21 グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションの使用

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションを使用すると、グラフ・サーバー(PGX)およびデータベース内のグラフに対してPGQL問合せを実行できます。

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションの主要なエントリ・ポイントは、次のタブ・オプションで構成される問合せエディタです。

  • グラフ・サーバー: グラフ・サーバー(PGX)にロードされるグラフを視覚化する場合。
  • データベース(PGQLプロパティ・グラフ): データベース内のPGQLプロパティ・グラフを視覚化する場合。
  • データベース(SQLプロパティ・グラフ): SQLプロパティ・グラフを視覚化する場合。このタブ・オプションは、Oracle Database 23aiでのみサポートされています。

アプリケーションの下部パネルの使用可能なグラフのリスト・アイコンをクリックして、各タブで使用可能なグラフのリストを表示できます。問合せのビジュアライゼーション結果もこのパネルに表示されます。

次の各項では、視覚化用にサポートされている様々な問合せを実行するためのアプリケーション・ユーザー・インタフェースについて詳しく説明します。

21.1 グラフ・サーバー(PGX)にロードされたグラフに対するPGQL問合せの視覚化

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションのグラフ・サーバー・タブで、グラフ・サーバー(PGX)にロードされたグラフに対するPGQL問合せを視覚化できます。

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションにログインしたら、問合せエディタのグラフ・サーバー・タブに移動します。目的のグラフにPGQL問合せを入力し、「問合せの実行」アイコンをクリックして問合せを実行します。

ノート:

CREATE PROPERTY GRAPH文を使用したプロパティ・グラフの作成はサポートされていません。

次の図は、グラフ内の頂点から他の頂点へのすべての有向エッジを識別する問合せのビジュアライゼーションを示しています。

図21-1 問合せのビジュアライゼーション

図21-1の説明が続きます
「図21-1 問合せのビジュアライゼーション」の説明

正常に実行されると、グラフの視覚化結果(ノードとその接続を含む)が下部パネルに表示されます。ノードまたは接続を右クリックすると、ツールチップ情報が表示され、ノードをドラッグして移動できます。

21.2 PGQLプロパティ・グラフに対するPGQL問合せの視覚化

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションのデータベース(PGQLプロパティ・グラフ)タブで、データベース内のPGQLプロパティ・グラフに対するPGQL問合せを視覚化できます。

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションを使用して、データベースでPGQLプロパティ・グラフを作成、問合せ、変更および視覚化できます。次のPGQL操作がサポートされています。

21.3 SQLプロパティ・グラフに対するグラフ問合せの視覚化

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションのデータベース(SQLプロパティ・グラフ)・タブで、データベース内のSQLプロパティ・グラフを問い合せて視覚化できます。

ノート:

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションのデータベース(SQLプロパティ・グラフ)タブ・オプションは、Oracle Database 23aiでのみ使用できます。

ただし、GRAPH_TABLE問合せの頂点およびエッジをIDとそのすべてのラベルおよびプロパティとともに視覚化するには、問合せで頂点IDまたはエッジID(あるいはその両方)を返す必要があります。

たとえば、次の図は、SQLプロパティ・グラフでのSQL GRAPH_TABLE問合せのビジュアライゼーションを示しています。問合せのCOLUMNS句では、VERTEX_IDおよびEDGE_ID演算子が使用されています。

ノート:

  • 「SQLプロパティ・グラフを問い合せる権限」で説明されている権限に加えて、グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションでSQLプロパティ・グラフを問い合せて視覚化するには、CREATE VIEWおよびCREATE MATERIALIZED VIEW権限も必要です。
  • グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションでは、SELECTグラフ問合せのみがサポートされています。

図21-7 SQLプロパティ・グラフでのグラフ問合せ

図21-7の説明が続きます
「図21-7 SQLプロパティ・グラフでのグラフ問合せ」の説明

グラフの名前は、SQLグラフ問合せで指定する必要があります。使用可能なグラフのリスト・アイコン(前の図で強調表示されている)をクリックすると、アクセスできるSQLプロパティ・グラフのリストを表示できます。

関連項目:

