。ROUTINGセクションの各項目には、SERVICESセクションで使用される識別子が含まれています。

ROUTINGセクションの行の形式は次のとおりです。

CRITERION_NAME required_parameters

CRITERION_NAMEは、データ依存型ルーティングのSERVICESセクションで指定したルーティング・エントリ名です。CRITERION_NAMEの値は、15文字以内の文字列でなければなりません。

次の表では、ROUTINGセクションのパラメータを説明します。

表11-5 ROUTINGセクションのパラメータ

パラメータ 説明
RANGES ルーティング・フィールドの範囲および関連するサーバー・グループを指定します。
FIELD ルーティング・フィールドの名前を指定します。値は、FMLバッファ、XMLの要素または要素の属性、FMLフィールド表で指定されたVIEWフィールド名(FLDTBLDIRおよびFIELDTBLS環境変数を使用)、FMLのVIEW表(VIEWDIRおよびVIEWFILES環境変数を使用)のいずれかになります。この情報は、メッセージの送信時に、データ依存型ルーティングに関連するフィールド値を取得するために使用されます。
BUFTYPE このルーティング・エントリで有効なデータ・バッファのタイプとサブタイプのリスト。

このパラメータには、最大256文字を指定できます。タイプとサブタイプの組合せは最大32あります。

関連項目:

11.7 分散アプリケーション用の構成ファイルの例

以下は、データ依存型ルーティングを使用するOracle TuxedoアプリケーションのUBBCONFIGサンプル・ファイルからの抜粋です。GROUPSSERVICESROUTINGの3つのセクションを示しています。

*GROUPS
BANKB1         GRPNO=1
BANKB2         GRPNO=2
BANKB3         GRPNO=3
#
*SERVICES
WITHDRAW       ROUTING=BY_ACCOUNT_ID
DEPOSIT        ROUTING=BY_ACCOUNT_ID
INQUIRY        ROUTING=BY_ACCOUNT_ID
OPEN_ACCT      ROUTING=BY_BRANCH_ID
CLOSE_ACCT     ROUTING=BY_BRANCH_ID
#
*ROUTING
BY_ACCOUNT_ID     FIELD=ACCOUNT_ID BUFTYPE=”FML”
                    RANGES=”MIN - 9999:*,
                       10000-49999:BANKB1,
                       50000-79999:BANKB2,
                       80000-109999:BANKB3,
                       *:*”
BY_BRANCH_ID      FIELD=BRANCH_ID BUFTYPE=”FML”
                  RANGES=”MIN - 0:*,    
                     1-4:BANKB1,
                     5-7:BANKB2,
                     8-10:BANKB3,
                        *:*”

11.8 ルーティングをサポートするためのドメイン・ゲートウェイ構成ファイルの変更

ドメイン・ゲートウェイ構成に関するすべての情報は、バイナリ形式のBDMCONFIGファイルに格納されています。このファイルは、まずDMCONFIGというテキスト形式の構成ファイルを作成し、次にバイナリ形式のBDMCONFIGにコンパイルして作成します。コンパイル済のBDMCONFIGファイルは、実行中のシステムでdmadmin(1)コマンドを使用して更新できます。Oracle Tuxedoのマニュアルでは、これらの構成ファイルをDMCONFIGおよびBDMCONFIGと呼んでいますが、任意の名前を付けることもできます。

Domains機能を追加する各Oracle Tuxedoアプリケーションには、BDMCONFIGファイルを1つ作成する必要があります。BDMCONFIGファイルへのアクセスは、Domains管理サーバーであるDMADM(5)から行います。ゲートウェイ・グループが起動されると、ゲートウェイ管理サーバーであるGWADM(5)は、そのグループに必要な構成のコピーをDMADMサーバーにリクエストします。また、GWADMサーバーとDMADMサーバーは、構成における実行時の変更が、対応するドメイン・ゲートウェイ・グループに反映されるようにします。

ノート:

DMCONFIGファイルの詳細は、『ファイル形式、データ記述、MIBおよびシステム・プロセス・リファレンス』の「DMCONFIG(5)」を参照してください。

11.8.1 DMCONFIGのROUTINGセクションのパラメータ

DM_ROUTINGセクションでは、型付きバッファであるFMLXMLVIEWX_C_TYPE、およびX_COMMONを使用したサービス・リクエストのデータ依存型ルーティングに関する情報を提供します。DM_ROUTINGセクション内にある各行の形式は次のとおりです。

CRITERION_NAME required_parameters

CRITERION_NAMEは、SERVICESセクションで指定されたルーティング・エントリの名前です。CRITERION_NAMEの値は、15文字以内の文字列でなければなりません。

