9 以前のリリースへのOracle Databaseのダウングレード

Oracle Databaseのサポートされているリリースでは、最後にアップグレードしたリリースにデータベースをダウングレードできます。

Oracle Databaseのダウングレードがサポートされているリリース

ダウングレード・オプションは、データベースがアップグレードされる前の元のOracle Databaseのリリースによって異なります。

ダウングレードがサポートされているリリース

非CDB Oracle Databaseは、Oracle Database 23cからOracle Database 21c、Oracle Database 19c、Oracle Database 18cおよびOracle Database 12cリリース2にダウングレードできます。

PDBまたはCDBは、Oracle Database 23cからOracle Database 21、Oracle Database 19c、Oracle Database 18cまたはOracle Database 12cリリース2 (12.2)にダウングレードできます。

ノート:

Oracle Database 21c以降、非CDBアーキテクチャはサポートされなくなりました。非CDB Oracle DatabaseをCDB上のPDBにアップグレードする必要があります。

次の表に、ダウングレードがサポートされているリリースに関する追加情報を示します。この表を使用する際には、「Oracle Databaseをダウングレードするときの非互換性の確認」で互換性についても確認してください。

表9-1 ダウングレードがサポートされているリリースおよびエディション

Oracle Databaseのリリースまたはエディション ダウングレード(可/不可) ノート

21

1) 21c (21.6)のインストール
2)オーバーレイ・パッチp33809904_216000DBRU_Generic.zipの適用
3) 21cから23cへのDBのアップグレード
4)ターゲット・ホーム(23c)でのcatdwgrd.sqlの実行
5)ソース・ホーム(21c)でのcatrelod.sqlの実行 6)ソース・ホーム(21c)でのutlrp.sqlの実行

19

現時点では追加情報はありません。

18

使用しているプラットフォーム用のリリース更新パッチ32524155: DATABASE RELEASE UPDATE 18.14.0.0.0 (Patch)以降。詳細は、Oracle Databaseのダウングレード前に必要なステップの実行を参照してください。

12.2

PDBの場合、使用しているプラットフォーム用のリリース更新パッチDATABASE APR 2021 RELEASE UPDATE 12.2.0.1.210420 (Patch)以降。詳細は、Oracle Databaseのダウングレード前に必要なステップの実行を参照してください。

Oracle Enterprise Manager

不可

サポートされている以前のリリースにダウングレードする場合、Oracle Enterprise Managerの制御を再構成する必要があります。

アップグレードを開始する前に、emdwgrdユーティリティを使用して、ダウングレード後にOracle Enterprise Manager Database Control (DB Control)をリストアできるように、DB Controlファイルおよびデータを保存する必要があります。

Oracle Database Express Edition

不可

Oracle Database Express Editionからアップグレードされたデータベースをダウングレードすることはできません。

ダウングレード前に確認する推奨事項

ダウングレード手順を開始する前に、両方のOracleホーム(ダウングレード元およびダウングレード先)に最新のリリース更新をインストールし、その後CDBをダウングレード、またはPDBを切断およびダウングレードすることをお薦めします。

最新リリース更新パッチは、My Oracle Supportからダウンロードできます。使用しているリリースについて、My Oracle Supportの「Primary Note for Database Proactive Patch Program (ドキュメントID 888.1)」を確認してください。

Oracle Database 23cの最小の互換性設定は12.2です。新しいOracle Databaseリリースの最小の互換性設定より前のリリースにダウングレードすることはできません。

サポートされている以前のリリースでは、Oracle Databaseのダウングレードについて、次の推奨事項があります。

  • マルチテナント・アーキテクチャは、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)およびプラガブル・データベース(PDB)用のアーキテクチャ機能を提供します。マルチテナント・アーキテクチャにアップグレードし、このリリースへアップグレードした後にcompatible初期化パラメータを最大レベルに設定した場合は、アップグレード後にデータベースをダウングレードできなくなります。
  • Oracle Enterprise Managerのダウングレードはサポートされていません。サポートされている以前のリリースにダウングレードする場合、Oracle Enterprise Managerの制御を再構成する必要があります。

プライマリでスタンバイ・データベースをダウングレードする準備

Oracle Data Guardスタンバイ・データベースを使用している場合は、スタンバイ・データベースをダウングレードするために使用できる手順をプライマリ・データベースで確認します

スタンバイ・データベースを中断することなく、データベースをダウングレードできます。Oracle Data Guard構成にフィジカル・スタンバイ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合にOracle Databaseをダウングレードするには、Oracle Data Guard概要および管理Oracle Data Guard構成でのデータベースのパッチ適用、アップグレードおよびダウングレードの説明に従って、ダウングレード・シナリオの手順を使用します

Oracle Databaseのダウングレード時のCOMPATIBLEパラメータの確認

アップグレード後にCOMPATIBLEが変更された場合、Oracle Databaseをダウングレードできなくなります。

COMPATIBLEパラメータを更新して、Oracle Databaseリリースの互換性レベルを現在のリリースに設定した場合は、以前のリリースにダウングレードできません。この問題は、新しいリリースではデータ・ディクショナリが変更されており、ダウングレードを妨げるその他の機能変更がある可能性もあるために起こります。

ダウングレードする前にデータベースのCOMPATIBLEパラメータ設定を確認するには、次のコマンドを入力します。

SQL> SELECT name, value, description FROM v$parameter WHERE name =
    ‘compatible’;

ノート:

Oracle ASMディスク・グループの場合、アップグレード後にcompatible.asmパラメータをアップグレードされたリリース値に変更した場合、前のリリースにダウングレードすると、Oracle ASMディスク・グループをマウントできません。compatible.asmの値は、ディスク・グループをマウントできるOracle ASMの最低限のリリースを設定します。

ダウングレードの一部として、ダウングレードされたリリース・レベルに新しいディスク・グループを作成し、ダウングレードされた互換性のあるASMディスク・グループにデータをリストアする必要があります。

Oracle Databaseのダウングレード前の全体バックアップの実行

サポートされている以前のリリースにダウングレードする前に、新しいOracle Databaseリリースの完全バックアップを実行することをお薦めします。

レベル0の完全バックアップを完了する時間がない場合は、少なくともレベル1のバックアップを完了してください。

スクリプトを使用したOracle Database 23cのダウングレード

ダウングレードを自動化するために、dbdowngradeユーティリティ・スクリプトが提供されています。以前のリリースと同様に、必要に応じてcatdwgrd.sqlを手動で実行することもできます。

dbdowngradeを使用したOracle Databaseの以前のリリースへのダウングレード

以前のデータベース・リリースにダウングレードするには、ダウングレード・スクリプトdbdowngradeを実行することをお薦めします。

Oracleはダウングレード・ユーティリティ・スクリプトdbdowngradeを提供しています。dbdowngradeユーティリティを使用すると、ダウングレードに適切な値が設定され、ダウングレードの開始方法が簡略化されます。具体的には、catcon.plへの基礎となるコールが推奨値を使用することが保証されるため、過剰なスレッドが生成されるために発生するエラーが削減されます。この機能は、マルチテナント・アーキテクチャ(CDB)データベースのダウングレードに特に役立ちます。ダウングレードに使用されるリソースの数を制御する場合は、以前のリリースと同様にcatdwgrd.sqlスクリプトを手動で実行できます。以前のデータベース・リリースにダウングレードすると、その以前のリリースに対するリリース更新を適用できます。

dbdowngradeシェル・コマンドはファイル・パス$ORACLE_HOME/bin (LinuxおよびUNIXの場合)、および%ORACLE_HOME%\bin (Windowsベースのシステムの場合)にあります。CDBをダウングレードする場合、スクリプトに引数として包含リストを指定できます。

