14 Oracle Key Vaultのエンドポイントのエンロールおよびアップグレード
エンドポイントがOracle Key Vaultに登録された後、エンドポイント管理者がエンドポイントをエンロールおよびプロビジョニングしてKey Vaultのセキュリティ・オブジェクトを管理します。
- エンドポイントのエンロールとプロビジョニングについて
エンドポイントは、サーバーを使用してセキュリティ・オブジェクトの格納と管理、信頼できるピアとの共有、およびそれらの取得を実行するOracle Key Vaultクライアントです。 - エンロールとプロビジョニングのファイナライズ
登録済エンドポイントをエンロールおよびプロビジョニングするには、エンドポイント管理者がokvclient.jar
ファイルをダウンロードしてインストールする必要があります。 - 環境変数およびエンドポイント・プロビジョニングのガイダンス
Oracle Key Vaultがユーティリティにアクセスできるように、JAVA_HOME
やOKV_HOME
などの環境変数を正しく設定する必要があります。 - Oracle Key Vaultクライアント・ソフトウェアを使用しないエンドポイント
サード・パーティのKMIPエンドポイントでは、Oracle Key Vaultソフトウェアのokvutil
およびliborapkcs.so
は使用されません。 - Transparent Data Encryptionエンドポイント管理
Oracle Key Vaultは、TDEが外部キーストアとの通信に使用するのと同じPKCS#11インタフェースを使用することで、TDEキーを管理できます。 - エンドポイントokvclient.ora構成ファイル
Oracle Key Vaultエンドポイント・ライブラリおよびユーティリティでは、エンドポイントに関連付けられた構成パラメータを格納するokvclient.ora
構成ファイルが使用されます。 - 変更が禁止されているokvclient.oraパラメータ
okvclient.ora
構成ファイルには、変更が禁止されている構成パラメータが含まれています。 - エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
エンドポイント・ソフトウェアは、Oracle Key Vault管理コンソールのログイン・ウィンドウからアップグレードできます。
14.1 エンドポイントのエンロールとプロビジョニングについて
エンドポイントは、サーバーを使用してセキュリティ・オブジェクトの格納と管理、信頼できるピアとの共有、およびそれらの取得を実行するOracle Key Vaultクライアントです。
これらのクライアントは、Oracle Databaseサーバー、Oracleミドルウェア・サーバー、オペレーティング・システム、その他の情報システムなどのシステムとなります。
Oracle Key Vaultからの対称キーの抽出をfalseに(抽出されないように)構成する場合は、最初にエンドポイントをOracle Key Vaultリリース21.4にアップグレードすることが重要です。
Oracle Key Vaultシステム管理者は、最初にエンドポイントをKey Vaultに追加(または登録)してから、エンドポイントのエンロール・トークン(登録時に生成)をエンドポイント管理者に送信します。エンドポイント管理者は、エンドポイントをエンロールおよびプロビジョニングする前に、エンロール・トークンを検証します。エンロールされたエンドポイントでは、Key Vaultを使用してセキュリティ・オブジェクトをアップロード、ダウンロードおよび管理できます。
エンドポイント・エンロールは、次の表に示す3つのステップで構成されるプロセスであり、2種類の管理ユーザーによって実行されます。
表14-1 エンドポイント・エンロールの概要
ステップ# | タスク | 実行担当者 | エンドポイント・ステータス(Oracle Key Vault管理コンソールでの表示) |
---|---|---|---|
1. |
|
Oracle Key Vaultのシステム管理者ロールおよびキー管理者ロールを持つユーザー、またはエンドポイント管理権限を持つユーザー |
Registered |
2. |
|
Oracle Key Vault管理コンソールを使用するエンドポイント管理者 |
Enrolled |
3. |
エンドポイントに |
エンドポイント上のエンドポイント管理者 |
Enrolled |
エンドポイント・エンロールにより、許可されたエンドポイントのみがOracle Key Vaultと通信できるようになります。これは、通信に必要なユーティリティがokvclient.jar
エンドポイント・ソフトウェア・ファイルとともにバンドルされているためです。
okvclient.jar
