2 新機能

Oracle APEXリリース23.1には、多数の新機能が含まれています。次の新機能は、APEXリリース22.2およびそれ以前のリリースには存在しません。

2.1 テンプレート・コンポーネント

テンプレート・コンポーネントは、ページ・デザイナ内でアクション、メニューおよびカスタム属性がサポートされる、再利用可能なUIコンポーネントを構築するための新しいプラグイン・タイプです。これらのコンポーネントは、1つ以上のデータ行を表示するリージョンとしてスタンドアロンでレンダリングすることも、列の一部としてレポート内で使用することもできます。

完全に宣言的 - テンプレート・コンポーネントでは、ページ・デザイナ内で宣言的に設定できる属性を使用してプラグインを作成できます。プラグインで定義された属性は、ページ・デザイナで、そのプラグイン・タイプを使用する列またはリージョンに対して使用できます。

アクションおよびメニュー・ボタン - プラグインに対するアクション位置およびアクション・テンプレートの導入により、テンプレート・コンポーネントの行レベル条件でアクションおよびメニュー・ボタンを定義できます。

ユニバーサル・テーマ・コンポーネント - 6つの即時利用可能なテンプレート・コンポーネントがユニバーサル・テーマに追加され、ページ・デザイナで、アバター、バッジ、コメント、コンテンツ行、メディア・リストおよびタイムラインというリージョン・タイプとして使用できます。これらの新しいリージョンはページ区切りを記憶し、ファセット検索とスマート・フィルタを利用でき、外部のOrder Byアイテムをサポートします。最新バージョンのユニバーサル・テーマを使用するアプリケーションでは、「ページの作成」ウィザードでコメント、コンテンツ行、メディア・リストおよびタイムラインを使用できます。

レポート列の一部 - 対話モード・レポート列タイプとして部分コンポーネントを使用し、アバターやバッジなどのコンテンツを表示するか、新しいテンプレート・ディレクティブ構文を使用して任意のHTML式に直接テンプレート・コンポーネントを適用します。

詳細は、『Oracle APEXアプリケーション・ビルダー・ユーザーズ・ガイド』「テンプレート・コンポーネント」を参照してください。

2.2 PWAプッシュ通知

ロー・コード・プッシュ通知を1つのスイッチで使用できるようになりました。すべてのデバイス、デスクトップおよびモバイルのユーザーが、オプトインしてプッシュ通知を受信できます。

通知 - メッセージのタイトル、本文およびアイコンが含まれる通知をユーザーのデバイスに直接送信します。通知をタップすると、APEXアプリケーションまたはアプリケーションの特定のページが表示されます。

簡単なサブスクリプション - APEXユーザーはアプリケーション内からプッシュ通知にサブスクライブでき、インスタンス管理者は通知のキューを管理できます。

新しいプロセスおよびAPI - 新しいネイティブ・プロセスおよびパブリックAPI (apex_pwa)がAPEXに加わり、APEXアプリケーションからのプッシュ通知の送信を処理できるようになりました。

2.3 モダナイズされたオブジェクト・ブラウザ

新機能

オブジェクト・ブラウザでは、データベース・オブジェクトの管理を容易にする、アクセスしやすくなり、合理化されたユーザー・エクスペリエンスを提供します。

簡単なフィルタリング - 単一のツリーからすべてのタイプのデータベース・オブジェクトを表示およびフィルタできるようになりました。フィルタをクリアまたは変更するまで、ブラウザ・セッションの間中、フィルタされたオブジェクトのサブセットに注目できます。

編集がより簡単に - 拡張された編集エクスペリエンスによって、コード・エディタのカーソル位置が記憶されるなど、表示していた最後のオブジェクトの編集を簡単に続けられるようになりました。ナビゲーション上の新しい警告によって、未保存の変更が意図せず失われることがなくなります。

パフォーマンスの向上 - 簡素化された「オブジェクトの作成」ウィザードを使用して、新しいランディング・ページから共通オブジェクトを作成できます。オブジェクトを表示しているときに、パッケージの仕様と本体間、または表の列とデータ間など、オブジェクトのタブ間を迅速に切り替えられるようになりました。

アクセシビリティ - オブジェクト・ブラウザがアクセシビリティ・ガイドラインに準拠するようになり、スクリーン・リーダーなどのアシスティブ・テクノロジを使用してデータベース・オブジェクトをより簡単に操作できるようになりました。