次の表は、DM_ROUTINGセクションのパラメータの説明です。

パラメータ 説明
FIELD (オプション) ルーティング・フィールドの名前を指定します。値は、FMLバッファ、XMLの要素または要素の属性、FMLフィールド表で指定されたVIEWフィールド名(FLDTBLDIRおよびFIELDTBLS環境変数を使用)、FMLのVIEW表(VIEWDIRおよびVIEWFILES環境変数を使用)のいずれかになります。この情報は、メッセージの送信時に、データ依存型ルーティングに関連するフィールド値を取得するために使用されます。

FML32バッファ内のフィールドがルーティングに使用される場合は、8191以下の数値をフィールド番号として指定します。

RANGES (オプション) ルーティング・フィールドの範囲と関連付けられたリモート・ドメイン名(RACCESSPOINT)を指定します。RANGESには、二重引用符で囲まれた文字列を指定します。文字列は、range/RACCESSPOINTのペアをカンマで区切って順番に並べます。

rangeは、単一の値(符号付き数値または一重引用符で囲んだ文字列)、またはlower - upper (lowerupperはともに符号付き数値または一重引用符で囲んだ文字列)の範囲形式で表します。

lowerには、upper以下の値を設定します。文字列値に一重引用符を埋め込むには、一重引用符の前にバックスラッシュを2つ挿入します。たとえば、「O'Brien」は「O\\'Brien」になります。

関連するFIELDのデータ型の最小値を示すには、MINを使用します。文字列とcarrayの最小値にはnull文字列を指定します。文字フィールドの最小値には、0を指定します。数値の場合、これはフィールドに格納できる最小値です。

関連するFIELDのデータ型の最大値を示すには、MAXを使用します。文字列とcarrayの最大値には、8進数値の255文字の無限文字列を指定します。文字フィールドの最大値には、単一の8進数値の255文字を指定します。数値の場合は、数値としてフィールドに格納できる最大値です。したがって、MIN - -5-5以下のすべての数値を指し、6 - MAX6以上のすべての数値を指すことになります。

範囲内のメタ文字"*" (ワイルドカード)は、すでにエントリに指定した他の範囲ではカバーされていないすべての値を示します。各エントリでは1つのワイルドカードによる範囲指定だけが可能です。*は最後に指定します。続けて範囲を指定すると無視されます。

BUFTYPE (オプション) BUFTYPEは、このルーティング・エントリを適用できるデータ・バッファのタイプとサブタイプのリストを示します。有効なタイプは、FMLVIEWX_C_TYPE、およびX_COMMONです。タイプFMLにはサブタイプは指定できず、他のタイプにはサブタイプが必須です(*は使用できません)。タイプとサブタイプのペアのうち、重複するものは同じルーティング基準名として指定できません。タイプとサブタイプのペアが一意の場合、複数のルーティング・エントリは同じ基準名を持つことができます。

単一ルーティング・エントリに複数のバッファ・タイプが指定されている場合は、各バッファ・タイプのルーティング・フィールドのデータ型は同じである必要があります。フィールド値が設定されていないか(FMLバッファの場合)、または特定の範囲と一致しておらず、ワイルドカードの範囲が指定されていない場合、リモート・サービスの実行をリクエストしたアプリケーション・プロセスに対してエラーが返されます。

11.8.1.1 ルーティング・フィールドの説明

ルーティング・フィールドの値には、FMLまたはVIEWでサポートされているデータ型を使用できます。数値の範囲または文字列の範囲も使用できます。文字列、CARRAY、および文字フィールド型の文字列の範囲値には、以下の規則が適用されます。

  • 一重引用符で囲み、先頭に正の符号や負の符号を付けることはできません。
  • short型またはlong型の整数値は数字の文字列であり、必要に応じて先頭に正符号または負符号を付けることができます。
  • 浮動小数点数は、Cコンパイラまたはatof()で受け付けられる形式で指定します。つまり、正符号または負符号、数字の文字列(必要に応じて小数点を追加)、eまたはE (オプション)、符号またはスペース(オプション)、整数という形式で指定します。
  • フィールド値が範囲と一致するときに、関連するRACCESSPOINT値には、リクエストがルーティングされるリモート・ドメインを指定します。RACCESSPOINT値に*を指定すると、ゲートウェイ・グループが認識する任意のリモート・ドメインにリクエストが送信されることを示します。range/RACCESSPOINTのペアでは、rangeとRACCESSPOINTはコロン(:)で区切られます。
11.8.1.2 ルーティングを使用した5サイトのドメイン構成の例

以下は、2つのドメインが5サイトに分散されているアプリケーションの構成ファイルの例です。5つのサイトは、Central Bank Officeと4つの支店を示します。4つの支店のうち、3つはOracle Tuxedoドメインに属しています。残りの支店は、別のTPドメインに属し、そのドメインとの通信にはOSI-TPが使用されています。