の内容は次のとおりです。
-
エンドポイントでOracle Key Vaultに対する自己認証に使用されるTransport Layer Security (TLS)証明書と秘密キー
-
ルートCAとして機能するOracle Key VaultのTLS証明書
-
エンドポイント・ライブラリとユーティリティ
-
okvutil
でokvclient.ora
構成ファイルを作成するために使用されるOracle Key Vault IPアドレスなどの追加情報
Oracle Real Application Clusters (RAC)環境では、各Oracle RACノードをエンドポイントとしてエンロールおよびプロビジョニングする必要があります。Oracle RAC対応の各データベースは、Oracle Key Vaultの1つの仮想ウォレットに対応します。そのデータベースの各Oracle RACインスタンスは、Oracle Key Vaultのエンドポイントに対応します。各データベースのすべてのエンドポイントは、デフォルト・ウォレットとして同じウォレットを共有します。インスタンスごとに1つの個別のokvclient.jar
をダウンロードする必要があります。
14.2 エンロールとプロビジョニングのファイナライズ
登録済エンドポイントをエンロールおよびプロビジョニングするには、エンドポイント管理者がokvclient.jar
ファイルをダウンロードしてからインストールする必要があります。
- ステップ1: エンドポイントのエンロールとソフトウェアのダウンロード
エンドポイント・ソフトウェアokvclient.jar
をダウンロードする前に、エンドポイントのエンロール・トークンが必要です。 - ステップ2: エンドポイント環境の準備
正しいバージョンのJava Development Toolkit (JDK)があり、Oracle環境変数が設定されていることを確認する必要があります。 - ステップ3: エンドポイントへのOracle Key Vaultソフトウェアのインストール
ダウンロードしたokvclient.jar
ファイルを使用してエンドポイントをインストールできます。 - ステップ4: インストール後タスクの実行
インストール後の手順には、必要に応じてエンドポイントへのTDE接続の構成、インストールの内容の確認、およびokvclient.jar
ファイルの削除が含まれます。
14.2.1 ステップ1: エンドポイントのエンロールとソフトウェアのダウンロード
エンドポイント・ソフトウェアokvclient.jar
をダウンロードする前に、エンドポイントのエンロール・トークンが必要です。
okvclient.jar
ソフトウェア・ファイルをインストールする準備が整い、エンドポイント環境の準備を開始できます。
関連トピック
親トピック: エンロールとプロビジョニングのファイナライズ
14.2.2 ステップ2: エンドポイント環境の準備
Java Development Toolkit (JDK)の正しいバージョンがあり、Oracle環境変数が設定されていることを確認する必要があります。
親トピック: エンロールとプロビジョニングのファイナライズ
14.2.3 ステップ3: エンドポイントへのOracle Key Vaultソフトウェアのインストール
ダウンロードした okvclient.jar
ファイルを使用してエンドポイントをインストールできます。
ノート:
エンロール済エンドポイントで最新のエンドポイント・ソフトウェアにアップグレードするには、エンドポイント・ソフトウェアをダウンロードします。そのエンドポイントの再エンロールは必要ありません。親トピック: エンロールとプロビジョニングのファイナライズ
14.2.4 ステップ4: インストール後タスクの実行
インストール後の手順には、必要に応じてエンドポイントへのTDE接続の構成、インストールの内容の確認、およびokvclient.jar
ファイルの削除が含まれます。
親トピック: エンロールとプロビジョニングのファイナライズ
14.3 環境変数およびエンドポイント・プロビジョニングのガイダンス
Oracle Key Vaultがユーティリティにアクセスできるように、JAVA_HOME
やOKV_HOME
などの環境変数を正しく設定する必要があります。
- JAVA_HOMEの場所の決定方法
okvclient.ora
ファイルのデフォルトの場所は、$OKV_HOME/conf
ディレクトリです。 - okvclient.oraファイルの場所と環境変数
$OKV_HOME
は、インストール中に-d
オプションで指定されたエンドポイント・ソフトウェアのインストール先ディレクトリです。 - 非データベース・ユーティリティとOracle Key Vaultの通信に必要なOKV_HOMEの設定
