4.8 モデル設定の指定

モデルは、モデル設定を指定して構成できます。

機械学習モデルは、作成時に多数の構成設定を使用して構成できます。CREATE_MODELまたはCREATE_MODEL2プロシージャでモデル設定を指定します。CREATE_MODELプロシージャで設定を指定するには、次の表に示す列を持つ設定表を作成し、その表をプロシージャ内で渡します。

また、CREATE_MODEL2プロシージャを使用して、プロシージャ内で使用できる変数にモデル設定を直接渡すこともできます。変数は、DBMS_DATA_MINING.SETTING_LISTプロシージャを使用して宣言できます。

表4-9 設定表に必要な列

列名 データ型

setting_name

VARCHAR2(30)

setting_value

VARCHAR2(4000)

例4-3では、サポート・ベクター・マシン(SVM)分類モデルの設定表が作成されます。SVMはデフォルトの分類機能ではないため、ALGO_NAME設定を使用してこのアルゴリズムを指定します。SVMS_KERNEL_FUNCTIONSVMS_LINEARに設定することにより、モデルは線形カーネルを使用して作成されます。カーネル関数を指定しない場合、アルゴリズムがデータの属性の数に基づいてカーネルを選択します。

例4-4では、SETTING_LISTの変数に格納されているモデル設定を使用して、モデルを作成します。

通常はモデルに適用される設定と、アルゴリズムに固有の設定があります。モデルの設定は表4-10および表4-11を参照してください。

表4-10 一般的なモデルの設定

設定 説明

機械学習機能の設定

機械学習手法の設定

アルゴリズム名

アルゴリズム名

グローバルなモデルの特性

グローバル設定

自動データ準備

自動データ準備

表4-11 アルゴリズム固有のモデルの設定

アルゴリズム 説明

CUR行列分解

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: CURマトリックス分解

デシジョン・ツリー

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: デシジョン・ツリー

期待値の最大化

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: 期待値の最大化

明示的セマンティック分析

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: 明示的セマンティック分析

指数平滑法

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: 指数平滑法モデル

一般化線形モデル

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: 一般化線形モデル

k-Means

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: k-Means

多変量状態推定手法 - 順次確率比率テスト

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズム設定: 多変量状態推定技術 - 逐次確率比検定

Naive Bayes

アルゴリズムの設定: Naive Bayes

ニューラル・ネットワーク

DBMS_DATA_MINING — アルゴリズムの設定: ニューラル・ネットワーク

Non-Negative Matrix Factorization

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: Non-Negative Matrix Factorization

O-Cluster

アルゴリズムの設定: O-Cluster

ランダム・フォレスト

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: ランダム・フォレスト

特異値分解

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: 特異値分解

サポート・ベクター・マシン

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: サポート・ベクター・マシン

XGBoost

DBMS_DATA_MINING - アルゴリズムの設定: XGBoost

ノート:

XGBoostの一部の目標は分類関数モデルのみに適用され、他の目標は回帰関数モデルのみに適用されます。互換性のないobjective値を指定すると、エラーが発生します。DBMS_DATA_MINING.CREATE_MODELプロシージャで関数としてDBMS_DATA_MINING.CLASSIFICATIONを指定した場合、使用できる目標値はbinaryおよびmultiの値のみです。例外の1つは、連続した値を生成して回帰モデルにのみ適用されるbinary: logitrawです。関数としてDBMS_DATA_MINING.REGRESSIONを指定する場合は、binary: logitraw、またはcountrankregおよびsurvivalのいずれかの値を目標として指定できます。

XGBoostの目標の設定値は、DBMS_DATA_MINING — アルゴリズムの設定: XGBoostの「学習タスクの設定」表にリストされています。

例4-3 CREATE.MODELプロシージャを使用した設定表の作成およびSVM分類モデルの作成

CREATE TABLE svmc_sh_sample_settings (
  setting_name VARCHAR2(30),
  setting_value VARCHAR2(4000));