マルチテナント・アーキテクチャ・データベース(CDB)をダウングレードする場合、dbdowngradeスクリプトには、包含リストを使用するかどうかに応じて2つの動作があります。

  • 包含リストがない場合。ダウングレードは、CDBで開いているすべてのコンテナ(PDBおよびCDB)で実行されます。

    CDB全体をダウングレードする場合は、包含リストなしでダウングレードを実行します。このシナリオでは開いているコンテナがすべてダウングレードされます。dbdowngradeスクリプトを開始する前に、CDB内のすべてのPDBを手動で開く必要があります。

  • 包含リストがある場合。ダウングレードは包含リスト内のPDBでのみ実行され、ダウングレード操作中にCDB$ROOTはダウングレードされません。

    包含リストにリストされているPDBのセットのみをダウングレードする場合は、包含リストでダウングレードを実行します。このシナリオでは、切断および接続のアップグレードを使用する場合、包含リストにリストされているPDBのセットのみがダウングレードされます。包含リストにないCDBおよびPDBは、その後のリリースではアップグレードされたままになります。

前提条件:

  • Oracle Database 23cからOracle Database 21c、Oracle Database 19c、Oracle Database 18cまたはOracle Database 12.2にダウングレードする場合、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)またはCDB内の1つのプラガブル・データベース(PDB)にあるすべてのデータベースをダウングレードできます。Oracle Database 12cより前のOracle Databaseリリースでは、マルチテナント・アーキテクチャを使用しませんでした。

  • 包含リストなしでダウングレードする場合、dbdowngradeスクリプトを実行する前にすべてのPDBコンテナを開く必要があります。
  1. Oracle DatabaseのOracleホーム・ディレクトリの所有者として、システムにログインします。
  2. ORACLE_HOME環境変数を、アップグレードしたOracle DatabaseリリースのOracleホームに設定します
  3. ORACLE_SID環境変数を、ダウングレードするOracle Databaseのシステム識別子(SID)に設定します。

    ノート:

    クラスタ・データベースをダウングレードしている場合は、データベースを完全に停止し、CLUSTER_DATABASE初期化パラメータをFALSEに設定します。ダウングレードが完了した後、このパラメータの設定をTRUEに戻します。

  4. SQL*Plusを使用して、SYSDBA権限を持つユーザーとして、ダウングレードするデータベース・インスタンスに接続します。
    sqlplus sys as sysdba
    Enter password: password
    
  5. 使用するOracle Databaseインスタンス・タイプに応じて、SQL*Plusで次のコマンドを発行し、ダウングレード・モードでインスタンスを起動します。起動中のエラーの場合、PFILEオプションを使用して初期化パラメータ・ファイルの場所を指定するように求められる可能性があります。
    • 非CDBインスタンス:

      SQL> startup downgrade pfile=pfile_name
      
    • CDBインスタンス:

      SQL> startup downgrade pfile=pfile_name
      SQL> alter pluggable database all open downgrade;

    初期化パラメータ・ファイルPFILEの場所を指定します。

    参照:

    初期化パラメータの起動時の指定および初期化パラメータ・ファイルの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください

  6. デフォルト値または包含リストを使用してdbdowngradeスクリプトを起動します。

    包含リストを使用する場合は、CDB$ROOTを包含リストに含めないでください。

    たとえば:

    デフォルト値による実行

    LinuxおよびUnix

    $cd $ORACLE_HOME/bin 
    $./dbdowngrade

    Microsoft Windows

    $cd %ORACLE_HOME%\bin
    $dbdowngrade.cmd
    CDBの包含リストによる実行

    LinuxおよびUnix

    $cd $ORACLE_HOME/bin 
    $./dbdowngrade –c 'PDB1 PDB2 PDBN'

    Microsoft Windows

    $cd %ORACLE_HOME%\bin 
    $dbdowngrade.cmd –c "PDB1 PDB2 PDBN"
  7. 次の環境変数がダウングレード先のリリースのディレクトリを指定するように変更します。
    • ORACLE_HOME
    • PATH

    また、oratabファイル、およびORACLE_HOME値を設定するすべてのクライアント・スクリプトが、ダウングレードされたOracleホームを指していることを確認します。

  8. 下位バージョンのOracleホームにあるデータベースをアップグレード・モードで起動します。非CDBデータベースでcatrelod.sqlを実行するか、またはcatcon.plを使用してCDBデータベースでcatrelod.sqlを実行します。
    • 非CDBの場合:

      SQL> $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catrelod.sql
    • CDBの場合:

       $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl 1 -e -b catrelod -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin catrelod.sql

    このコマンドにより、ダウングレードしたデータベース内の各データベース・コンポーネントに該当するバージョンが再ロードされます。

  9. utlrp.sqlスクリプトを実行して、残りのすべてのストアドPL/SQLおよびJavaコードを再コンパイルします。使用している構成に対応する手順を使用します。
    • 非CDB:

      SQL> $ORACLE_HOME/rdbms/admin/utlrp.sql 
    • CDB:

      $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl 1 -e -b utlrp -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin utlrp.sql

      utlrp.sqlスクリプトは、以前INVALID状態だったパッケージ、プロシージャ、型などのすべての既存のPL/SQLモジュールを、再コンパイルします。ログ・ファイルutlrp0.logが生成されます。そのログ・ファイルには再コンパイルの結果がリストされます。

dbdowngradeスクリプトの実行結果として、ユーティリティはcatdwgrdおよびcatcon.plを実行します。これらのスクリプトは、ダウングレードするリリースの推奨値を使用してダウングレードを実行します。

これらのスクリプトはログ・ファイルを作成します。-l filepathを指定してdbdowngradeを実行すると(filepathはログ・ファイルを作成するパス)、dbdowngradeによって指定したディレクトリが作成され、そこにログ・ファイルが配置されます。たとえば:

./dbdowngrade -l /databases/downgrade/logs

ログ・ファイルのディレクトリを指定しない場合、ダウングレード・スクリプトによって生成されるログ・ファイルは、次の3つのオプションのうち最初に見つかったディレクトリの下に、優先順位に従って配置されます。

  • orabasehomeコマンドで識別されるOracleベース・ホーム

  • orabaseコマンドで識別されるOracleベース・ホーム

  • oracle_homeコマンドで識別されるOracleホーム

たとえば:
$ $ORACLE_HOME/bin/orabasehome
/u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1
この例では、$ORACLE_BASEディレクトリは/u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1で、ログは/u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1/cfgtoollogs/downgradeにあります。ディレクトリでは、ログ・ファイルの先頭に文字列catdwgrdが付きます。

dbdowngradeスクリプトの実行方法をさらに管理するには、次の追加オプションを指定できます。

  • -d directory-path catdwgrd.sqlファイルを格納するディレクトリ・パス(directory-pathで定義)を指定します。
  • -e catdwgrd.sqlの実行中にエコーをオフにすることを指定します(デフォルトはonに設定されています)。
  • -n number dbdowngradeコマンドで使用するパラレル・プロセスの数を指定します。デフォルトでは、プロセスの数はCPUの数を2で割った数(cpu_count/2)になります。
  • -b log-file-name-base手動ダウングレード・スクリプトcatdwgrdによって生成されたログ・ファイルに別のベース・ファイル名(変数log-file-name-baseに指定する値)を指定します。別のベース・ファイル名を指定しない場合、デフォルトのファイル・ベース名はcatdwgrdです。
  • -h dbdowngradeでコマンド・オプションのリストを表示するように指定します。dbdowngadeスクリプトは、コマンド・オプションを画面に出力して終了します。

