顧客契約

顧客契約とは、強制可能な権利および義務を発生させる、複数の当事者間での契約です。

契約は、両当事者によって署名された紙文書の形式で存在することや、両当事者によって口頭で同意された契約になることがあります。

Accounting Standards Codification (ASC)基準ASC 606およびInternational Financial Reporting Standards (IFRS)基準IFRS 15:

  • 適格な契約を非常に明確に定義します。詳細は、IFRS 15の段落9から16、またはASC 606の段落625-10-25-1から625-10-25-8を参照してください。

  • 特定の状況では、契約を組み合せる必要があります。IFRS 15の段落17、またはASC 606の段落625-10-25-9を参照してください。

  • 開始時にトランザクションをレビューし、明確さの基準を使用して、履行義務としての顧客への約束を識別する必要があります。IFRS 15の段落22、およびASC 606の段落625-10-25-14を参照してください。

  • 一定期間(3つの状況に限定)か、ある時点(他のすべての状況)のいずれにおいて収益を認識できるかを開始時に決定する必要があります。IFRS 15の段落32、およびASC 606の段落625-10-25-24を参照してください。

Revenue Managementでの契約の識別

Oracle Revenue Managementでは、顧客契約は一連のソース明細で構成されます。これらのソース明細は、契約の異なる部分を表します。

たとえば、顧客がコンピュータ・ハードウェアを提供し、設置した日から1年間の技術サポートを提供する契約に署名した場合、コンピュータ・ハードウェアの提供に関連する契約部分は販売オーダーとして取得され、技術サポートに関連する契約の部分はサービス契約として取得されます。

個々の文書は、これらのアプリケーションから様々な時点で抽出され、ソース文書としてRevenue Managementと連携します。Revenue Managementでは、これらの文書は1つの顧客契約に属するものとして識別されます。顧客契約文書は、これらの文書の明細を使用して作成されます。

複数のソース文書明細を1つの顧客契約に自動的に結合するには、これらの文書間に共通のリンクが必要です。この共通リンクは次のものにできます。

  • すべてのソース文書またはソース文書明細で取得される、顧客の購買オーダー番号などの識別子。

  • 特定の期間。つまり、すべてのソース文書明細が短い期間内に顧客に対して作成された場合。

    たとえば、30日以内に同じ顧客に対して作成された複数のソース文書明細は、収益認識のために1つの会計契約の一部を構成する必要があります。

1つの請求書は、収益認識の観点から、次の3つのシナリオを表すことができます。

  • 請求書のすべての品目が個別に購入され、請求書を10件の顧客契約に分割する必要があります。

  • すべての品目が1つのバンドルとして購入され、請求書全体が1つの顧客契約として識別されます。

  • 請求書の一部の品目が関連しており、関連品目を1つの契約に追加して、請求書を複数の契約に分割する必要があります。

    この場合、請求書は複数(ただし10件以下)の顧客契約になります。

組織は、一定の期間にわたって同時に履行される、複数の独立した顧客契約を同じ顧客と締結することもできます。顧客契約は、アップストリーム・アプリケーションで、ソース文書として、次のような様々な方法で表されることがあります。

  • 1つの会計契約が1つのソース文書として表されます。

  • 1つの会計契約が、同じアプリケーションまたは異なるアプリケーションからの複数のソース文書として表されます。

  • 複数の会計契約が1つのソース文書として表されます。