BEGIN 
  INSERT INTO svmc_sh_sample_settings (setting_name, setting_value) VALUES
    (dbms_data_mining.algo_name, dbms_data_mining.algo_support_vector_machines);
  INSERT INTO svmc_sh_sample_settings (setting_name, setting_value) VALUES
    (dbms_data_mining.svms_kernel_function, dbms_data_mining.svms_linear);
  COMMIT;
END;
/
-- Create the model using the specified settings 
BEGIN
  DBMS_DATA_MINING.CREATE_MODEL(
    model_name          => 'svm_model',
    mining_function     => dbms_data_mining.classification,
    data_table_name     => 'mining_data_build_v',
    case_id_column_name => 'cust_id',
    target_column_name  => 'affinity_card',
    settings_table_name => 'svmc_sh_sample_settings');
END;

例4-4 CREATE_MODEL2プロシージャを使用したSVM分類モデルのモデル設定の指定

DECLARE
    v_setlist DBMS_DATA_MINING.SETTING_LIST;
BEGIN
    v_setlist('PREP_AUTO') := 'ON';
    v_setlist('ALGO_NAME') := 'ALGO_SUPPORT_VECTOR_MACHINES';
    v_setlist('SVMS_KERNEL_FUNCTION') := 'SVMS_LINEAR';
 
    DBMS_DATA_MINING.CREATE_MODEL2(
        MODEL_NAME          => 'SVM_MODEL',
        MINING_FUNCTION     => 'CLASSIFICATION',
        DATA_QUERY          => 'select * from mining_data_build_v',
        SET_LIST            => v_setlist,
        CASE_ID_COLUMN_NAME => 'CUST_ID,
	TARGET_COLUMN_NAME  => 'AFFINITY_CARD');
END;

4.8.1 コストの指定

デシジョン・ツリー・モデルを作成するためのコスト・マトリックスを指定します。

CLAS_COST_TABLE_NAME設定は、デシジョン・ツリー・モデルの作成に使用するコスト・マトリックス表の名前を指定します。コスト・マトリックスは、分類モデルにバイアスをかけて、コストのかかる分類ミスを最小化します。コスト・マトリックス表には、次の表に示す列が必要です。

表4-12 コスト・マトリックス表に必要な列

列名 データ型

actual_target_value

有効なターゲット・データ型

predicted_target_value

有効なターゲット・データ型

cost

NUMBER

デシジョン・ツリーは、作成時にコスト・マトリックスを指定できる唯一のアルゴリズムです。ただし、スコアリングの際には、どの分類モデルにもコスト・マトリックスを作成して関連付けることができます。

スコアリングにコストを使用する場合は、表4-12に示す列を持つ表を作成し、DBMS_DATA_MINING.ADD_COST_MATRIXプロシージャを使用してコスト・マトリックス表をモデルに追加します。PREDICTION関数を呼び出すときに、コスト・マトリックスをインラインで指定することもできます。表3-1で、有効なターゲット・データ型の詳細を示しています。

4.8.2 事前確率の指定

事前確率は、作成データと実際の母集団の間の分布の差を埋めるために使用されます。

CLAS_PRIORS_TABLE_NAME設定は、Naive Bayesモデルの作成に使用する事前確率表の名前を指定します。事前表には、次の表に示す列が必要です。

表4-13 事前確率表に必要な列

列名 データ型

target_value

有効なターゲット・データ型

prior_probability

NUMBER

4.8.3 クラスの重みの指定

より高い重み付けのクラスを優先するには、ロジスティック回帰またはサポート・ベクター・マシン(SVM)分類でクラス重み表設定を指定します。

CLAS_WEIGHTS_TABLE_NAME設定は、より高い重み付けのクラスを優先するようにロジスティック回帰(一般化線形モデル分類)またはSVM分類のモデルにバイアスをかけるために使用する、クラスの重み表の名前を指定します。重み表には、次の表に示す列が必要です。

表4-14 クラスの重みの表に必要な列

列名 データ型

target_value

有効なターゲット・データ型

class_weight

NUMBER

4.8.4 RモデルのOracle Machine Learningモデル設定の指定

Oracleオンプレミスのみ このトピックは、Oracleオンプレミスにのみ適用されます。

R言語モデルの機械学習モデル設定によって、モデルの特性が決まります。モデル設定はモデル設定表で指定します。
R言語で機械学習モデルを作成するには、モデル設定表のALGO_EXTENSIBLE_LANG設定の値にRを指定します。アルゴリズムを必要としない一般的な設定(ODMS_PARTITION_COLUMNSODMS_SAMPLINGなど)を設定表で組み合せることによって、モデルを作成できます。Rの機械学習モデル専用の次の設定も指定できます。

