AutoUpgradeユーザー構成ファイルのグローバル・パラメータ

構成ファイルで扱われるすべてのOracle Databaseアップグレードのパラメータに対するデフォルトの動作を指定するには、オプションのAutoUpgradeグローバル・パラメータを使用できます。

使用上のノート

グローバル・パラメータは、アップグレードまたはデプロイ・モードを使用する場合のtarget_homeを除き、すべてオプションです。すべてのグローバル・パラメータは接頭辞globalを使用します。

add_after_upgrade_pfileおよびdel_during_upgrade_pfileグローバルおよびローカルのPFILEパラメータ操作は、次の階層順序で実行されます。

  1. グローバル・アクション
    1. グローバルの削除
    2. グローバルの追加
  2. ローカル・アクション
    1. ローカルの削除
    2. ローカルの追加

add_after_upgrade_pfile

(オプション) PFILEをアップグレードした後にパラメータを追加するPFILEのパスおよびファイル名を指定します。

使用上のノート

この指定は、ユーザー構成ファイル内のすべてのデータベースに適用されます。

global.add_after_upgrade_pfile=/path/to/my/add_after.ora

add_during_upgrade_pfile

(オプション) PFILEのアップグレード中にパラメータを追加するPFILEのパスおよびファイル名を指定します。

使用上のノート

この指定は、ユーザー構成ファイル内のすべてのデータベースに適用されます。

global.add_during_upgrade_pfile=/path/to/my/add_during.ora

after_action

(オプション)すべてのアップグレード・ジョブが正常に終了した後に実行するカスタム・ユーザー・スクリプトのパスおよびファイル名を指定します。

使用上のノート

使用するスクリプトはname.ext (たとえば、myscript.sh)の形式である必要があります。これにより、AutoUpgradeは実行するスクリプトのタイプを識別できます。許可される拡張子オプションは、次のとおりです。

  • UNIXシェル(.sh)
  • Microsoft Windowsバッチ(.bat.cmd)
  • Microsoft Windows PowerShell (.ps1)

デフォルトでは、スクリプトが失敗すると、AutoUpgradeが引き続き実行されます。オペレーティング・システムがスクリプトの失敗を検出した場合、Yフラグを使用してAutoUpgradeが停止するように指定します。スクリプトが0とは異なるステータスで終了すると、失敗して完了したとみなされます。

スクリプトの出力が取得され、ファイルに格納されます。stdoutstderrの両方が取得されます。ファイルは、特定のデータベースまたはジョブに一致するディレクトリのpostupgradeサブディレクトリに格納されます。

次の環境変数はスクリプトを実行するシェルに設定されます。

  • ORACLE_SID
  • ORACLE_UNQNAME
  • ORACLE_BASE
  • ORACLE_HOME
  • TNS_ADMIN

スクリプトが失敗した場合、AutoUpgradeを停止します。

global.after_action=/path/to/my/script.sh Y 

スクリプトが失敗した場合、AutoUpgradeを続行します。


global.after_action=/path/to/my/script.sh

autoupg_log_dir

(オプション) AutoUpgradeが使用するログ・ファイルとグローバル・モジュールに属する一時ファイルの場所を設定します。

使用上のノート

特定の接頭辞のログ・ディレクトリにあるuserconfigファイルに、異なるログ・ディレクトリ・パスを構成できます

このパラメータをパスに設定しない場合、デフォルトでは、ログ・ファイルは構成ファイルに含めるデータベースのorabaseユーティリティで示される場所に配置されます。その場合、デフォルトのログ・ディレクトリはパスORACLE_BASE/cfgtoollogs/autoupgradeにあります。

構成ファイルに含まれるすべてのデータベースについてorabaseユーティリティが失敗した場合、ログ・ファイルの場所は、AutoUpgradeを実行しているユーザーのtempディレクトリに基づきます。

global.autoupg_log_dir=/path/to/my/global/log/dir

特定の接頭辞のログ・ディレクトリにあるuserconfigファイルに、異なるログ・ディレクトリ・パスを構成します

global.autoupg_log_dir=/path/to/my/global/log/dir
myprefix.log_dir=global.auto_log_dir:different/path

この構文が使用されると、ログ・ファイルおよび一時ファイルは、接頭辞myprefixで識別されるデータベースの次のパスに配置されます。

/path/to/my/global/log/dir/different/path

before_action

(オプション) アップグレード・ジョブを開始する前にすべてのアップグレードに対して実行するカスタム・ユーザー・スクリプトを指定します。

使用上のノート

使用するスクリプトはname.ext (たとえば、myscript.sh)の形式である必要があります。これにより、AutoUpgradeは実行するスクリプトのタイプを識別できます。特定のアップグレード・ジョブの前にスクリプトを実行する場合は、ローカル・パラメータ(local.before_action)を使用してそのスクリプトを指定します