ノート:

  • 読取り/書込みのOracleホーム: コマンドorabaseconfigおよびorabasehomeは、両方ともORACLE_HOMEの環境設定を返します。

  • 読取り専用Oracleホーム:コマンド: orabaseconfigは、パス$ORACLE_BASE/homes内のOracleベースの読取り専用パス構成を返します。

catdwgrd.sqlを使用したCDBまたは非CDBのOracle Databaseの手動ダウングレード

Oracle Databaseを手動でダウングレードする場合、または過剰なスレッドについて心配している場合は、手動でcatdwgrd.sqlスクリプトを実行できます。

手動のcatdwgrd.sqlスクリプトを使用して、Oracle Databaseをサポートされている以前のメジャー・リリースまたは以前のリリース更新にダウングレードできます。

Oracle Database 23cからOracle Database 21c、19c、Oracle Database 18cまたはOracle Database 12.2にダウングレードする場合、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)またはCDB内の1つのプラガブル・データベース(PDB)にあるすべてのデータベースをダウングレードできます。Oracle Database 12cより前のOracle Databaseリリースでは、マルチテナント・アーキテクチャを使用しませんでした。

ノート:

Oracle Database 21c以降、非CDBアーキテクチャはサポートされなくなりました。非CDB Oracle DatabaseをCDB上のPDBにアップグレードする必要があります。Oracle Database 23c以降では、Oracle Label Securityがサポートされなくなりました。

  1. Oracle DatabaseのOracleホーム・ディレクトリの所有者として、システムにログインします。
  2. ORACLE_HOME環境変数を、アップグレードしたOracle DatabaseリリースのOracleホームに設定します
  3. ORACLE_SID環境変数を、ダウングレードするOracle Databaseのシステム識別子(SID)に設定します。
  4. システム・プロンプトで、ORACLE_HOME/rdbms/adminディレクトリへ移動します(ORACLE_HOMEはシステムのOracleホームです)。

    ノート:

    クラスタ・データベースをダウングレードしている場合は、データベースを完全に停止し、CLUSTER_DATABASE初期化パラメータをFALSEに設定します。ダウングレードが完了した後、このパラメータの設定をTRUEに戻します。

  5. SQL*Plusを使用して、SYSDBA権限を持つユーザーとして、ダウングレードするデータベース・インスタンスに接続します。
    sqlplus sys as sysdba
    Enter password: password
    
  6. 使用するOracle Databaseインスタンス・タイプに応じて、SQL*Plusで次のコマンドを発行し、ダウングレード・モードでインスタンスを起動します。起動中のエラーの場合、PFILEオプションを使用して初期化パラメータ・ファイルの場所を指定するように求められる可能性があります。
    • 非CDBインスタンス:

      SQL> startup downgrade pfile=pfile_name
      
    • CDBインスタンス:

      SQL> startup downgrade pfile=pfile_name
      SQL> alter pluggable database all open downgrade;

    初期化パラメータ・ファイルPFILEの場所を指定します。

    参照:

    初期化パラメータの起動時の指定および初期化パラメータ・ファイルの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください

  7. (推奨)非CDBをダウングレードする場合は、結果をログ・ファイルにスプールするようにシステムを設定して、変更および問題を追跡できるようにすることをお薦めします。

    CDBをダウングレードしている場合、次のステップを実行する必要はありません。CDBは自動的に出力をcatcon_logsにスプールします。

    CDB以外の場合は、次のコマンドを入力して結果をログ・ファイルにスプールします(downgrade.logはログ・ファイルの名前です)。

    SQL> SPOOL downgrade.log
    
  8. 構成に応じて、次のコマンドを使用してダウングレードを開始します。
    • 非CDB:

      SQL> @catdwgrd.sql
      
    • CDB、ログ・ファイル・ベースとしてcatdwgrdを使用:

      $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin -e -b catdwgrd -l output-directory -r catdwgrd.sql
      

    CDBの例で、catdwgrd.sqlcatcon.plを使用してコンテナに対して実行されます。catcon.plユーティリティを使用してコマンドを実行するには、まずPerlを起動します。-dパラメータは、catcon.plcatdwgrdの入手先を指定します。-lパラメータは、ログ・ファイルの出力ディレクトリを指定します(rdbms/adminディレクトリに書き込むかわりとなります)。-rパラメータを指定すると、catdwgrdはまずPDBで実行され、次にCDB_ROOTで実行されます。

    CDBをダウングレードするときには-rパラメータを使用してcatdwgrdを実行してください。–rパラメータはスクリプトが実行されるデフォルトの順番を変更し、まずすべてのPDBでスクリプトが実行され、その後にCDB_ROOTで実行されます。

    ノート:

    • Oracle Databaseリリースに付属するcatdwgrd.sqlスクリプトのバージョンを使用します。

    • CDBをダウングレードするときには-rパラメータを使用してcatdwgrdを実行してください。

    • Oracle Databaseリリース環境でcatdwgrd.sqlを実行します。

    • catdwgrd.sqlスクリプトはOracle Databaseのデータベース内のすべてのコンポーネントを、アップグレード前のリリースにダウングレードします。ダウングレードはアップグレード前のサポートされているメジャー・リリースか、またはアップグレード前のパッチ・リリースのいずれかです。

    マルチテナント環境のデータベースにダウングレードしており、catdwgrd.sqlコマンドでエラーが発生した場合は、エラー・メッセージを確認します。続行する前に、CDB$ROOTまたはPDBにどのような問題があるかを調べます。「Oracle Databaseのダウングレードのトラブルシューティング」の項を確認します。エラーで指摘された問題を修正します。エラーを解決した後、構文catcon.pl -c 'cdb,pdb' -rを使用して、catcon.plユーティリティを指定したcatdgwrd.sqを再実行します。

    注意:

    コンポーネントのダウングレードが失敗すると、ORA-39709エラーが表示されます。Oracle Databaseデータ・ディレクトリをダウングレードせずにSQL*Plusセッションが終了します。すべてのコンポーネントは、Oracle Databaseのデータ・ディクショナリをダウングレードする前に、正常にダウングレードする必要があります。catdwgrd.sqlスクリプトを再実行する前に、問題を特定して修正します。

  9. 非CDBの場合のみ、スプールをオンにしていた場合は、スクリプト結果のログ・ファイルへのスプーリングをオフにします。
    SQL> SPOOL OFF
    

    スプール・ファイルを確認して、ダウングレード中にエラーが発生しなかったかどうかを検証します。ステップ8で、スプール・ファイル名をdowngrade.logとしました。このファイルで検出された問題は、すべて修正します。必要に応じて、ダウングレード・スクリプトを再実行します。

    ノート:

    ダウングレード・スクリプトの最初の実行時から結果を保存します。ダウングレード・スクリプトを再実行する前に、downgrade.logファイルの名前を変更し、スクリプトを再実行したときにファイルが上書きされないようにします。

  10. インスタンスを停止します。
    SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
  11. SQL*Plusを終了します。
  12. ご使用のオペレーティング・システムがLinuxまたはUNIXの場合、次の環境変数がダウングレード先のリリースのディレクトリを指定するように変更してください。
    • LinuxシステムおよびUNIXシステム

      次の環境変数がダウングレード先のリリースのディレクトリを指定するように変更します。

      • ORACLE_HOME

      • PATH

      また、oratabファイル、およびORACLE_HOME値を設定するすべてのクライアント・スクリプトが、ダウングレードされたOracleホームを指していることを確認します。