関連トピック

4.8.4.1 ALGO_EXTENSIBLE_LANG

Oracle Machine Learning for SQLの拡張アルゴリズム・フレームワークの言語を指定するには、ALGO_EXTENSIBLE_LANG設定を使用します。

現在、RのみがALGO_EXTENSIBLE_LANG設定の有効な値です。ALGO_EXTENSIBLE_LANGの値にRを設定した場合、機械学習モデルは、R言語を使用して作成されます。設定表の次の設定を使用して、Rモデルの特性を指定できます。

関連トピック

4.8.4.2 RALG_BUILD_FUNCTION

R言語を使用するOracle Machine Learning for SQLモデルを作成するために既存の登録済Rスクリプトの名前を指定するには、RALG_BUILD_FUNCTION設定を使用します。

モデル設定表でRALG_BUILD_FUNCTION設定とALGO_EXTENSIBLE_LANG設定の両方を指定する必要があります。Rスクリプトは、最初の入力引数としてトレーニング・データ用のRのdata.frameオブジェクトを持つR関数を定義します。この関数は、Oracle Machine Learningのモデルのオブジェクトを戻します。最初のデータ引数は必須です。RALG_BUILD_FUNCTIONは、追加のモデル作成パラメータを受け入れることができます。

ノート:

入力パラメータの有効な入力は、数値および文字列のスカラー・データ型です。

例4-5 RALG_BUILD_FUNCTIONの例

この例は、モデルの作成に使用されるRスクリプトMY_LM_BUILD_SCRIPTの名前の指定方法を示しています。

Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_build_function,'MY_LM_BUILD_SCRIPT');
End;
/ 

RスクリプトMY_LM_BUILD_SCRIPTにより、LMモデルを作成するR関数が定義されます。既存のOML4Rセキュリティ制限を使用するOracle Machine Learning for Rスクリプト・リポジトリにスクリプトMY_LM_BUILD_SCRIPTを登録する必要があります。OML4Rsys.rqScriptCreateプロシージャを使用して、スクリプトを登録できます。OML4RでRスクリプトを登録するにはRQADMINロールが必要です。

たとえば:

Begin
sys.rqScriptCreate('MY_LM_BUILD_SCRIPT', 'function(data, formula, model.frame) {lm(formula = formula, data=data, model = as.logical(model.frame)}');
End;
/

クラスタリングと特徴抽出の機械学習機能のモデル作成では、戻りRモデルでR属性のdm$nclusおよびdm$nfeatを設定して、クラスタと特徴の数をそれぞれ指定する必要があります。

RスクリプトMY_KM_BUILD_SCRIPTにより、クラスタリング用のk-Meansモデルを作成するR関数が定義されます。R属性dm$nclusは、戻りクラスタリング・モデル用のクラスタ数で設定されます。

'function(dat) {dat.scaled <- scale(dat)
     set.seed(6543); mod <- list()
     fit <- kmeans(dat.scaled, centers = 3L)
     mod[[1L]] <- fit
     mod[[2L]] <- attr(dat.scaled, "scaled:center")
     mod[[3L]] <- attr(dat.scaled, "scaled:scale")
     attr(mod, "dm$nclus") <- nrow(fit$centers)
     mod}'

RスクリプトMY_PCA_BUILD_SCRIPTにより、PCAモデルを作成するR関数が定義されます。R属性dm$nfeatは、戻される特徴抽出モデル用の特徴数で設定されます。

'function(dat) {
     mod <- prcomp(dat, retx = FALSE)
     attr(mod, "dm$nfeat") <- ncol(mod$rotation)
     mod}'
4.8.4.2.1 RALG_BUILD_PARAMETER

