A Oracle Database Vaultの監査
ポリシー構成への変更など、Oracle Database Vaultのアクティビティを監査できます。
- Oracle Database Vaultの監査について
Oracle Database Vaultのすべてのアクティビティは、Database Vault Administratorのアクティビティを含めて監査できます。 - Oracle Database Vault固有の監査イベント
Oracle Database Vaultの従来の(非統合)監査イベントは、レルムで試行されたアクションが成功したかどうかなど、アクティビティを追跡します。 - Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブおよびパージ
統合監査に移行していない場合、Oracle Database Vault監査証跡を定期的にアーカイブおよびパージする必要があります。 - Oracle Database Vaultの事前定義済統合監査ポリシー
Oracle Databaseには、Oracle Database Vaultの2つの事前定義済統合監査ポリシー(ORA_DV_SCHEMA_CHANGES
およびORA_DV_DEFAULT_PROTECTION
)が用意されています。
A.1 Oracle Database Vaultでの監査について
Oracle Database Vaultのすべてのアクティビティは、Database Vault Administratorのアクティビティを含めて監査できます。
- 統合監査を使用したOracle Database Vaultの監査
Oracleでは、Oracle Database Vaultのすべての監査ポリシーを統合監査に移行することをお薦めします。 - 従来の監査を使用したOracle Database Vaultの監査
従来の監査はサポートされませんが、アップグレードされたデータベースの従来の監査設定はいくつかの制限付きで使用できます。
親トピック: Oracle Database Vaultの監査
A.1.1 統合監査を使用したOracle Database Vaultの監査
Oracleでは、Oracle Database Vaultのすべての監査ポリシーを統合監査に移行することをお薦めします。
Oracle Database Vaultで新しい監査ポリシーを作成するには、統合監査を使用する必要があります。従来の監査は、Oracle Database 23cでは新しい監査設定ではサポートされなくなりましたが、現在存在する従来の監査設定は引き続き適用されます。
統合監査証跡では、Oracle Database Vaultの統合監査ポリシー・レコードおよび必須のOracle Database Vault監査が取得されます。
この機能に加えて、統合監査には、一般的に使用されるDatabase Vault監査のニーズに合わせて設計された次の2つの事前定義済ポリシーが用意されています。
ORA_DV_SCHEMA_CHANGES
(以前の名称はORA_DV_AUDPOL
)では、Oracle Database Vaultのスキーマ・オブジェクトDVSYS
およびLBACSYS
を監査します。ORA_DV_DEFAULT_PROTECTION
(以前の名称はORA_DV_AUDPOL2
)では、Oracle Database Vaultのデフォルト・レルムとコマンド・ルールを監査します。
新しいOracle Databaseインストールでは、ORA_DV_SCHEMA_CHANGES
およびORA_DV_DEFAULT_PROTECTION
ポリシーがデフォルトで有効になっています。アップグレードされたOracleデータベースでは、これらのポリシーはデフォルトで有効になっていません。
統合監査を使用すると、Database Vault APIの監査機能(audit_options
パラメータ)は無効になります。該当する監査レコードは、アーカイブしてからパージする必要があります。それ以降、統合監査ポリシーのSQL文によってDatabase Vault監査ポリシーを管理できます。
Database Vaultへの構成変更はすべて強制的に監査され、これらの監査レコードが統合監査証跡に書き込まれます。これには、権限のないユーザーがDatabase Vaultポリシーを変更しようとするアクションが含まれます。
Oracle Database Vaultの統合監査ポリシーの例の検索など、統合監査ポリシーの作成方法については、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。
A.1.2 従来の監査を使用したOracle Database Vaultの監査
従来の監査はサポートされませんが、アップグレードされたデータベースでの従来の監査設定をいくつかの制限付きで使用できます。
従来の監査設定は、レルム、ルール・セットおよびファクタを作成または変更するときに、audit_options
パラメータによって制御されます。監査は、ユーザーのアクションの成功(ポリシーによってユーザーがタスクを実現できたかどうか)、またはユーザーのアクションの失敗(ポリシー違反したかどうか)のいずれかを示します。Database Vault APIは、このパラメータを使用して監査レコードを収集し、これらの監査レコードをOracle Database Vaultのデータ・ディクショナリ・ビューおよびレポートに書き込みます。Oracle Databaseリリース23c以降では従来の監査はサポートされませんが、現在存在するOracle Database Vaultの従来の監査設定は引き続き適用されます。ただし、新しい従来の監査設定は作成できません。既存の従来の監査設定は削除できます。たとえば、以前のリリースでレルムを作成し、このレルムが従来の監査を使用しているとします。レルムの監査設定を更新する場合、audit_options
パラメータで使用可能なオプションはOFF
オプションのみです。レルムの監査を追跡するには、統合監査ポリシーを作成します。audit_options
パラメータを更新しない場合、つまりレルムを更新しない場合、またはレルムを更新するときにNULL
または現在の既存設定と同じaudit_options
設定を使用する場合は、audit_options
で定義された従来の監査設定はそのままになり、引き続き機能します。
新しいデータベースをインストールして、Oracle Database Vaultを使用するようにそのデータベースを構成すると、デフォルトで統合監査のみが使用されます。以前のリリースからアップグレードした場合、Database Vaultは、そのリリースで使用できた監査を使用します。
