40 DBMS_AVTUNE

DBMS_AVTUNEパッケージは、自動キャッシュが有効なアナリティック・ビュー(AV)ごとに問合せアクセス・レベルおよび集計ワークロードを分析し、AV自動キャッシュを作成または削除して、そのAVに対するSQL問合せのパフォーマンス全体を高めます。

40.1 DBMS_AVTUNEの概要

このパッケージでは、既存のAVにキャッシュを作成できます。また、AVの自動キャッシュも有効にできます。さらに、スター・キャッシュを作成、リフレッシュおよび削除することもできます。

使用上のノート

  • AVの所有者は、このパッケージをコールするユーザーでもあると想定されています。別のスキーマのAVでこのパッケージをコールすることはサポートされていません。
  • このパッケージの他のプロシージャを使用する前に、AUTO_CACHE_ENABLEプロシージャをコールする必要があります。AVが有効になると、AVが無効になるまで自動チューニングが続行されます。有効になったAVで他のプロシージャをコールすると、AVを手動でチューニングしてパフォーマンスをより細かく制御できます。

40.2 DBMS_AVTUNEのセキュリティ・モデル

DBMS_AVTUNEパッケージは、AUTHID CURRENT_USERで実行されます。パッケージを使用して生成されたSQLは現在のユーザーとして実行され、パッケージに対するEXECUTE権限はPUBLICに付与されます。

40.3 DBMS_AVTUNEサブプログラムの要約

この表は、DBMS_AVTUNEパッケージのサブプログラムを示し、簡単に説明しています。

表40-1 DBMS_AVTUNEパッケージのサブプログラム

プロシージャ 説明
AUTO_CACHE_CREATEプロシージャ このプロシージャは、既存のアナリティック・ビューにキャッシュを作成します。
AUTO_CACHE_DISABLEプロシージャ このプロシージャは、自動キャッシュのアナリティック・ビューを無効にし、すべての自動キャッシュを削除します。
AUTO_CACHE_ENABLEプロシージャ このプロシージャは、自動キャッシュのアナリティック・ビューを有効にし、アナリティック・ビューの自動キャッシュ設定を設定します。AVがすでに有効になっている場合、このプロシージャはエラーをスローします。
AUTO_CACHE_MODIFYプロシージャ このプロシージャは、enableコールに当初指定されたチューニング・パラメータを変更します。
AUTO_CACHE_REFRESHプロシージャ このプロシージャは、アナリティック・ビューのすべての自動キャッシュをただちに強制的にリフレッシュします。
AUTO_CACHE_REMOVEプロシージャ このプロシージャは、指定したレベル用に定義されている自動キャッシュを手動で削除します。
AUTO_CACHE_TUNEプロシージャ このプロシージャは、アナリティック・ビューに対してチューニング・プロセスをただちに実行し、変更を実装します。
AUTO_CACHE_STAR_DISABLEプロシージャ このプロシージャは、属性ディメンションdim_nameのスター・キャッシュを削除します。
AUTO_CACHE_STAR_ENABLEプロシージャ このプロシージャは、属性ディメンションdim_nameにスター・キャッシュを作成します。
AUTO_CACHE_STAR_MODIFYプロシージャ このプロシージャは、enableコールに指定されたパラメータを変更します。
AUTO_CACHE_STAR_REFRESHプロシージャ このプロシージャは、属性ディメンションdim_nameのスター・キャッシュをリフレッシュします。

40.3.1 AUTO_CACHE_CREATEプロシージャ

このプロシージャは、既存のアナリティック・ビューにキャッシュを作成します。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_CREATE (
    av_name        IN  VARCHAR2,
    level_group    IN  LEVEL_LIST,
    av_owner       IN  VARCHAR2);