非データベース・ユーティリティの場合、エンドポイント・ソフトウェアのインストール先ディレクトリを指すように環境変数OKV_HOME
を設定する必要があります。 - sqlnet.oraファイルの環境変数
Oracle Databaseエンドポイントでsrvctl
ユーティリティを使用している場合は、複数のポイントを考慮する必要があります。
14.3.1 JAVA_HOMEの場所の決定方法
okvclient.ora
ファイルのデフォルトの場所は、$OKV_HOME/conf
ディレクトリです。
エンドポイントをプロビジョニングする場合、インストール・プロセスによってJavaホームの場所およびokvclient.ora
ファイルの場所が決定される方法を把握する必要があります。
エンドポイント・ソフトウェアのインストール・プロセスでは、次のルールに基づいてJavaホームの場所が決定されます。
-
ユーザー定義の
JAVA_HOME
環境変数が存在する場合、インストール・プロセスではこの値が使用されます。 -
JAVA_HOME
が設定されていない場合、インストール・プロセスでは、Java仮想マシン(JVM)のjava.home
システム・プロパティ内が検索されます。
インストール・プロセスでは、決定されたJAVA_HOME
パスが、すべてのokvutil
コマンドで使用されるokvclient.ora
構成ファイルに追加されます。
次の方式の1つを使用することで、okvutil
に、異なるJAVA_HOME
設定を強制的に使用させることができます。
-
okvutil
を実行するシェルにJAVA_HOME
環境変数を設定します。setenv JAVA_HOME path_to_Java_home
または
export JAVA_HOME = path_to_Java_home
-
okvclient.ora
構成ファイルで直接JAVA_HOME
プロパティを設定します。JAVA_HOME=path_to_Java_home
okvclient.ora
でJAVA_HOME
変数を設定した後で、エンドポイント・データベースを再起動します。
okvclient.ora
ファイルのJAVA_HOME
環境変数の設定の値を定期的に手動で更新する必要がある場合があります。これは、新しいバージョンのJavaがインストールされ、以前のバージョンのJavaが削除された場合に発生することがあります。これを行うには、okvclient.ora
がデータベース・プロセスによって上書きされないように、まずエンドポイント・データベースを停止します。次に、okvclient.ora
のJAVA_HOME
の値を手動で更新します。
14.3.2 okvclient.oraファイルの場所と環境変数
$OKV_HOME
ディレクトリは、インストール中に-d
オプションで指定する、エンドポイント・ソフトウェアのインストール先ディレクトリです。
okvclient.ora
ファイルは、$OKV_HOME/conf
ディレクトリ内の構成ファイルです。
インストール・プロセスでは、$OKV_HOME/conf
ファイルに加えて、既存のデータベースのokvclient.ora
へのソフト・リンクも作成されます。ソフト・リンクの場所は次のことによって異なります。
-
$ORACLE_BASE
環境変数が設定されている場合、インストール・プロセスは、($OKV_HOME/conf
の)okvclient.ora
構成ファイルへのソフト・リンクを$ORACLE_BASE/okv/$ORACLE_SID
の場所に作成します。okvclient.ora
へのソフト・リンクが$ORACLE_BASE/okv/$ORACLE_SID
の場所にすでに存在する場合、インストール・プロセスは、okvclient.ora
への既存のソフト・リンクを有効なソフト・リンクとして承認します。 -
$ORACLE_BASE/okv/$ORACLE_SID
ディレクトリが設定されていない場合、インストール・プロセスは作成しようと試みます。 -
$ORACLE_HOME
環境変数は設定されているが、$ORACLE_BASE
変数は設定されていない場合、インストール・プロセスは、$ORACLE_HOME/okv/$ORACLE_SID
の場所のソフト・リンクを作成して、$OKV_HOME/conf
ディレクトリにある構成ファイルを参照します。
14.3.3 非データベース・ユーティリティとOracle Key Vaultの通信に必要なOKV_HOMEの設定
非データベース・ユーティリティを使用する場合は、エンドポイント・ソフトウェアのインストール先ディレクトリを指すように環境変数OKV_HOME
を設定する必要があります。
インストール・プロセスではこの変数が自動的に設定されないため、OKV_HOME
を手動で設定する必要があります。OKV_HOME