詳細は、SQLグラフ問合せを参照してください

21.4 グラフ・ビジュアライゼーション・モード

右のボタンを使用すると、「グラフの操作」と「ズーム/移動」の2つのモードを切り替えることができます。

  • 「グラフの操作」モードでは、ビジュアライゼーションを変更するアクションを実行できます。次のアクションがあります:
    • 「削除」は、選択した頂点をビジュアライゼーションから削除します。ツールチップから実行することもできます。
    • 「グループ」は、複数の頂点を選択し、それらを1つの頂点にまとめます。
    • 「グループ解除」は、まとめた頂点のグループを選択し、それらのグループを解除します。
    • 「展開」は、選択した頂点の構成可能な隣接範囲(ホップ)の数を取得します。ツールチップから実行することもできます。
    • 「展開」などの「フォーカス」は、隣接範囲の構成可能な数を取得しますが、他のすべての頂点の削除も行います。ツールチップから実行することもできます。
    • 「元に戻す」は、最後の操作を元に戻します。
    • 「再実行」は、最後の操作をやり直します。
    • 「リセット」は、問合せの後にビジュアライゼーションを元の状態にリセットします。
  • 「ズーム/移動」モードでは、ズーム・インおよびズーム・アウトしたり、ビジュアライゼーションの別の部分に移動できます。「中央にパン」ボタンは、ズームをリセットし、ビューを元のビューに戻します。

「固定」モードと呼ばれる追加モードを使用すると、ノードのドラッグ操作を取り消すことができます。

21.5 グラフ・ビジュアライゼーションの設定

「設定」歯車アイコンをクリックして、グラフ・ビジュアライゼーションの設定ウィンドウを表示できます。

設定ウィンドウでは、ビジュアライゼーションの一部のパラメータを変更でき、「一般」、「ビジュアライゼーション」および「強調表示」のタブがあります。次の図は、このウィンドウで「ビジュアライゼーション」タブが選択された状態を示しています。

図21-8 グラフ・ビジュアライゼーションの設定ウィンドウ

図21-8の説明が続きます
「図21-8 グラフ・ビジュアライゼーションの設定ウィンドウ」の説明

「一般」タブには次が含まれています。

  • ホップ数: 拡張操作およびフォーカス操作の構成可能なホップ数。
  • ラベルの切捨て: 最大長を超える場合は、ラベルを切り捨てます。
  • 表示ラベル最大長: 切捨て前の最大長。
  • ホバー時にラベルを表示: カーソルを合せたときにラベルを表示するかどうかを制御します。
  • グラフの凡例の表示: 凡例を表示するかどうかを制御します。

「ビジュアライゼーション」タブには次が含まれています。

  • テーマ: 明るいモードまたは暗いモードを選択します。
  • 辺スタイル: 直線エッジまたは曲線エッジを選択します。
  • 辺マーカー: 矢印を選択するか、またはエッジ・マーカーを選択しません。これは有向エッジにのみ適用されます。
  • 類似辺: 保持または収集を選択します。
  • ページ・サイズ: 1ページごとに表示される頂点およびエッジの数を指定します。
  • レイアウト: 異なるレイアウト(ランダム、グリッド、円、同心、...)の中から選択します。
  • 頂点ラベル: 頂点ラベルとして使用するプロパティを選択します。
  • 頂点ラベルの方向: 頂点ラベルの相対位置を選択します。
  • 辺ラベル: エッジ・ラベルとして使用するプロパティを選択します。

「強調表示」タブには、エッジや頂点の外観を変更できるカスタマイズ・オプションが含まれています。強調表示は、単一または複数の要素上の条件(フィルタ)に基づいて適用できます。次の図に、頂点の条件(country = United States)と視覚的な強調表示オプションを示します。

図21-9 頂点の「強調表示」のオプション

図21-9の説明が続きます
「図21-9 頂点の「強調表示」のオプション」の説明

強調表示のフィルタには、要素のプロパティに関する複数の条件を含めることができます。次の条件がサポートされています。

  • = (等しい)
  • < (より小さい)
  • <=(以下)
  • > (より大きい)
  • >=(以上)
  • != (等しくない)
  • ~ (フィルタは正規表現)
  • * (任意: ワイルドカードと同様に、任意のものと一致)

視覚的な強調表示のカスタマイズ・オプションは次のとおりです。

  • エッジ:
    • ラベル
    • スタイル
    • アニメーション
  • 頂点:
    • サイズ
    • アイコン
    • ラベル
    • イメージ
    • アニメーション

メイン・ウィンドウの「保存」および「インポート」ボタンをクリックすると、強調表示オプションをエクスポートおよびインポートできます。「保存」では、強調表示オプションを保持でき、「ロード」では、前に保存した強調表示オプションを適用できます。

