32 Oracle Database Cloud Backup Module for Azure
RMANを使用してOracle DatabaseをMicrosoft Azure Cloud Storageにバックアップするには、Oracle Database Cloud Backup Module for Azureを使用します。
32.1 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureについて
RMANを使用すると、Oracle Database 23aiリリース更新バージョン8 (23.8)以上のバージョンをAzure Blob Storageコンテナにバックアップできます。
Azure用のRMAN SBTライブラリを使用すると、RMANはOracle Database Cloud Backup Moduleとやり取りして、Azure Storageでバックアップおよびリカバリのタスクを実行できます。バックアップは、Azure Blobコンテナに直接保存されます。
Azureへのバックアップを作成する前に、Azureストレージ・アカウントを作成し、認証に必要なストレージ・アカウント資格証明を取得する必要があります。次に、ターゲットOracle DatabaseサーバーにOracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定します。最後に、Azure用のRMAN SBTライブラリを使用してRMAN SBTチャネルを構成する必要があります。これにより、Azureストレージ・コンテナを使用したすべてのバックアップおよびリストアのための永続的なRMAN構成が作成されます。
ノート:
Oracle Database Cloud Backup Module for Azureは、オンプレミスまたはAzure仮想マシンにデプロイされたOracle Databaseと互換性があります。Oracle Database Cloud ServiceでのAzure Blob Storageへのバックアップの書込みはサポートされていません。
32.2 Microsoft Azure Blobストレージ・アカウントへのサインアップ
Oracle DatabaseをMicrosoft Azureにバックアップするには、既存のMicrosoft Azure Blobストレージ・アカウントが必要です。
Microsoft Azureストレージ・アカウントを作成します。Azureストレージ・アカウントの作成を参照してください。
storageaccount
- Azure Blobストレージ・アカウント名sharedkey
- Azure Blob ストレージ・アカウント・キーcontainer
- Azure Blobコンテナ名
32.3 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureの設定
Azureにバックアップする前に、ターゲットOracle DatabaseサーバーにOracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定する必要があります。
Oracle Databaseをインストールすると、バックアップ・モジュール・セットアップ・ツール(az_setup.zip
)がOracleホーム・ディレクトリに配置されます。
表32-1 Oracle Database Cloud Backup Module for Azure設定ツールのファイル名と場所
Oracle Database Cloud Backup Module for Azure設定ツール | UNIXおよびLinuxシステム上の場所 | Windowsシステム上の場所 |
---|---|---|
|
|
|
32.3.1 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureの前提条件
Oracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定する前に、次の最小要件を確認してください。
表32-2 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureの最小システム要件
システム | サポートされているバージョン |
---|---|
Oracle Database |
|
Java SE Development Kit (JDK) |
ターゲットのOracle DatabaseリリースでサポートされているデフォルトのJDKバージョン。 |
32.3.2 Oracle Database Cloud Backup Module for Azure設定ツールを実行するためのパラメータ
Oracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定する前に、必須パラメータを確認して値を編集します。
Oracle Databaseをインストールすると、Oracleホーム・ディレクトリにバックアップ・モジュール設定ツール(az_setup.zip
)が配置されます(表32-1を参照)。
az_setup.zip
設定ツールを任意のサブディレクトリに解凍します。パラメータをプレビューするには、解凍された設定ファイルを含むサブディレクトリから次のコマンドを実行します。$ java -jar az_setup.jar
例32-1 Oracle Database Cloud Backup Module for Azure設定ファイルの解凍およびパラメータのプレビュー(UNIXおよびLinuxシステムの場合)
この例では、az_setup.zip
ファイルの内容をazmodule
サブディレクトリに解凍しています。
$ mkdir -p $ORACLE_HOME/lib/azmodule
$ cd $ORACLE_HOME/lib/azmodule
unzip -q $ORACLE_HOME/lib/az_setup.zip
azmodule
サブディレクトリから次のコマンドを実行します。$ java -jar az_setup.jar