RALG_BUILD_FUNCTION入力パラメータは、SQL SELECT問合せ文フォーマットの数値および文字列スカラー値のリストを指定します。

例4-6 RALG_BUILD_PARAMETERの例

RALG_BUILD_FUNCTION入力パラメータは、数値および文字列のスカラー値のリストである必要があります。入力パラメータはオプションです。

パラメータの構文は次のとおりです。
'SELECT value parameter name ...FROM dual'
この例は、RALG_BUILD_PARAMETERを使用して、入力引数'formula'の式、および入力引数'model.frame'の数値ゼロを指定する方法を示しています。これらの入力引数は、RALG_BUILD_FUNCTIONパラメータで使用されるRスクリプトの関数シグネチャと一致する必要があります。
Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_build_parameter, 'select ''AGE ~ .'' as "formula", 0 as "model.frame" from dual');
End;
/

関連トピック

4.8.4.3 RALG_DETAILS_FUNCTION

RALG_DETAILS_FUNCTIONは、R data.frameで戻されるRモデル・メタデータを指定します。

モデル情報を生成する、既存の登録済Rスクリプトの名前を指定するには、RALG_DETAILS_FUNCTIONを使用します。スクリプトにより、Rモデル・オブジェクトの最初の入力引数を含むR関数が定義されます。R関数の出力はdata.frameとなる必要があります。data.frameの列は、RALG_DETAILS_FORMAT設定によって定義され、数値または文字列スカラー型のみを含むことができます。

例4-7 RALG_DETAILS_FUNCTIONの例

この例は、モデル設定表にRスクリプトMY_LM_DETAILS_SCRIPTの名前の指定方法を示しています。このスクリプトにより、モデル情報の提供に使用されるR関数が定義されます。
Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_details_function, 'MY_LM_DETAILS_SCRIPT');
End;
/
Oracle Machine Learning for Rスクリプト・リポジトリでは、スクリプトMY_LM_DETAILS_SCRIPTは次のように登録されます。
 'function(mod) data.frame(name=names(mod$coefficients),
    coef=mod$coefficients)'

4.8.4.4 RALG_DETAILS_FORMAT

モデル・ビュー内の名前および列タイプを指定するには、RALG_DETAILS_FORMAT設定を使用します。

設定の値は、モデル・ビュー列の名前およびタイプの数値および文字列スカラー・データ型のリストを指定するSELECT文を含む文字列です。

RALG_DETAILS_FORMATRALG_DETAILS_FUNCTION設定の両方が指定されている場合、名前DM$VD <model_name>によるモデル・ビューが、Rモデルとともに現在のスキーマに作成されます。モデル・ビューの最初の列はPARTITION_NAMEです。パーティション化されていないモデルの場合はNULL値となります。モデル・ビューの他の列は、RALG_DETAILS_FORMAT設定によって定義されます。

例4-8 RALG_DETAILS_FORMATの例

この例は、生成されたモデル・ビューの列の名前およびタイプを指定する方法を示しています。モデル・ビューには、最初の列partition_nameの後にvarchar2列のattr_nameおよび数値列coef_valueが含まれます。
Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_details_format, 'select cast(''a'' as varchar2(20)) as attr_name, 0 as coef_value from dual');
End;
/

関連トピック

4.8.4.5 RALG_SCORE_FUNCTION

データのスコアリングに使用するRアルゴリズム機械学習モデルに既存の登録済Rスクリプトを指定するには、RALG_SCORE_FUNCTION設定を使用します。

指定したRスクリプトによりR関数が定義されます。最初の入力引数は、モデル・オブジェクトを定義します。2番目の入力引数は、データのスコアリングに使用されるR data.frameを定義します。

例4-9 RALG_SCORE_FUNCTIONの例

この例は、R関数が線形モデルのモデルを取得し、data.frame.のデータをスコアリングする方法を示しています関数引数objectはLMモデルです。引数newdataは、スコアリングするデータが含まれているdata.frameです。
function(object, newdata) {res <- predict.lm(object, newdata = newdata, se.fit = TRUE); data.frame(fit=res$fit, se=res$se.fit, df=summary(object)$df[1L])}

R関数の出力はdata.frameとなる必要があります。各行は、入力data.frameの対応するスコアリング・データの予測を表しています。data.frameの列は、次のように機械学習機能固有です。