従来の監査のサポート終了の仕組みの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。
A.2 Oracle Database Vault固有の監査イベント
Oracle Database Vaultの従来の(非統合)監査イベントは、レルムで試行されたアクションが成功したかどうかなど、アクティビティを追跡します。
- Oracle Database Vaultポリシー監査イベント
Oracle Database Vaultでは、監査イベントを使用して、構成アクティビティを追跡します(従来の非統合監査を使用)。 - Oracle Database Vault監査証跡レコードの書式
DVSYS.AUDIT_TRAIL$
表には、従来の監査証跡レコードが格納されます。
親トピック: Oracle Database Vaultの監査
A.2.1 Oracle Database Vaultポリシーの監査イベント
Oracle Database Vaultでは、監査イベントを使用して、構成アクティビティを追跡します(従来の非統合監査を使用)。
これらのアクティビティは、次のとおりです。
-
レルムの監査。レルムの作成時に設定した監査オプションに基づいて、正常終了したアクションおよび失敗したアクションの両方を監査できます。ただし、スキーマ所有者によって実行されたアクションは監査できません。
-
ルール・セットの監査。ルール・セットの処理結果を監査します。正常終了した処理および失敗した処理の両方を監査できます。レルム認可は、ルール・セットを使用して管理できます。ルール・セットの処理結果を監査できます。ファクタ割当ておよびセキュア・アプリケーション・ロール監査は、ルール・セットを使用して管理できます。
-
ファクタの監査。正常終了したファクタ処理および失敗したファクタ処理の両方を監査できます。失敗したファクタ処理の場合、「取得エラー」、「取得がNULL」、「検証エラー」、「検証がFalse」、「信頼レベルがNULL」、「信頼レベルがゼロ未満」のすべてまたはいずれかについて監査できます。
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Oracle Label Securityセッション初期化の失敗。Oracle Label Securityセッションの初期化に失敗したインスタンスを監査します。
-
Oracle Label Securityセッション・ラベル・アップグレード試行の失敗。Oracle Label Securityコンポーネントによって最大セッション・ラベルを超えるラベルの設定が妨げられているセッションのインスタンスを監査します。
A.2.2 Oracle Database Vault監査証跡レコードの書式
DVSYS.AUDIT_TRAIL$
表には、従来の監査証跡レコードが格納されます。
Oracle Database 23c以降、従来の監査はサポートされなくなりました。ただし、現在実施されている従来の監査設定は引き続き適用されます。レルム、ルール・セットまたは以前のリリースのファクタのaudit_options
設定は、引き続きDVSYS.AUDIT_TRAIL$
表に書き込まれます。
DV_OWNER
、DV_ADMIN
、DV_SECANALYST
またはDV_MONITOR
ロールが付与されているユーザーは、DVSYS.AUDIT_TRAIL$$
表に直接問い合せることができます。
表A-1に、DVSYS.AUDIT_TRAIL$
表の形式を示します。
表A-1 Oracle Database Vault監査証跡の書式
列 | データ型 | Null | 説明 |
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監査レコードごとの数値識別子。 |
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アクションが監査対象となったユーザーのオペレーティング・システムのログイン・ユーザー名。 |
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アクションが監査対象となったデータベース・ユーザーの名前。 |
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クライアント・コンピュータ名。 |
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ユーザーの端末に対する識別子。 |
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監査証跡エントリの作成日時(ローカル・データベース・セッションのタイムゾーン)。 |
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アクションの影響を受けるオブジェクトの作成者、常時 |
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アクションの影響を受けるオブジェクトの名前。想定値は次のとおりです。
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数値のアクション・タイプ・コード。アクション・タイプに対応する名前は、 |
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実行された結果、監査イベントがトリガーされたコマンド・プロシージャのSQLテキスト |
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結果として監査イベントがトリガーされたレコードに指定されたすべての監査オプションのラベル。たとえば、失敗または |
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実行された結果、監査イベントがトリガーされたルール・セットの一意の識別子。 |
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実行された結果、監査イベントがトリガーされたルール・セットの一意の名前。 |
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使用されていません。 |
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使用されていません。 |
