2.2 Oracle APEXの理解

Oracle APEXには、Oracle Databaseの一部として実行される単一の拡張可能なプラットフォームでアプリケーションを構築するために必要なすべてのツールが用意されています。

2.2.1 Oracle APEXとは

Oracle APEXは、スケーラブルでセキュアなエンタープライズ・アプリケーションを構築できるエンタープライズ・ローコード・アプリケーション・プラットフォームです。

Oracle APEXは、データベース集中型のWebアプリケーションを開発およびデプロイするためのホスティングされた宣言型の開発環境です。ユーザー・インタフェースのテーマ、ナビゲーション・コントロール、フォーム・ハンドラ、柔軟性が高いレポートなどの組込み機能により、APEXではアプリケーション開発プロセスを短縮できます。

APEXエンジンは、データベース表に格納されたデータから、リアルタイムでアプリケーションをレンダリングします。アプリケーションを作成または拡張すると、APEXはメタデータを作成するか、またはデータベース表に格納されたメタデータを変更します。アプリケーションの実行時に、APEXエンジンは、メタデータを読み込み、アプリケーションを表示します。

アプリケーション内でステートフルな動作を提供するために、APEXはデータベースのセッション・ステートを透過的に管理します。アプリケーション開発者は、標準的なSQLバインド変数構文および単純な置換処理によって、セッション・ステートを取得および設定できます。

2.2.2 Oracle APEXの仕組み

Oracle APEXには、Oracle Databaseの一部として実行される単一の拡張可能なプラットフォームでアプリケーションを構築するために必要なすべてのツールが用意されています。

Oracle APEXでは、単純な3層アーキテクチャを使用しており、リクエストはブラウザからWebサーバーを介してデータベースに送信されます。すべての処理、データ操作およびビジネス・ロジックは、データベースで実行されます。このアーキテクチャにより、そのままの状態で、待機時間なしのデータ・アクセス、最高度のパフォーマンスおよびスケーラビリティが保証されます。

Oracle APEXは、Oracleデータベースとともにインストールされ、表内のデータとPL/SQLコードで構成されます。APEX開発環境を実行する場合でも、APEXを使用して作成したアプリケーションを実行する場合でも、その処理は変わりません。ブラウザにより、適切なAPEX PL/SQLコールに変換されるURLリクエストが送信されます。データベースでPL/SQLが処理されたら、結果がHTMLとしてブラウザに中継されます。このサイクルはページをリクエストまたは送信するたびに発生します。

APEXでは、専用のデータベース接続は使用しません。かわりに、各リクエストはCPUリソースの消費が最小である新規データベース・セッションを介して作成されます。アプリケーションのセッション・ステートは、APEXエンジンによってデータベース表で管理されます。

バックグラウンドで、APEXエンジンはページをレンダリングおよび処理します。APEXエンジンは次のタスクも実行します。

  • セッション・ステート管理

  • 認証サービス

  • 認可サービス

  • ページ・フロー制御

  • 検証処理

2.2.3 ランタイム環境と完全開発環境の違いについて

Oracle APEXをランタイム環境または完全開発環境にインストールします。

Oracle APEXをインストールする際には、次の2つの異なる環境をインストールできます。

  • ランタイム環境ランタイム環境では、ユーザーはアプリケーションを実行できますが、変更することはできません。本番実装の場合には、このオプションを選択します。

  • 完全開発環境完全開発環境では、ユーザーはAPEXアプリケーションを開発、変更、実行および削除できます。このオプションにより、このドキュメントで説明するAPEX環境への完全なアクセス権が付与されます。