3 Oracle Exadata Deployment Assistantの使用

この章では、Exadataだけでなく、Zero Data Loss Recovery Applianceおよびその他のOracle Engineered Systemでも使用されるOracle Exadata Deployment Assistantの使用方法について説明します。入力する情報は、リカバリ・アプライアンス構成ファイルの作成に使用されます。これらのファイルは、インストール・ユーティリティと連携して、インストール・プロセスを自動化します。

3.1 Oracle Exadata Deployment Assistantの概要

Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用して、システム構成の詳細を指定し、システム構成プロセスを実行します。

OEDAには、構成詳細を収集してOracle Exadataラック構成ファイルを作成するためのグラフィカル・ユーザー・インタフェースが用意されています。構成ファイルにより、Oracle Exadataラックの自動的なインストールおよび構成プロセスが進められます。

ノート:

読みやすさを考慮して、Oracle ExadataとOracle Exadata Storage拡張ラックの両方に言及する場合は、Oracle Exadataラックを使用します。

OEDAコマンドライン・インタフェース(OEDACLI)を使用すると、Oracle Exadataラックのライフサイクル管理タスクを実行することもできます。

最新バージョンのOEDAは、Exadata Database MachineおよびExadata Storage Serverのサポートされているバージョン (Doc ID 888828.1)からダウンロードできます。OEDAは、Oracle Technology Networkから入手することもできます。

OEDAは、Oracle Exadataラックに加えて、Oracle Zero Data Loss Recovery ApplianceおよびOracle SuperClusterに対しても使用されます。

Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0では、OEDA用のWebベース・インタフェースが導入されました。これは、Oracle Exadataラックを構成するためのグラフィカル・ユーザー・インタフェースとして、以前のJavaベースのユーザー・インタフェースに置き換わるものです

次に、Oracle Exadataラックの実装中にOEDAがどのように使用されるかについて概説します。

  • エンジニアド・システムが到着する前に、次の手順を実行します。
    1. ネットワーク管理者およびデータベース管理者と連携して、現在のIPアドレスの使用状況やネットワーク構成など、現在のネットワーク設定を評価します。OEDAはIPv6アドレスをサポートします。
    2. ネットワーク構成やバックアップ方法などのラックの設定を定義します。
    3. Oracle Technology NetworkからOEDAの最新バージョンをダウンロードします。
    4. サポートされているプラットフォームで構成スクリプトを解凍して実行し、構成するシステムのタイプを選択します。
    5. OEDAのすべてのページにアクセスして、すべての必須フィールドに値を指定します。必須の値をすべて指定するまで、次のページに進めません。命名の詳細とDNS、NTPおよびネットワークの詳細を指定する必要があります。
    6. OEDAとの対話の後に、構成ファイルがクライアント上に生成されます。ファイルは、OEDAによって生成されるInstallationTemplate.htmlファイルの下部にもリストされます。エンジニアド・システムおよび構成に応じて、OEDAは次のファイルのすべてまたは一部を生成します。

      • databasemachine.xml
      • CustomerName-rackname.xml
      • CustomerName-rackname-preconf_GUID.csv
      • CustomerName-rackname-InstallationTemplate.html
      • CustomerName-rackname-platinum.csv
      • CustomerName-rackname-checkip.sh
      • CustomerName-rackname.zip
      • pkey_GUID.csvおよびpkey_racknamehostname_GUID.csv — 仮想環境でInfiniBandパーティション化を有効にした場合

      CustomerName-hostname.zipファイルには、生成されたすべてのファイルが含まれます。

    7. InstallationTemplate.htmlファイルを確認して構成全体を確認し、すべての情報が正しく入力されたことを確認します。
  • エンジニアド・システムが到着する少し前、または構成するようスケジュールされているときに、Oracleの指示に従ってネットワーク構成を検証します。ラックの構成前のネットワーク構成の確認を参照してください。
  • エンジニアド・システムが到着した後、構成ファイルがデータベース・サーバーにコピーされ、検証とインストールが完了します。OEDAを使用したOracle Exadata Database Machineの構成を参照してください。