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監査イベントがトリガーされた時点での、現行セッションに対するすべてのファクタ識別子を含むXML文書。 |
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監査対象となった文の詳細を示す、監査証跡エントリについてのテキスト・コメント。 |
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Oracleセッションごとの数値識別子。 |
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起動された結果、監査イベントが生成された文の数値識別子。ほとんどのOracle Database Vaultイベントの場合、このパラメータは空です。 |
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アクションによって生成されたOracleエラー・コード。起動された結果、監査イベントが生成された文またはプロシージャに対するエラー・コード。ほとんどのOracle Database Vaultイベントの場合、このパラメータは空です。 |
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UTC(協定世界時)タイムゾーンの、監査証跡エントリの作成時のタイムスタンプ(エントリに対するユーザー・ログインのタイムスタンプ)。 |
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エンタープライズ・ユーザーがプロキシ機構を介してログインした場合の、プロキシ・セッションのシリアル番号 |
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ユーザーがエンタープライズ・ユーザーとしてログインした場合の、ユーザーのグローバル・ユーザー識別子。 |
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Oracleプロセスのオペレーティング・システム・プロセス識別子 |
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アクションが監査対象となったユーザーのデータベースのログイン・ユーザー名。 |
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A.3 Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブおよびパージ
統合監査に移行していない場合、Oracle Database Vault監査証跡を定期的にアーカイブおよびパージする必要があります。
- Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブおよびパージ
従来の非統合監査環境では、DVSYS.AUDIT_TRAIL$
表をダンプ・ファイルにエクスポートすることで、Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブを作成できます。 - Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブ
SQL*PlusおよびOracle Data Pumpを使用して、Oracle Database Vault監査証跡をルートまたはPDBからアーカイブできます。 - Oracle Database Vault監査証跡のパージ
ルートまたはPDBから、(従来の非統合監査の) Oracle Database Vault監査証跡をパージできます。
親トピック: Oracle Database Vaultの監査
A.3.1 Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブおよびパージについて
従来の非統合監査環境では、DVSYS.AUDIT_TRAIL$
表をダンプ・ファイルにエクスポートすることで、Oracle Database Vault監査証跡をアーカイブできます。
監査証跡は、大きくなりすぎないように定期的にアーカイブし、パージする必要があります。
統合監査に移行するように選択する場合、移行の完了後、このプロシージャを使用してDatabase Vault監査証跡レコードをアーカイブおよびパージします。統合監査がレコードの収集を開始すると、新しいレコードは、UNIFIED_AUDIT_TRAIL
、AUDSYS.DV$CONFIGURATION_AUDIT
およびAUDSYS.DV$ENFORCEMENT_AUDIT
データ・ディクショナリ・ビューの表示に使用できるようになります。
A.3.2 Oracle Database Vault監査証跡のアーカイブ
SQL*PlusおよびOracle Data Pumpを使用して、Oracle Database Vault監査証跡をルートまたはPDBからアーカイブできます。
A.4 Oracle Database Vaultの事前定義の統合監査ポリシー
Oracle Databaseには、Oracle Database Vault用の2つの事前定義済統合監査ポリシー(ORA_DV_SCHEMA_CHANGES
およびORA_DV_DEFAULT_PROTECTION
)が用意されています。
ORA_DV_SCHEMA_CHANGES
では、Oracle Database Vaultのスキーマ・オブジェクトDVSYS
およびLBACSYS
を監査します。この事前定義済ポリシーの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。ORA_DV_DEFAULT_PROTECTION
では、Oracle Database Vaultのデフォルト・レルムとコマンド・ルールを監査します。この事前定義済ポリシーの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。
これらのポリシーの定義は、AUDIT_UNIFIED_POLICIES
データ・ディクショナリ・ビューを問い合せることで検索できます。policy_name
パラメータには、ORA_DV_SCHEMA_CHANGES
またはORA_DV_DEFAULT_PROTECTION
を指定します。
親トピック: Oracle Database Vaultの監査