を設定すると、ユーティリティはOracle Key Vaultと通信できます。これらのユーティリティとしては、Oracle Key Vaultにアクセスしてキーを取得するOracle Recovery Manager (RMAN)などがあります。
RMANなどのユーティリティを実行する予定のすべての環境で、OKV_HOME
を設定する必要があります。たとえば、新しいxterm
ウィンドウを起動する場合、RMANを実行する前にこの環境でOKV_HOME
を設定する必要があります。
14.3.4 sqlnet.oraファイルの環境変数
Oracle Databaseエンドポイントでsrvctl
ユーティリティを使用しているときは、いくつかの点について考慮する必要があります。
-
srvctl
ユーティリティを使用し、かつsqlnet.ora
構成ファイルに環境変数を含める場合は、それらの環境変数をオペレーティング・システムとsrvctl
環境の両方で設定する必要があります。 -
Oracle Databaseエンドポイントで
srvctl
ユーティリティを使用し、かつsqlnet.ora
で環境変数を設定する場合は、オペレーティング・システムとsrvctl
環境の両方で設定する必要があります。 -
オペレーティング・システムと
srvctl
ユーティリティでは、$ORACLE_SID
、$ORACLE_HOME
および$ORACLE_BASE
が同じ値に設定される必要があります。
14.4 Oracle Key Vaultクライアント・ソフトウェアを使用しないエンドポイント
サード・パーティのKMIPエンドポイントでは、Oracle Key Vaultソフトウェアokvutil
およびliborapkcs.so
は使用されません。
この場合、次の手順に従って、Transport Layer Security (TLS)認証を手動で設定する必要があります。
-
okvclient.jar
ファイルからssl
ディレクトリを抽出します。jar xvf okvclient.jar ssl
-
次のファイルを使用してTLS認証をセットアップします。
-
ssl/key.pem
: エンドポイント秘密キー -
ssl/cert.pem
: エンドポイント証明書 -
ssl/cert_req.pem
:cert.pem
に対応する証明書リクエスト -
ssl/CA.pem
: Oracle Key Vaultサーバー証明書を検証するためのトラスト・アンカー
-
14.5 Transparent Data Encryptionエンドポイント管理
Oracle Key Vaultは、TDEが外部キーストアと通信するために使用するのと同じPKCS#11インタフェースを使用してTDEキーを管理できます。
このため、Oracle Key Vaultを使用してTDEマスター暗号化キーを格納および取得するためにデータベースをパッチする必要はありません。Oracle Key Vaultでは、Oracle Key Vaultと通信するためのPKCS#11ライブラリを提供しています。
Oracle Key Vaultでは、TDEキーの管理が改善されています。たとえば、ウォレット内のキーは、長期保持、および同じエンドポイント・グループ内の他のデータベース・エンドポイントと共有するために、Oracle Key Vaultに直接アップロードできます。このため、移行の後、無期限にウォレットに格納する必要はありません。このコンテキストにおける移行とは、ウォレット・バックアップのためにOracle Key Vaultを使用するようデータベースが構成されていて、管理者がオンライン・マスター暗号化キー(旧称: TDE直接接続)への移行を意図していることを意味します。
引き続きウォレットを使用したり、WITH BACKUP
SQL句を含むすべてのTDEキー管理SQL操作の一部として、ウォレットのコピーをOracle Key Vaultにアップロードすることができます。ただし、WITH BACKUP
句は、ADMINISTER KEY MANAGEMENT
文で必須である場合でも、Oracle Key Vaultオンライン・キー・デプロイメントではTDEによって無視されることに注意してください。
Oracle DatabaseとTDEはOracle Key Vaultのエンドポイントです。エンドポイントをエンロールおよびインストールすると、PKCS#11ライブラリは確実に正しい場所にインストールされ、TDEが取得して使用できます。PKCS#11ライブラリがインストールされると、他のすべての構成と操作が有効になります。
例14-1に、暗号化キーの設定の例を示します。
例14-1 暗号化キーの設定