      参照:

      ご使用のオペレーティング・システムでのその他の重要な環境変数の設定に関する詳細は、ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください

    • Microsoft Windowsシステム

      1. すべてのOracleサービス(Oracle DatabaseのOracleServiceSID Oracleサービスなど)を停止します。SIDはインスタンス名です。

        たとえば、SIDORCLの場合、コマンド・プロンプトで次のように入力します。

        C:\> NET STOP OracleServiceORCL
        

        参照:

        WindowsでのOracleサービスの停止の詳細は、『Oracle Database管理者リファレンスfor Microsoft Windows』を参照してください

      2. コマンド・プロンプトでコマンドORADIMを発行して、Oracleサービスを削除します。

        たとえば、SIDORCLの場合、次のコマンドを入力します。

        C:\> ORADIM -DELETE -SID ORCL
        

        コマンド・プロンプトでコマンドORADIMを使用して、ダウングレードするデータベースのOracleサービスを作成します。

        C:\> ORADIM -NEW -SID SID -INTPWD PASSWORD -MAXUSERS USERS
        -STARTMODE MANUAL -PFILE ORACLE_HOME\DATABASE\INITSID.ORA

        ORADIMの構文には次の変数が含まれます。

        変数 説明

        SID

        ダウングレードするデータベースのSIDと同じシステム識別子(SID)名です。

        PASSWORD

        データベース・インスタンスのパスワードです。このパスワードはSYSDBA権限で接続するユーザー用のパスワードです。-INTPWDオプションは必須ではありません。パスワードの入力を求められた場合は、このWindowsプラットフォームの標準のユーザー・アカウントのパスワードを使用します。

        USERS

        SYSDBA権限およびSYSOPER権限を付与できるユーザーの最大数です。

        ORACLE_HOME

        ダウングレード先のデータベースのOracleホーム・ディレクトリです。-PFILEオプションを使用して、(Oracleホーム・ディレクトリがマウントされているドライブを含む)フルパス名を指定する必要があります。

        初期化パラメータの起動時の指定および初期化パラメータ・ファイルの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

        たとえば、SIDORCLPASSWORDTWxy5791USERSの最大数が10ORACLE_HOMEディレクトリがC:\ORANTの場合、次のコマンドを入力します。

        C:\> ORADIM -NEW -SID ORCL -INTPWD TWxy5791 -MAXUSERS 10
             -STARTMODE AUTO -PFILE C:\ORANT\DATABASE\INITORCL.ORA

        ノート:

        ORADIMコマンドによって、Oracleホームのユーザー・アカウントのパスワードの入力が求められます。ORADIMを使用して、他のオプションを指定できます。

        データベースをダウングレードする際に、Windowsレジストリの設定を変更する必要はありません。必要な変更は、すべてORADIMユーティリティによって自動的に行われます。

        参照:

        ORADIMを使用したOracle Databaseインスタンスの管理の詳細は、Oracle Database管理者のリファレンスfor Microsoft Windowsを参照してください

  13. ダウングレード先のリリースの構成ファイル(パラメータ・ファイル、パスワード・ファイルなど)をリストアします。

    データベースがOracle RACデータベースの場合は、次のコマンドを実行して、データベースを単一インスタンス・モードに戻します。

    SET CLUSTER_DATABASE=FALSE

    ノート:

    クラスタ・データベースをダウングレードしている場合は、このクラスタ・データベースのインスタンスが構成されているすべてのノードでこのステップを実行してください。初期化パラメータCLUSTER_DATABASEの値をFALSEに設定します。ダウングレードが完了した後、この初期化パラメータの設定をTRUEに戻します。

    参照:

    Oracle RACでの初期化パラメータの使用の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください

  14. システム・プロンプトで、ダウンロード先である以前のリリースのOracleホーム・ディレクトリのadminディレクトリに変更します。(ORACLE_HOME/rdbms/adminORACLE_HOMEは以前のリリースのOracleホームのパスです。)
  15. SQL*Plusを開始して、SYSDBA権限を持つユーザーとして、データベース・インスタンスに接続します。
    • 非CDBの場合:

      SQL> CONNECT / AS SYSDBA
      SQL> STARTUP UPGRADE
    • CDBの場合:

      connect / as sysdba
      startup upgrade;
      alter pluggable database all open upgrade;
      
  16. (オプション) 非CDBの場合、変更および問題を追跡するために、結果をログ・ファイルにスプールするようにシステムを設定します。このステップはCDBには必要ありません。
    SQL> SPOOL reload.log
    
  17. 非CDBデータベースでcatrelod.sqlを実行するか、またはcatcon.plを使用してCDBデータベースでcatrelod.sqlを実行します。
    • 非CDBの場合:

      SQL> $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catrelod.sql
    • CDBの場合、ログ・ファイル・ベースcatrelodを使用:

       $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -n 1 -e -b catrelod -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin catrelod.sql

    このコマンドにより、ダウングレードしたデータベース内の各データベース・コンポーネントに該当するバージョンが再ロードされます。

  18. 非CDBでスプーリングをオンにした場合、スクリプト結果のログ・ファイルへのスプーリングをオフにします。
    SQL> SPOOL OFF
    

    スプール・ファイルをチェックし、パッケージとプロシージャのコンパイルが成功したかどうかを確認します。このログ・ファイルで見つけた問題を処理し、必要に応じて適切なスクリプトを再実行します。

  19. 通常の操作のために、インスタンスを停止し、再起動します。
    SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
    SQL> STARTUP
    

    オプションPFILEを使用して、初期化パラメータ・ファイルの場所を指定するように求められる場合があります。

    参照:

    初期化パラメータの起動時の指定および初期化パラメータ・ファイルの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください

  20. Oracle Label Securityを使用するようにデータベースを構成した場合、このステップを完了します。Oracle Label Securityを使用するようにデータベースを構成しなかった場合、次のステップに進みます。
    1. olstrig.sqlスクリプトを、Oracle Database 12cのOracleホームから、データベースをダウングレードするリリース番号のOracleホームにコピーします。
    2. ダウングレード・リリースのOracleホームからolstrig.sqlを実行し、Oracle Label Securityのポリシーを適用して、表のDMLトリガーを再作成します。
      SQL> @olstrig.sql
      
  21. (オプション) 非CDBの場合、変更および問題を追跡するために、結果をログ・ファイルにスプールするようにシステムを設定します。このステップはCDBには必要ありません。

    例:

    SQL> SPOOL utlrp.log
  22. utlrp.sqlスクリプトを実行して、残りのすべてのストアドPL/SQLおよびJavaコードを再コンパイルします。使用している構成に対応する手順を使用します。
    • 非CDB:

      SQL> $ORACLE_HOME/rdbms/admin/utlrp.sql 
    • CDB、ログ・ファイル・ベースutlrpを使用:

      $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -n 1 -e -b utlrp -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin utlrp.sql

      utlrp.sqlスクリプトは、以前INVALID状態だったパッケージ、プロシージャ、型などのすべての既存のPL/SQLモジュールを、再コンパイルします。ログ・ファイルutlrp0.logが生成されます。そのログ・ファイルには再コンパイルの結果がリストされます。

    Oracle Database 18cまたはOracle Database 19cにダウングレードして、データベースにOracle APEX (以前はApplication Express)が存在する場合、ultrp.sqlの実行が完了した後、スクリプトsys.validate_apexを実行してAPEXダウングレードを検証します。APEXは、Oracle Database 18cまたはOracle Database 19cに対してのみ手動で検証する必要があります。その他のリリースでは、sys.validate_apexを手動で実行する必要はありません。