回帰: 予測対象のターゲット値の単一の数値列であり、モデル適合の標準誤差および自由度の2つのオプション列があります。オプション列は、SQL関数PREDICTION_BOUNDSが動作するために必要です。

例4-10 回帰用のRALG_SCORE_FUNCTIONの例

この例は、モデル設定表model_setting_tableでのモデルのスコアリングに使用されるRスクリプトMY_LM_PREDICT_SCRIPTの名前の指定方法を示しています。

Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_score_function, 'MY_LM_PREDICT_SCRIPT');
End;
/
Oracle Machine Learning for Rスクリプト・リポジトリでは、スクリプトMY_LM_PREDICT_SCRIPTは次のように登録されます。
function(object, newdata) {data.frame(pre = predict(object, newdata = newdata))}

分類: 各列は、1つのターゲット・クラスの予測確率を表します。列名は、ターゲット・クラス名です。

例4-11 分類用のRALG_SCORE_FUNCTIONの例

この例は、モデル設定表model_setting_tableでのロジット分類モデルのスコアリングに使用されるRスクリプトMY_LOGITGLM_PREDICT_SCRIPTの名前の指定方法を示しています。

Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_score_function, 'MY_LOGITGLM_PREDICT_SCRIPT');
End;
/
OML4Rスクリプト・リポジトリでは、MY_LOGITGLM_PREDICT_SCRIPTは次のように登録されます。これは、"0"と "1"の2つのターゲット・クラスを持つロジット分類です。
'function(object, newdata) {
   pred <- predict(object, newdata = newdata, type="response");
   res <- data.frame(1-pred, pred);
   names(res) <- c("0", "1");
   res}'

クラスタリング: 各列は、1つのクラスタの予測確率を表します。列は、クラスタIDの順に並べられます。各クラスタにはクラスタIDが割り当てられ、これは1から始まる連続した値です。RモデルでCLUSTER_DISTANCEをサポートするには、Rスコア関数の出力は、予測確率の列の後に、クラスタIDの順で各クラスタへの距離の値を含む追加列を戻します。

例4-12 クラスタリング用のRALG_SCORE_FUNCTIONの例

この例は、モデル設定表model_setting_tableでのモデルのスコアリングに使用されるRスクリプトMY_CLUSTER_PREDICT_SCRIPTの名前の指定方法を示しています。

Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_score_function, 'MY_CLUSTER_PREDICT_SCRIPT');
End;
/
OML4Rスクリプト・リポジトリでは、スクリプトMY_CLUSTER_PREDICT_SCRIPTは次のように登録されます。
'function(object, dat){
     mod <- object[[1L]]; ce <- object[[2L]]; sc <- object[[3L]];
     newdata = scale(dat, center = ce, scale = sc);
     centers <- mod$centers;
     ss <- sapply(as.data.frame(t(centers)),
     function(v) rowSums(scale(newdata, center=v, scale=FALSE)^2));
     if (!is.matrix(ss)) ss <- matrix(ss, ncol=length(ss));
     disp <- -1 / (2* mod$tot.withinss/length(mod$cluster));
     distr <- exp(disp*ss);
     prob <- distr / rowSums(distr);
     as.data.frame(cbind(prob, sqrt(ss)))}'
この関数は、Rモデルからクラスタの中央値をフェッチし、スコア・データから対応するクラスタの中央値への距離に基づいて、各クラスタに属する確率を計算します。

特徴抽出: 各列は、1つの特徴の係数値を表します。列は、特徴IDの順に並べられます。各特徴には特徴IDが割り当てられ、これは1から始まる連続した値です。

例4-13 特徴抽出用のRALG_SCORE_FUNCTIONの例

この例は、モデル設定表model_setting_tableでのモデルのスコアリングに使用されるRスクリプトMY_FEATURE_EXTRACTION_SCRIPTの名前の指定方法を示しています。

Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_score_function, 'MY_FEATURE_EXTRACTION_SCRIPT');
End;
/
OML4Rスクリプト・リポジトリでは、スクリプトMY_FEATURE_EXTRACTION_SCRIPTは次のように登録されます。
 'function(object, dat) { as.data.frame(predict(object, dat)) }'

