小切手印刷用のPCLコマンドの埋込み
PCL(Printer Command Language)はページの記述言語です。Postscriptと同様に、オフィス用のプリンタで幅広くサポートされています。PCLプリンタをサポートするために、Publisherには「PDFからPCL」コンバータが用意されています。PDFドキュメントを一連のPCLコマンドに変換するほか、特定のPCLコマンドをRTFテンプレートに埋め込むことができるため、PDFでレポート出力が生成され、PCLに変換される際に、そのコマンドはPCLファイルで維持されます。PCLプリンタでPCLファイルを受信すると、その埋込みコマンドが起動されます。
Publisherでは、セキュアな小切手印刷に対応するフォント選択コマンド(機械可読の勘定コードに使用するMICRフォントおよび小切手署名者の署名に使用するカスタム・フォントの呼出しなど)を有効にするPCLコマンドがサポートされています。MICRフォントおよびカスタム署名フォントは、プリンタのハードウェア・カートリッジに格納されており、PCLフォーマット化ファイルに埋め込まれたPCLエスケープ・シーケンスを使用して呼び出されます。
印刷されるファイルにPCLコマンドを埋め込むには、PCLコマンドによるレンダリングが必要なページの特定の場所にあるRTFテンプレート内で、この項で説明しているPublisherコマンドを使用します。
また、この機能を使用するには、管理者がPublisherのプリンタ設定ページで、「PDFからPCL」フィルタを使用するようにPCLプリンタを定義する必要もあります。
ノート:
この機能は、「PCL5 Printer Language Technical Reference Manual」の「PCL Font Selection」の章で説明しているフォント選択のコマンドをサポートするために提供されています。テンプレートに他のPCLコマンド(トレイの切替えなど)を含めると、それらのコマンドが厳密にはサポートされていない場合でも、レポート出力により適切な結果が生成されることがあります。
手順の概要
この概要では、テンプレートにPCLコマンドを埋め込む方法について説明します
PCLプリンタで起動するPCLコマンドをテンプレートに埋め込むには次を実行します。
- Publisherの「管理」の「配信」オプションで、PCLプリンタを定義します。
- RTFテンプレートにコマンドを挿入します。
- 出力を生成するには、出力タイプとしてPDFを選択するレポートをスケジュールまたは実行します。接続先としてステップ1で定義したPCLプリンタを選択します。
RTFテンプレートへのPCLコマンドの埋込み
Publisherでは、カスタムPCLコマンドの埋込みがサポートされているため、PDFドキュメントが一連のPCLコマンドに変換される他、Publisherでは、PCLページの特定の場所に正確なPCLコマンドが含まれるように指定することが可能になります。
この機能を使用するには、テンプレートに次の構文(またはテキストの出力が必要な場所のデータ)を追加します。
<pcl><control><esc/>(pcl command)</control>(text or data field)<sp/>(text or data field)</pcl>
説明
<pcl></pcl>
: カスタムPCLコマンド・シーケンスおよびカスタム・コマンドを使用して出力するテキストの開始と終了を示します。<pcl>
の前または</pcl>
の後にあるテキスト・データは、有効なフォントおよびフォント・サイズを使用した標準テキストとして出力されます。
<control></control>
: PCLシーケンスの開始と終了を示します。</control>
の後に挿入されるデータはテキスト・データとみなされます。これには、<control>
と</control>
の間に含まれるPCLコマンドが適用されます。<pcl>
と<control>
の間にデータを挿入することは不正であり、そのデータは無視されます。
<esc/>
: 出力で文字(ASCII 0x1b)をエスケープするには、<control>
と</control>
の間に<esc/>
を含めます。
<sp/>
: 空白を挿入します。テキスト・セクション(</control>
の後および</pcl>
の前)に<sp/>
を追加すると、出力に空白文字が挿入されます。
<pcl></pcl>
間のコマンド全体およびテキスト・シーケンスは、PDF内の単一テキスト表示(Tj)オペレータでレンダリングされる単一行のテキストとして入力される必要があります。空白を挿入するには、テキストまたはデータに実際の空白を追加すると、PDFではそのシーケンスが複数のテキスト・シーケンスに分割されるため、<sp/>
を使用する必要があります。
次の図は、コマンド・シーケンスでテンプレートをチェックする例を示しています。
この例のPCLコマンド・シーケンスは次のようになります。
<pcl><control><esc/>(70X</control>ROUTING<sp/>ACCOUNT</pcl>
(70Xは置換するフォント、ROUTINGおよびACCOUNTは入力XMLデータにマップされるフォーム・フィールド、さらに<sp/>
コマンドはルーティング番号と口座番号間への空白の挿入に使用されることに注意してください。
次の図に示すように、このRTFテンプレートはデータとマージされ、PDFに変換されます。PCLコマンド・シーケンスが標準テキストとして表示されます。
ノート:
フォント・サイズを小さくして行の表示を見えにくくすることはできますが、非表示にはできません。このPDFをPCLに変換すると、<esc/>
がエスケープ文字の0x1b
に変換されるほか、PCLコマンドがPDFから追加され((70X
)、<sp/>
が空白文字に変換され、さらにPCL絶対カーソル位置コマンド(&a#v#h#P
)を使用してテキストが生成されます。次の図は、テキスト・エディタを使用して表示されるPCL出力を示しています。
フォントID 70のMICRフォントがインストールされているプリンタにこのPCLファイルが送信されると、次の図に示すように、そのプリンタで最終の印刷出力が生成されます。
仕様および制限
「PDFからPCL」コンバータでは、バージョン1.7までのPDFファイルの入力とPCL 5(HP/GL2とPJLを含む)およびPCL 5cの出力がサポートされています。
コンバータは、大多数のビジネス・レポートおよびオフィスでの印刷に必要な、PDFの基本テキストおよびベクトル/ラスター・グラフィック機能をサポートします。
PDFからPCLコンバータで処理するドキュメントの次の制限事項に注意してください。
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グラフなどのSVGグラフィックはサポートされていません。
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埋込みオブジェクト(Flashオブジェクトなど)およびファイル添付はサポートされていません。
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Adobeの主要な装飾記号および記号フォントの使用はサポートされていません。TrueTypeフォントを使用してdingbatsおよび記号を出力し、PDFの生成時にそのフォントを埋め込みます。
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PCL 5/PCL 5c標準をサポートするすべてのプリンタにおいて、生成済出力の印刷がサポートされています。ただし、PCLビューア・アプリケーションまたは直接出力以外の目的でPCLを再処理する任意のソフトウェアを使用した生成済出力の表示はサポートされていません。
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「PDFからPCL」コンバータでは、FOプロセッサで生成されたPDFドキュメントの変換が制限付きでサポートされています。FormProcessorで処理されたPDFファイルまたは外部アプリケーションで生成されたPDFドキュメントなどの他のPDFは、適切な出力結果を生成することもありますが、厳密にはサポートされていません。
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「PDFからPCL」コンバータでは、PDFBookBinderおよびPDFDocMergerの各ユーティリティで生成されたPDFドキュメントの変換がサポートされています。ただし、出力の生成に使用されるすべてのPDFドキュメントが初めからFOProcessorで生成され、そのドキュメントに制限付きの機能が含まれていない場合にかぎります。