変更された機能

「オブジェクトの作成」ウィザードの合理化の一環として、ウィザードで使用されていた一部の機能が、オブジェクトの編集時にのみ使用可能になりました。

オブジェクト・ブラウザへのその他の変更には、次のものがあります。
  • 表、ビューまたはマテリアライズド・ビューからのデータ・ダウンロードは、.CSV形式ではなく、.XLSX形式で行われるようになりました。
  • 表、ビュー、パッケージ、プロシージャおよびファンクションの「REST」タブが移動されました。現在は、「RESTfulサービス」、「有効なオブジェクト」セクションで使用できます。
  • 表の「UIのデフォルト値」タブが移動されました。選択した表の「UIのデフォルト値」にアクセスするには、「列」タブに移動し、「詳細」「UIのデフォルト値」の順に選択します

非推奨になった機能

非推奨になったアイテムのリストは、「非推奨になったオブジェクト・ブラウザ機能」を参照してください。

詳細情報

モダナイズされたオブジェクト・ブラウザの詳細は、『Oracle APEX SQLワークショップ・ガイド』「オブジェクト・ブラウザを使用したデータベース・オブジェクトの管理」を参照してください。

2.4 ページ処理の改善

ページ処理の管理を合理化し、改善するための新機能が提供されています。

実行チェーン - 新しいページ・プロセス・タイプの「実行チェーン」が導入されました。ページ・プロセスをグループにまとめることや、ページ・プロセスをチェーンの子として追加して1つずつ実行することができます。チェーンは、バックグラウンドまたはフォアグラウンドで宣言的に実行できます。

バックグラウンド実行の制御 - モニタリングが「アクティブ・セッション」ページに追加され、バックグラウンドで実行されるプロセスをより詳細に制御できるようになりました。

ステータスおよび進行状況レポート - 新しいAPI (APEX_BACKGROUND_PROCESS)およびAPEXビュー(APEX_APPL_PAGE_BG_PROC_STATUS)を使用して、バックグラウンド・プロセスのステータスと進行状況をレポートします。

2.5 RESTデータ・ソースの機能強化

RESTデータ・ソースは、ソースの検出とレスポンスを詳細に制御できるように更新されました。

RESTソースの呼出しAPI - 呼出しAPIプロセスは、RESTデータ・ソースをサポートするように拡張されました。これにより、ページ・プロセスに対して完全に宣言的なREST呼出しが提供され、RESTソース・パラメータをページ・アイテム、SQL式、静的値などに簡単にマップできます。

次の新しいRESTソース・パラメータが導入されました。
  • 「ステータス・コード」および理由句を使用して、サーバー・レスポンスをページ・アイテムに簡単に取得できます。
  • 「データ・プロファイル」を使用すると、JSONレスポンス属性をページ・アイテムに簡単にフェッチできます。

SwaggerによるRESTソースの検出 - APEXで、Swagger/OpenAPIレスポンスに基づくRESTソースの検出がサポートされるようになりました。データ・プロファイルおよび追加のメタデータ(操作、URL、その他のパラメータなど)を含むレスポンスに基づいて完全なRESTデータ・ソースを作成します。

RAWセレクタ - 新しいスイッチ・アイテムがRESTデータ・ソース・プロファイルに追加され、行を現状のまま選択できます。有効にすると、JSON解析用のSQL問合せの生成時にAPEXによって行および列のセレクタがサニタイズされず、すべてのセレクタが指定されたとおりに使用されます。

2.6 プロパティ・グラフのサポート

APEXでは、Oracle Database 23aiで導入された機能である、プロパティ・グラフ問合せに基づくAPEXコンポーネントの構築がサポートされるようになりました。SQL問合せを使用して、プロパティ・グラフにAPEXページ・コンポーネント、共有LOV、自動化および検索構成を直接構築します。

2.7 SQL Developer Webの統合

メニュー・バーの「SQLワークショップ」メニューから直接、SQL Developer Webを開けるようになりました。この機能にはORDSバージョン23.1が必要で、インスタンス・レベルで構成されます。

REST対応の関連スキーマが1つあるワークスペースの場合は、SQL Developer Webは別のタブで開きます。それ以外の場合は、ポップアップ・ダイアログから必要なスキーマを選択する必要があります。SQL Developer Webにログインする際に使用できるスキーマは、一度に1つのみです。特定のスキーマのSQL Developer Webウィンドウを開いている状態で、別のスキーマを使用して2つ目のSQL Developer Webウィンドウを開くと、最初のスキーマのセッションが無効化されます。

2.8 APEX Webサービス・ログのECIDの取得

「ECIDを渡す」アプリケーション設定を使用して、エンドツーエンドのトレースのために実行コンテキストID (ECID)を外部Webサービスに渡せるようになりました。この属性が有効な場合、お客様は外部Webサービス・コールをAPEXのページ・コールに関連付けられます。

RESTデータ・ソースの構成で、またはWebサービスAPI apex_web_service.set_request_ecid_contextを使用して、この値を上書きできます。アプリケーションのインストール時に、APEX_APPLICATION_INSTALLを使用してこの値を設定できます。