表32-3 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定するためのパラメータ
パラメータ | 説明 | 必須またはオプション |
---|---|---|
|
RMANバックアップに使用されるMicrosoft Azure Blobストレージ・アカウントのアカウント名。 |
必須 |
|
指定されたMicrosoft Azure |
必須 |
|
指定されたAzure Azureにバックアップすると、RMANは指定したコンテナにバックアップを格納します。指定したコンテナが存在しない場合は、設定ツールによって作成されます。 次のシナリオでは、
-container パラメータをスキップします:
|
|
|
RMANバックアップを格納するためのWORM準拠(不変)のAzureストレージ・コンテナ。 詳細は、Microsoft Azure不変ストレージを参照してください。 |
オプション |
|
RMANのバックアップおよびリカバリ操作中に一時メタデータを格納するために使用されるコンテナ。 |
|
|
RMAN操作の認証に必要なAzureストレージ・アカウント資格証明を含むディレクトリ。 設定ツールを実行する前に、ウォレット・ディレクトリを作成します。このパラメータをスキップすると、設定ツールによってウォレット・ディレクトリの入力を求められます。 |
必須 |
|
Oracleウォレットにインポートする必要があるSSL証明書のリスト。 |
必須 - SSL証明書のリストをウォレットに手動で追加する場合。 オプション - 設定ツールで必要なSSL証明書を取得する場合。 |
|
設定ツールによって作成されたAzureバックアップ・モジュール構成ファイルのカスタム名と場所を指定します。たとえば、 設定ツールによって選択されるデフォルトの場所に構成ファイルを作成する場合は、
-configFile パラメータをスキップします。
構成ファイルのデフォルト名は |
オプション |
|
HTTPプロキシ・サーバーのホスト名 |
オプション |
|
HTTPプロキシ・サーバーのポート番号 |
オプション |
|
必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーのユーザー名。 |
オプション |
|
必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーのパスワード。 |
オプション |
|
Azure Backup Module設定ツールの入力パラメータを含むプレーン・テキスト・ファイル。 設定ツールで、指定した引数ファイルから入力パラメータを読み取る場合は、 たとえば、
次の例は、
|
オプション |
|
すべての |
オプション |
|
Javaトラストストアから現在の |
オプション |
32.3.3 Backup Module for Azureの設定の実行
ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for Azureを設定するには、次の手順を使用します。
Oracle Database Cloud Backup Module for Azure設定ツールでは、次のファイルが作成されます:
- 構成ファイル
az<ORACLE_SID>.ora
。ここで、<ORACLE_SID>
は、AzureストレージにバックアップされるOracle Databaseのシステム識別子です。デフォルトでは、構成ファイルは
UNIX
およびLinuxシステムの$ORACLE_HOME/dbs
ディレクトリにあります。Windowsシステムでは、構成ファイルのデフォルトの場所は%ORACLE_HOME%\database.
です。 - Microsoft Azureストレージ・アカウントの資格証明を安全に格納するOracleウォレット・ファイル。RMANでは、Azure Blobコンテナを使用したバックアップおよびリストア操作中に認証用のウォレット・ファイルが必要です。
32.4 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureによって作成される構成パラメータ
設定ツールは、Oracle Database Cloud Backup Module for Azureを使用したRMAN操作に必要なパラメータ値を含む構成ファイルを作成します。
オプションで、構成ファイル内のパラメータ値を変更できます。
表32-4 Oracle Database Cloud Backup Module for Azureの設定を指定するための構成パラメータ
パラメータ名 | 必須かどうか | 説明 |
---|---|---|
|
はい |
RMANバックアップの送信先となるホストの名前を指定します。 |
|
いいえ |
ターゲット・データベースがファイアウォールの内側にある場合は、プロキシ・サーバーとポートを指定します。これは、 |
|
いいえ |
RMANがデータベース・バックアップを格納するAzure Blob Storageコンテナを指定します。このパラメータを指定しない場合、SBTライブラリは、まず指定された場所にあるoracle-data-account name-という形式の名前の既存のバケットを探します。そのようなバケットが存在しない場合、SBTライブラリは、oracle-data-account name-という接頭辞を付けて一意のバケットを作成します。 |
|
いいえ |
不変バックアップに関連付けられた一時ファイルを格納するAzure Blob Storageコンテナの名前。バックアップ・モジュールには、バックアップ操作のための一時コンテナが必要です。 一時ファイルを格納するための別のコンテナを作成します。 az.ORACLE_SID.ora 構成ファイルで-temp-metadata-container 値を定義できます。
|
|
いいえ |
Azure Blob Storageへのバックアップの格納時に使用されるオブジェクト・サイズ(バイト)を指定します。デフォルトのチャンク・サイズは100MBです。 |
|
はい |
SBTライブラリがAzureアカウント資格証明を読み取るウォレットの場所、別名およびプロキシ認証の別名を定義します。このパラメータの形式は、
|