Oracle Analytics Serverのスケーリングについて

スケーリングとは、クライアントのリクエストを処理できるプロセス数を変更することによって、システムの処理能力を増減するプロセスのことを指します。

容量は、システムをスケールアウトすると増大され、スケールインすると縮小されます。スケーリングは、高可用性を目的としたデプロイメントの構成にも重要な部分となります。システム容量を拡大または縮小するには、クラスタで使用できるプロセスの数を調整します。クラスタは、同時に動作し、連携して高度なスケーラビリティと信頼性を実現する複数のサーバー・インスタンスで構成されます。

環境のスケーリングは、主に、リソース集中型のシステム・プロセスおよびJavaコンポーネントに適用されます。さらに多くのプロセスをデプロイすると、システムではレスポンスを低下させることなく、より多くのリクエストを処理できるようになります。

垂直方向のスケーリングでは、同じコンピュータ上にコンポーネントを追加して、そのコンピュータでのハードウェア・リソースの使用を増大させます。たとえば、特定のコンピュータ上でリクエストを処理するシステム・コンポーネントの数を増やすことによってOracle Analytics Serverを垂直方向にスケーリングし、その結果、コンピュータでのハードウェア・リソースの使用が増大します。

水平方向のスケーリングでは、使用している環境にコンピュータを追加します。たとえば、複数のコンピュータにリクエストの処理を分散することで、Oracle Analytics Serverが水平方向にスケーリングされます。

Javaコンポーネントとシステム・コンポーネントの両方をスケーリングできます。「管理サーバー、管理対象サーバーおよびシステム・コンポーネントについて」を参照してください。

水平方向および垂直方向の両方のスケールアウトをサポートしているシステム・コンポーネントは、プレゼンテーション・サービスOracle BIサーバーおよびJavaHostです。

Oracle BIスケジューラでは、プレゼンテーション・サービスおよびOracle BIサーバーのプロセスを利用してコンピュータを集中的に使用する作業を実行します。一方、クラスタ・コントローラは他のコンポーネントの管理のみを行い、コンピュータを集中的に使用することはありません。そのため、Oracle BIスケジューラまたはクラスタ・コントローラをスケールアウトする必要はありません。これら2つのプロセスは高可用性デプロイメントの必要に応じて分散できますが、処理能力のためにスケーリングする必要はありません。

プロセスをスケールアウトするタイミング

システム・コンポーネントおよび管理対象サーバーは実際の負荷に基づいてスケールアウトします。Fusion Middleware Controlで提供されるパフォーマンス・メトリックを使用してプロセスの状態を監視し、パフォーマンス向上のために容量を増大するタイミングを判断できます。たとえば、CPU使用率が50%を超えたとき、またはメモリー使用量がシステムの上限に近いときは、デプロイメントへのコンピュータの追加が必要になります。システム・メトリックの表示の詳細は、サービス・レベルのモニターを参照してください。

可用性の高いシステム環境を構成するには、プロセスをスケールアウトして冗長性を実現する必要もあります。高可用性のためのデプロイを参照してください。

スケーリング対象プロセス

Oracle Analytics Serverでは、インストーラ(水平方向のスケールアウト用)とWebLogic Scripting Tool (WLST)の組合せを使用してシステム・コンポーネントを垂直方向と水平方向の両方にスケーリングすることで、スケールアウトをサポートしています。

管理対象サーバーおよびシステム・コンポーネントをスケーリングする場合は、次のガイドラインに従ってください。

  • デプロイメント内の各コンピュータに対して管理対象サーバーが少なくとも1つ実行されていることを確認します。インストール中に構成アシスタントが1つの管理対象サーバーをプロビジョニングします。これは無効にしたり削除したりしないでください。

  • 多くのJavaコンポーネントはシステムの重要なサービスを実行しているため、それらを個別に削除しないでください。各管理対象サーバーでJavaコンポーネントの完全なセットを保持してください。使用されないコンポーネントがパフォーマンスに重大な影響を与える可能性は低いです。

  • 各コンピュータで実行するシステム・コンポーネントは実際の負荷に基づいて決定できます。デプロイメント内の特定のコンピュータには、ゼロ個以上の各コンポーネント・タイプを配置できます。たとえば、Oracle BIサーバー・コンポーネントを3つ、JavaHostコンポーネントを2つ、プレゼンテーション・サービス・コンポーネントを4つ配置できます。デフォルトでコンポーネントの対称セットがスケールアウトしたコンピュータで作成されます。

  • 管理対象サーバーまたはシステム・コンポーネントとともに構成済HTTPサーバーをスケーリングする必要はありません。HTTPサーバーの構成は、実行するプロセス数とは無関係です。