次のリストに、Central Bankから見たOracle Tuxedoシステムのドメイン・ゲートウェイ構成ファイルを示します。DM_TDOMAINセクションは、b01をミラーリングしたゲートウェイを示しています。

5サイト用のドメイン構成ファイルのリスト

# TUXEDO DOMAIN CONFIGURATION FILE FOR THE CENTRAL BANK
#
#
*DM_LOCAL
# local_domain_name Gateway_Group_name domain_type domain_ID log_device
#                [audit log] [blocktime]
#                [log name] [log offset] [log size]
#                [maxaccesspoint] [maxraptran] [maxtran]
#                [maxdatalen] [security]
#                [tuxconfig] [tuxoffset]

#
#
DEFAULT: SECURITY = NONE
c01      GWGRP = bankg1
         TYPE = TDOMAIN
         ACCESSPOINTID = "BA.CENTRAL01"
         DMTLOGDEV = "/usr/apps/bank/DMTLOG"
         DMTLOGNAME = "DMTLG_C01"
c02      GWGRP = bankg2
         TYPE = OSITP
         ACCESSPOINTID = "BA.CENTRAL01"
         DMTLOGDEV = "/usr/apps/bank/DMTLOG"
         DMTLOGNAME = "DMTLG_C02"
         NWDEVICE = "OSITP"
         URCH = "ABCD"
#
*DM_REMOTE
#remote_domain_name domain_type domain_ID
#
b01     TYPE = TDOMAIN
        ACCESSPOINTID = "BA.BANK01"
b02     TYPE = TDOMAIN  
        ACCESSPOINTID = "BA.BANK02"
b03     TYPE = TDOMAIN
        ACCESSPOINTID = "BA.BANK03"
b04     TYPE = OSITP
        ACCESSPOINTID = "BA.BANK04"
        URCH = "ABCD"
#
*DM_TDOMAIN
#
#     local_or_remote_domain_name network_address [nwdevice]
#
# Local network addresses
c01     NWADDR = "//newyork.acme.com:65432"     NWDEVICE ="/dev/tcp"
c02     NWADDR = "//192.76.7.47:65433"       NWDEVICE ="/dev/tcp"
# Remote network addresses: second b01 specifies a mirrored gateway
b01     NWADDR = "//192.11.109.5:1025" NWDEVICE = "/dev/tcp"
b01     NWADDR = "//194.12.110.5:1025" NWDEVICE = "/dev/tcp"
b02     NWADDR = "//dallas.acme.com:65432" NWDEVICE = "/dev/tcp"
b03     NWADDR = "//192.11.109.156:4244" NWDEVICE = "/dev/tcp"
#
*DM_OSITP
#
#local_or_remote_domain_name apt aeq
#                               [aet] [acn] [apid] [aeid]
#                               [profile]
#
c02         APT = "BA.CENTRAL01"
            AEQ = "TUXEDO.R.4.2.1"
            AET = "{1.3.15.0.3},{1}"
            ACN = "XATMI"
b04         APT = "BA.BANK04"
            AEQ = "TUXEDO.R.4.2.1"
            AET = "{1.3.15.0.4},{1}"
            ACN = "XATMI"
*DM_EXPORT
#service_name [Local_Domain_name] [access_control] [exported_svcname]
#               [inbuftype] [outbuftype]  
#
open_act       ACL = branch
close_act      ACL = branch
credit
debit
balance
loan          LACCESSPOINT = c02     ACL = loans
*DM_IMPORT
#service_name [Remote_domain_name] [local_domain_name]
#             [remote_svcname] [routing] [conv]
#             [trantime] [inbuftype] [outbuftype]
#
tlr_add LACCESSPOINT = c01 ROUTING = ACCOUNT
tlr_bal LACCESSPOINT = c01 ROUTING = ACCOUNT
tlr_add RACCESSPOINT = b04 LACCESSPOINT = c02 RNAME ="TPSU002"
tlr_bal RACCESSPOINT = b04 LACCESSPOINT = c02 RNAME ="TPSU003"
*DM_ROUTING
# routing_criteria field typed_buffer ranges
#
ACCOUNT FIELD = branchid BUFTYPE ="VIEW:account"
        RANGES ="MIN - 1000:b01, 1001-3000:b02, *:b03"
*DM_ACCESS_CONTROL
#acl_name Remote_domain_list
#
branch ACLIST = b01, b02, b03
loans ACLIST = b04

関連項目:

  • 『Oracle Tuxedo Domainsコンポーネントの使用』のDomains構成ファイルの理解に関する項
  • 『Oracle Tuxedo Domainsコンポーネントの使用』のDomains構成の設定に関する項
  • 『CORBAアプリケーションのスケーリング、分散およびチューニング』