  23. utlrp.sqlを実行するときに非CDBのスプーリングをオフにする場合は、ログ・ファイルへのスクリプトの結果のスプールをオフにします。
    SQL> SPOOL OFF
    

    スプール・ファイルをチェックし、パッケージとプロシージャのコンパイルが成功したかどうかを確認します。このログ・ファイルで検出された問題は、すべて修正します。必要に応じて、該当するスクリプトを再実行します。

  24. SQL*Plusを終了します。

このプロシージャの完了時に、データベースがダウングレードされます。

単一のプラガブルOracle Database (PDB)のダウングレード

Oracle Databaseをダウングレードする場合、CDB全体をダウングレードせずに1つのPDBをダウングレードできます。

個々のPDBをダウングレードできます。たとえば、アップグレードしたCDBからPDBを切断し、PDBをダウングレードした後、これを以前のリリースのCDBに接続するか、そのPDBデータベースをスタンドアロン・データベースに変換することができます。

PDBのダウングレード

この手順の例では、PDBをリリース19cにダウングレードします。

  1. PDBをDOWNGRADEモードで起動します。これを行うとき、CDBは標準モードになります。

    SQL> alter pluggable database CDB1_PDB1 open downgrade;
    
  2. dbdowngradeユーティリティを使用するか、catcon.plを使用してcatdwgrdを手動で実行して、PDBをダウングレードします。

    これらの各オプションでは、ダウングレードするPDBはPDB1です。

    • dbdowngradeユーティリティを使用してダウングレードします。

      次のようにdbdowngradeスクリプトを使用してPDBをダウングレードします。

      cd $ORACLE_HOME/bin
      ./dbdowngrade -c 'PDB1'
    • catdwgrdcatcon.plを使用して手動でダウングレードします。

      次のようにcatdwgrdを実行します。output-directoryは出力ディレクトリ、catdwgrdはログ・ファイル・ベースです。

      $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -d
       $ORACLE_HOME/rdbms/admin -n 1 -l output-directory -e -b catdwgrd -c 'PDB1'
       catdwgrd.sql
      

      例では、catdwgrdcatcon.plとともに実行されます。-dパラメータは、catcon.plcatdwgrdの入手先を指定します。-lパラメータは、ログ・ファイルの出力ディレクトリを指定します(rdbms/adminディレクトリに書き込むかわりとなります)。2つのスクリプトを同時に一緒に実行するには、-rパラメータを使用する必要があります。

      ダウングレードのログ・ファイルは、Oracleベース・ホーム(コマンドorabasehomeまたはorabaseで識別されるOracleベースか、コマンドoracle_homeで識別されるOracleホーム)にこの順番で配置されます。

  3. PDBをクローズします。

PDBのCDBからの切断

このステップでは、ダウングレードしたPDBをOracle Database 23c CDBから切断します。

  1. アップグレードしたCDBに接続します。

  2. 切断するPDBをクローズします。

    SQL> alter pluggable database PDB1 close;
    
  3. ダウングレードした19cのPDBを切断し、変数pathをシステムのパスに置き換えます。

    SQL> alter pluggable database PDB1 unplug into 'path/pdb1.xml';
    

    切断が完了すると、次のレスポンスが表示されます。

    Pluggable database altered

ダウングレードされた19cのPDBの接続

このステップでは、ダウングレードされた19cのPDBを19cのCDBに接続します。これを行うには、このCDBでPDBを作成する必要があります。次の例は、PDB1というプラガブル・データベースの作成方法を示しています。

  1. 19cのCDBに接続します。

  2. 19cのPDBを接続します。

    SQL> create pluggable database PDB1 using 'path/pdb1.xml';
    

    このコマンドを実行すると、「プラガブル・データベースが作成されました。」が返されます。

  3. PDBをアップグレード・モードで開きます。

    SQL> alter pluggable database PDB1 open upgrade;
    
  4. PDBに接続します。

    SQL> alter session set container=PDB1;
    
  5. PDBでcatrelodを実行します。

    SQL> @$ORACLE_HOME/rdbms/admin/catrelod.sql
    

    catrelod.sqlスクリプトによって、ダウングレードしたデータベース内の各データベース・コンポーネントに該当するバージョンが再ロードされます。

  6. PDBでutlrpを実行します。

    SQL> @$ORACLE_HOME/rdbms/admin/utlrp.sql
    

    utlrp.sqlスクリプトは、以前INVALID状態だったパッケージ、プロシージャ、型などのすべての既存のPL/SQLモジュールを、再コンパイルします。

Oracle APEXを含むPDBのダウングレード

このプロシージャを使用すると、Oracle APEX (以前のOracle Application Express)を含むPDBをダウングレードするときにINVALID OBJECTS OWNED BY APEX_050000エラーを回避できます。

PDBを以前のリリースにダウングレードした後、次のようなSQL文を入力してOracle APEXユーザーを削除します。ログ・ファイル・ベースはdrop_apex5です。

$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -b drop_apex5
-c 'PDB1' -- --x'drop user apex_050000 cascade'

この例では、PDB名は「PDB1」です。

Oracle Databaseをダウングレードする場合のダウングレード後の作業

Oracle Databaseのリリースをダウングレードした後、互換性、コンポーネントおよびサポートされるプロトコルに影響する変更により、追加のタスクを完了する必要がある場合があります。

ダウングレード後のリリース更新およびその他のパッチの再適用

アップグレード後かつダウングレード前に、元のOracleホームに新しいパッチをインストールしていた場合は、ダウングレードが実行されて、catrelod.sqlが正常に完了したら、インストールしたパッチが適用されていることを確認します。

新しいパッチをインストールした場合、datapatchツールを実行して、ダウングレードしたデータベースにこれらのパッチを適用します。アップグレード後にOracleホームのバイナリおよびファイルを変更しなかった場合、catrelod.sqlを実行した後にdatapatchを実行する必要はありません。ただし、新しいパッチがインストールされているかどうか疑問がある場合は、datapatchを実行します。パッチがデータベースに適用されていることを確認するために必要な回数だけdatapatchを実行できない安全上の懸念はありません。

Oracle Databaseのダウングレード後のOracle RACの再有効化

ダウングレード後に、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を再度有効にできます。

ダウングレードにCLUSTER_DATABASE=FALSEを設定したOracle RACデータベースでのダウングレードでは、CLUSTER_DATABASE=TRUEを再度設定し、RACクラスタ内のすべてのインスタンスから開始できるようになりました。

Oracle Databaseのダウングレード後のOracle Database Vaultの再有効化

ダウングレード時にOracle Database Vaultを無効化するよう指示があった場合、これを実行する必要があります。

Oracle Database Vaultを使用している場合、ダウングレードする前にこれを無効にするように指示されている可能性があります。ダウングレード後にOracle Database Vaultを使用するには、登録して再度有効にする必要があります。

データベースのOracle Grid Infrastructure構成のダウングレード

\ダウングレード後に、Oracle Grid Infrastructureの登録を変更して、以前のリリースのOracle Databaseホームでデータベース・リリースを起動する必要があります。

新しいリリースのOracle Grid Infrastructureは、以前のリリースのOracle Databaseを実行できます。特にOracle Grid Infrastructureに関連する問題が発生しないかぎり、Oracle Grid Infrastructureをダウングレードすることはお薦めしません。ただし、Oracle Databaesリリースをダウングレードした後は、コマンドsrvctl downgrade databaseを使用して、以前のリリースのOracleホームでデータベースを起動するようにOracle Clusterwareを構成する必要があります。