「保存」をクリックすると、強調表示構成を持つJSONオブジェクトを含むファイルが保存されます。後でそのファイルをロードして、保存したセッションの強調表示を復元できます。

21.6 地理レイアウトの使用

グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションでは、グラフをレンダリングするためのレイアウトを選択できます。その1つは、グローバル・マップ上にグラフ(頂点とエッジ)を表示する地理レイアウトです。

次の図は、グラフ・ビジュアライゼーション・アプリケーションの地理レイアウトにレンダリングされたグラフを示しています。

図21-10 地理レイアウト

図21-10の説明が続きます
「図21-10 地理レイアウト」の説明
マップ上に頂点を表示するには、その頂点の経度および緯度の座標が含まれるプロパティのペアの形式で地理的な場所を含める必要があります。たとえば:
+-------------------------------------------------+
| iata | city        | longitude    | latitude    |
+-------------------------------------------------+
| SIN  | Singapore   | 103.994003   | 1.35019     |
| LAX  | Los Angeles | -118.4079971 | 33.94250107 |
| MUC  | Munich      | 11.7861      | 48.353802   |
| CDG  | Paris       | 2.55         | 49.012798   |
| LHR  | London      | -0.461941    | 51.4706     |
+-------------------------------------------------+

ノート:

経度および緯度のプロパティには任意の名前(XとY、longとlatなど)を使用できます。ただし、経度/緯度ペアがWGS84システム(GPS座標)にあり、座標が10進角で表されるようにする必要があります。
次のように、グラフ・ビジュアライゼーション設定ウィンドウで地理レイアウトを選択できます。

図21-11 地理レイアウトの設定

図21-11の説明が続きます
「図21-11 地理レイアウトの設定」の説明

次に、次のように、地理座標が含まれる頂点でプロパティを選択します。

図21-12 地理レイアウトの座標の選択

図21-12の説明が続きます
「図21-12 地理レイアウトの座標の選択」の説明

これで、マウスやトラックパッドを使用してマップ中を移動したり、ズームイン/ズームアウトすることができます。これ以降、新しいPGQL問合せを入力するたびに、マップでは問合せによって返される頂点が自動的に中心となり、ズームされます。

21.7 ライブ検索の使用

ライブ検索では、表示されたグラフを検索し、各アイテムにライブのファジー検索スコアを追加できます。これにより、検索結果をすぐにグラフで視覚的に示す強調表示を作成できます。

問合せを実行してグラフが表示された場合は、設定ダイアログにライブ検索を追加できます。「全般」タブの下部に、次のオプションが表示されます。

  • ライブ検索の有効: ライブ検索機能を有効にし、検索入力をビジュアライゼーションに追加して、検索をさらにカスタマイズできるようにします。
  • 検索範囲の有効化: 「頂点」、「辺」、またはその両方のプロパティを検索するかどうかを選択できます。
  • 検索するプロパティ: 「検索範囲の有効化」で選択した内容に基づいて、検索する1つ以上のプロパティを設定できます。たとえば、辺の検索を無効にしても辺からのプロパティを選択していた場合、辺の検索を再度有効にすると、プロパティが保存されて追加されます。(これは頂点に対しても機能します)。
  • 詳細設定: 検索をさらに詳細に調整できます。それぞれの拡張オプションは、コンテキスト・ヘルプとともにドキュメント化されており、有効にすると表示されます。
    • 場所: テキスト内でパターンが見つかると予想されるおおよその場所を決定します。
    • 距離: あいまいな場所(「場所」で指定)に対する一致の距離を決定します。あいまいな場所から一定文字数離れた完全文字一致は、スコアが完全な不一致となります。距離0では、指定した正確な場所に一致が存在する必要があり、距離1000では、しきい値0.8を使用した場合にその場所から800文字以内に完全一致が見つかる必要があります。
    • パターン最大長: パターンの最大長。パターン(つまり、検索問合せ)が長いほど、検索操作はより集中的なものとなります。パターンがこの値を超えると、エラーが発生します。
    • 最小文字一致: パターンの最小長。パターンの長さがこの値を下回ると、エラーが発生します。

検索が有効になっている場合、入力はグラフ・ビジュアライゼーション・コンポーネントの左上に表示されます。入力を開始すると、設定と検索の一致に基づいて、すべての頂点または辺にスコアが追加されます。

結果を視覚的に確認できるようにするには、補間をライブ検索のスコアに設定した強調表示と、必要な視覚的変更に基づく別の設定を追加する必要があります。