許可される拡張子オプションは、次のとおりです。

  • UNIXシェル(.sh)

  • Microsoft Windowsバッチ(.bat.cmd)

  • Microsoft Windows PowerShell (.ps1)

デフォルトでは、スクリプトが失敗すると、AutoUpgradeが引き続き実行されます。オペレーティング・システムがスクリプトの失敗を検出した場合、Yフラグを使用してAutoUpgradeが停止するように指定します。スクリプトが0とは異なるステータスで終了すると、失敗して完了したとみなされます。

スクリプトの出力が取得され、ファイルに格納されます。stdoutstderrの両方が取得されます。ファイルは、特定のデータベースまたはジョブに一致するディレクトリのpreupgradeサブディレクトリに格納されます。

次の環境変数はスクリプトを実行するシェルに設定されます。

  • ORACLE_SID
  • ORACLE_UNQNAME
  • ORACLE_BASE
  • ORACLE_HOME
  • TNS_ADMIN

スクリプトが失敗した場合、AutoUpgradeを停止します。

global.before_action=/path/to/my/script.sh Y 

スクリプトが失敗した場合、AutoUpgradeを続行します。


global.before_action=/path/to/my/script.sh

catctl_options

(オプション) AutoUpgradeがcatctl.plに送信してデフォルトの動作をオーバーライドするために選択できるcatctl.plオプションのセットを1つ以上指定します。

オプション

使用可能なcatctl.plオプション:

  • -n パラレル操作に使用するプロセス数。リプレイ・アップグレードの場合、アップグレードに使用されるパラレル・プロセスの数は、CPU_COUNTを4で割った値にデフォルト設定されます。クラシック・アップグレードの場合、CDB$ROOTのデフォルトは8です。
  • -N PDBのアップグレード時に使用するプロセッサの数。リプレイ・アップグレードの場合、アップグレードに使用されるパラレル・プロセスの数は、CPU_COUNTを4で割った値にデフォルト設定されます。クラシック・アップグレードの場合、デフォルトは2です
  • -T オフラインのユーザー・スキーマベースの表領域を取得します。
  • -z catcon.pmの本番デバッグ情報を有効にします。

global.catctl_options=-n 24 -N 4

del_after_upgrade_pfile

(オプション) PFILEのアップグレード後にパラメータを削除するPFILEのパスおよびファイル名を指定します。

使用上のノート

この指定は、ユーザー構成ファイル内のすべてのデータベースに適用されます。

global.del_after_upgrade_pfile=/path/to/my/del_after.ora

del_during_upgrade_pfile

(オプション) PFILEのアップグレード中にパラメータを削除するPFILEのパスおよびファイル名を指定します。

使用上のノート

この指定は、ユーザー構成ファイル内のすべてのデータベースに適用されます。

global.del_during_upgrade_pfile=/path/to/my/del_during.ora

drop_grp_after_upgrade

(オプション)データベースのアップグレード後に、保証付きリストア・ポイント(GRP)を削除します。

使用上のノート

このオプションを選択した場合、アップグレードが正常に完了した後にGRPが削除されます。raise_compatibleyesに設定する場合は、パラメータdrop_grp_after_upgradeyesに設定する必要があります。

オプション

[yes | no]

デフォルト値はnoです。

global.drop_grp_after_upgrade=yes

json_progress_writing_interval

(オプション) AutoUpgrade進捗JSONレポートの書込み間隔の時間を設定します。

使用上のノート

このパラメータは、AutoUpgrade進捗JSONレポートが書き込まれる頻度を指定します。このパラメータを設定しない場合、デフォルトではAutoUpgrade進捗JSONレポートの間隔は30秒です

次の例では、global.json_progress_writing_interval=90を使用して、JSON進捗レポートがglobal.autoupg_log_dirで指定されたログ・ディレクトリに90秒ごとに書き込まれるように指定します:
global.json_progress_writing_interval=90
global.autoupg_log_dir=/path/to/my/global/log/dir

keystore

(オプション)AutoUpgradeがパスワードを格納するために排他的に使用する専用ソフトウェア・キーストアの場所と、その他の機密情報を指定します。

使用上のノート

キーストア・パラメータを使用して、AutoUpgradeが排他的に使用する専用ソフトウェア・キーストアを作成する場所を指定できます。

AutoUpgradeキーストアには、ファイルewallet.p12が格納されます(データベースで使用される他の種類のキーストアと同様)。ファイルは、TDEプロンプトでsaveコマンドを使用すると作成されます。自動ログイン・キーストアの生成を選択すると、ファイルcwallet.ssoも作成されます。自動ログイン・キーストアがある場合、AutoUpgradeの起動時にキーストア・パスワードの入力を求められません。