以前のリリースのOracleホームでデータベースを起動するようにOracle Clusterwareを構成するには、次のコマンド構文を使用します。$LATER_RELEASE_ORACLE_HOMEは新しいリリースのOracleホームへのパス(または環境変数)、old_release_oracle_homeは以前のリリースのOracleホームへのパス、old-releaseは以前のリリースのOracle Databaseリリースです。

$LATER_RELEASE_ORACLE_HOME/bin/srvctl downgrade database -d $ORACLE_UNQNAME -o old_release_oracle_home -t old-release

たとえば:

$ORACLE_HOME/bin/srvctl downgrade database -d $ORACLE_UNQNAME -o /u02/app/oracle/product/12.2/db_1/ -t 12.2.0.4

Oracle Databaseのダウングレード後のOracle Enterprise Managerのリストア

この項で説明されているリストア作業が必要になるのは、ダウングレードを実行する際に、Oracle Enterprise Managerがホストで構成されている場合のみです。

Oracle Enterprise Managerをリストアするには、最初にOracle Enterprise Manager Configuration Assistant (EMCA)を実行してから、emdwgrdユーティリティを実行します。

ダウングレード後のOracle Enterprise Managerのリストアの要件

12.1より前のリリースへのダウングレード後にOracle Enterprise Managerをリストアできるようにするには、アップグレード前にこれらの要件を満たす必要があります。

emca -restoreを使用してOracle Enterprise Managerを以前の状態にリストアするには、次の要件を満たす必要があります。

  • アップグレードの前に、Oracle Enterprise Managerの構成ファイルおよびデータのバックアップを保存していること

  • この手順で新しいOracle Databaseリリースのホームに存在するemcaバイナリを実行すること

Oracle Clusterwareシステムで、Oracle RACデータベースのOracle Enterprise Managerをリストアするには、emca -restoreを実行する前にsrvctlを使用してデータベースを登録しておく必要があります。emca -restoreは、データベースのダウングレード先となる以前のOracle DatabaseリリースのORACLE_HOME/binディレクトリから実行する必要があります。

適切なオプションを指定してemca -restoreコマンドを実行し、Oracle Enterprise Manager Database ControlまたはOracle Enterprise Manager Grid Controlを古いOracleホームにリストアします。

ダウングレードするデータベースが単一インスタンス・データベースか、Oracle RACデータベースか、Oracle ASMデータベースかによって、emcaの異なるオプションを指定します。

EMCAの実行によるダウングレード後のOracle Enterprise Managerのリストア

これらのトピックを参照して、ダウングレード後にOracle Enterprise Managerをリストアするためのリストア・シナリオを選択します。

Oracle ASMがない単一インスタンスのOracle Databaseでのemcaの実行

Enterprise Manager Configuration Assistant (emca)を使用してデータベースを管理します。

このコマンドを使用してEnterprise Manager Configuration Assistantを実行します。

ORACLE_HOME/bin/emca -restore db

次の情報の入力を求められます。

  • リストアするデータベースのOracleホーム

  • データベースのSID

  • リスナー・ポート番号

Oracle ASMがないOracle RACデータベースでのEMCAの実行

Enterprise Manager Configuration Assistant (emca)を使用してデータベースを管理します。

この手順を使用してEnterprise Manager Configuration Assistantを実行します。

ORACLE_HOME/bin/emca -restore db -cluster

次の情報の入力を求められます。

  • リストアするデータベースのOracleホーム

  • データベースの一意の名前

  • リスナー・ポート番号

単一インスタンスのOracle ASMインスタンスでのEMCAの実行

Enterprise Manager Configuration Assistant (emca)を使用してデータベースとストレージを管理します。

このコマンドを使用してEnterprise Manager Configuration Assistantを実行します。

ORACLE_HOME/bin/emca -restore asm

次の情報の入力を求められます。

  • リストアするデータベースのOracleホーム

  • Oracle ASMポート

  • Oracle ASM SID

Oracle RACインスタンス上のOracle ASMでのemcaの実行

Enterprise Manager Configuration Assistant (emca)を使用してデータベースとストレージを管理します。

このコマンドを使用してEnterprise Manager Configuration Assistantを実行します。

ORACLE_HOME/bin/emca -restore asm -cluster

次の情報の入力を求められます。

  • リストアするデータベースのOracleホーム

  • Oracle ASMポート

Oracle ASMがある単一インスタンスのOracle Databaseでのemcaの実行

Enterprise Manager Configuration Assistant (emca)を使用してデータベースとストレージを管理します。

このコマンドを使用してEnterprise Manager Configuration Assistantを実行します。

ORACLE_HOME/bin/emca -restore db_asm

次の情報の入力を求められます。

  • リストアするOracle DatabaseのOracleホーム

  • データベースのSID

  • リスナー・ポート番号

  • Oracle ASMポート

  • Oracle ASMホーム

  • Oracle ASM SID [+ASM]

Oracle RACデータベースおよびOracle ASMインスタンスでのemcaの実行

Enterprise Manager Configuration Assistant (emca)を使用してデータベースとストレージを管理します。

このコマンドを使用してEnterprise Manager Configuration Assistantを実行します。

ORACLE_HOME/bin/emca -restore db_asm -cluster

次の情報の入力を求められます。

  • リストアするデータベースのOracleホーム

  • データベースの一意の名前

  • リスナー・ポート番号

  • Oracle ASMポート

  • Oracle ASM Oracleホーム

  • Oracle ASM SID [+ASM]

emcaの出力は、指定するオプションおよびプロンプトで入力する値によって様々です。Oracle RAC環境では、Oracle RACのすべてのクラスタ・メンバー・ノードでこのステップを繰り返す必要があります。

ここで、Oracle Enterprise Manager Database Controlおよびデータをリストアするためにemdwgrdユーティリティを実行する必要があります。

Enterprise Manager Database Controlをリストアするためのemdwgrdユーティリティの実行

Oracle Enterprise Manager Database Controlおよびデータをリストアするには、emca -restoreの実行後にemdwgrdユーティリティを使用します。

emdwgrdを使用するには、次の操作を実行する必要があります。

  • ORACLE_HOMEおよび他の環境変数を、アップグレードが実行されたOracleホームを指すように設定します。

  • 新しいOracle DatabaseリリースのOracleホームからemdwgrdユーティリティを実行します。

次の手順は、LinuxおよびUNIX用です。これをWindowsで実行する場合は、emdwgrdemdwgrd.batに置き換えてください。

  1. ORACLE_HOMEを、データベースがアップグレードされる前のOracleホームに設定します。

  2. ORACLE_SIDを、アップグレード後にダウングレードされたデータベースのSIDに設定します。

  3. データベースがアップグレードされる前のOracleホームを指すように、PATHLD_LIBRARY_PATHおよびSHLIB_PATHを設定します。

  4. 新しいOracle DatabaseリリースのOracleホームに移動します。

    cd $ORACLE_HOME/bin
    
  5. 次のいずれかの手順を使用してemdwgrdを実行します。

    1. 単一インスタンス・データベースの場合は、次のコマンドを実行します。SIDはアップグレード後にダウングレードされたデータベースのSIDで、save_directoryは、Database Controlのファイルおよびデータの保存時に選択した記憶域の場所へのパスです。

      emdwgrd -restore -sid SID -path save_directory -tempTablespace TEMP
      
    2. Oracle RACデータベースの場合、クラスタ・ノード間のリモート・コピーが必要です。構成済のリモート・コピーを示す環境変数を定義します。たとえば:

      setenv EM_REMCP /usr/bin/scp
      

      その後、次のオプションを使用してemdwgrd -restoreを実行します。

      emdwgrd -restore -tempTablespace TEMP -cluster -sid SID_OldHome -path save_directory
      