ALTER SYSTEM SET ENCRYPTION KEY IDENTIFIED BY secret_passphrase -- For Oracle Database 11g Release 2 ADMINISTER KEY MANAGEMENT SET ENCRYPTION KEY IDENTIFIED BY secret_passphrase WITH BACKUP; -- For Oracle Database 12c or later
14.6 エンドポイントokvclient.ora構成ファイル
Oracle Key Vaultエンドポイント・ライブラリおよびユーティリティでは、エンドポイントに関連付けられた構成パラメータを格納するokvclient.ora
構成ファイルが使用されます。
okvclient.ora
ファイルは、等号(=
)で区切られた、キーと値の組から構成されています。少なくとも、エンドポイント構成ファイルに次のパラメータを設定します。
-
SERVER=node1_IP:node1_port/node1_DN,node2_IP:node2_port/node2_DN,...
このパラメータでは、Oracle Key VaultサーバーのIPアドレスとポート番号をコロン区切りで指定し、サーバーDNをスラッシュで区切って指定します。ポート番号を指定しない場合、デフォルトの標準KMIPポート
5696
が使用されます。 -
STANDBY_SERVER=standby_server_IP:standby_server port
これはスタンバイ・サーバーです。プライマリ・スタンバイが構成されている場合、このパラメータはスタンバイのIPアドレスを表示します。
READ_SERVER=node1_IP:node1_port/node1_DN,node2_IP:node2_port/node2_DN,...
このパラメータは、読取り専用サーバーのリストを指定します。
-
SSL_WALLET_LOC=directory
このパラメータは、エンドポイントのTLS証明書があるウォレットの場所を指定します。
-
SERVER_POLL_TIMEOUT=timeout_value
SERVER_POLL_TIMEOUT
パラメータを使用すると、クライアントによるOracle Key Vaultサーバーへの接続の試行で、リスト内の次のサーバーを試行するまでのタイムアウトを指定できます。デフォルト値は300 (ミリ秒)です。Oracle Key Vaultでは、クライアントは最初にアクセス不可能なサーバーを迅速に検出するように、Oracle Key Vaultへの非ブロッキングのTCP接続を確立します。
最初の試行後、クライアントは、サーバーへの第2および最終試行を実行しますが、今度は
SERVER_POLL_TIMEOUT
パラメータで指定された期間の2倍まで待機します。これは、考えられるネットワークの輻輳や遅延を克服するために行われます。 PKCS11_PERSISTENT_CACHE_FIRST=value
は、永続マスター暗号化キー・キャッシュ操作モードを設定します。
okvclient.ora
ファイルのCONF_ID
値は一意の内部値で、OracleデータベースでOracle Key Vault内の仮想ウォレットを検出するのに役立ちます。okvclient.ora
ファイルの設定は変更しないでください。かわりに、Oracle Key Vault管理コンソールを使用してエンドポイント構成パラメータを設定します。権限に応じて、個々のエンドポイントに対して設定することも、すべてのエンドポイントに対してグローバルに設定することもできます。
いくつかのokvclient.ora
パラメータは、Oracle Key Vault管理コンソールを使用して変更できます。そのパラメータは、Oracle Key Vault管理コンソールでのみ変更する必要があります。権限に応じて、個々のエンドポイントに対してこれらのパラメータを設定することも、すべてのエンドポイントに対してグローバルに設定することもできます。
-
PKCS11_CACHE_TIMEOUT=value
は、インメモリー・キャッシュにキャッシュされた後にマスター暗号化キーを使用できる期間(分単位)を指定します。Oracle Key Vault管理コンソールでは、この設定は、「Endpoint Settings」ページの「PKCS 11 In-Memory Cache Timeout ( in minutes )」です。 -
PKCS11_PERSISTENT_CACHE_TIMEOUT=value
は、永続マスター暗号化キー・キャッシュにキャッシュされた後のマスター暗号化キーの使用可能期間を分単位で指定します。Oracle Key Vault管理コンソールでは、この設定は、「Endpoint Settings」ページの「PKCS 11 Persistent Cache Timeout ( in minutes )」です。 -
PKCS11_PERSISTENT_CACHE_REFRESH_WINDOW=value
