複数通貨仕訳の貸借一致方法

仕訳は転記前に貸借一致させる必要があります。仕訳を転記のために発行する際に貸借一致していない場合、設定に従って、転記プロセスでは自動的に貸借一致明細が作成されるか、差異が既存の明細に追加されます。

複数通貨仕訳の貸借一致に影響を与える設定

「元帳オプションの指定」ページで:

  • 仕訳処理の貸借一致セクションで、次のオプションを設定できます。

    • General Ledgerまたは補助元帳での「仮勘定使用可能」

    • デフォルト仮勘定科目

    • 端数処理勘定

    • 入力通貨貸借一致勘定

    • 貸借一致しきいパーセント

    • 貸借一致しきい金額

  • 仕訳処理の会社間セクションで「会社間会計使用可能」オプションを設定し、「会社間貸借一致ルールの管理」ページで貸借一致ルールを定義します。

「仮勘定の管理」ページで、特定の仕訳ソースおよびカテゴリの仮勘定を定義できます。

複数通貨仕訳の貸借一致方法

転記プロセスでは、仕訳の貸借一致を判断する際、入力済金額、計上済金額、貸借一致セグメント値および通貨がチェックされます。仕訳が貸借一致していない場合、転記プロセスでは設定を使用して差異を処理し、自動的に仕訳を貸借一致させます。差異を自動的に処理できない場合、転記プロセスは失敗します。

ノート: 計上済金額は、元帳通貨の精度を使用して端数処理されます。

次の図は、複数通貨の仕訳を貸借一致させるために転記プロセスが実行するフローを示しています。

  1. 計上済金額が貸借一致しているか、計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はいの場合、プロセスはステップ2に進みます。いいえで仮勘定が使用可能な場合は、仮勘定貸借一致明細が作成され、貸借一致プロセスが完了します。いいえで仮勘定が使用可能になっていない場合は、転記が失敗します。
  2. 各貸借一致セグメント値について、計上済金額が貸借一致しているか、計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はいの場合、プロセスはステップ3に進みます。いいえで会社間が使用可能な場合は、会社間貸借一致明細が作成され、プロセスはステップ3に進みます。いいえで会社間が使用可能になっていない場合は、転記が失敗します。
  3. 各貸借一致セグメント値が、入力通貨によって貸借一致しますか。はいの場合、プロセスはステップ4に進みます。いいえで入力通貨貸借一致勘定が定義されている場合は、入力通貨貸借一致明細が作成され、プロセスはステップ4に進みます。いいえで入力通貨貸借一致勘定が定義されていない場合は、転記が失敗します。
  4. 計上済金額の差異は残っていますか。はいの場合、プロセスはステップ5に進みます。いいえの場合、貸借一致プロセスは完了します。
  5. 端数処理勘定は定義されていますか。はいの場合は、端数処理貸借一致明細が作成され、貸借一致プロセスが完了します。いいえの場合は、差異が最も大きい明細に追加され、貸借一致プロセスが完了します。
この図は、複数通貨を使用する仕訳の貸借一致フローを示しています。

次の例では、未転記仕訳をフローの判断項目と比較し、仕訳がどのように貸借一致されるかを説明しています。勘定科目組合せの最初のセグメントは貸借一致セグメントで、元帳通貨はUSD、適用可能なオプションは次のように設定されています。

  • 仮勘定使用可能: General Ledgerでは「はい」。

  • デフォルト仮勘定科目: 101.10.29900.000.000。

  • 端数処理勘定: 101.10.78550.000.000。

  • 入力通貨貸借一致勘定: 101.10.22270.000.000

  • 貸借一致しきいパーセント: 1。

  • 貸借一致しきい金額: なし。

  • 会社間会計使用可能: 使用可能で会社間ルールが定義されている。

例1: 計上済金額の差異

次の表は、計上済金額に差異がある複数通貨の未転記仕訳の明細、勘定科目、通貨、借方および貸方を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

2

101.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

9,500.00

合計

該当なし

該当なし

10,000.00

9,500.00

15,297.54

9,500.00

仕訳の貸借一致方法を理解するために、次のフローに従います。

  • 計上済金額が貸借一致している、または計上済金額の差異がしきい値以内ですか。いいえ。計上済借方合計と計上済借方合計の差は5,797.54で、指定されたしきい値である1パーセント以内ではありません。

    ノート: しきい値は「貸借一致しきいパーセント」設定に計上済借方合計または貸方合計のいずれか大きい方を乗算して計算します。この例では、しきい値は152.98で、15,297.54の1パーセントです。
  • 仮勘定は使用可能ですか。はい。仮勘定はGeneral Ledgerで使用可能で、仮勘定科目は101.10.29900.000.000です。各通貨の仕訳の貸借一致のため、転記プロセスにより仮勘定明細3および4が作成されます。

次の表は、転記済仕訳の明細、勘定科目、通貨、金額および説明を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

摘要

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

なし

2

101.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

9,500.00

なし

3

101.10.29900.000.000

ANG

9,500.00

9,500.00

仮勘定明細。

4

101.10.29900.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

仮勘定明細。

合計

該当なし

該当なし

19,500.00

19,500.00

24,797.54

24,797.54

なし

例2: 入力通貨別で貸借一致していない入力済金額

次の表は、入力通貨について貸借一致していない複数通貨の未転記仕訳の明細、勘定科目、通貨、借方および貸方を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

2

101.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

合計

該当なし

該当なし

10,000.00

9,500.00

15,297.54

15,297.54

次の転記フローに従います。

  • 計上済金額が貸借一致している、または計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はい。計上済借方は計上済貸方に一致しています。