      Oracleホームが共有デバイス上にある場合、-sharedemdwgrdコマンドのオプションに追加します。

  6. emdwgrdにより要求された場合は、SYSおよびSYSMANパスワードを入力します。

  7. emdwgrdが終了すると、Oracle Enterprise Manager Database Controlは古いOracleホームにダウングレードされます。

以前のリリースへのOracle APEXのリストア

Oracle Databaseのアップグレードと同時にOracle APEX (以前のOracle Application Express)もアップグレードした場合、ダウングレード後に以前のリリースに戻すステップを実行する必要があります。

データベースのダウングレード後にOracle APEXのダウングレードを完了するには、Oracle APEXインストレーション・ガイドにリストされたすべてのステップを実行して、お使いのOracle APEXのリリースを以前のリリースに戻します。戻すためのステップは、お使いのアーキテクチャが非CDBか、またはマルチテナント・アーキテクチャ(CDB) Oracle Databaseかによって異なります。

ノート:

データベースをアップグレードしたとき、同時にOracle APEXをアップグレードした場合、実行する必要があるのはこのステップのみです。

ダウングレード後のディクショナリ統計の収集

ダウンロード後に高いパフォーマンスを保証するためには、次のプロシージャを使用してディクショナリ統計を収集します。

ダウングレードしたリリースのデータ・ディクショナリ表の統計が収集されるように、データベースのダウングレード後にディクショナリ統計を収集することをお薦めします。

ノート:

ダウングレード・プロセスの後、データ・ディクショナリにはダウングレード済のディクショナリに保持されている変更が存在する可能性があることに注意してください。これらの変更は重要ではありません。ダウングレード済のデータ・ディクショナリは、以前のリリースのデータ・ディクショナリと機能的に同等です。

  • 非CDBのOracle Databaseの場合: DBMS_STATS.GATHER_DICTIONARY_STATSプロシージャを使用して、統計を収集することをお薦めします。たとえば、次のSQL文を入力します。

    SQL> EXEC DBMS_STATS.GATHER_DICTIONARY_STATS;
    
  • CDB (マルチテナント・アーキテクチャ) Oracle Databaseの場合: catconを使用して、マルチテナント・アーキテクチャ全体のデータ・ディクショナリ統計を収集することをお薦めします。

    コンテナ・データベースのすべてのPDBのディクショナリ統計を収集するには、次の構文を使用します。

    $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -l /tmp -b gatherstats -- --x"exec dbms_stats.gather_dictionary_stats"

    特定のPDBに関するディクショナリ統計を収集するには、次のような構文を使用します。

    $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -l /tmp -c
    'SALES1' -b gatherstats -- --x"exec dbms_stats.gather_dictionary_stats"

    前述の例では、SALES1というデータベースを指定することにより、実行するコマンドのPDB包含リストを-c SALES1オプションで指定しています。オプション-b gatherstatsでは、ログの基底名を指定します。オプション--xは、実行するSQLコマンドを指定します。SQLコマンドそのものは、引用符で囲みます。

ダウングレード後の修正したオブジェクト統計の再収集

ダウングレード後に、Oracle Databaseで代表的なワークロードを実行し、修正されたオブジェクト統計を再収集します。

固定オブジェクトは、X$表とその索引です。V$パフォーマンス・ビューは、X$を通じて定義されます。ダウングレード後に、修正したオブジェクト統計を再収集して、リストアしたデータベースのオプティマイザが正しい実行計画を生成できるようにします。こうした実行計画により、データベースのパフォーマンスを改善できます。代表的な統計を取得しないと、実行計画が最適ではなくなる可能性があり、パフォーマンス問題が発生する場合があります。

固定オブジェクトの統計を収集するには、DBMS_STATS.GATHER_FIXED_OBJECTS_STATS PL/SQLプロシージャを使用します。DBMS_STATS.GATHER_FIXED_OBJECTS_STATSでは、init.ora/spfileおよびSPFILEからすべての非表示またはアンダースコアのパラメータおよびイベントを削除するための推奨事項も表示されます。

固定オブジェクトの統計を収集するには、次のPL/SQLプロシージャを実行します。

SQL> execute dbms_stats.gather_fixed_objects_stats;

参照:

GATHER_FIXED_OBJECTS_STATSプロシージャの使用の詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。

ダウングレード後の失効しているCBO統計の再収集

Oracle Databaseのダウングレードが完了した後に、Oracle Cost-Based Optimizer (CBO)統計を再収集することをお薦めします。

Oracle Databaseをアップグレードし、新しいCBO統計を収集すると、アップグレードしたデータベースは新しいデータベース統計を持ちます。アップグレードしたデータベースは新しいヒストグラム・タイプも含むことができます。このため、データベースをダウングレードしたときには、新しいリリースで収集した統計は前のリリースとは異なる可能性があります。この問題はデータ・ディクショナリ表と一般のユーザー表の両方に当てはまります。

GATHER_DATABASE_STATSか、または通常、ディクショナリおよびアプリケーション・スキーマで失効している統計を更新するのに使用する収集コマンドを使用して、失効している統計を再収集します。

たとえば、ダウングレード後は次のようになります。

  • 非CDBのOracle Databaseの場合: 統計を再収集するには、GATHER_DATABASE_STATSプロシージャを、オプション'GATHER STALE'を指定して使用することをお薦めします。たとえば:

    SQL> execute dbms_stats.gather_database_stats(options=>'GATHER STALE');
  • CDB (マルチテナント・アーキテクチャ) Oracle Databaseの場合: マルチテナント・アーキテクチャ全体にわたるデータ・ディクショナリ統計を再収集するには、catconの使用をお薦めします。

    コンテナ・データベースのすべてのPDBの失効しているディクショナリ統計を収集するには、次の構文を使用します。

    $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -l /tmp -b gatherstats -- --x"exec dbms_stats.gather_database_stats(options=>'GATHER STALE')"

    特定のPDBに関するディクショナリ統計を収集するには、次のような構文を使用します。

    $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -l /tmp -c
    'SALES1' -b gatherstats -- --x"exec dbms_stats.gather_database_stats(options=>'GATHER STALE')"

    前述の例では、SALES1というデータベースを指定することにより、実行するコマンドのPDB包含リストを-c SALES1オプションで指定しています。オプション-b gatherstatsでは、ログの基底名を指定します。オプション--xは、実行するSQLコマンドを指定します。SQLコマンドそのものは、引用符で囲みます。

ダウングレード後のレジストリ・コンポーネントの有効性の確認

レジストリ・コンポーネントの有効性を確認し、無効なコンポーネントを特定します。

ダウングレード後に、データベース内のコンポーネントの状態を確認します。完全なCDBをダウングレードする場合は、CDB_REGISTRYビューを使用できます。DBA_REGISTRYを使用して個々のPDBを確認することもできます。すべてのコンポーネントがVALIDまたはOPTION OFFのいずれかであることを確認します。

例9-1 CDB_REGISTRYビューを使用したCDBでのレジストリの確認


set line 200
set pages 1000
col COMP_ID format a8
col COMP_NAME format a34
col SCHEMA format a12
col STATUS format a10
col VERSION format a12
col CON_ID format 99

select CON_ID, COMP_ID, comp_name, schema, status, version from CDB_REGISTRY order by 1,2;

