AutoUpgradeのための完全なデプロイの有効化
保証付きリストア・ポイント(GRP)を有効にしてアップグレードをフラッシュバックできるようにするには、アーカイブ・ロギングを設定し、AutoUpgradeを有効にしてアップグレードを完了できるように他のタスクを完了する必要があります。
AutoUpgradeで新しいリリースのOracle Databaseの完全なデプロイを実行できるようにするには、次の条件を満たす必要があります。
- データベースには、高速リカバリ領域(FRA)の適切な構成が必要です。具体的には、
DB_RECOVERY_FILE_DEST
およびDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
を設定し、適切なサイズにする必要があります。 - ソースOracle Databaseは、
ARCHIVELOG
モードで実行する必要があります。
ノート:
AutoUpgradeでは、デプロイ処理モードで保証付きリストア・ポイント(GRP)を作成します。以前に定義された保証付きリストア・ポイントは必要ありません。
例4-17 AutoUpgradeを使用する前のアーカイブ・ロギングおよび高速リカバリ領域(FRA)の設定
次の例では、your-directory-or-diskgroup
は、リカバリ領域が配置されているディレクトリ・パスまたはディスク・グループです。DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
の値は50GBに指定されますが、リカバリ領域に必要な値を使用する必要があります。
sqlplus / as sysdba
shutdown immediate;
startup mount;
alter system set db_recovery_file_dest_size = 50g scope=both sid='*';
alter system set db_recovery_file_dest ='your-directory-or-diskgroup' scope=both sid='*';
alter database archivelog;
alter database open;
alter pluggable database all open;
例4-18 パスワード・ファイルとセキュリティ・パスワード・ファイルの更新
アップグレード中に、AutoUpgradeユーティリティはソースOracleデータベースのOracleホームからターゲットのOracleデータベースのOracleホームにパスワード・ファイルをコピーします。ただし、コピーされたパスワード・ファイルは以前のリリースのパスワード・ファイル・バージョンを保持します。パスワード・ファイルを再生成して、新しいリリース・パスワード・ファイル・バージョンに更新することをお薦めします。
例4-19 透過的データ暗号化およびAutoUpgrade
AutoUpgradeユーティリティで透過的データ暗号化キーストアのコピーに必要な権限を取得できるようにするには、AutoUpgradeがターゲット・リリースのOracleホームにコピーできるように、これらのキーストアに対する自動ログインを有効にする必要があります。自動ログインを有効にしない場合、AutoUpgradeはアップグレードを完了できません。
また、AutoUpgradeでは、TNS_ADMIN
環境変数を使用してOracle Net管理ディレクトリの場所が検索されます。TNS_ADMIN
環境変数が定義されていない場合、ネットワーク管理ディレクトリのパスはデフォルトでパスOracle_home/network/admin
になります。別のパスを指定する必要がある場合は、ローカル構成パラメータsource_tns_admin_dir
を使用して構成ファイルにパスを指定し、必要に応じてtarget_tns_admin_dir
を使用してターゲット・パスを指定します。
既存のキーストアに対するADMINISTRATOR KEY MANAGEMENT
またはSYSKM
権限を使用して、自動ログイン・ソフトウェア・キーストアまたはローカル自動ログイン・ソフトウェア・キーストアを有効にします。たとえば、パスワード保護されたキーストアの自動ログイン・ソフトウェア・キーストアを /etc/ORACLE/WALLETS/orcl
ディレクトリに作成するには、次のようにします。
ADMINISTER KEY MANAGEMENT CREATE AUTO_LOGIN KEYSTORE
FROM KEYSTORE '/etc/ORACLE/WALLETS/tde'
IDENTIFIED BY password;
keystore altered.
ノート:
AutoUpgradeが透過的データ暗号化キーストアのコピーを完了した後、自動ログインを無効にして、以前のリリースのセキュリティがリストアされるようにします。