  • 貸借一致セグメント値別の計上済金額が貸借一致しているか、計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はい。両方の明細の貸借一致セグメント値は101で、計上済借方合計と計上済貸方合計は一致しています。

  • 通貨別および貸借一致セグメント値別の入力済金額は貸借一致していますか。いいえ。入力通貨別の仕訳は貸借一致していません。通貨GBPには借方しかなく、通貨ANGには貸方しかありません。

  • 「入力通貨貸借一致勘定」は定義されていますか。はい。「入力通貨貸借一致勘定」は101.10.22270.000.000です。仕訳の貸借一致のため、転記プロセスにより入力通貨貸借一致明細3および4がそれぞれの通貨に作成されます。

次の表は、転記済仕訳の明細、勘定科目、通貨、金額および説明を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

摘要

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

なし

2

101.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

なし

3

101.10.22270.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

入力通貨貸借一致明細。

4

101.10.22270.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

入力通貨貸借一致明細。

合計

該当なし

該当なし

19,500.00

19,500.00

30,595.08

30,595.08

なし

例3: 一致していない入力通貨および貸借一致セグメント値

次の表は、入力通貨または貸借一致セグメント値について貸借一致していない複数通貨の未転記仕訳の明細、勘定科目、通貨、借方および貸方を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

2

102.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

合計

該当なし

該当なし

10,000.00

9,500.00

15,297.54

15,297.54

次の転記フローに従います。

  • 計上済金額が貸借一致している、または計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はい。計上済借方は計上済貸方に一致しています。

  • 貸借一致セグメント値別の計上済金額が貸借一致しているか、計上済金額の差異がしきい値以内ですか。いいえ。貸借一致セグメント値101には借方しかなく、合計は15,297.54です。いいえ。貸借一致セグメント値102には貸方しかなく、合計は15,297.54です。一致させるには、各貸借一致セグメント値が15,297.54である必要があり、これはしきい値を超えています。

    ノート: しきい値は152.98で、15,297.54の1パーセントです。
  • 会社間会計は使用可能ですか。はい。貸借一致セグメント値別の計上済金額の貸借一致のため、転記プロセスにより会社間貸借一致明細3および4が通貨USDで作成されます。

  • 通貨別および貸借一致セグメント値別の入力済金額は貸借一致していますか。両方とも一致していません。通貨GBPには借方しかなく、通貨ANGには貸方しかありません。いずれの貸借一致セグメント値でも、借方は貸方に一致していません。

  • 「入力通貨貸借一致勘定」は定義されていますか。はい。「入力通貨貸借一致勘定」は101.10.22270.000.000です。通貨ごとの貸借一致のため、転記プロセスにより入力通貨貸借一致明細5および6が作成されます。貸借一致セグメント値別の貸借一致のため、転記プロセスにより入力通貨貸借一致明細7および8が通貨USDで作成されます。

次の表は、転記済仕訳の明細、勘定科目、通貨、金額および説明を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

摘要

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

なし

2

102.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

なし

3

101.10.29100.000.102

USD

15,297.54

15,297.54

会社間貸借一致明細。

4

102.10.18100.000.101

USD

15,297.54

15,297.54

会社間貸借一致明細。

5

102.10.22270.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

入力通貨貸借一致明細。

6

101.10.22270.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

入力通貨貸借一致明細。

7

101.10.22270.000.000

USD

15,297.54

15,297.54

入力通貨貸借一致明細。

8

102.10.22270.000.000

USD

15,297.54

15,297.54

入力通貨貸借一致明細。

合計

該当なし

該当なし

50,095.08

50,095.08

61,190.16

61,190.16

なし

例4: 端数処理差異

次の表は、端数処理に差異がある複数通貨の未転記仕訳の明細、勘定科目、通貨、借方および貸方を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

なし

2

101.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

3

101.10.11200.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

4

101.10.11300.000.000

ANG

9,500.00

15,297.35

なし

合計

該当なし

該当なし

19,500.00

19,500.00

30,594.89

30,595.08

次の転記フローに従います。

  • 計上済金額が貸借一致している、または計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はい。計上済借方と計上済貸方の差異は0.19で、しきい値以内です。

    ノート: しきい値は305.95で、30,595.08の1パーセントです。
  • 貸借一致セグメント値別の計上済金額が貸借一致しているか、計上済金額の差異がしきい値以内ですか。はい。すべての明細の貸借一致セグメント値は101で、計上済借方と計上済貸方の差異は0.19で、しきい値以内です。

  • 通貨別および貸借一致セグメント値別の入力済金額は貸借一致していますか。はい。それぞれの通貨で、入力済借方は入力済貸方に一致し、貸借一致セグメント値はすべての明細で同じです。

  • 計上済金額の差異は残っていますか。はい。通貨ANGの場合、計上済借方と計上済貸方の差異は0.19です。

  • 端数処理勘定は定義されていますか。はい。端数処理勘定は101.10.78550.000.000です。仕訳の貸借一致のため、転記プロセスにより通貨ANGに端数処理明細5が作成されます。

次の表は、転記済仕訳の明細、勘定科目、通貨、金額および説明を示しています。

明細

勘定科目

通貨

入力済借方

入力済貸方

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

摘要

1

101.10.11300.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

なし

2

101.10.11200.000.000

ANG

9,500.00

15,297.54

なし

3

101.10.11200.000.000

GBP

10,000.00

15,297.54

なし

4

101.10.11300.000.000

ANG

9,500.00

15,297.35

なし

5

101.10.78550.000.000

ANG

0.19

端数処理明細。

合計

該当なし

該当なし

19,500.00

19,500.00

30,595.08

30,595.08

なし