例9-2 DBA_REGISTRYビューを使用したPDBでのレジストリの確認


set line 200
set pages 1000
col COMP_ID format a8
col COMP_NAME format a34
col SCHEMA format a12
col STATUS format a10
col VERSION format a12

select COMP_ID, comp_name, schema, status, version from DBA_REGISTRY order by 1;

Oracle Databaseのダウングレードのトラブルシューティング

このトラブルシューティング情報を使用して、Oracle Databaseのダウングレード時に発生する可能性のある問題に対処します。

この項には、ダウングレード時に発生する可能性のある既知のエラーと、それらのエラーに対処するための回避策が含まれます。

catdwgrd.sqlスクリプトを使用したOracle Databaseコンポーネントのダウングレード中のエラー

この項を使用して、ダウングレード中にcatdwgrd.sqlスクリプトを実行するときに発生するエラー(ORA-20001: ダウングレードを続行できませんなど)のトラブルシューティングを行います。

catdwgrd.sqlスクリプトはOracle Databaseのデータベース内のすべてのコンポーネントを、アップグレード前の当初のメジャー・リリースにダウングレードします。このスクリプトはデータ・ディクショナリをダウングレードする前に実行する必要があります。スクリプトの実行時に何か問題が発生した場合は、問題の原因を修正してからスクリプトを再実行します。

表示されるエラーには、ORA-39709およびORA-06512が含まれます。これらのエラーが発生した場合、ダウングレードを続行できません。

  • 原因: データ・ディクショナリのダウングレード前にダウングレードする必要のある1つ以上のコンポーネントがダウングレードされていません。

  • 処置: ログ・ファイルを確認して、catdwgrd.sqlスクリプトが停止し、ダウングレードが中断する前に、どのようなエラーが発生したかを判断します。

これらの例を確認して、この問題の修正方法を理解します。

エラーには一般に、ダウングレードの完了を妨げている問題を修正するために何をする必要があるかが説明されています。エラー・メッセージの説明に従ってください。エラーの原因を修正した後に、catdwgrd.sqlスクリプトを再実行します。

たとえば、チェックによりCDB$ROOTのダウングレード中にCDBのダウングレードが失敗した場合は、エラー・メッセージの説明に従って、条件エラーを修正します。エラーを修正した後に、catcon.plを指定してcatdwgrd.sqlを再実行します。-cオプションを使用して、包含リスト'CDB$ROOT PDB1'でコマンドを実行します。-rオプションを使用して、コマンドを最初にPDBで、次にCDB$ROOTで実行します。たとえば:

$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin -e -b catdwgrd -l /scratch/rac/downgradeLogs -c 'CDB$ROOT, PDB1, PDB2' -r catdwgrd.sql

例9-3 ORA-06512によるORA-20001エラー

ダウングレードが中止されました。ログ・ファイルを確認したところ、catdwgrd.sqlがこのエラーで終了したことがわかりました。

DECLARE * ERROR at line 1: ORA-20001: Downgrade cannot proceed - 
Unified Audit Trail data exists. Please clean up the data first 
using DBMS_AUDIT_MGMT.CLEAN_AUDIT_TRAIL. ORA-06512: at line 65 
ORA-06512: at line 42

CDB$ROOTおよびすべてのPDBで統合監査証跡を削除する必要があります。

たとえば:
  1. 統合監査証跡の存在を確認します。

    SQL> SELECT COUNT(*) FROM UNIFIED_AUDIT_TRAIL;
    COUNT(*)
    ----------
          4538
  2. CDB上で監査証跡を削除します。

    たとえば、この場合監査証跡タイプはDBMS_AUDIT.MGMT.AUDITになります。

    EXEC DBMS_AUDIT_MGMT.CLEAN_AUDIT_TRAIL DBMS_AUDIT_MGMT.AUDIT
  3. CDB$ROOTcatdwngrd.sqlを実行します。PDBに依然として統合監査データが存在する場合、スクリプトはORA20001で失敗します。

     62        execute immediate
     63        'select count(*) from audsys.'||'"'||tab_name||'"' into no_rows;
     64
     65        -- If audit trail has some data, raise the application error
     66        IF no_rows > 0 THEN
     67          RAISE_APPLICATION_ERROR(-20001, ErrMsg);
     68        END IF;
     69      END IF;
     70    END IF;
     71  EXCEPTION
     72    WHEN NO_DATA_FOUND THEN
     73     NULL;
     74    WHEN OTHERS THEN
     75     RAISE;
     76  END;
     77  /
    DECLARE
    *
    ERROR at line 1:
    ORA-20001: Downgrade cannot proceed - Unified Audit Trail data exists.Please
    clean up the data first using DBMS_AUDIT_MGMT.CLEAN_AUDIT_TRAIL.
    ORA-06512: at line 75
  4. 個々のPDBに接続し、統合監査証跡があるかどうかを確認します。すべてのPDBの統合監査証跡をクリアします。たとえば、PDB1という名前のPDBに統合監査証跡がある場合、次のようになります。

    ALTER SESSION SET container = PDB1;
    
    SQL> SELECT COUNT(*) FROM UNIFIED_AUDIT_TRAIL;
     COUNT(*)
    ----------
          1330
  5. 統合監査証跡を特定します。

    SQL> CREATE TABLE UA_DATA AS (SELECT * FROM UNIFIED_AUDIT_TRAIL);
  6. 監査証跡を削除します。

    この例では、監査証跡タイプはDBMS_AUDIT_MGMT.AAUDIT_TRAIL_UNIFIEDであり、USE_LAST_ARCH_TIMESTAMP値はFALSEに設定されているため、最終アーカイブ・タイムスタンプを考慮せずにすべての監査レコードが削除され、CONTAINER値がDBMS_AUDIT_MGMT.CONTAINER_ALLに設定されているため、すべてのPDB上の監査レコードが削除されます。

    BEGIN
      DBMS_AUDIT_MGMT.CLEAN_AUDIT_TRAIL(
       AUDIT_TRAIL_TYPE           =>  DBMS_AUDIT_MGMT.AUDIT_TRAIL_UNIFIED,
       USE_LAST_ARCH_TIMESTAMP    =>  FALSE,
       CONTAINER                  =>  DBMS_AUDIT_MGMT.CONTAINER_ALL
    END;
    /
  7. PDBおよびCDBレベルでcatdwngrd.sqlを再実行します。たとえば:

    $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -c 'CDB$ROOT,PDB1' -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin -e -b catdwgrd -l /u01/oracle/product/19.0.0/downgrade_logs -r catdwgrd.sql
  8. CDBおよびPDBでスクリプトが正常に完了してORA-20001エラーがログに表示されなくなるまで、監査証跡を検索して削除するプロセスを繰り返し、catdwgrd.sqlを実行します

アップグレードの成功または失敗後のOracle Grid Infrastructure (Oracle Restart)のダウングレード

Oracle Restartをダウングレードするには、Oracle Grid Infrastructureを構成解除してから再インストールする必要があります。その後、データベースおよびサービスを戻すことができます。

Oracle Messaging Gatewayを使用したデータベースのダウングレード・エラー

Oracle Messaging Gatewayを使用して構成されたデータベースをダウングレードすると、ORA-02303エラーが発生することがあります。

Oracle Messaging Gatewayオブジェクトを含むOracle Databaseをダウングレードすると、次のエラーが発生することがあります。

ORA-02303: cannot drop or replace a type with type or table dependents
  • 原因 catrelod.sqlスクリプトで、以前のOracle Databaseリリースとは異なるタイプのOracle Messaging Gatewayオブジェクトを再ロードしようとしています。
  • 処置 処置は必要ありません。このエラーは無視できます。