3.1.1 OEDAの使用に関する考慮事項および要件

Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用する前に、この情報を確認します。

  • Oracle Exadataは、Oracle Linuxオペレーティング・システムがサーバーにインストールされた状態で出荷されます。

  • ラック接頭辞を使用して、すべてのコンポーネントのホスト名を生成します。たとえば、ラック接頭辞にdbm0を指定した場合は、次のようになります。

    • データベース・サーバーのホスト名はdbm0db01のようになります
    • ストレージ・サーバーのホスト名はdbm0cel01のようになります
    • InfiniBand Network Fabricスイッチの名前はdbm0sw-iba1のようになります
    • RoCE Network Fabricスイッチの名前はdbm0sw-rocea1のようになります。

    ノート:

    ラック接頭辞には、文字と数字を最大20文字含めることができます。空白および記号は使用できません。たとえば、感嘆符(!)、ハイフン(-)などです。

    複数のラックがある場合、各ラック接頭辞はラックを識別する一意の値にする必要があります。1台目のラックにdbm01、2台目にdbm02、3台目にdbm03といったように名前を付けることをお薦めします。

  • 使用するバックアップ方法および冗長性保護レベルによって、インストール中に作成されるOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループのサイズが決まります。

    • 内部バックアップを構成する場合、データベース・バックアップはデータベースのRECOディスク・グループの高速リカバリ領域のディスクに作成されます。高速リカバリ領域には、アーカイブREDOログおよびフラッシュバック・ログ・ファイルも含まれます。DATAディスク・グループとRECOディスク・グループの間のディスク領域の区分は、それぞれ40%と60%となります。

    • 外部バックアップを構成する場合、データベース・バックアップは、現在デプロイされているOracle Exadataの外部にあるディスクまたはテープ・メディアに作成されます。高速リカバリ領域には、アーカイブREDOログやフラッシュバック・ログ・ファイルなどのオブジェクトのみが含まれます。

      バックアップ用にRECOディスク・グループに追加領域を確保する必要がないため、DATAディスク・グループとRECOディスク・グループの間のディスク領域の区分は、それぞれ80%と20%になります。

  • オラクル社では、ミッション・クリティカルなアプリケーションには、高冗長性のディスク・グループの使用をお薦めします。ディスク・グループの冗長性レベルに基づいてディスク・グループのサイズを変更するには、次のガイドラインを使用します。

    表3-1 保護レベルとディスク・グループ・コンテンツ

    DATAディスク・グループのOracle ASM冗長性レベル RECOディスク・グループのOracle ASM冗長性レベル DATAグループ・コンテンツ RECOグループ・コンテンツ

    データ・ファイル

    一時ファイル

    オンラインREDOログ

    制御ファイル

    アーカイブ・ログ

    フラッシュバック・ログ・ファイル

    標準

    データ・ファイル

    オンラインREDOログ

    制御ファイル

    アーカイブ・ログ

    一時ファイル

    フラッシュバック・ログ・ファイル

    標準

    データ・ファイル

    一時ファイル

    オンラインREDOログ

    制御ファイル

    アーカイブ・ログ

    フラッシュバック・ログ・ファイル

    標準

    標準

    データ・ファイル

    一時ファイル

    オンラインREDOログ

    制御ファイル

    アーカイブ・ログ

    フラッシュバック・ログ・ファイル

  • Oracle Exadataを設置する際に、有効なタイムゾーン名が必要です。Oracle ExadataおよびOracle Linuxに用意されているタイムゾーン値は、タイムゾーン・データベースから取得されます。TZ環境変数を使用して、各サーバーに対して有効なタイムゾーン名を指定する必要があります。変数値は地域/場所の形式です。たとえば、America/New_Yorkは有効なTZ値であり、ESTEDTおよびUTC-4は無効な値です。

  • OEDAは、データベース・サーバー(仮想化あり/なし)、ストレージ・サーバーおよびRDMAネットワーク・ファブリックを含む、すべてのExadataコンポーネントを構成します。正しく構成するには、OEDAに次へのアクセス権が必要です。

    • データベース・サーバーのクライアントおよび管理ネットワーク・インタフェース(該当する場合はVMサーバー・ホストとVMゲストを含む)。
    • ストレージ・サーバーの管理ネットワーク・インタフェース。
    • RDMAネットワーク・ファブリック・スイッチの管理ネットワーク・インタフェース。