2.9 アプリケーション・コンティニュイティ

新しいアプリケーション・セキュリティ属性「セッション・ステート・コミット」では、セッションおよびアイテムの値に対する変更と、付随するコミットの処理方法を制御できます。
  • リクエストの終わり - 変更は、リクエスト処理の終わりまで遅延されます。
  • 即時 - 変更はすぐに書き込まれ、コミットされます。
新しいアプリケーションは「リクエストの終わり」に設定され、既存のアプリケーションは「即時」に設定されます。

2.10 APEX管理者ダイジェスト

新しいAPEX管理者ダイジェストでは、メトリックとトレンド・チャートを使用して、インスタンス、ワークスペースおよびスキーマのヘルスをモニターします。サマリー・ダッシュボードのレポートには、前日の日次メトリックが含まれます。
  • インスタンス・メトリック - 作成されたワークスペース、削除されたワークスペースおよびデータベース・リンクなどの、インスタンス・レベルのメトリックです。
  • ワークスペース・メトリック - ユーザー・アカウント、個別ユーザー、ページ・イベント、ログイン試行、作成および削除されたアプリケーション、Webサービス・リクエストなどの、ワークスペース・レベルのメトリックです。
  • スキーマ・メトリック - データベース・リンク、ユーザー・スケジューラ・ジョブの集計、使用済領域と空き領域に関する情報などの、スキーマ・レベルのメトリックです。

2.11 自動プロビジョニングの制限

インスタンス管理者は、電子メール・パターンのリストを定義および管理できる、新しいUIおよびAPIを使用して、ワークスペースの自動プロビジョニングを簡単に管理できるようになりました。ワークスペースを自動プロビジョニングするときにブロック・リストを問い合せて、ブロック・リストのパターンに一致する電子メール・アドレスを制限します。この制限が機能するには、自動プロビジョニングを有効にする必要があります。

この機能により、APEX_INSTANCE_ADMINパッケージに次の2つの新しいプロシージャが追加されます。
  • ADD_AUTO_PROV_RESTRICTIONS
  • REMOVE_AUTO_PROV_RESTRICTIONS

2.12 新しいアプリケーション管理APIパッケージ

新しいAPEX_APPLICATION_ADMINパッケージによって、管理ジョブとプログラムで連携できるようになりました。このパッケージには、APEX_UTILから移行された既存のAPIが含まれ、次の管理タスク用のメソッドがあります。
  • (s|g)et_application_alias
  • (s|g)et_application_name
  • (s|g)et_application_status
  • (s|g)et_application_version
  • (s|g)et_authentication_scheme
  • (s|g)et_build_option_status
  • (s|g)et_build_status
  • (s|g)et_global_notification
  • (s|g)et_image_prefix
  • (s|g)et_max_scheduler_jobs
  • (s|g)et_parsing_schema
  • (s|g)et_pass_ecid
  • (s|g)et_proxy_server
  • get_no_proxy_domains

2.13 新しいカラー・ピッカー

JET互換のカラー・オブジェクトを持つ、新しいWebコンポーネント・ベースのカラー・ピッカーが導入されました。動的にカラー・ピッカーを作成し、実行時にオプションを変更して再度レンダリングできます。新しいカラー・ピッカーによって、「テーマ・ローラー」、「ページ・デザイナ」および「対話モード・レポート/対話グリッド」強調表示ダイアログの古いカラー・ピッカーが置き換えられます。

2.14 テーマ・ローラーでのインポートおよびエクスポート

テーマ・スタイルをテーマ・ローラーから直接、JSON形式でインポートおよびエクスポートできるようになりました。テーマ・スタイルをインポート、エクスポートまたはリセットするには、テーマ・ローラーの「追加のオプション」メニューを使用します。

ヒント:

VitaテーマとRedwood Lightテーマには互換性がありません。この一方からエクスポートしたものを、もう一方にインポートすることはできません。

2.15 リージョン表示セレクタの機能強化

リージョン表示セレクタで、次の操作がサポートされるようになりました。
  • リージョン表示セレクタ・タブのタイトルの横にリージョン・アイコンを表示
  • 「前回の選択を記憶する」タブで、ページのロード時にタブ選択を制御
  • APEX_REGION.RESETを使用した、タブ選択のユーザーまたはセッション・プリファレンスのリセット

2.16 プラグイン属性の更新

アイテム・プラグイン・インフラストラクチャは、これまでの15個から25個の属性をサポートするように拡張されました。apex_application_page_itemsディクショナリ・ビューは、これらの新しい属性を表示するように拡張されました。

プラグイン属性のカスタム・グループを定義して、類似のプラグイン属性を簡単にグループ化できるようになりました。カスタム属性グループを既存のプラグインに追加するには、プラグインを編集します。