は、永続マスター暗号化キー・キャッシュにキャッシュされた後のマスター暗号化キーの使用可能期間を延長するために期間を分単位で指定します。Oracle Key Vault管理コンソールでは、この設定は、「Endpoint Settings」ページの「PKCS 11 Persistent Cache Refresh Window ( in minutes )」です。 -
PKCS11_CONFIG_PARAM_REFRESH_INTERVAL=value
は、長時間実行されるプロセスがokvclient.ora
構成ファイルを再読込みする頻度を設定します。Oracle Key Vault管理コンソールでは、この設定は、「Endpoint Settings」ページの「PKCS11 Configuration Parameter Refresh Interval ( in minutes )」です。 -
SERVER_POLL_TIMEOUT=value
は、リスト内の次のサーバーを試行する前に、クライアントがOracle Key Vaultサーバーに接続しようとするタイムアウトを指定します。デフォルト値は300 (ミリ秒)です。Oracle Key Vault管理コンソールでは、この設定は、「Endpoint Settings」ページの「Server Poll Timeout ( in milliseconds )」です。
14.7 変更が禁止されているokvclient.oraパラメータ
okvclient.ora
構成ファイルには、変更が禁止されている構成パラメータが含まれています。
これらのパラメータは、エンドポイントをOracle Key Vaultに追加すると自動的に移入されます。これらは変更しないでください。これらは次のとおりです。
-
SERVER=node1_IP:node1_port/node1_DN,node2_IP:node2_port/node2_DN,...
このパラメータでは、Oracle Key VaultサーバーのIPアドレスとポート番号をコロン区切りで指定し、サーバーDNをスラッシュで区切って指定します。ポート番号を指定しない場合、デフォルトの標準KMIPポート
5696
が使用されます。 -
STANDBY_SERVER=standby_server_IP:standby_server port
これはスタンバイ・サーバーです。プライマリ・スタンバイが構成されている場合、このパラメータはスタンバイのIPアドレスを表示します。
READ_SERVER=node1_IP:node1_port/node1_DN,node2_IP:node2_port/node2_DN,...
このパラメータは、読取り専用サーバーのリストを指定します。このパラメータは変更しないでください。エンドポイント・ノードが追加されると、Oracle Key Vaultによってこの設定が移入されます。
SERVER_DN=CN=server_certification,OU=product,O=company,L=city,ST=state_or_province,C=country
GEN_TIMESTAMP=timestamp_information
このパラメータにより、エンドポイントで使用される日時書式が表示されます。
-
UPDATE_TIMESTAMP=updated_timestamp
このパラメータにより、構成ファイルが最後に更新された日付、時間およびタイムゾーンが表示されます。
-
SW_TYPE=software_type
このパラメータにより、エンドポイント・ソフトウェア・タイプ(
ENROLLED_ENDPOINT_SOFTWARE
など)が表示されます。 -
JAVA_HOME=path
このパラメータにより、
JAVA_HOME
環境変数で定義されたディレクトリが表示されます。 -
OKV_JVM_LIB_PATH=path
このパラメータにより、
OKV_JVM_LIB_PATH
環境変数で定義されたディレクトリが表示されます。 -
EP_TYPE=type
このパラメータは、エンドポイントのタイプ(
Oracle Database
など)を示します。 -
OKV_HOSTNAME=host_name
このパラメータは、Oracle Key Vaultが存在するホスト・サーバーを示します。
-
SSL_WALLET_LOC=directory
このパラメータは、エンドポイントのTLS証明書があるウォレットの場所を指定します。
-
_NOT_STRICT_PKCS11=value
このパラメータは、Oracle ACFSで使用する厳密なPKCS標準設定を示します。
-
PKCS11_NO_KMIP_OBJECT_ACCESS_CHECK=value
このパラメータは、エンドポイントがアクセス・チェックを実行するかどうかを示します。
-
_TRACE_DIR=.