AutoUpgradeによって生成されたキーストアには機密情報が格納され、キーストアを初めて使用するときに選択したパスワードで保護されます。キーストアを変更するたびに、パスワードを指定する必要があります。AutoUpgradeの自動ログイン・キーストアを作成することにした場合を除き、AutoUpgradeを起動し、AutoUpgradeがキーストアからの情報を要求するたびに、キーストア・パスワードを指定する必要があります。

注意:

global.keystoreで指定するディレクトリにはソフトウェア・キーストアが含まれているため、他のすべての高度にセキュアなキーストア・ファイルと同じセキュリティのベスト・プラクティスを使用して保護する必要があります。

次の例では、ORACLE_SIDを、キーストアを使用するデータベースのシステム識別子に置き換えます。
global.keystore=/etc/oracle/keystores/ORACLE_SID/autoupgrade

raise_compatible

(オプション)アップグレードが正常に完了した後、compatibleパラメータをターゲット・リリースのデフォルト値まで増やします。

使用上のノート

このオプションを選択した場合、アップグレードが正常に完了した後にGRPが削除されます。raise_compatibleyesに設定する場合は、パラメータdrop_grp_after_upgradeyesに設定する必要があります。

注意:

  • COMPATIBLEパラメータを増やした後、データベースのダウングレードはできません。
  • COMPATIBLEパラメータを現在のリリース・レベルに設定するのは、アップグレードしたデータベースを完全にテストした後にのみ行うことをお薦めします。
  • autoupgradeコマンドライン・パラメータrestoreに使用する値に関係なく、構成ファイル・パラメータraise_compatibleの値をyesに設定した場合は、アップグレードを開始する前に、作成した保証付きリストア・ポイントを手動で削除する必要があります。アップグレードが正常に完了すると、アップグレードを開始する前にAutoUpgradeによって作成された保証付きリストア・ポイントは自動的に削除されます。AutoUpgradeによってPOSTUPGRADEステージが開始されると、データベースをリストアする方法はありません。
  • raise_compatibleyesに設定する場合は、パラメータdrop_grp_after_upgradeyesに設定する必要があります。

オプション

[yes | no]

デフォルト値はnoです。

global.raise_compatible=yes

replay

(オプション)リプレイを使用してデータベースをアップグレードするかどうかを指定します。

使用上のノート

デフォルトでは、AutoUpgradeはクラシック・アップグレードを実行してデータベースをアップグレードします。

オプション

[yes | no]

デフォルト値はnoです。

global.replay=yes

target_base

(オプション)ターゲットOracleホームのターゲットORACLE_BASEパスを指定します。

使用上のノート

このパラメータを使用する必要があるのは、まれな場合のみです。

global.target_base=/u01/app/oracle
sales4.target_base=/u04/app/oracle4

target_home

(分析および修正モードの場合はオプションです。アップグレードおよびデプロイ・モードの場合は必須です。)構成ファイルで指定されたすべてのデータベースのグローバル・ターゲット・ホームを設定します。

使用上のノート

同じtarget_homeを複数回指定しないようにするには、このオプションを使用します。このパラメータはローカルで上書きできます。

global.target_home=/target/Oracle/home

target_version

(オプション)AutoUpgradeでアップグレードを実行するターゲット・リリース・バージョンを指定します。

使用上のノート

AutoUpgradeでは、このパラメータで指定したリリース・バージョン情報を使用して、アップグレード対象のターゲットのOracle Databaseリリースに対して正しいチェックおよび修正が使用されるようにします。このパラメータの形式は、有効なOracleバージョンのピリオド区切りの値です。

有効な値

  • 12.2
  • 18
  • 19
  • 21

このオプションは、ターゲット・ホームがシステムに存在しないか、ターゲット・ホームが12.2リリースの場合のみ必要です。それ以外の場合、AutoUpgradeはターゲット・リリース値を導出できます。

global.target_version=19
employees.target_version=12.2

upgradexml

(オプション) upgrade.xmlファイルを生成します。

使用上のノート

生成されたupgrade.xmlは、XMLパラメータを指定したときにアップグレード前パッケージが生成した以前のリリースのファイルと同等のものです。このファイルは、分析モード(mode -analyze)中に作成されます。これは、AutoUpgradeログ・ファイル用に定義された事前チェック・ディレクトリに生成されます。

オプション

[yes | no]

デフォルト値はnoです。

global.upgradexml=yes