2.17 アプリケーション・アイコンの忠実度の改善

アプリケーションの作成時またはアプリケーション・アイコンの変更時に、APEXで、共有コンポーネント「アプリケーション静的ファイル」に2つの新しいアイコン・ファイルが生成されるようになりました。これらの新しいアイコン・スタイルは、Windows、macOS、Android、iOSを含むすべてのオペレーティング・システムのPWAをサポートします。

APEX 23.1より前に作成されたアプリケーションでは、「ユーザー・インタフェース属性」ページの「アイコンの変更」ボタンを使用して、すべてのアイコンを再生成します。

2.18 ランタイム・メッセージをアイスランド語に翻訳

APEXでランタイム・メッセージのアイスランド語への翻訳がサポートされ、言語サポートが32言語に拡張されました。

APEXでサポートされている言語は、アラビア語、ポルトガル語(ブラジル)、クロアチア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、フィンランド語、フランス語、フランス語(カナダ)、ドイツ語、ギリシャ語、ヘブライ語、ハンガリー語、アイスランド語、イタリア語、日本語、韓国語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語(ポルトガル)、ルーマニア語、ロシア語、セルビア語(キリル文字)、セルビア語(ラテン文字)、簡体字中国語、スロバキア語、スロベニア語、スペイン語、スウェーデン語、タイ語、繁体字中国語、トルコ語です。

詳細は、『Oracle APEXインストレーション・ガイド』「言語変換されたバージョンのAPEXのインストール」を参照してください。

2.19 コード・エディタからのページの保存および実行

コード・エディタのダイアログを閉じることなく、ダイアログから直接、ページ・デザイナで標準ページを実行できるようになりました。エディタ・ツールバーの新しい「ページの保存と実行」ボタンまたはデフォルトのキーボード・ショートカット(Alt+F8)を使用します。

2.20 状況依存APEXヘルプ

内部アプリケーションのドキュメント・リソースへのリンクが、適切なブックまたは章にリダイレクトするように更新されました。これにより、APEXアプリケーション・ビルダー、SQLワークショップおよびその他の内部アプリケーション内からのすべてのドキュメント・リンクの品質が向上します。

2.21 マルチテナント認証

新しい「構成プロシージャ」属性を使用すると、プロシージャを使用して認証を実行時に動的に構成できます。認証プロシージャは、各セッションで少なくとも1回実行されます。このプロシージャを使用して、authentication_namesubstitutionsおよびtenant_idを指定できます。

2.22 承認コンポーネントの強化

タスクで、新しい期日パラメータを使用できるようになりました。

ページ・デザイナの「設定」で「期日アイテム」を使用できます。これを指定すると、関連するタスク定義から計算された期日がこの値によって上書きされます。

パラメータp_due_dateCREATE_TASK APIで使用することもできます。

2.23 JavaScript APIの更新

新しい関数とメソッド

このリリースには、次の新しいファンクションまたはメソッドが含まれています。
  • アクション・インタフェース・メソッドariaKeyshortcut
  • apex.pwaネームスペース・ファンクション:
    • getPushSubscription
    • hasPushSubscription
    • subscribePushNotifications
    • unsubscribePushNotifications
  • モデル・インタフェース・メソッドgetDataOverflow

新しいオプション、パラメータおよび機能

このリリースには、次の新しいオプション、パラメータおよび機能が含まれています。
  • apex.message.alertおよびapex.message.confirmには、以前はアラートおよび確認動的アクションからのみ使用可能であった機能を有効にする新しいオプションがあります
  • apex.model.createには、新しいモデル・オプションtrackChangesがあります
  • 「保存されていない変更の警告」機能で使用されるapex.page.isChangedでは、ページがデバッグ・モードの場合に、変更されたアイテムやモデルを記録するようになりました

APIの説明の改善

次のAPIの説明が改善されました。
  • apex.model.createオプションonlyMarkForDeleteおよびidentityField、パラメータpMoreDataおよびpDataOverflow
  • モデル・インタフェースAjaxメッセージ・セクション
  • モデル・インタフェース・メソッド:
    • fetch
    • getTotalRecords
    • indexOf
    • setOption
  • apex.pageファンクションwarnOnUnsavedChanges
  • apex.pwa様々なファンクションの戻り値
  • apex.util.applyTemplate修正ループ・ディレクティブの例
  • item.displayValueFor pValueパラメータ
  • メニュー・ウィジェット・アイテム・タイプ定義のacceleratorプロパティ

2.24 JavaScriptライブラリのアップグレード

  • CKEditor5 36.0.0
  • cropperjs 1.5.13
  • CSSO 5.0.5
  • DOMPurify 2.4.3
  • FullCalendar 5.11.3
  • JavaScript Extension Toolkit (JET) 14.0.0
  • jQuery 3.6.4
  • MapLibre 2.4.0
  • MarkedJS 4.2.5
  • prism.js 1.29.0
  • Terser 5.16.1