このパラメータは、PKCSトレース・ファイルが生成される場所を示します。
.
文字(デフォルト)は、現在のディレクトリを意味します。 -
_TRACE_LEVEL=0
このパラメータは、PKCSトレースに設定されるトレース・レベルを決定します。デフォルトは
0
で、この場合はトレースが無効になります。16
(この場合は完全なトレースが有効になります)までの値を入力します。 -
NUM_AFFINITY_RW_NODES=
このパラメータは、クラスタの、エンドポイントと同じサブグループを持つ読取り/書込みノードの数を定義します。
-
NUM_AFFINITY_RO_NODES=
このパラメータは、クラスタの、エンドポイントと同じサブグループを持つ読取り専用ノードの数を定義します。
CONF_ID
は一意の内部値で、OracleデータベースでOracle Key Vault内の仮想ウォレットを検出するのに役立ちます。この値は変更しないでください。
14.8 エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
エンドポイント・ソフトウェアは、Oracle Key Vault管理コンソール・ログイン・ウィンドウからアップグレードできます。
- ステップ1: エンドポイント環境の準備
適切な権限があり、エンドポイントにOracle環境変数などの正しい構成があることを確認します。 - ステップ2: エンドポイントへのOracle Key Vaultソフトウェアのダウンロード
okvclient.jar
ファイルをローカル・コンピュータにダウンロードします。 - ステップ3: エンドポイントへのOracle Key Vaultソフトウェアのインストール
Oracle Key Vaultソフトウェアをエンドポイントにインストールするには、エンドポイント管理者である必要があります。 - ステップ4: インストール後のタスクの実行
インストールの完了後、TDEで使用されるライブラリを更新し、エンドポイント・ソフトウェアが正しくインストールされたことを確認できます。 - エンロール済エンドポイント上のエンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
Oracle Key Vaultの新しいリリースにアップグレードした際に、エンロールされたエンドポイントのエンドポイント・ソフトウェアをアップグレードする必要があります。
14.8.1 ステップ1: エンドポイント環境の準備
正しい権限があること、およびエンドポイントにOracle環境変数などの正しい構成があることを確認します。
親トピック: エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
14.8.2 ステップ2: エンドポイントへのOracle Key Vaultソフトウェアのダウンロード
okvclient.jar
ファイルをローカル・コンピュータにダウンロードします。
14.8.3 ステップ3: エンドポイントへのOracle Key Vaultソフトウェアのインストール
Oracle Key Vaultソフトウェアをエンドポイントにインストールするには、エンドポイント管理者である必要があります。
14.8.4 ステップ4: インストール後タスクの実行
インストールの完了後、TDEで使用されるライブラリを更新し、エンドポイント・ソフトウェアが正しくインストールされたことを確認できます。
親トピック: エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
14.8.5 エンロール済エンドポイント上のエンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
Oracle Key Vaultの新しいリリースにアップグレードした場合は常に、エンロールされたエンドポイントのエンドポイント・ソフトウェアをアップグレードする必要があります。
okvclient.jar
をエンドポイントにダウンロードしてインストールできます。エンドポイントを再エンロールする必要はありません。