パラメータ

表40-2 AUTO_CACHE_CREATEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name アナリティック・ビューの名前。
level_group キャッシュするレベルを表します。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

execute dbms_avtune.auto_cache_create('UNITS_HCUBE_AVTUNE', 
  dbms_avtune.level_list(dbms_avtune.level('PRODUCT', 'ROLLUP', 'CLASS'),
  dbms_avtune.level('TIME', 'CALENDAR', 'YEAR')));

40.3.2 AUTO_CACHE_DISABLEプロシージャ

このプロシージャは、自動キャッシュのアナリティック・ビューを無効にし、すべての自動キャッシュを削除します。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_DISABLE (
    av_name        IN  VARCHAR2,
    av_owner       IN  VARCHAR2);

パラメータ

表40-3 AUTO_CACHE_DISABLEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name キャッシングを無効にするアナリティック・ビューの名前。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.3 AUTO_CACHE_ENABLEプロシージャ

このプロシージャは、自動キャッシュのアナリティック・ビューを有効にし、アナリティック・ビューの自動キャッシュ設定を設定します。AVがすでに有効になっている場合、このプロシージャはエラーをスローします。このプロシージャを使用して、すでに有効になっているAVを更新することはできません。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_ENABLE (
    av_name           IN   VARCHAR2,
    refresh_intvl     IN   NUMBER,
    num_queries       IN   NUMBER,
    avg_query_time    IN   NUMBER,
    total_cache_pct   IN   NUMBER,
    init_max_pct      IN   NUMBER,
    init_numhier      IN   NUMBER,
    init_fixed_lvls   IN   LEVEL_LIST,
    run_mode          IN   VARCHAR2,
    av_owner          IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-4 AUTO_CACHE_ENABLEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name キャッシングを有効にするアナリティック・ビューの名前。
refresh_intvl 各キャッシュ・リフレッシュ間で待機する分数。デフォルト値は10分です。
num_queries キャッシュ対象とみなす問合せの最小数。デフォルト値は1です。
avg_query_time 各問合せがキャッシュ対象とみなされるまでにかかる平均秒数。デフォルト値は3です。
total_cache_pct キャッシュするファクト表の最大割合。デフォルト値は50です。
init_max_pct 初期キャッシュのファクト表の最大割合。デフォルト値は1%です。
init_numhier 初期キャッシュ内の各ディメンションに使用する階層の最大数。
init_fixed_lvls 初期キャッシュに確実に必要なレベル。
run_mode このパラメータは使用されていません。常にデフォルト値を使用します。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.4 AUTO_CACHE_MODIFYプロシージャ

このプロシージャは、enableコールに当初指定されたチューニング・パラメータを変更します。NULLを指定した場合、パラメータは変更されません。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_MODIFY (
    av_name           IN   VARCHAR2,
    refresh_intvl     IN   NUMBER,
    num_queries       IN   NUMBER,
    avg_query_time    IN   NUMBER,
    total_cache_pct   IN   NUMBER,
    av_owner          IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-5 AUTO_CACHE_MODIFYプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name キャッシングを有効にするアナリティック・ビューの名前。
refresh_intvl 各キャッシュ・リフレッシュ間で待機する分数。デフォルト値は10分です。
num_queries キャッシュ対象とみなす問合せの最小数。デフォルト値は1です。
avg_query_time 各問合せがキャッシュ対象とみなされるまでにかかる平均秒数。デフォルト値は3です。
total_cache_pct キャッシュするファクト表の最大割合。デフォルト値は50です。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.5 AUTO_CACHE_REFRESHプロシージャ

このプロシージャは、アナリティック・ビューのすべての自動キャッシュをただちに強制的にリフレッシュします。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_REFRESH (
    av_name           IN   VARCHAR2,
    av_owner          IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-6 AUTO_CACHE_REFRESHプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name アナリティック・ビューの名前。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.6 AUTO_CACHE_REMOVEプロシージャ

このプロシージャは、指定したレベル用に定義されている自動キャッシュを手動で削除します。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_REMOVE (
    av_name        IN  VARCHAR2,
    level_group    IN  LEVEL_LIST,         
    av_owner       IN  VARCHAR2);