    OEDAデプロイメント・フェーズを、必要なすべてのネットワーク・インタフェースにアクセスできるホストで実行していることを確認します。

3.2 OEDAブラウザベースのユーザー・インタフェースのスタート・ガイド

OEDAアプリケーション・サーバーは、Linux、OSXおよびWindowsで使用できます。

2018年10月以降のOEDAリリースでは、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA) Webベースのユーザー・インタフェースが提供されます。OEDA Webベース・インタフェースでは、Javaベース・バージョンのOEDAで作成された以前のOEDA XML構成ファイルをインポートできます。

ノート:

OEDA Webベース・インタフェースは、ChromeおよびFirefoxブラウザでのみサポートされています。

OEDAアプリケーション・サーバーを設定し、Webベースのユーザー・インタフェースを起動するには、次のステップを実行します。

  1. My Oracle Supportノート888828.1から最新のOEDAリリースをダウンロードし、OEDAアプリケーション・サーバーを実行するシステムにアーカイブをコピーします。

  2. OEDAアプリケーション・サーバーを実行するシステムで、ダウンロードした圧縮ファイルの内容を抽出します。抽出されたコンテンツは、オペレーティング・システムに応じてlinux-x64macosx-x64windows-i586などのディレクトリに書き込まれます。これをOEDA_HOMEディレクトリと呼びます。

  3. OEDAアプリケーション・サーバー(OEDA_HOMEディレクトリにあります)を起動します。

    • Linux、OSXおよびUNIXの場合は、次を実行します。

      installOedaServer.sh [-p port-number] [-g]
    • Microsoft Windowsの場合は、次を実行します。

      installOedaServer.cmd [-p port-number] [-g]

    コマンドの内容は次のとおりです。

    • -p port-number — オプションで、OEDAアプリケーション・サーバーのポート番号を指定します。

      指定しない場合、デフォルト・ポート番号は7072です。ただし、未使用であれば任意のポート番号を指定できます。1024未満のポート番号を使用することはお薦めしません。

    • -g — オプションで、OEDAアプリケーション・サーバーが使用可能なすべてのネットワーク・インタフェースで接続を受け入れることを指定します。

      指定しない場合、OEDAアプリケーション・サーバーはlocalhostインタフェース(127.0.0.1)でのみリスニングします。

    権限のないOSユーザー・アカウントを使用してinstallOedaServerプログラムを実行できます。OS管理者としてログインする必要はありません。

    installOedaServerプログラムを実行すると、最新のOEDAアプリケーション・サーバー・バージョンを起動する前に、以前のOEDAアプリケーション・サーバー・インスタンスが停止および削除されます。

  4. OEDA Webベースのユーザー・インタフェースにアクセスします。

    OEDAアプリケーション・サーバーを起動した後、ブラウザを開いて次のURLを入力してWebベースのインタフェースにアクセスできます。

    http://host-name:port-number/oeda

    URL:

    • host-nameは、アプリケーション・サーバーのホスト名です。

    • port-numberは、installOedaServerプログラムを起動したときに指定したネットワーク・ポート番号です。たとえば、7072

    OEDAアプリケーション・サーバーの起動時に-gオプションを指定しなかった場合は、OEDAアプリケーション・サーバーと同じホストでブラウザを実行し、アプリケーション・サーバーのホスト名としてlocalhostを指定する必要があります。

3.3 ブラウザベース・バージョンのOracle Exadata Deployment Assistantの使用

既存のデプロイメントを変更または追加する場合は、初期構成にデプロイメント・アシスタントを使用します。新しいコンポーネントを追加したり、既存のデプロイメントを変更する場合は、既存の構成をインポートできます。