この関数は、Rモデルから特徴の中央値をフェッチし、スコア・データから対応する特徴の中央値への距離に基づいて、特徴の係数を計算します。

関連トピック

4.8.4.6 RALG_WEIGHT_FUNCTION

スコアリング内の各属性の重みまたは寄与率を計算する、既存の登録済Rスクリプトの名前を指定するには、RALG_WEIGHT_FUNCTION設定を使用します。指定したRスクリプトは、SQL関数PREDICTION_DETAILSで、属性の寄与率を評価するために使用されます。

指定したRスクリプトは、モデル・オブジェクトの最初の入力引数、およびスコアリング・データのR data.frameの2番目の入力引数を含むR関数を定義します。機械学習機能が分類、クラスタリングまたは特徴抽出の場合、ターゲット・クラス名、クラスタIDまたは特徴IDが3番目の入力引数によって渡され、その特定のクラス、クラスタまたは特徴の重みが計算されます。スクリプトにより、各属性の影響を与える重みが行内に含まれるdata.frameが戻されます。各行は、その入力スコアリングdata.frameに対応しています

例4-14 RALG_WEIGHT_FUNCTIONの例

この例では、model_setting_tableでのRモデル属性の重みまたは寄与率を計算するRスクリプトMY_PREDICT_WEIGHT_SCRIPTの名前を指定しています。
Begin
insert into model_setting_table values
(dbms_data_mining.ralg_weight_function, 'MY_PREDICT_WEIGHT_SCRIPT');
End;
/
Oracle Machine Learning for Rスクリプト・リポジトリでは、回帰用のスクリプトMY_PREDICT_WEIGHT_SCRIPTは次のように登録されます。
'function(mod, data) { coef(mod)[-1L]*data }'
OML4Rスクリプト・リポジトリでは、ロジット分類用のスクリプトMY_PREDICT_WEIGHT_SCRIPTは次のように登録されます。
'function(mod, dat, clas) {
   v <- predict(mod, newdata=dat, type = "response");
   v0 <- data.frame(v, 1-v); names(v0) <- c("0", "1");
   res <- data.frame(lapply(seq_along(dat),
   function(x, dat) {
   if(is.numeric(dat[[x]])) dat[,x] <- as.numeric(0)
   else dat[,x] <- as.factor(NA);
   vv <- predict(mod, newdata = dat, type = "response");
   vv = data.frame(vv, 1-vv); names(vv) <- c("0", "1");
   v0[[clas]] / vv[[clas]]}, dat = dat));
   names(res) <- names(dat);
   res}'

関連トピック

4.8.4.7 登録済Rスクリプト

RALG_*_FUNCTION設定は、Oracle Machine Learning for Rスクリプト・リポジトリ内に存在するRスクリプトを指定する必要があります。

Rスクリプトを登録するには、OML4RのSQLプロシージャsys.rqScriptCreateを使用します。スクリプトを登録するには、RQADMINロールが必要です。

RALG_*_FUNCTION設定には、次の機能があります。

  • RALG_BUILD_FUNCTION

  • RALG_DETAILS_FUNCTION

  • RALG_SCORE_FUNCTION

  • RALG_WEIGHT_FUNCTION

ノート:

Rモデルが機能するためには、RスクリプトがOML4Rスクリプト・リポジトリに存在する必要があります。

Rモデルを作成したら、指定したRスクリプトの名前がモデルの設定になります。Rモデルが機能し続けるためには、これらのRスクリプトがOML4Rスクリプト・リポジトリに存在する必要があります。

Rモデルを作成、スコアリングおよび表示するために使用されるRメモリーも、OML4Rで管理できます。

4.8.4.8 アルゴリズム・メタデータの登録

アルゴリズム・メタデータの登録では、統一性と一貫性のあるアプローチで新規アルゴリズム関数およびその設定を登録できます。

ユーザーはREGISTER_ALGORITHMプロシージャの登録プロセスを使用して新規アルゴリズムを追加できます。新しいアルゴリズムは、Oracle Machine Learning for SQL内で対応する機械学習機能に対して使用可能として表示できます。登録のメタデータに基づいて、設定ページが動的にレンダリングされます。アルゴリズム・メタデータの登録により、OML4SQL機械学習モデル機能が拡張されます。