パラメータ

表40-7 AUTO_CACHE_REMOVEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name アナリティック・ビューの名前。
level_group キャッシュするレベルを表します。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.7 AUTO_CACHE_TUNEプロシージャ

このプロシージャは、アナリティック・ビューに対してチューニング・プロセスをただちに実行し、変更を実装します。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_TUNE (
    av_name           IN   VARCHAR2,
    num_queries       IN   NUMBER,
    avg_query_time    IN   NUMBER,
    run_mode          IN   VARCHAR2,
    av_owner          IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-8 AUTO_CACHE_TUNEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
av_name アナリティック・ビューの名前。
num_queries キャッシュ対象とみなす問合せの最小数。デフォルト値は1です。
avg_query_time 各問合せがキャッシュ対象とみなされるまでにかかる平均秒数。デフォルト値は3です。
run_mode run_modeパラメータは使用されません。常にデフォルト値を使用します。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.8 AUTO_CACHE_STAR_DISABLEプロシージャ

このプロシージャは、属性ディメンションdim_nameのスター・キャッシュを削除します。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_STAR_DISABLE (
    dim_name       IN   VARCHAR2,
    dim_owner      IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-9 AUTO_CACHE_STAR_DISABLEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
dim_name 属性ディメンションの名前。
dim_owner 属性ディメンションの所有者。

40.3.9 AUTO_CACHE_STAR_ENABLEプロシージャ

このプロシージャは、属性ディメンションdim_nameにスター・キャッシュを作成します。オプションで、av_nameを渡して属性ディメンションを修飾できます。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_STAR_ENABLE (
    dim_name          IN   VARCHAR2,
    av_name           IN   VARCHAR2,
    refresh_intvl     IN   NUMBER,
    run_mode          IN   VARCHAR2,
    dim_owner         IN   VARCHAR2,
    av_owner          IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-10 AUTO_CACHE_STAR_ENABLEプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
dim_name 属性ディメンションの名前。
av_name

スター・キャッシュを関連付けるAVの名前(存在する場合)。

オプションで、av_nameを指定して、スター・キャッシュを指定のAVに関連付けることができます。これを実行すると、スター・キャッシュは個別にではなくAVでリフレッシュおよびメンテナンスされます。

refresh_intvl 各キャッシュ・リフレッシュ間で待機する分数。デフォルト値は10分です。
run_mode このパラメータは使用されていません。常にデフォルト値を使用します。
dim_owner 属性ディメンションの所有者。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.10 AUTO_CACHE_STAR_MODIFYプロシージャ

このプロシージャは、enableコールに指定されたパラメータを変更します。NULLを指定した場合、パラメータは変更されません。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_STAR_MODIFY (
    dim_name          IN   VARCHAR2,
    av_name           IN   VARCHAR2,
    refresh_intvl     IN   NUMBER,
    dim_owner         IN   VARCHAR2,
    av_owner          IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-11 AUTO_CACHE_STAR_MODIFYプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
dim_name 属性ディメンションの名前。
av_name 関連付けられたアナリティック・ビューの名前。
refresh_intvl 各キャッシュ・リフレッシュを待機する分数。デフォルト値は10分です。
dim_owner 属性ディメンションの所有者。
av_owner AVの所有者。デフォルトは現行のスキーマです。

40.3.11 AUTO_CACHE_STAR_REFRESHプロシージャ

このプロシージャは、属性ディメンションdim_nameのスター・キャッシュをリフレッシュします。

構文

DBMS_AVTUNE.AUTO_CACHE_STAR_REFRESH (
    dim_name       IN   VARCHAR2,
    dim_owner      IN   VARCHAR2);

パラメータ

表40-12 AUTO_CACHE_STAR_REFRESHプロシージャのパラメータ

パラメータ 説明
dim_name 属性ディメンションの名前。
dim_owner 属性ディメンションの所有者。