デプロイメント・アシスタントを実行する前に、次を使用できるようにしておきます。

  • IPアドレス
  • マシン名
  • DNSおよびNTP情報

次のオプションは、「オプション」ドロップダウン・メニューで使用できます。

  • 情報: OEDAのバージョン情報を表示します。
  • 新規: 新しい構成を開始します。
  • インポート: 既存の構成ファイルをインポートします。ファイル形式はXMLです。
  • 保存: 現在の構成をXMLファイルに保存します。
  • 診断: OEDA Webインタフェースに関する問題のトラブルシューティングと診断に使用できるZIPファイルを作成します。
  • プリファレンス: Webインタフェースの動作に関するプリファレンスを指定します。
  • 検証(OEDAステップ1): 現在の構成で完全性と正確性を確認します。
  • IPのチェック: IPアドレスをチェックします。
  • インストール・テンプレート: 現在の構成を要約するインストール・テンプレート・レポートを生成します。
  • OEDAキーボード・ショートカット・キー: OEDA Webインタフェースをナビゲートするためのキーボード・ショートカットについて説明します。

次のリストでは、OEDA Webインタフェースの構成フローについて説明します。OEDA Webインタフェースで提供されるオプションおよびコントロールの詳細を表示するには、ヘルプメニュー・オプションを使用します。

  1. ハードウェアの選択ページでデプロイするハードウェアを指定します。このページでは、顧客情報および様々なラック・レベルの構成オプションも取得します。
  2. 「オペレーティング・システムの選択」ページを使用して、データベース・サーバーで仮想化を構成するかどうかを選択します。

    ノート:

    仮想化された構成では、各Exadataデータベース・サーバーは、サポートされる最大数までの限られた数のVMのみを含めることができます。

    Exadata X8M-2以降のシステムについては、Oracle Linux KVMデプロイメントの仕様および制限を参照してください。それ以外の場合は、Oracle VMデプロイメントの仕様および制限を参照してください。

  3. ラック・ネットワーク・ページに管理ネットワークおよびプライベート・ネットワーク情報を入力します。
  4. ユーザー・ページで、データベース・サーバーのオペレーティング・システム・ユーザーおよびグループの構成を指定します。デフォルト、役割区分またはカスタム構成から選択できます。
  5. クラスタ・ページでクラスタを定義します。

    各クラスタ定義では、クラスタに関連付けられているデータベースおよびストレージ・サーバーを指定します。

    仮想化された構成では、各クラスタ定義で、各VMに割り当てられるCPUおよびメモリー・リソースも指定します。ゲスト・ユーザー・ファイルシステムの構成(/u01)をカスタマイズし、必要に応じて他のファイル(/u02など)を追加することもできます。

  6. ディスク・グループ・ページでASMディスク・グループのレイアウトを定義します。
  7. データベース・ホームの作成ページで、各OracleホームのOracle Databaseホーム情報を入力します。
  8. 「データベース」ページでデータベースとその属性を指定します。

    ノート:

    Exadataでデータベースを作成するには、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)またはOEDAコマンドライン・ユーティリティ(OEDACLI)を使用することをお薦めします。どちらのユーティリティもExadataシステム構成の最新のExadataベスト・プラクティス構成設定を実装します。Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)は、Oracle Databaseソフトウェア・バンドルでも使用できます。ただし、DBCAは、OEDA XML構成ファイルと統合されず、推奨されるExadata固有の構成設定を実装しない可能性があるため、Exadataでの新規データベース作成にはお薦めしません。

  9. 「クラスタ・ネットワーク」ページで、クライアントおよびバックアップ・ネットワーク情報を入力します。

  10. 「アラート」ページで、電子メール・アラート、SNMPアラート、自動サービス・リクエスト、Oracle Config ManagerおよびEnterprise Managerのアラートを構成します。
  11. 構成に関する質問に回答し、「コメント」ページのテキスト・フィールドにデプロイメントに関する追加情報を入力します。このフィールドに入力した情報は、InstallationTemplate.htmlファイルの下部に表示されます。
  12. 保存およびダウンロードをクリックして構成ファイルを作成します。ZIPファイルを保存するローカル・コンピュータ上の場所を選択するよう求められます。
  13. Oracle Exadataラックの最初のデータベース・サーバー上のディレクトリにZIPファイルをコピーします。/u01のサブディレクトリ(/u01/oedaディレクトリなど)を使用します。これらのファイルは、フィールド・エンジニアがOracle Exadataラックを構成する際に使用します。